HOLLYWOOD DIARY
2006
3がつの日記



3月6日「俺たちのアカデミー」

 アカデミーだったよ。ま、今年も取れなかったんだけどね。去年みたくボケッと会場に座ってんのもシャクだから、途中で抜け出して屋上でトランジスタラジオ聞きながら寝っ転がってたよ。

♪ベイエリアから〜リバプールから〜

 鼻唄しながらウトウトしてたらすんごい音で目が覚めた。

ジャン! ジャン! ジャン! ジャン! ジャンジャン!
ジャン! ジャン! ジャン! ジャン! ジャンジャン!
♪スパイ〜すごい〜地上〜最強!!

 なんなんだよ一体。見ると、貯水タンクの後ろで大音量でラジカセ鳴らしながら腰カクカクさせてる男がいるんだ。スパイ大作戦のテーマ? よく見るとトム・クルーズだった。


トム・クルーズさん(44)

 なんかあっちの方しきりに指差しながら歌ってんの。トムも眠くなって抜け出してきたクチだろうね。

♪スパイ〜デカい〜夜も〜最強!!!

 オレも歌に加わったよ。アカデミー残念賞の常連同士、意気投合しちゃってさ。『ディープ・ブルー』で鮫に噛まれたときと、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』でワニに噛まれたときの歯型を見せあいっこしたよ。今度一緒にホモ映画撮ってサンダンス映画祭にでも出品しようぜ、なんてカップ酒で気炎あげた。人種差別の要素も盛り込んで審査員に訴えるって算段。YO! アカデミーハゲ黒人賞!! 酔った勢いでプリクラ撮りに行ったよ。トムと一緒だと美肌設定合わすの大変だったぜ。HAHAHAHAHA! 


with トム


3月9日「イナバウアーとカレー丼(プライドと偏見)」

 朝飯のカレー丼食い終わった後だったかな。ボンジョビとイナバウアーごっこやってたんだ。上体を反らして「イナバウア〜」って叫びながらやるハラハラドキドキの鬼ごっこさ。高度な戦略性が要求されるんだぜ?

イナバウア〜!

    イナバウア〜?

イナバウア! イナバ 

               ウア〜

  イ  ナバ ウア〜

 何しろ前が見えないから大変だよ。イナバウゴチン!! 案の定、途中で正面衝突。イテテテ。後頭部をしこたま床に打ちつけたよ。ボンジョビの方見ると、なんか白目むいて熟睡してんの。さっきまであんなにはしゃいでたのに。オイ、もうイナバウアーやんないのかよ。お前の鬼だぞ。おい! ボンジョビ! イナバウアーイナバウアー!! ベロベロベ〜。にぎりっぺ!!! 完全に寝てらぁ。それにしても、子供の寝顔ったらどーしてこんなに可愛いのかね。この突き出た舌なんか、春先の日差しの中ではしゃぎまわってる子犬の勃起したペニスそっくりじゃねぇか。そうだ。ホイップクリーム舌の先につけといてやろ。知らない人にもわかりやすいように一応「ペニス」って赤マジックで書いた紙おでこに貼っつけといてやった。アハハハ。もいっちょにぎりっぺ! おっと、そうこうしてるうちに出勤時間だ。
 撮影所に着いてみると、どうもみんなの反応がおかしいんだよ。例えばこんな具合。

バート・レイノルズ「アララララララ。どーしちゃったのサミュちゃん? 今度はスカトロもの? ま、頑張ってよ」

スティービー・ワンダー「♪イーズンシィラァ〜ブリィ〜。あれ? サミュちゃん整髪料変えた?」

ダコタ・ファニング「ぎゃっ」

ババ・スミス「オホッ!? オーオッオッオッオ!! オホッホ! オホッホ!! ゲホゲホ」

マイケル・J・フォックス「・・・」

 マイケルなんか完全に絶句して固まってたからね。なんだろ? 今日はちゃんとズボンも履いてきてるのになあ。首をひねってると、向こうから血相変えたウィル・スミスが走ってきて叫んだよ。

ウィル「サミュちゃんサミュちゃん! お前んとこの末っ子がいま・・・あれれ? プッ。お弁当さんつっけて、どっこ行っくの?」
オ レ「ん〜? 何もついてないだろ?」
ウィル「もっと上もっと上!」
オ レ「上〜? あ!!!」

 なんと頭の上にスッポリとカレー丼がはまってたんだ。イナバウアーで転んだ拍子だろうね。ヘルメット外したロボコップみたいないでたちだったのさ。


 どうりでいつもよりファンの投石が多いと思った! バッキャロ、こりゃオメー、お弁当さんじゃネェよ。朝飯! ブレックファースト・イン・アメリカ! アンダスタン? それにしても、なかなか抜けねぇなあ。よっこらジュプププッサ〜ヨナラ、ロボコップ!! ヌポッ!! 抜けないわけだよ。納豆カレーだったの思い出した。さっきから立ちこめてる腐臭はこれだったってわけ。ヒャ〜、それにしても粘るね。

オ レ「ネバネバ」
ウィル「ネバネバ」
オ レ「ネバネバ」
ウィル「ネバエバ」
オレ&ウィル「♪あっいっしってっいけっないっわけぇじゃないぃぃぃ〜〜〜!!!」
オ レ「で? 末っ子がどうしたって?」
ウィル「ん〜? ああ。そうそう大変だって! 救急車で運ばれたって」
オ レ「それ先に言えYO!」

