HOLLYWOOD DIARY
2007
7がつの日記



7月15日「前のヤツとは違う旧友と再会〜もってけセーラー服〜(前編)」

ゲラッ!! ドゥイッ!!(起きろ!! それをやれ!!)

サミュエルだHOー!!
聞いてくれよ聞いてくれよ。この前差し歯を新調した帰りのことさ。嬉しくって踊りながらいろんなもんに噛み付き歩いてたら、間違って通行人噛んじまったんだ。こりゃどうもすまねえ。差し歯を新しくしたもんでね。詫び言って立ち去りかけたら、後ろで

「年取ったな」

ってため息が聞こえた。それがスゲー変な声でね。思わず振り返ると1人の黒人が喉元にマイク当ててニヤニヤしてるんだ。声帯マイクっつーの? 喉に直接マイクあてて拡声器でしゃべるやつ。変な声の原因はそれさ。・・・はて? めくらや小人症や巨人症の黒人に知り合いはいるけど、こんな風邪引いたダースベーダーみたくがなるやつなんか会ったことネェぜ?

「昔は酔っ払って耳たぶ噛み千切るぐらいはザラだったのによ」

耳たぶかみちぎ・・・てお前、もしかしてスモーキーか? なんてこったい! お前、生きてたのかよ〜。ベトナムで一緒に暴れまわったマブダチさ。懐かしいな〜。あんときゃオレもまだまだ駆け出しの黒人でさ。部隊に溶け込めずに野営地の片隅で砂の山つくっていじけてたんだ。そんなオレに近づいてきたのがスモーキーだったってわけ。やっこさん、傍のテントにペッと吐いた唾に土をかけて一言、

「これ、ウンコちゃん」

だって。思わず爆笑さ。確かに唾に土が混じってウンコみたく見えるんだよ。ダッラ〜ッてね。みんなも一度ためしてみなよ。パーティーの人気者になれるかもしれねぇぜ? それから2人は何をするにもいつも一緒。レーションも仲良く半分こ。ロケランで粉々に吹っ飛んだベトコンも仲良くお片づけ。そうそう、「慰問にやってきたパツキンボインを乗っけて帰ろうとするヘリの足に興奮してしがみついたオレのズボンにスモーキーがつかまって、そのままヘリが昇り始めた拍子にオレのズボンがズルリンコ! お尻丸出し事件」なんてのもあったっけ。どんな事件かってーと・・・恥ずかしいからやめた。ネタ帳につけといて、またいつか気が向いたら話すよ。
あんときゃ若かったなあ。
炊事当番のときに一緒に泡だて器でベシャメルソース混ぜながら故郷に帰ったら何するか語り合ったりしたっけ。

オ   レ「ハリウッドスターになって豪邸建てて数え切れネェぐらいの水牛飼ってやるぜ! ひゃっはーっ!」

スモーキー「オレこの戦争終わったら歌手になるんだ。プールサイドでパツキンはべらせて浮かれ騒いでるビデオクリップ出してえ。ふしゅるるるる」

でも、そんな楽しい日々も長くは続かなかったんだ。そう、ベトコンにロシアンルーレットを強要したあの日までは。。。
(つづく)


7月21日「前のヤツとは違う旧友と再会〜もってけセーラー服〜(中編)」

ドンドコドン!

日記の続きだYO! トランスポー!!
さてと、何十年かぶりにレッツダチ公と鉢合わせた話だったよな。名前はスモーキー。ベトナム時代の相棒さ。ヒアウィゴッ!!
そんなわけで、回想シーンの続きだよ。オレとスモーキーは2人で1組いたずら仲間。イエイ。中隊の餅つき大会じゃいつだって無敵のタッグ組んで思いっきり臼と杵振るったっけね。はじけてたよ。
面白おかしく戦場ライフを送ってたオレたちだけど、それも長くは続かなかったんだ。あるときスモーキーがクスクス笑いながらやって来て

スモーキー「おい、サミュ公! 面白いこと思いついたぜ」
オ   レ「ひゃっはー!!! なんだい相棒!!」
スモーキー「ロシアンルーレットって知ってっか?」
オ   レ「ひゃっは?」

