ら〜ろ





『ラスト サムライ』
 19世紀末の日本にトム・クルーズがやって来て、侍の心に触れる。 ハリウッド映画にありがちなヘンテコ日本描写はあまり無く、かなりまともな時代劇だった。渡辺謙の息子が鉄砲隊に突撃するシーンで『ドラゴン怒りの鉄拳』を、騎馬武者がガトリング砲に撃たれてスローモーションで落馬するシーンでは『ワイルドバンチ』を思い出した。
 小雪の子供達の名前にまるきり統一感が無く(飛源と孫二郎と信忠)可笑しかった。『座頭市』といいこの映画といい、もともと時代劇を作ってない人達の方がよっぽど面白いものを作っちゃうんだな。



『ラスベガスをやっつけろ!』
「ラリッてるやつに背中を向けるな」
 ストーリーと呼べるものが無く、ひたすらドラッグ中毒者が見る幻覚の映像化に力を注いでいる。テリー・ギリアム監督自身はドラッグ経験が無いという。普段から狂気と紙一重で、ドラッグは必要無かったのだとか。 ジョニー・デップ(ハゲ)とデル・トロ(デブ)が他の作品と一線を画した格好悪さで、全く同定不可能レベル。



『ラッシュアワー2』
 ジャッキー・チェンが元気そうで何よりだった。最後は高い所から飛び降りてドッカーン!! なところも健在。



『ラッシュアワ−3』
 正直なんとかヌーン・シリーズと区別がつかなくなってきたシリーズ3作目。「ジャッキーの相棒が黒人」ってことぐらいしか覚えてない。

 国際的犯罪組織に、ジャッキーの義兄弟である真田広之がいた。

 主な舞台はパリ。例によって観光地を巡って名物に舌鼓をうちながら満喫するジャッキー・アクション。相棒はご存知あのよくしゃべる外人。旅のしめくくりは高いところからドッカーン。外人も頑張った。真田広之は、さすがに存在感があったけど結局何がしたいのかよくわからない人物だった。
 最後まで飽きることなく見ることが出来た。けど、思い返すと所謂「おもしろジャッキー・アクション」の類がほとんど無かった。にも関わらず面白い、というのもなんだか複雑な気分だ。

補足説明

・高いところからドッカーン…フランスの国旗と共に。『シャンハイ・ナイト』でも同じようなことやってなかったか? 次回作では日の丸持って皇居から飛び降りて欲しい。

・「おもしろジャッキー・アクション」…バケツやイスや傘等を巧みに用いた地球に優しそうなアクション。



『ラットレース』
 モンティ・パイソンのジョン・クリーズとミスター・ビーンが出演しているコメディ。内容的には『キャノン・ボール』のギャグ方面を多めにしたような、集団ドタバタ劇。ところどころすごく笑える箇所はあるものの、それと同じかそれ以上の外れギャグがあるせいで全体的な印象は中の下ぐらい。登場人物のキャラが甘い。もっと漫画的に変なヤツがいても良かったように思う。ミスター・ビーンはこの程度の脇役が丁度良い気がする。ヒットラーの形態模写が絡んだギャグが一番面白かったんだけど、よく考えたら何故これをジョン・クリーズにやらせなかったかと問いたい。
 続編を作るときに出演して欲しい人。
・ピーウィ・ハーマン
・アンドリュー・ダイス・クレイ
・ババ・スミス
・マイケル・ジャクソンの影武者
・ベン・ジョンソン
・ツール・ド・フランスで道路に下品な落書きをする人



『ラブリーボーン』(→公式サイト
 『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督作品。殺された少女の一人称で話が展開するらしい。と言われると『ゴースト』や乙一の『夏と花火と私の死体』なんかを想起するが、果たして。

