HOLLYWOOD DIARY
2006
2がつの日記



2月5日「おかげさまで栄光の足跡を刻んだYO」

 ジャンジャジャーン。なんと、ウォーク・オブ・フェームに手形と足型を残してきたよ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060201-00000023-flix-ent
 どうだいこの会心の笑顔。長いことハリウッドで黒人やってるけど、人前でこんなに手の平見せびらかしたのは初めてだよ。サービスで歯型と頭型もつけてやろうとしたら、係りの人(後ろの足だけ見えてる人)に止められたんだ。それぐらい有頂天だったってこと。  実はこのポーズとる前にちょっとしたハプニングがあってさ。型を取るためにセメントに張り切ってビョーンってルパン飛びしてみたはいいんだけど、アリ? ちっとやそっとじゃ抜けねーんだこれが。尻突き出して四つんばいになったまんま。オ、オイオイオイ。オレはひょっとしてこのポーズのまんまで固まって余生を過ごした挙句にジャバザハットの宮殿に飾られんのか? 冷や汗流しながらも、間を持たせるためにとりあえずスピーチを敢行したよ。尻突き出して四つんばいでも、なるべくエリートの威厳が出るようにね。

「どうもーサミュエル・L・ジャクソンことサミュちゃんです。本日はお日柄も良く、みんなよく来てくれました。この手形をすべての恵まれない子供たちに捧げたい気持ちでいっぱいです。泥水をすくう容器にしてください。そしてこのオレを影で支えてくれた家族には本当に感謝しています。母ちゃん、ミッキー、ステファニー、真喜子、愛してるよ! そしてボンジョビ、お前は見てくれこそ史上最低で死んだ方がマシで、口下手でいつも腹ペコで素っ裸で叩くと変な音がして足元がおぼつかなくてよく見ると小刻みに震えてて白目に子蝿がたかってて口の端に変な泡みたいのふいてて電車に乗れば異臭騒ぎ、ボートに乗ればピープルだけど(ズボッ!)

 あれ? ここでようやく手足が引っこ抜けたんだ。
 ま、とにかくエリートの仲間入りできてよかったよ。みんなもオレがちょっとエリートの仲間入りしたからって気兼ねなんかする必要はないんだぜ? 今まで通りただの黒人として接してくれよな。エリートだからって「一般人はワッペンはっつけて車道を歩け!」なんて強要したりしないから、さ。


2月11日「トカゲ、死んでいた」

 みんなに良い知らせと悪い知らせがあるんだ。
 まず良い知らせから。我が家のジャビット(トカゲ)は元気に生きてるYO! トカゲのチャンピオン!
 そして悪い知らせ。さっきのは嘘さ。。。。ゴメンなぬか喜びさせて。オレだって本当は毎日でもトカゲは元気トカゲは元気って言い続けたかったさ。でも、ジャビットはチャンピオンどころかむごたらしく死んじゃったyo。。。
 事の顛末はこうなんだ。前にトカゲが立った話をしただろ? そんときの「ジャビットが立ったYO!!! 」って叫び声だけをふすまか障子の裏で聞いてたらしい末っ子のボンジョビが、事あるごとに「僕もボンジョビが立ったとこ見るんだ見るんだワーン! デカマラビローン!」ってわめくんだよ。まさか本当のこと説明するわけにもいかねぇしさ。機会があれば見してやるって逃げ回ってたんだよね。したら、「機会って何月何日何時何分!?」ってうるせーのなんの。なんなんだよお前は、青木さやかか? 大人の世界で「機会があれば」って言われたときは、そんな風に正確な期日をつめなんなよ。嫌がられるぜ? あと、素っ裸ってのもマイナス印象!
 こう言ったら大人しく自分の部屋に引っ込んだんだけど、なんだかその後姿がやけに寂しげでね。なんとかしてやれないかと思案してるうちに、いい考えが浮かんだ。それが下の図さ。