その頃オレたちは営倉の守備担当だったんだけどさ、そこに入りきれないほどのベトコンの捕虜が詰め込まれてたんだ。まるで夜店のヒヨコみたいだったよ。スモーキーが言うことにゃ、金かけてそいつらにロシアンルーレットやらせようって。な〜に、こんだけいりゃ1人や2人減ったって上にバレやしないってさ。そいつぁさすがにまずいんじゃねぇかって思ったけど、何しろいきがってたオレはついひゃっはー最高だぜ! なんて即答しちまった。若かったんだな。あと、言い訳に聞こえるかも知れネェけど、すっげ暇だったんだよ。あの戦争は暇なときとドンパチやってる時間のギャップが激しいんだよな。ウン。それでなんだかムシャクシャしてたんだろーな。
適当にベトコンを2人ほど見つくろって基地のはずれのほったて小屋まで引っ張ってくと、椅子に座らせて、一発だけ弾が入ったピストルを握らせたんだ。やつら、汗だくでブルブル震えてたっけ。

スモーキー「いいか、かわりばんこに銃口をこめかみに当てて引き金をひくんだ。簡単だろ? 生き残った方を逃がしてやる」
オ   レ「ひゃっはーっ!」
スモーキー「ベトコンの、ちょっといいとこ見てみたい!!」
オ   レ「ひゃ、ひゃはー!」

オレもどうかしてたよ。スモーキーがマシンガンの銃口をつきつけると、ベトコンが引き金をひいた。

カチリ。

思わず目を閉じちまったい。どうしようどうしよう。あ〜あ。ひゃっはーなんて言わなきゃ良かった。そうこうしてるうちにもカチリ。カチリ。死のルーレットは続いた。遂に5度目のカチリって音がした。ってーことは? 弾倉には6発入るだろ? 6ひく1ひく1ひく1ひく1ひく1ひくで、あと1回で弾が出てくんじゃね? やっべ。これマジやっべ。さすがに怖くなってきてさ。

オ   レ「ひゃっは〜。もうやめようぜ。ひゃっはーっ!」
スモーキー「なんでだよ」
オ   レ「だってこいつかわいそうだぜひゃっはー。もう死ぬしかねー。デス・オア・ダイ」
スモーキー「なんでだよ」
オ   レ「いや、5回カチリって言ったろひゃっはー?」
スモーキー「だから?」
オ   レ「いやいや、6ひく5は1だろがひゃっはー!!!」
スモーキー「そんなわけあるかい」
オ   レ「いや、ぜってーに1だって。聞いたことある。ちょっと指5本立てといてくれよ。1、2、え〜と、3?・・・ひゃっは・・・」

(ズガーン!!!)

突然銃声がしたんだ。一瞬何が起こったかわかんなかったぜ。見るとベトコンが震えながら握ってるピストルの先に、スモーキーが喉を押さえながら床をのたうちまわってた。ガハッとか言いながらね。口論に夢中になってるすきにベトコンがスモーキーを撃ったのさ。なんてこったい。そっから先はよく覚えてねーんだけどさ、とにかくてんやわんや。逃げたベトコン達が火薬庫に火を放ったのさ。怪我して動けねえスモーキーをかばって孤軍奮闘。むらがるあいつらをちぎっては投げちぎっては投げ。閃光。怒号。銃声。爆音。アパーム、弾持って来ーい!! 救助されたときオレは血まみれで倒れてて、傍の地面に血文字で

犯人はベトコン ひゃ

って書いてあったんだって。基地は全焼。折れたスチームパイプが壁から突き出してシューシューいってんの。昨日やってたコマンドーみたいな有様だったね。



スモーキーも騒ぎの中で行方不明になってさ。結局戦没者名簿に入れられちまったよ。二階級特進のオマケつきでね。たった二階級特進だぜ? 上官にくってかかって張り飛ばされたっけ。クソックソックソッ! これからは誰と組めばいいんだよ。1人じゃパ・ド・ドゥは踊れないぜ?