 変態に殺されたスージーは、この世とあの世の狭間の世界で家族を見守るが、自分を殺した変態の魔の手はスージーの妹にも忍び寄るのである。

ギザかわゆすなあ  うーん? 『乙女の祈り』のピーちゃんが出ちゃったかな〜? こっからはネタバレ全開なので注意!
 思いっきり金かけて作ったスーパーマリオギャラクシーみたいな黄泉の国の描写は幻想的で美しいんだけど、それだけ、というか。まずもって『ゴースト』のような勧善懲悪、因果応報、起承転結を期待して鑑賞に臨むと確実に裏切られる結末。霊体のスージーは現世のものを動かす程度の力も無く、せいぜい影をチラつかせて変態をビクッとさせるぐらい。妹は自力で変態の魔の手から逃げおおせた。な、なんだ〜? 正直「予告に騙された感じ」がしてしまう。しかも変態は当座警察から逃げ延び、何年経ったか知らないけど、その後ストーリーとは無関係なタイミングで勝手に崖から転落死。なんじゃそら! この様子をスージーが確認したかどうかすらわかんない。え〜。所謂カタルシスになりそうな展開をことごとく外してくださる。
 また、伏線になりそうな描写、たとえばスージーのブレスレットのかけらだとか、そのブレスレットをつけたスージーの写真をボーイフレンドが持ってるだとか、弟が天国のお姉ちゃんの絵を描くとか、終盤に活きそうな要素も投げっぱなし。スージーのおばあちゃん役のスーザン・サランドンなんか、何のために出てきたのかわかんない賑やかしみたいなキャラだし。もうピーちゃん的にはシアーシャ・ローナンを使って幻想的な風景を思いっきり撮りまくって果てちゃったんだろうか。残る現世のストーリー部分は仙人モードでテケトーに投げ撮りしたとしか思えない。一番理解に苦しむのはラストでスージーの遺骨を証拠隠蔽のために大穴に投げ入れようとしてる変態の脇で、霊媒的な女にスージーが憑依して、さあ、変態阻止か!? と思いきや、憑依した女の体を使ってボーイフレンドとチューしましたとさ。ズルッ! どうしてそのタイミング〜? スージーが現世でやり残した一番大切なこととは、変態に復讐することではなく、その横でボーイフレンドとチューすることだった。いいね、チュー。いやはや、ピーちゃん(48)の心の奥底の美しいピンクのビラビラを垣間見せてもらったよ。しかし東洋的なあの世観だと、スージーは成仏できなさそうだよな。ゴミ溜めの底の金庫で朽ち果ててるんだもん。
醜女  いろいろ文句を書いたけど、これらを補って相殺するほど主演のシアーシャ・ローナンたんが可愛かったので良し。こりゃ変態じゃなくとも畑に穴掘って連れ込みたくなるわ。かわゆすなあ。ただ、黄泉の国で出てきてシアーシャたんにつきまとう東洋系の醜女(ニッキー・スーフー※リンク先グロ画像注意!)がブサイクなんてもんじゃなく、せっかくシアーシャたん&幻想的な光景でポワンとなった僕の視界にしゃしゃり出てきてその都度萎えさせてくださる。あやうくお前で射精するとこだったじゃねぇか! 演技やめて死ね! ギガントむごたらしく死んでしまえ!

補足説明

・勝手に崖から転落死。…『キングコング』で逃げちゃった憎まれ役の興行師も崖から転落死したに違いない。

・どうしてそのタイミング〜?…復讐をとるか、ファーストキスをとるかの二択を描きたかったのかも。これは悩みそうな選択肢ではあるが。チューか…。

・ブサイクなんてもんじゃなく、…クッパ城のドッスン似。引き立て役にしても限界ってもんがあるだろ。コイツの顔面の記憶を脳から消し去りたい。そう言えばどういう共生関係か知らないけど、すごい美人とガラモンみたいな女がつるんでるのって学生時代に結構あった気がする。美人の歯糞をガラモンがつついて綺麗にしてやってたりするのかなあ。

・引き立て役…試しにこのドブスと主演のシアーシャたんの配役を入れ替えてみてほしい。……凄惨極まる地獄絵図である。

・むごたらしく死んでしまえ!…映画でブサイクな人物が出てきても普段ならそれほど、というか全くどーでもいいんだけど、今回の状況(映画がそれほど面白くなく、唯一の心の拠り所がシアーシャたんの可愛さ)ばかりは怒りが爆発してしまった。



『乱気流 ファイナル・ミッション』
 滅茶苦茶な話だ。乱気流関係無いし。知らない俳優ばかり出てくるので不安になった。ジャンボ旅客機の操縦席の天井に大穴が開く。普通その段階でパイロットは吸い出されるはずなのに、なんかオープンカーでちょっと髪を風になびかせてる風に目を細めたまま毅然と操縦桿を握り続ける女性パイロット。そこへ、元レンジャーだかの警官がヘリで追いつき、ロープでぶら下がって天井の穴から侵入する。



『ランド・オブ・ザ・デッド』(→公式サイト
 あの『ゾンビ』のロメロ監督が再び挑むゾンビ映画。世界観は『ゾンビ』や『死霊のえじき』のその後。つまり正統な続編である。

 ゾンビが蔓延する世界。生き残った人々は城塞都市にこもって細々と暮らしていた。

 城塞都市の人々の中に貧富の格差が生まれ、貧乏人は金持ちに顎で使われ、命がけで城塞の外から物資調達の仕事を引き受けている。……という設定なんだけど、国家や自治体の枠組みが崩壊した世界でどうやって貨幣経済が成立してるんだろうか。胡散臭い。北斗の拳で例えるとコウケツが出て来るあたりのうそ臭さだ。『ゾンビ』で描かれた物質社会の脆さ=「いま、ここだけ」の刹那性は何だったのかということになるよ。
 今作のゾンビはゾンビ界の革命児である一黒人ゾンビの導きによってつたないながらも武器や道具を使うことができるようになる。時にはうめき声で仲間に合図し、仲間の死(破壊)に際して怒りの咆哮を発したりもする。進化したのだ。やったなオイ。ゾンビもやればできるじゃないか。しかしその進化が必ずしも作品を良くしたわけではなく、むしろつまらなくしている。『ゾンビ』のリメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004)の「俊敏なゾンビ」の方が数百倍怖い。ゾンビに感情を持たせ「擬人化」したところで、反って「何を考えているのかわからない、もしくは人間を貪り食うこと以外何も考えてない恐ろしさ」が減少する。武器を持って戦う姿も動作が鈍いままなので滑稽。ゾンビの技量で何とか扱える武器が有効な射程距離にいる人間はすでに武器など使わなくても殺傷可能だ。事実、映画の中でも倒れて無力になった人間にとどめのようにバットや銃を使っているだけだった。だったらさっさと掴みかかってガブリとやればいいんじゃないのー? どうも製作者のゾンビに対する思い入れの強さが招いた悲劇のような気がする。観客は別にゾンビのサクセス・ストーリーを見たくて映画館に足を運んでいるわけじゃないと思うんだけど。指導者の黒人ゾンビ及びその一派も結局主人公とほとんどからまないままだった。なんで対決させないかなー。残念。
 余談だが、チラシ右下のゾンビがヒュー・グラントとポール・ニューマンに見えて仕方ない。カメオ出演してたのかも。