(つづく)

3月11日「ザ・ボンジョビ死す」

(前回までのあらすじ)天空に死兆星輝くとき、末っ子のボンジョビが救急車で運ばれたとの報を受け取ったオレはすごいビックリした。

 ウィルに病院の場所聞いて、あわてて駈け出したよ。

ウィル「サミュちゃん忘れ物!」
オ レ「なんだ!?」
ウィル「カレー丼カレー丼! ・・・行っちゃった。あわてんぼうなんだからー。カレー丼食っちゃうYO! ・・・あ、これってもしかして間接キス? ムフ?」

 今はカレー丼より末っ子の命。裸足で全力疾走したね。ボンジョビ、無事でいてくれ。クソッ! こんなことになるんなら・・・。自然に歌が口をついて出てきたよ。

挿入歌「ボンジョビ病院で生きててくれ」

ゴメンな服着せなくって
      夢の中なら言える
ゴメンな歯ブラシトイレに落っことして
      夢の中なら言える
ゴメンな15マス戻してから10万ドルふんだくって
      夢の中なら言える
ゴメンな風邪薬と座薬間違えて
      夢の中なら言える
ゴメンな5ドルぽっちのためにあんなことさせて
      夢の中なら言える
ゴメンなばっちゃんの声色まねてオレの口座に小遣い振り込ませて
      夢の中なら言える
(セリフ)
「成り行きまかせの恋に落ち
ときには誰かを傷つけたとしても
そのたび心痛めるような時代じゃない
しかしボンジョビというのは不思議な末っ子だぜ
奴と遊んでるとなぜか反則技を使うのが嫌になってくる
Hehehe...ハリウッドの夜風がやけに身にしみるぜ」

 大声で歌ってるうちに病院に着いたよ。2番まだなんだけど、今はそれどころじゃないZE! ボンジョビ! 生きててくれガチャッ! しっかりしろ!? よし。いいぞ。落ち着いて、そうそう。吸って〜吐いて〜ヒッヒッフ〜・・・ここ分娩室だRO!
 ボンジョビの病室は・・・あった! ボンジョビ! ・・・冷たい?

 ボンジョビが・・・死んだ。


 オー、ノー! 心電図が一直線なんだよ。家族全員がワーワー泣いてんだ。母ちゃんのは・・・あ、ごめんボンジョビを除く家族全員がワーワー泣いてんだ。ボンジョビ死んでんだもんな。母ちゃんの話だと・・・ん? あ〜、またゴメン、オレとボンジョビを除く家族全員がワーワー泣いてんだ。OK? 母ちゃんの話だと、何者かに後頭部を殴られて、食堂で昏倒してたんだって。状況(全裸、変な書置き)から見て、恐らく性的な倒錯者の仕業に違いないって。クソッ。倒錯者だか何だか知んねーけど、うちのボンジョビにアポ無しで何しやがった! ドンッ! あ。
 我を忘れて力いっぱいボンジョビの死体叩いちゃってさ。そしたら心電図がピコンって反応したんだよ。え? まさか・・??? 一か八か、やってみるか。

ボンジョビ、生きろ! ドンッ! ピコン
・・・あ、また死んだ。

ボンジョビ、目を覚ませ! ボグッ! ピコピコン!
・・・あ、また死んだ。

ボンジョビ、空気読め! ゴリッ! ピコピコピコン!
・・・なんだよ、ま〜た死んだ。

ボンジョビ、ワンツーロー! ボクッドゴッグヂッ! ピッピコピコリコピンピンピーン!!!

 OH! ジーザス!! 息を吹き返したYO! 痣だらけだけど、ちゃんと続けて生きてるYO! ボンジョビが鼻血吹きながら目をキラキラさせて言うことにゃ、ショックで何があったかよく覚えてないけど、気がつくと食堂で倒れてる自分を見下ろしてたって。その後に暗い道を歩いてたら、大きな川の向こうでジョージ伯父さんが手招きしてたんだって。川をザブザブ渡ろうとしたら、どこかから現れたボビー・オロゴンが急に暴れだしてジョージ伯父さんがボッコボコにされて事務所とか滅茶苦茶になったから怖くなって戻って来たんだって。何言ってるのかよくわかんねーけど、兎に角無事で良かったYO! ボンジョビ、死ぬこともあるけど、これからもよろしくNA! バシッ! いっけね。また死んだ。


3月19日「ボンジョビ、生きていた」

 ボンジョビが死んだエピソードの続報だよ。大丈夫。ちゃ〜んと生き返ったYO! 心配かけてすまん。
 でも、ちょっと危なかったんだぜ? 母ちゃんや子供らと一緒に何度か乱打したけど息を吹き返さないんだ。顔なんかだんだん紫色になってきてね。気持ちわりぃ〜。遂には無我夢中。ボンジョビの背後をとったオレごと母ちゃんのSTK(スペース・トルネード・華僑)が炸裂したのさ。ボンジョビの奴、ゲホゲホ言いながら生き返ったYO! ラッキー! あのまま死んでたら下手するとオレがボンジョビ連続殺人事件の真犯人だからな。良かった良かった。おっし。ホッとしたところでみんな何か食いに行こうぜ。さっき来るとき見たら、下の食堂まだ開いてるみたいだったから。
 あ、ボンジョビは絶対安静〜。また死なれちゃたまんねぇから