HOLLYWOOD DIARY
2005
11&12がつの日記



11月10日「世界ウルルン滞在記」

♪君の心がわかる、とたやすく誓えるWASPに
  なぜ奴隷はついてゆくのだろう そして泣くのだろう〜

 南部のブルースだよ。しばらくカメリハとか台本とかケツカッチンとかで忙しくて更新がおろそかになってたけど、また日記を書くことにした。「未完」とか言って最終回の雰囲気を匂わせてたが、心配いらねぇよ。同情するなら鍵をくれ?(足枷の)
 さてと、前回の日記じゃ末っ子のボンジョビと一緒に「人間としての本当の幸せ」をつかむ旅に出たとこまで書いたんだったな。いや〜、いろんなことがあったよ。何から話したらいいのかわからないまま時が流れて更新サボッてたんだけど、今から書くって。
 旅に出て12,3分ぐらいした頃かな? な〜んか飽きてきてさ。いや、もちろん良い意味で。「人間としての本当の幸せ」ってなぁ、いざ探すとなると意外に見つからねぇもんだな。そこらの女の子が落としそうになった何百万もする瓶を助けて鯛やヒラメの舞い踊り、なんて展開を期待してたんだがナァ。。。
 停滞ムードを吹き飛ばすためにも、いっちょ景気付けにしりとりでもやっとくかってことになったんだ。

サミュエル・L・ジャクソン(以下オレ)「ヒーーーーハーーーー!!! 父ちゃんからいくぞ。カレー」
ボンジョビ(以下ジョビ)「レール」
オ レ「ル? ・・・・いきなり『る攻撃』かYO! 留守電! ヒーーーーハーーーー!!!」
ジョビ「るすで『ん』?」
オ レ「・・・をチェックしようかと思ってたんだよな〜! たった今!! ゼロ件だった。で、『る』だっけ。おし、え〜と、留守番」
ジョビ「るすば『ん』?」
オ レ「・・・してる母ちゃん達は元気かな? 元気かな?」
ジョビ「ンジャメナ」
オ レ「え?」
ジョビ「チャドの首都だよ」
オ レ「あ、ああ。知ってるよそれぐらい! 『ナ』な。な、な・・・ナバホ族」
ジョビ「クアラルンプール」
オ レ「また『ル』かYO!」

 いやはや、ボンジョビのヤロー、容赦なさすぎ! ノー・マーシィ!! リチャード・ギアもビックリさ。で、1時間ぐらい経った頃だっけな。ちょうどマルホランド食堂の角のあたりにさしかかったときさ。

ジョビ「レーゾンデートル」
オ レ「る、る、る・・・パス」
ジョビ「もう3回目だよ」
オ レ「うるせっ! パス何回目か尋ねようとしただけだっつの。しりとりぐらいでマジになんなよ。だっせ。オタク。難民」
ジョビ「・・・」
オ レ「る、る、る・・・ルービック・キューブ」
ジョビ「さっき言っ・・」
オ レ「・・・を発明したルービック博士は今も生きてんのかなっ? な? マジ真剣に気になるよな???」
ジョビ「知らない」
オ レ「あ〜あ〜わかってるよ。『る』だろ。る、る、る・・・るいるい」
ジョビ「え?」
オ レ「流行語だYO! 知らねぇの? 遅れてる〜。るいるい。だっちゅーの。どんとぽっち。な?」
ジョビ「・・・ウンコ」
オ レ「コ、コ、コ・・・ってオイ、『るいるい』だっちゅーの。次は『い』だろ」
ジョビ「・・・ウンコ」
オ レ「なんなんだよ壊れたファービーみたいにウンコウンコって・・・WA!!!

 よく見たらボンジョビのヤツ、裸足で道端の犬のフン踏んづけてやんの。きったね〜。エンガチョ! る攻撃なんかしてるからそういう目に遭うんだよな。ジーザス・クライストはちゃんと見るとこ見てるね。あまりに臭いんで旅どころじゃなくなってさ。そのままオレだけタクシーで帰って来たよ。なんかもう眠かったし。「人間としての本当の幸せ」? 見つけた見つけた。暖かい布団でグッスリ眠る! これ以上の幸せがあるだろうかって話。
 寝てしばらくしたらボンジョビのヤロー、トボトボ帰って来たから、すぐに『パルプ・フィクション』みたく庭のホースでカレー洗い流して出来立ての暖かいウンコ食わしてやったよ。あ、逆だ。

・・・え? どこが「ウルルン滞在記」かって? ボンジョビが半泣きだったYO! 

・・・え? どこにも滞在してないって? HA! お手上げだよ。おりこーさん。ボンジョビがいま自分ちに滞在してるぜ。滞在記滞在記。これで満足だろ? じゃ、寝るわ。


11月14日「パリは燃えてるか?」

♪What's Show it!! What's Show it!!(わっしょいわっしょい)

黒人神輿のお通りダ〜イ!
死ぬのは奴らだLive and Let ダ〜イ!
Wasp・警官・KKK
ナンでもカンでもかかって恋!
墓から聞こえる”愛に恋”!