 




『ランボー 最後の戦場』(→公式サイト
 シルベスター・スタローンが『ロッキー・ザ・ファイナル』に続いて往年の人気シリーズを復活させた。正直、「スタローンはん、もうええやん」って気持ち。

 タイで闘技用のヘビを捕獲して静かに暮らしていたランボーの許に、アメリカのボランティアグループがやってきた。軍事政権が少数民族への虐殺を繰り返すミャンマーの田舎への物資援助の為に、案内を請うて来たのだった。

 前作である「怒りのアフガン」がどうしようもない出来だったので、その延長線上、アクション映画のカテゴリーで鑑賞に臨んだんだけど、良い意味で裏切られた。アクション映画というよりも戦争映画。『プライベート・ライアン』ばりの激しい戦闘描写に度肝をぬかれた。冒頭からグロ画像のオンパレード。ミャンマーのならず者達の残虐さ、殺されて朽ち果てていくだけの物体になり下がった犠牲者の惨状を、レーティングなんかクソくらえとばかりにありのままに描く。並みのホラーなんか目じゃないぜ。そして、ここまでトコトンやられたからこそ、ランボーの反撃が活きてくる。例えばランボー弓ひとつとっても、走ってる兵士の頭蓋貫通で万歳! 走る兵士の頭部に寸分たがわず命中させるランボーの殺人マシーンとしての恐るべき能力を力ずくで納得させるCGの技術の進歩は、この映画を現在作る意義を感じさせてくれた。また、頭蓋を貫通するほどの威力の矢を放つ弓を引き絞るのにどれだけの腕力が必要か、それは齢62歳とは思えないスタローンの鍛えられた肉体がぬかりなく物語ってくれる。もう十分に成功した男が、どうしてこれほどまでしなければいけないのか。劇中で無口なランボーが「無駄に生きるな熱く死ね!(大意)」と痛切な叫びを発するが、現実のスタローンと重なって思わず涙腺が緩くなってしまった。一作目を想起させるラストでもウルウルした。打ちのめされた。★5つ。

補足説明

・鍛えられた肉体…薬物使用も含めて。



『ラン・ローラ・ラン』
「制限時間内に10万マルク作らないとマニが殺されちゃう!」
 ローラは恋人のために駆け出した。この映画はローラの行動と、そのタイミングによって変化する結末がほぼ実時間に沿って20分×3パターン用意されており、ローラとすれ違う人物のサイドストーリーも多様に変化していく。ゲーム感覚。奇しくも同時期に発表されたコンピューターゲーム『街』のザッピング・システムを思い出した。
(↓ネタバレっぽいこと)
 お金を工面できる結末も当然含まれているんだが、この恋人にそれだけの価値があったんだろうか? その金を元手に、とりあえず髪を染め直して別の真っ当な男を作ったら良いのではないだろうか。老婆心ながら。



『リーサル・ウェポン』
 リッグスもマータフもベトナム帰りって設定だったんだな。3〜4のスチャラカなイメージばかりが記憶に残ってて、スッカリ忘れてた。『ダイ・ハード』のチャイニーズ・テロリストが出てた。



『リーサル・ウェポン4』
 予想以上につまんないのでビックリした。ていうか、うるさい。漢字で書くと五月蝿い。なんか、リッグス(メル・ギブソン)の自閉症で破滅的な魅力がどっかに吹き飛んじゃってて、ベラベラベラベラよくしゃべるし周囲の人々ものべつ興奮して何かまくしたててる状態で、しかも同時にしゃべってる場面も多かった。アクションも凡庸。たしか2までは面白いシリーズだったのに残念だ。
 最大の問題は、悪役のジェット・リーがちっとも悪く見えないんだよ! ミスキャスティングというか、僕の中では彼はリー・リンチェイ(李連杰)なのである。少林寺でお粥すすったり竿の先にくくりつけた重りで鐘をついたりしてる姿の方が似合ってると思う。だから、いくらリーが残酷に人を殺しても「リーさん、ホントはちっとも悪くないのに、ハリウッドの人達に気を遣って悪いフリして…」と、逆に可哀想になってしまった。だから最後にリッグス&マータフが2人がかりでリーをやっつけるシーンもリーに感情移入してしまい、とても不愉快だった。しかも主役2人は卑怯としか言いようの無い手段で勝つし。あのシーンだけ見た人はリーが悪役だって気づかないんじゃないかなあ。
 最後にリッグスに子供ができてハッピー・エンドだけど、そんなもんちっとも嬉しかねーよ、悪いけど帰ってくれよ。