・・・と、ここまでが回想シーン。死んだと思ってたスモーキーが目の前で笑ってるんだ。喉にマイク当ててね。

スモーキー「長い回想だったな、兄弟」

(つづく)


7月31日「前のヤツとは違う旧友と再会〜もってけセーラー服〜(後編)」

ヒーーーーハーーーー!(久しぶり!)
ヒーーーーハーーーー?(元気かい?)
サミュちゃんだHO!
さてと、日記の続きだよ。前編書いてから半月も経ってるけど、みんな覚えてっか? その間にマイミクが何人か減ってるけど、続きが気になんネェのかな。ま、いいや。オレが親友のスモーキーと再会のラビリンスして、長い長い回想シーンが終わったとこな。

スモーキー「長い回想だったな、兄弟」
オ   レ「ひゃっはー! お前、生きてたのかよー!」
スモーキー「『ひゃっはー』か。HAHAHA! あたぼうよ。あの後、メコン川をズ〜ッと北上してって、ビルマ行って竪琴弾いたりチベット行って独立運動に加担したりオランダ行ってポルダーでチューリップ植えたりしてたZE! あとニクソンと握手した」
オ   レ「ホントかよ〜。北上しすぎじゃねっか? ま、無事で何よりだぜ」
スモーキー「お前さんこそちゃんと俳優になれたみてぇじゃねぇか」
オ   レ「あたぼうよ。コレ見てくれ。ウォークオブフェームに手形つけたときの写真。この左下のがオレな」



スモーキー「スッゲーな」
オ   レ「ま、夢は語るもんじゃない。叶えるもんだって・・・」

思わず黙っちゃったよ。スモーキーが歌手になりたがってたこと思い出したんだ。どこの世界に声帯マイクでがなりたてる黒人をデビューさせるプロダクションがあるんだよ。

スモーキー「どうした?」
オ   レ「いや、お前さん、歌手になりたかったんだよな。オレのおっちょこちょいのせいで、喉がそんなガラガラになっちまって。歌なんか無理だよな」
スモーキー「そう思うかい?」
オ   レ「え?」

♪ナ〜マム〜ギ〜ナ〜マタ〜マゴ〜ナ〜マム〜ギ〜ナ〜マタ〜マゴ〜

スモーキーのやつ、いきなり「Let's Groove」のイントロ歌いだしたんだ。いつ聞いても「生麦生卵」って聞こえるよな〜。って、オイオイ! もしかしてアレ歌ってるの、お前かYO!

スモーキー「他にもあるぜ」

♪ドモアリガットミスターロボット、ドモ!(ドモ!)ドモ!(ドモ!)

♪T・E・C・H・N・O・P・O・L・I・S テクノ〜


♪飛び出した(ド〜ンストッ)エリアから(ラブミドゥ〜)

♪泣いてちゃわからないぜ(ロ〜ンリロンリロンリロンリ)

♪そこまで来た(カメレオン)

パイロット及び回路保護のため全エネルギーの98%を放出中


最後のほうはよくわかんなかったけど、とにかくすげーなー。スモーキーはスモーキーで、ちゃんとドリーム街道ひた走ってたんだな。

オ   レ「夢・・・かなえたんだな」
スモーキー「ああ。あと、樽生名人の資格も持ってるZE!」

なんだか嬉しくなってさ。よ〜し、あの夕日に向かって走ろうぜ! な〜んて、がらにもなく商店街を全力疾走しちゃったよ。スモーキーも喉にマイクあてながら追いかけてきたね。すんごいゼ〜ゼ〜聞こえんの。

オ   レ「はあ、はあ、はあ・・・なあ、あの頃のオレたちってきっと、さ・・・」
スモーキー「なんだ?」
オ   レ「全力で黒人だったよな」
スモーキー「今だってそうだZE!」
オ   レ「HAHAHAHA!」
スモーキー「HAHAHAHA! あ、そうだ。これ持ってけ」