ハァ〜生まれたときから黒乳首(ハァ黒乳首っときたもんだ)
だけど白いぜ足の裏(ゼブラか? オカピか? その姿)
愛されメイクが恨めしい(名誉白人ラスペクト)
焦がせ焦がせ焼畑農業もっと焦がせ(シッカリカマタケワ〜イワイ)
アタシのイイ人連れて来い(仮釈放で)
ハリウッドの黒豹と人は呼ぶ(呼ばへん呼ばへん)

ハァ〜黒人神輿は(ソレ)いのちがけ〜

 ふ〜。いきなり熱唱しちまった。よくカラオケでこれやってひんしゅく買うんだよ。スマンスマン。デヘッ★(ベロ)。あ、よだれ出た。

 「シェイプアップ黒人音頭」っていう祝祭のときに合唱する南部の歌なんだぜ? なんでこんなオールディーズ歌ったかっていうとさ、昔のブラザー(穴兄弟)がフランス各地で大活躍してるニュースを耳にしたからなんだ。懐かしいやら黒いやら。
 この歌をみんなで歌いながら、警官の制止も聞かずに汗だくで神輿かついでショーウィンドーに突っ込んだり、警官の制止も聞かずに祭り火焚いたり(車で)、ガードレールに綿花添えて「青春アバヨ」と泣いたりしたもんさ。あんときに仲間と分かち合った友情と電化製品は一生モンだね。今も写真と一緒に飾ってあるよ。居間のテレビと扇風機とプリントゴッコ。


11月23日「私の頭の外が消しゴム」

 日本じゃスター・ウォーズ エピソード3(以下エピ3)のDVDが発売されたんだってな。どうだい? 面白いかい? 間違って宇宙戦争や宇宙企画のDVD買ってないだろな?
 あ、そうだ。アメリカでエピ3のDVDが発売されたときの業界ウラ話でも開陳しちまおっかな。あのさ、DVD拡販キャンペーンの一環でハリウッド近辺の小学校に慰問に行ったんだよ。子供たちに夢を与えるのがハリウッド・スターってもんだしな。体育館にみんなを集めてもらってさ。いきなり出てくのも何だから、連れてったジャバザハットダンサーズにまず一曲歌ってもらったんだ。レイ・パーカーJrの『ゴーストバスターズ』な。

♪if there's something strange in your neighborhood
  Who you gonna call?
  (近所でなんだかヤバげな気配。誰を呼ぶ?)


 もちろん「メイス・ウィンドゥ!」だろ? そこへオレが呼ばれて飛び出てジャジャジャジャンするわけ。ところがガキども、口を揃えてこう叫んでんの。

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

 ズルッ! 飛び出しかけてつんのめったって。ピーマン? 誰なんだよソレは。夢のクレヨン王国のキャラクターかい? 台本にない展開だぜ。クッ・・・。舞台のダンサーズも困ってるみたいでさ。とりあえず「続けろ!」って合図したよ。

♪If there's something weird and it don't look good
  Who you gonna call?
   (半透明の怪現象。誰を呼ぶ?)

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

 なんなんだよこいつら。わかってネェなー。仕方ないから舞台の袖から歌ったよ。

♪ジャンゴ・フェットが現れた! 誰を呼ぶ?

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

♪グリーバスがパルパティーン議員をさらってった! 誰を呼ぶ?

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

♪パルパティーンがシスだった! 誰を呼ぶ?

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

♪全世界でメイス・ウィンドゥだけが引っこ抜ける剣が岩に刺さってた! 誰を呼ぶ?

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

♪サミュエル・L・ジャクソンのサインがスゲー欲しいなーっっっ!!!

ガキども「He-Man! He-Man! (ヒーマン! ヒーマン!)」

 いい加減にしろYO! どいつもこいつもアホ面下げてピーマン、ピーマン叫びやがって。だったらそのピーマンと結婚してハメ撮りでもしてもらえ!! ピーマンでも茄子でも突っ込まれてろこのゴキブリのチンボコ野郎っっっ!!!

ガキども「・・・ハメ?(ザワザワザワ)」

 いっけね。マイクのスイッチ切るの忘れてた。あわてて退散してきたよ。なんかムシャクシャしたんで校庭の真ん中に野グソをプロデュースしてきてやった。ガハハ。フォースの力を思い知ったか。
 え? タイトルと全然関係ないって? 舞台に出てから言おうと思ってたあるあるネタさ。よく消しゴム忘れたときにスキンヘッドでゴシゴシやって代用しない? あるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるあるああるあるあるあるあるあるあ〜。あるっつってんだろがっっっ!!!