補足説明

・卑怯としか言いようの無い手段…興味のある方は反転させて読んでください。→拳法の達人であるリーは優勢に闘いを進める。マータフを吹き飛ばし、リッグスの喉をしめるリー。しかし倒れていたマータフが背中から尖った鉄棒でいきなりリーをブスリと貫通。完全に殺す気だ。そのままリッグスとリーは海中へ。海中で揉みあうリッグス&リーだが、リッグスは都合よく手の届くところに沈んでいた自動小銃でリーを蜂の巣に。リーは終始素手だった。




『リクルート』(→公式サイト

 コリン・ファレルはMITの優等生でスポーツ万能の出来杉クンである。ある日ファレルのもとにCIAの自称カリスマリクルーターことアル・パチーノがやって来た。
「キミってい〜い体してるね〜。あと眉毛もチャーミング。ウチで働いてみない? キミなら指名率トップも狙えるよ」
 希望に燃えて赴いたCIA本部では、実技訓練と称した過酷な陵辱プレーが待っていた。
 めくるめく監禁&調教の日々…。

 今まで謎とされてきたCIAの人事採用、新人教育の様子が虚実ない交ぜに紹介される。今作のパチーノは
1.初対面の相手をリラックスさせるちょっとしたテーブルマジック
2.新聞紙の「SPECIAL」の「CIA」の部分を丸で囲んで個性的な自己紹介
3.相手にとって興味のある話題(父の正体について)を中途で切り上げ次回の出会いに繋げる
4.電話で「後ろにいるよ」
5.相手の好み(コーヒーの)を下調べしてさりげなく差し出す
 …といったスカウト・テクを披露。つんくの歌みたいな野郎である。きっとナンパするときもイチイチ「SPECIAL」って書いてる新聞持参で、デートの最後に「君が好きです」ってメールするんである、多分。
 新人教育はハードさが強調されていた。あんなに持ち上げられたファレル君も、CIAではその他大勢のうちの1人でしかない。ひとことで言うと「誘惑されて棄てられて」。CIAなんか勤めてもロクなことが無い気分になる。よく「頭がカタいわからんちん」みたいな描き方をされるCIAのおっさん連中だが、こんな新人教育されたんじゃあ、そりゃ歪むはずだ。いっちょJFKでも暗殺したろーか、って気になってもおかしくない。
 ファレルの同僚の女がCIAの地下駐車場で2台の監視カメラの回転周期を計算して盗み見られずにキスするシーンは面白かった。この女ならザコ敵を1人も殺さずにメタルギアをクリアできるだろう。
 そう言えばアル・パチーノが誰かと共演するたびに「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」っていう榊原郁恵の曲を思い出す。この映画をデートで観る予定の女性は、観た後に「『アル・パシーノ+コリン・ファレル<あなた』だよ」と言ってみるのも一興では。「は?」って顔されることうけあい。



『リディック』(→公式サイト
 『ブルドッグ』で昨年度の最低主演勃起不全男優賞を獲得したヴィン・ディーゼル主演の最新作。もうまったく期待してなかったんだが、他に見るものないし「賛否両論」という前評判やおすぎの「おすぎです。ファーストシーンがすごい映画は名作です。『リディック』のファーストシーンはすごい! 後は一気にエンディングまでまっしぐら」とかいう「他に誉めるとこなかったのか」的微妙な触れ込みに、凍土から覗く雪割草のように淡い期待を抱いて鑑賞に赴いた。

 クルタ族の生き残りのリディクは銀河を支配しようと企むなんとか帝国にひとりで立ち向かうらしい。監獄の星でうだうだしてると帝国のやつらが宇宙船持参でやって来て敗退したので便乗して帝国の一番悪い皇帝まで送ってもらってそいつ倒したらリディックが帝国の支配者になれた。

阿修羅閃空  この空疎な内容のどこが賛否両論なのか。こんなもん否じゃ、否!! おすぎの言う「すごいファーストシーン」はどこだったのか。時間的にどこまでがファーストと呼べるのか考えてるうちに終了しちゃったような。敵に全く魅力がない。悪の銀河帝国と言っても人間ばっかりだしな。スター・ウォーズのような宇宙人を期待すると裏切られる。極めつけは悪の皇帝のつまらなさ加減。阿修羅閃空みたいな技をつかって残像つきで相手をボッコボコにする。確かにすごい技ではあるが、それだけで銀河を統一できるわけないだろ! お前がそれで皇帝になれたってんなら、こっちは天皇陛下だってんだ!! この昼メロタイム!! 案の定リディックと直属の部下の同時攻撃を食らって逝去。やったもん勝ちみたいにしてリディックが次の皇帝になっちゃった。董卓かこいつは。こんな帝国1年ももたないと思う。