 ボンジョビを近所の坂の下に連れてって、オレは坂の上に行くわけ。そこであらかじめキャスターつきの体重計に結わえておいたジャビットを坂の下にそろそろとロープで下ろしてやるんだ。こうすると、遠目からならジャビットが自走してるように見えるだろ?
 案の定ボンジョビは大喜び。坂の下で喜びのダンスを踊り狂ってるよ。あんなにスパークしてるボンジョビを久々に見て感動してさ。ついついジャビットを自走させるスピードを速めすぎたんだな。ロープをうっかり離しちゃったんだ。好事魔多しってやつ。ジャビットを乗せた体重計が『オーメン3』の乳母車みたいに猛スピードで坂道を疾走し始めた。これには踊ってたボンジョビも「え?」って顔してたね。そりゃそうだよ。通常のトカゲの3倍はあろうかってスピードでぐんぐん接近してくんだもんな。踊ろうか避けようか迷ってるみたいだった。危ない! 
「ボンジョビ、ふせろーーーーー!!!」
 叫んだけど間に合わなかった。中腰になったところにモロに直撃して、宙を舞ったっぽい。
 ボンジョビが跳ね飛ばされただけならまだ笑って済ませられたんだけど、問題はその後でさ。ちょっと下の図を見てくれよ。



 ジャビットを乗せた体重計は、近所のボーイスカウトが焚いてたキャンプファイヤーに突っ込んで、『レッド・ドラゴン』のフィリップ・シーモア・ホフマンみたく火だるまになったまま化学工場の廃液タンクを突き抜けてドロドロになった挙句に超特急と正面衝突した。
 ボンジョビと駆けつけたときには、時すでに遅し。もう虫の息だったよ。
 息をひきとる直前に、あいつったら、かすかに笑ってるみたいだったな〜。多分、最期に思いっきり走れてありがとう、って言いたかったんだと思う。死因は過度のストレスからくる急性胃炎による失血死だって。略して過度急な。そんなに坂道が怖かったとはね。

♪Hold up... hold on... don't be scared
  You'll never change what's been and gone

 オアシスをバックにボンジョビと追悼のダンスを踊り狂ったね。


2月15日「バレンタインデーは2度死ぬ」

 イテテテテテ。腹壊しちゃってさ。それというのも昨日のバレンタインが原因なんだ。わかる? わかんねーだろなー。じゃあ一から順を追って説明するよ。
 バレンタインデーだったろ? オレもちょっと朝からソワソワしててね。マキアージュでいつもよりまつ毛長くして張り切って出かけたよ。ま、ファンや母ちゃんからは毎年人並みに貰ってるんだけどさ。そーいうのはバレンタイン本来のドキドキ感とは程遠い。1人の男として、デスティナ風に言うときちんとした仕事についているプロフェッショナルな欧米人男性としてチョコを貰いたいわけ。出来たらパツキングラマーから。ジェニファー・アニストンなんかいいね。うちの母ちゃんとはもう、真逆のタイプだよ。ありゃパツキンでもグラマーでもない。どっちかっつーと最凶最悪のバイオウェポンさ。HAHAHA!
 てなわけで、撮影の合間や食事の後なんかにさりげな〜く1人になって大あくびしたり、さりげな〜く空っぽのボストンバッグ開け閉めしたりしてみたんだけど、誰1人としてチョコ投げこまねぇでやんの。アレ〜? だってマキアージュだぜ? ピュアでライブなメーキャップだぜ? 「何かいいことあった」って120%顔に出してるぜ? 変だな〜。
 そうこうするうちに外も薄暗くなってきてさ。やべっ。こうなったら最終奥義をご披露ラップサーカス。チェケラッ! 追い詰められたハリウッドスターの執念ってやつを見せてやるから覚悟しろ、世のパツキングラマーども。食堂でチョコパフェのチョコ抜きを10人前注文してやった。それ全部並べた真ん前で困った顔すりゃ、いくらなんでも正常な神経の持ち主だったらチョコかけてやろー、って気になるだろ? さあ、カモン、パツキングラマーさん!! ギブミーチョコレートじゃ!! 甘いのう! 美味いのう!



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・・・・気づいたら周り真っ暗。
 こんなにも溶けたとこ見たの初めてってぐらいドロッドロに溶けてたよパフェが。世知辛いね。チョコレート抜きのチョコパフェ抱えて右往左往してる黒人見たって、チョコレートぶっかけてやろうってパツキングラマーなんか誰一人いない世の中になっちまったってか。この国の民主主義はどこ行ったんだよ。ハァ〜。もうやめたやめたバレンタインデーなんか! こっちから願い下げ! やけパフェ一気にあおって帰って下痢して今に至るって話。