11月29日「綿花畑でつかまえて」

 スッカリ寒くなってきたよな。この前も布団の中で縮こまってたらプチ暴動で叩き起こされた。ガラスを突き破って石っころが飛んで来たみたいだ。見たら子供ら4人が庭でなんか怒鳴ってんの。なんだって? 約束してた梨がりに連れて行けだって? ハァ〜〜〜。うっせ、うっせ〜。父ちゃんはまだ寝てたいの。暴動とエイズは大人になってから。OK? 毛布からガラスの破片はたき落としてベッドにUターンさ。
 ムニャムニャ・・・らっきょの皮はもうたくさんだyo...バリーン!! な、なんだっ!? 今度は部屋の中で何かが割れる音が・・・ああああーーーー! ニカウから借りっぱなしのコーラの瓶が割れてる!! これにゃキレたね。
 Fuck you!! ぶち殺すぞゴミめら!! おめぇらみんな大きく見誤ってんだよ。この世の実体が見えてネェ。まるで3歳か4歳の幼児みてぇにこの世を自分中心、求めれば周りが右往左往して世話焼いてくれるって、そんなふうにまだ考えてやがるんだ、臆面もなくっ・・・!! 
 お〜し、父ちゃんの古い知り合いの農家に連れてってやるよ。ただし梨じゃねぇ。綿花だ。日がトップリ暮れるまで血豆だらけで綿花摘み続けんだ、いいな。


 ・・・ってなわけで飛行機で南部までひとっ飛び。「摘み残しの綿花狩り」に連れてったよ。1人ずつズタ袋を首からぶら下げて綿花の収穫さ。晴れた日に額に汗して働く喜びをかみしめてるみたいだったよ。現場監督には昔みたいに遠慮なくビシビシやっていいって言っといた。オラ〜! サボると鞭がうなるぞー。おいミッキー。そこの鉄条網に近寄んないほうがいいぞ。記憶通りなら高圧電流が流れてるからな。『大脱走』のアイブスみたくなっちまうぜ? ボンジョビも鉄条網の下掘ってんじゃねー! あの見張り台からも監視されてんだからな。ライフルで撃たれたら痛いじゃ済まないぞ。そこ見てみろ。人の形に草が生えてんだろ? 肥やしになったジョージ伯父さんだよ。最期の言葉が"There must be some kind of way out of here"だっけな。貧困階級の末路だよ。伯父さんの二の舞になりたくなかったら大人しく過酷な労働に耐えろ。一日限りなんだから。さすがにガキども観念したらしくてさ。いつになく神妙な顔して過酷な労働に従事してるよ。その姿見てたらなんだか懐かしくなってさ。

♪Day's never finished
    master's got me working
     someday master set me free...

 鼻歌歌ってたら終業の時間になった。お〜し。お前らよく搾取に耐えた。今日取ったズタ袋いっぱいの収穫は、全部やるよ。頑張ったお前らにご褒美綿花!! どうだ? 自分で取った綿花は格別だろ? 好きなだけ触ったり引っ張ったりしろよな。血豆に押し当てたりすると最高だぜ?
 あ、宿舎で塩漬けのニシン食ったら一泊して明日もう一日だけ働いてくれ。なんでって? 帰りの飛行機代持ってくんの忘れてたYO! ひゃはっ。


12月18日「Yの悲劇」

 ま、オレも次期ジェームズ・ボンドになって酒池肉林に酔いしれた挙句に洛陽に火を放つ役を虎視眈々と狙ってる身だし、スキーのひとつも嗜んどくかって思い立ったところから今回の話は幕を開けるんだよ。あっと、その前にスキーって知ってっか? S・U・K・I。オレもじっちゃんがやってたのを見よう見まねで覚えたんだ。プラ板みたいのに中腰で乗っかって何かにぶつかるまで斜面を滑降してくハイカラな遊戯なんだけど、クソ度胸がいるんだコレが。
 適当なベニア板を物置から引っぺがして近所の山の頂上に登ったさ。エッホ、エッホ、エッホ。こっからだと西海岸が一望だよ。
 ヤッホー!!! 西海岸のみんなー! ハリウッドはいいところだぞー! みんなのぼってこーい!
 しばらく待っても誰も来ないから1人で滑り始めた。いいぞ、いいぞ。スピードが、スピードが、出て、出て、でででででででっっっ果〜て〜し〜な〜い〜〜〜〜〜〜〜ドガンっ!! いやはや、俗に言うこんがらがっちゃかこんがらコネクションってのはあのことだね。いくらスキーったってノンストップにも程があるっての。危うくゲレンデが溶けるほど濃い死体になるとこだったZE! で、ぶつかった木をよく見たらおかしな看板でさ。Yの字の形してんだよ。そうなんだ。「HOLLYWOOD」の白い看板の「Y」にぶち当たって倒しちまったってことらしい。またかYO! いや、前にもなんとかシティって映画の撮影現場に遊びに行ったときによそ見してて看板に激突したことがあったんだ。まあその話は今度でいいや。とにかくこのままだと「パ」が消えて「チンコ」になったパチンコ屋みてぇなもんだろ? ハリウッドの威信にかけて、ほっとけネェ。とりあえず日が暮れるまでは万歳の格好でオレがYになりきることにしたんだ。事情を知らないヤツが見たら「YMCA」の「♪素晴らしいワ〜イ」まで歌ったところで歌詞忘れて固まってるみたいだったけど、なんとか日暮れまでハリウッドの心を守りきってやったよ。ワイがYや!
 ・・・その場に誰もいなくて幻の駄洒落に終わったことがひどく残念だったね。