『リベリオン』
 近未来。独裁政権によって統治された社会。そこでは、人間の感情は争いを生み出す「害悪」と見なされ、薬物を使ったマインドコントロールによって、人々はロボットのような生活を余儀なくされていた。人間の情動を育む芸術や文学は徹底的な弾圧を受け、主人公は政府のエリート「クラリック(聖職者)」として、レジスタンス掃討の任務に当っている。…という、わりとありがちな設定で始まる話。案の定主人公は正義に目覚めてレジスタンスに加担するようになる。しかしストーリーなんか二の次三の次であり、この映画の見るべきところは、主人公が体得している「ガン=カタ」という独創的な武術なのだ。おそらく製作者は「ガン=カタ」描きたさに他の設定を6分でひねり出したと思われる。取ってつけたようなストーリー部分はハッキリ言って眠くなるが、「ガン=カタ」のシーンだけ異様に格好良い。ウトウトして「ガン=カタ」でハッと覚醒することを何度も繰り返した。まさに目が醒めるアクションなのだ! 誉めてるのかそれは。
 では、「ガン=カタ」がどんな武術なのか紹介しよう。

1.臆面を捨て去るべし
 武術と言いながら銃器使用が前提(しかも2丁拳銃)であり、流れるような動作と共に周囲に向けて連続発砲。傍から見ると、ちょっとした拳銃乱射事件だ。衣服に工夫が凝らしてあり、『タクシードライバー』のトラビスのように、ワン・アクションで袖から拳銃が飛び出るようになっている。また、日本刀や、銃把に仕込んだ鉤爪による接近戦も得意とする。

2.全部避けてしまえば弾丸なんて当らないも同然
 『ダイ・ハード3』や『ソナチネ』のエレベーターのシーンみたいに狭い空間でドンパチやることが多いんだが、主人公は火線の中心でヒラヒラ舞い踊っているだけで、ただの一発もその体に弾丸が当らない。のみならず、闇雲に撃っているように見えて、ことごとく命中する主人公の攻撃。「弾丸の軌道と射程を数理的に導き出した科学分析」が根底にあるという。『レモ 第一の挑戦』の「シナンジュ」と原理的に似ているが、シナンジュが一対一で相手のモーションをよく観察する必要があったのに対し、「ガン=カタ」は大勢が相手の銃撃戦で、場合によっては真っ暗闇だった。科学的な説明だけでは捉えきれない奥の深さがある。

3.気がつけばいる奴
 一対複数を想定した武術だからか、不意討ちが多い。主人公は政府のエリートという隠れ蓑を最大限に利用して、訳知り顔で武装警官の中に陣取ってから、突如として反旗を翻して「ガン=カタ」炸裂! 相手にとっては密集した状態で発砲するのは同士討ちの危険があるし、警官標準装備のライフルではバレルが長くて戦いづらい。実に理にかなった戦法。「間合い」という概念さえ無効たらしめる、恐るべし「ガン=カタ」。きっと「ガン=カタ」の達人は、集合写真ではいつも真中でニコニコしてるし、コンパではいつのまにか可愛い子の隣に座ってるし、4人で乗るタクシーではチャッカリ後部左側に座ってるんだろう。絶対に敵に回したくないが、安易に味方にするのもためらわれる。それが「ガン=カタ」〜孤高なる存在〜

 「ガン=カタ」の迫力を堪能するには、これからレンタル店の棚に並ぶのを待つしかないと思う。見かけたら是非手に取ってみてほしい。あ、映画のタイトルは『リベリオン』なので、お間違い無きよう。



『リング2』
 ハリウッド版リングの前に見ておこうと。肝心の貞子関連のシークエンスは全く恐くなかった、というよりむしろ吹き出したんだが、フカキョンがスッゲー形相さらして死んでた。ゾ〜〜〜



『ルーキー』
 イーストウッド&チャーリー・シーン共演。新人のシーンとダーティー・ハリーそっくりの荒くれ刑事が車泥棒(微妙にセコい)の一味を追跡する。このコンビが最後まであんまり一緒に行動しないのが新鮮。シーンが恋人を助けに駆けつけて逆に助けられるシーンが可笑しかった。チャーリー・シーンが最後に空から車と一緒にダイブするシーンがある映画は、これだと思ったら記憶違いだった。何の映画だろう?