お土産に写真つきのセーラー服もらったよ。なんでも今は引退して海軍の払い下げ品を売ってるんだってさ。なんか汗くせ〜な〜コレ。



オ   レ「ありがとよ。そんじゃな。ひゃっはー!!」
スモーキー「おいおい、よしてくれよ。『ひゃっはー』はもうできねぇんだから。喉にクルんでな」
オ   レ「あ、そうなのか。すまねぇ」
スモーキー「ナムじゃよくひゃっはひゃっは叫んでたけどな。ちょうど喉やられたときも叫ぼうとしてたっけか」
オ   レ「あン? ちょっと待てよ。『ひゃっはー』はオレの口癖だったろ?」
スモーキー「バカ言うな。そうか。お前、あんとき殴ったせいで記憶障害起こしてるな?」
オ   レ「ワッ・・・?」
スモーキー「基地が滅茶苦茶になって、倒れてたんだろ? 横の血文字。あれ書いたのはオレだよ。さすがに口癖の『ひゃっはー』を書きそうになったときゃしまったと思ったけどさ。時間がないんでそのままにして森ん中に逃げた」
オ   レ「なんでそんなことするんだYO!」
スモーキー「考えてもみろよ。勝手に捕虜でロシアンルーレットなんかしてて、あまつさえ逃げられたなんてことが上にバレたら軍法会議。主犯格のお前なんか、下手すりゃ死刑だぜ?」
オ   レ「オレが主犯?」
スモーキー「ロシアンルーレットやろうって言い出したのはお前だったじゃネェか」
オ   レ「いや、お前が言い出しっぺじゃね?」
スモーキー「だからそれが殴られた記憶障害だっての。ま、殴ったのはオレだからその点はソーソーリー。butノーリグレット」
オ   レ「???」
スモーキー「いいか。あんとき喉を撃たれたオレは兎に角突っ立ってるお前のマシンガンをひったくると逃げだしたベトコンを始末した」
オ   レ「・・・」
スモーキー「こりゃヤバいな、と思ったオレは、へたりこんでるお前を台尻で殴って気絶さしてから血文字を書いてベトコンの犯行に見せかけたのさ」
オ   レ「なんでそんなことするんだよ?」
スモーキー「まあ最後まで聞けよ。そうやって比較的安全な掘っ建て小屋の中にお前を転がしといてから、オレは営倉の鍵という鍵を撃ち壊して回った。大挙して逃げ出したベトコンどもで後はあの通り。基地は火の海さ。オレが撃ち殺したベトコン2人も乱戦の中でやられたって誰だって思うだろ」
オ   レ「なんてこったい・・・」
スモーキー「『木を隠すには森の中』ってね」

 スモーキーが笑いながら立ち去った後も、しばらくボ〜ッとしてたよ。オイオイオイ、ロシアンルーレットやろうって言い出したのがオレ? オレが主犯だって? あれ? じゃあ孤軍奮闘してたのがスモーキーで、動けなかったのがオレってことか? そんな馬鹿なことが・・・そういや銃声がしてからの記憶があやふやなんだよな・・・。弾持って来ーい!って頼まれてたのにただもう、腰が抜けて・・・エエイわからねえ!!だってそれじゃオレ、むちゃくちゃ! とっても! ディ・モールトかっこわりぃじゃねぇか!かっこ悪さが一周まわってかっこいいとか母性本能くすぐっちゃうとかそういう類のかっこ悪さじゃねってコレ!マジかっこ悪!ベトコンの命なんとも思ってねぇし親友犠牲にしてるし腰ぬかしてるしで救いようがネェ!!!かっこ悪すぎてこの部分mixi日記では省略しちゃったよ。Hehehe...いっそのこと忘れたいよ。トータルリコールの洗脳マシーンで記憶を書き換えたくなってきたぜ。ドンキで売ってねぇかな?もう、何を信じていいのかわかんなくなっちまった。オレは、本当にあんときあそこにいたか?全部夢なんじゃなかったか?なんだか足元が崩れるような感覚さ。ハリウッドの栄光、セレブの華々しい私生活、ジェニロペの巨尻、ジョンガリA、社保庁の答弁、そんなもんが全部嘘っぱちに思えてきたよ。
 もしかしてオレの存在自体がどっかの誰かの妄想の産物・・・ってことはないだろな?