『レオン』
 ♪スペードは刺し殺す〜ダイヤは突き殺す〜クラブは殴り殺す〜それはオイラのハートの形じゃないんだよ〜
 人殺しを生業とするレオンのもとへ、ひょんなことから転がり込んだ少女マチルダ。
「家族を殺したやつらに復讐するために、暗殺の技術を教えて」
二人の奇妙な同棲生活が始まった。
 マチルダとレオンの関係を描くことに終始しており、「人が人を殺すとはどういうことか」とか、そういう哲学っぽいことを全く考えてない姿勢が良い。ナタリー・ポートマンは、少女から大人になり始めた段階で、化粧をした顔は大人で体は未成熟。なんだかグロテスクで不安定な存在だ。これが大人の女だったら恐らくレオンは助けなかっただろう。



『レジェンド・オブ・メキシコ』(→公式サイト
 『エル・マリアッチ』と、そのリメイク『デスペラード』に続くロバート・ロドリゲス監督のマリアッチ・シリーズ3作目。どうやら2作目の続きではなく、キャラクターだけ借りた別物のようだ。

反政府ゲリラが大統領を暗殺した後でゲリラのボスを殺してくれとCIAのジョニー・デップに頼まれたバンデラスは、打ち合わせが済んで仲間を集めて目的地に潜入してさあこれからって時に大統領を見殺しにするのが嫌になった。
「だって大統領っていい人そうやん?」
メキシコ万歳。

 サルマ・ハエックが騎乗位で健闘してた『デスペラード』の方が完成度では上。バンデラスの復讐、元FBIの復讐、デフォーの整形、デフォーと娘、娘とデップ、デップと少年の交流、その他もろもろの要素がてんでんバラバラにとっちらかってる。駄目なアクション映画の法則のひとつである「主人公以外のふたつの勢力が勝手に潰し合う」が、この映画のダニー・トレホ&デップに当てはまる。いや、ちゃんとバンデラスと戦おうよ。ウィレム・デフォーの扱いもテキトーで、デフォーを狙うFBIのおっさん(誰か知らん人演じる)の方が目立っちゃってるし。唯一ジョニー・デップのキャラクターは特異で面白いんだけど、バンデラスとあまり絡まない。少年とのエピソードも『デスペラード』がそうだったように本来バンデラス(主役)に用意すべきものだと思うんだけど。公式サイトの映像でも、デップ=主役、ハエック=ヒロイン、バンデラス=怪獣だし。



『レスラー』(→公式サイト
 ミッキー・ローク主演。第一線を退いて落ちぶれたレスラーの生き様を演じる。

 20年も昔にトップスターだったレスラーのランディだったが、放蕩が祟って今や家族も財産も失いトレーラー暮らし。そのトレーラーさえ賃料が滞って追い出されかけている。

 リング以外に自己表現の場・存在理由を持つことが出来ない男の不器用な生き様を描く。そこにミッキー・ロークの俳優人生をオーバーラップすることが出来ればすごく感動したかもしれない。けど、観に行った公開初日の前日にレスラーの三沢光晴が試合中に事故死するという出来事があったおかげで、正直スクリーンに全く集中できなかった。変な話なんだが、主人公のランディのダメさ加減を見せられるにつけ三沢の偉大さを思い起こしてしまい、「いや、お前はもっとちゃんと出来るだろ! 三沢なんかリングでボロボロになりながら社長もやってたんだぞ! あと、猫に『チクワ』や『ガンモ』って名づけて『猫の手帖』でインタビュー受けるほど猫好きだったんだぞ!」とツッコミたくなってしまった。全くの言いがかりなんだけど。う〜ん。出会った時期が悪かった。



『REC』(→公式サイト
 スペイン映画。ブレアウィッチやクローバーフィールドみたく当事者のハンディカム撮影による主観映像で、今度はゾンビもの。

 消防署の一日を取材に来ていたレポーターとカメラマンは深夜の緊急出動に同行した。現場は街中のアパート。急行した部屋には血まみれの老婆がたたずんでいた。

 閉じ込められた人々がひとりまたひとりとゾンビになっていく。プロのカメラマンが撮っている設定なので、ブレアウィッチやクローバーフィールドよりは、まあ、気持ち、相対的に、無理がない、かな〜? でもあんまり怖くなかった。「噛まれる=終了」という設定が設定だけに、ゾンビに迫られる場面が意外に少ない。どっちかと言うと他人が噛みつかれてるのをちょっと離れたところから映すシーンが主体。クローバーフィールドみたいな等身大の目線で撮ることで今までと違った新鮮さが生まれる余地もあまりない。なんか、ちょっと怖めの加トちゃんケンちゃんごきげんテレビのホームビデオ紹介コーナーみたい。



『RED』(→公式サイト
 REDとは「RetiredExtremelyDangerous」、引退した危険人物をCIAではそう呼んでマークしてますよ、という設定。

 かつてのCIAの英雄であるブルース・ウィリスは隠居生活を送っていたが、ある日突然の襲撃を受ける。真相を探るため、かつての仲間たちを集めて組織に反撃を開始した。

レベッカ・ピジョン  面白かった。とにかくREDの顔ぶれが素晴らしすぎる。ブルース・ウィリスを筆頭に偏執狂気味の男にジョン・マルコヴィッチ、老練な参謀役にモーガン・フリーマン、元MI6の腕利きヒットマンにヘレン・ミレンと、錚々たる顔ぶれ。この人らが集結していくパートはワクワクしっぱなしだった。とくにジョン・マルコヴィッチが出てくるところは今までこの人が演じてきた悪役のイメージがいい具合にカリカチュアライズさせていて、ついついニヤニヤしてしまう。とくに被害妄想にとりつかれてる男の戯言として彼がつぶやく「ヘリコプターに見張られてる」、「あの女につけられてる」等々がことごとく現実化するところは可笑しかった。ここまでじゃないと生き残れないのね。
 あと、敵方CIAの女上司を演じるレベッカ・ピジョンがピシーッとしてて良かった。こういう人になら顎で使われてみたい。

補足説明

・ジョン・マルコヴィッチ、…『シークレットサービス』といい『コン・エアー』といい『バーン・アフター・リーディング』といい、この人が頭のおかしな人物に扮する映画にハズレはないな。



『レッド・ドラゴン』
ザーメンマン  『羊たちの沈黙』以前に映画化された『刑事グラハム/凍りついた欲望 』のリメイク。『ハンニバルがショボい出来だったので期待してなかったのだが、意外にも良かった。やはりレクターは陽光の下よりも、ボルティモア精神異常犯罪者用州立病院の独房で、チルトンにいじめられながらニヤけているほうが様になっている。病院の看守バーニー役の俳優フランキー・フェイソンは脇役ながらもシリーズ3作皆勤賞であるばかりか、『刑事グラハム〜』にも警官役で出演していたらしい。現場でホプキンスより偉そうにしてたりして。『羊たちの沈黙』でレクターの隣の監房にいた「精液ぶっかけ男」ことマルティプル・ミッグズがいなかったのが残念。エドワード・ノートンにも何かしらぶっかけて欲しかった。(ここからネタバレ→)犯人と最後に格闘した際に刃物で顔をえぐられ、「ピカソが描いたような顔になってしまった」(『羊たちの沈黙』)と形容されるグレアム刑事だが、本作はラストが少し変更されていた。ノートンが『グーニーズ』のスロースみたいになるところが見たかったが、これはこれで犯人のトラウマに迫るものでもあり、納得。

『レディ・キラーズ』(→公式サイト
 コーエン兄弟の最新作は、トム・ハンクス主演のクライム・ムービー。前作『ディボース・ショウ』から間髪入れず公開された感がある。

 トム・ハンクスは1人暮しの老婆をだまくらかして間借りし、仲間4人を集め、地下室からカジノの金庫へトンネルを掘り始めた。

 穴を掘る『ファーゴ』、あるいはコーエン兄弟版『赤毛連盟』とも言えるんじゃないかね、ワトソン君?(←露口茂の声で)でも、あんまり面白くなかった。可笑しいはずの場面で笑えない。何もかも抑えすぎ。例えば穴掘りしてる地下室におばあさんがやって来るところ、メンバーが慌てて手にする楽器がその都度食い違ってたらもっと可笑しかったのに。演奏会をさせられるところも、詩の朗読なんかよりコンポでCD流して誤魔化そうとしたら(そして音と合わなかったりする)良かったのに。……というように、素人の僕にすら指摘可能な「惜しい場面」が何度もあった。それから、後半から先の展開がありありと読めるのも難。全体的に「親切すぎる」印象。
 3枚目のトム・ハンクスがアタフタしても可笑しくない。もっと犯罪者っぽい人を配した方が良かったんじゃないか。クリストファー・ウォーケンとか。ウォーケンが目をキョロッキョロさせながら言い訳する様を見てみたい。

補足説明

・ウォーケンが目をキョロッキョロさせながら言い訳する様…ついでに追加すると、モスバーガーを食ってる最中にトマトが飛び出したときのリアクションも見てみたい。あと、家のドアを開けようとして差しこもうとしたのが車のキーだったときどんな顔するのか見てみたい。運動会の玉入れで笛が鳴った瞬間に抱えてた玉をどうするかにも興味がある。



『レモ/第1の挑戦』
 『トレマーズ』のF・ウォード主演。詳しいストーリーはさっぱり忘れたが、レモの師匠のじいさんがけったいなヤツで、ピストルの弾丸をよけたり水の上を走ったりする。第2の挑戦はいつだろう。



『ロード・オブ・ザ・リング』
 この映画のキー・パーソンはズバリ、魔法使いのガンダルフ、と断言できる。ジジイ萌え属性の婦女子でなくとも要チェック。以下は選り抜きガンダルフさん名場面集セリフつき。

・窓の外の不審人物を杖でポカリとドツくガンダルフ。「卑怯とは言うまいね?」
・かつての朋友に激しくドツかれるガンダルフ。「ヒットヒットヒットヒットヒット!」
・雪中行軍。先頭切ってラッセルするガンダルフ。「サクッ、サクッ、サクッ…ってか?」
・オークの大群相手に杖だけで立ち向かうガンダルフ。「同時に戦えるのは4人が限度!」
・バルログの猛攻を杖と剣で受け止めるガンダルフ。「こんなもんかよッッ」
・モリアの奈落に消えるガンダルフ。「バカかてめェェ!」

 ガンダルフ以外では、味方を吹き飛ばしながらォドゥワーァッ、オッ、オッって暴走するノータリンのトロールが素晴らしかった。なんで生まれて来たんだろう彼は。今年度のアカデミー助演男優賞に推薦したい。あとは、どんだけ接近しても意地で弓矢攻撃するエルフもカッコ良かった。親が死んでも位牌に矢をつがえる勢い。『プライベート・ライアン』のジャクソン狙撃手を超えたな。そして、眠くなってきた時間帯にビルボがおもしろラーメン消しゴム貰えそうなぐらいの突拍子もない大声を出してくれたおかげで目が覚めたので感謝した。ビルボに限らず、指輪を前にした反応が人それぞれ奇妙で面白い。特にエルフの女王のときが異常。いきなり魔空空間みたいになったのでビックリした。自意識過剰だよ〜彼女だけ雰囲気がミュージカルだし。

補足説明

・ジャクソン狙撃手を超えた…「標的の近くで狙撃するスナイパー」部門で。

・眠くなってきた時間帯…いい感じにエンヤの歌がエンヤコラ〜って被さる。エンヤの歌は「エンヤの歌」ってジャンルを形成しているな。何を聞いても同じに聞こえる。



『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』
 もう、もう、これぞロード! これぞリング! すごい特殊効果! 馬! 大変面白かった。世界の黒澤が撮りたかった映画は、これだな、多分。注目のトロールは、変なヘルメット被されて甲子園球場ぐらい大きい門を開ける役目を黙々とこなしていた。出てくるシーンそこだけなんですが…。闘わないのか? まあ、敵よりも味方をたくさん殺してしまうヤツだし、サウロンも扱いに困ったんだろう。
 ゴラム役の岸田今日子の熱演にただただ感動。やはり天性の演技力は存在するんだなあ、と。運慶が丸太に埋まった仁王を掘り起こすように演じてるんだと思う。



『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(→公式サイト
 シリーズ3部作の完結編。1作目公開からはや3年の月日が流れた。3年と言えば単純に計算して1年が3回分。お湯を注いでちょうど食べごろになったカップラーメンがすっかりのびて異臭が漂い蝿がわいて腐敗が進行しカビが生え得体の知れない残骸になり果てた容器を類人猿が拾って放り投げると宇宙ステーションに変化する。そのぐらいの大作なのである、気持ち的には。刮目して臨まねばならない。
 さて内容だが、折れず曲がらずと謳われたあの王が遂に帰還である。待ってたよ王。お前ちょっと痩せたんとちゃうか、王。ていうかお前…誰? 実際、粗筋をよく覚えてなくて、王とか帰還とか言われてもピンと来なかったりするんだが、見てるうちに思い出した。

 ある朝フロドが新聞の片隅で目にしたビルボ・バギンズの死亡記事は、指輪にまつわる青春時代のある記憶を思い起こさせた。
「滅びの山に指輪を捨ててヒーローになろう」
 いたずら仲間のガンダルフが言い出したのが発端だった。世界を救うか滅ぼすかどっちかのパワーを秘めた王の指輪。こいつを噴火口(かなり遠く。おまけに敵の本拠地)に投げ込んで封印する必要がある。この絶望的なアウェイ戦に赴くために脈絡のない混成一個旅団が結成された。音楽性の違いやその他もろもろの理由(主にホビットのウッカリ)のおかげでいつしかメンバーの見つめる先に食い違いが生じて発展的解散。それぞれの人生を歩んでいた。

 細かいところは自信が無いが、大筋はこんな感じの涙あり笑いありヤク中のジュリエット・ルイスありのロードムービーだったと思う。しかし、この際ストーリーなんざどうでも良い。お目当てはニュージーランドの壮大な風景を背に躍動するファンタジックなクリーチャーの数々であり騎士団であり壮絶なバトルなのである。お馴染みのトロールやオークに加え、前作でチラッと出てきたオリファントという巨大な象が大暴れ。『ジュラシック・パーク』で初めてスクリーンの首長竜を見上げたときのような迫力があった。こんな、池袋の芳林堂ほどもあるバカでかい象相手にどう戦えっちゅーねん。いつ踏み潰されてもおかしくない。主要人物が生き残るのも、戦闘力とか関係無く単なる偶然の賜物だろう。僕があの世界の騎士団なら山の上で伝令ののろしをあげる係が良いッス。この世で最期に見る映像が象の足の裏なんて嫌過ぎる。2では門を開けるだけだったトロールの出番が増えたのも嬉しい。太鼓を叩いたり完全武装で門をブチ破ったりの大活躍。中でも、サウロンが消滅した瞬間に「俺たちは将をあやまった。うわあ〜!」って叫んだユダの配下みたくすごいスピードで逃げ去ったトロールが印象深い。戦うときよりはるかに俊敏。ヤツは一体どこまで行ったのか。路上詩人にでもなるつもりやろか。カタパルトやドラゴン型門柱破壊鉄槌D.M.H.T(いま命名)などの攻城兵器の数々も見逃せない。それらひとくせもふたくせもある敵軍に囲まれて、さてさて人間勢はどんな活躍をするのかと言うと、ある者は勇敢に突撃してプレス加工され、またある者は果敢にも一騎討ちを挑んで星屑伝説になる。いい加減こりゃ駄目だろう。しかし、あきらめムードの南4局に人間勢は一発逆転技を2連チャン(アンデッド軍団と指輪消失)してイカサマみたいな大勝利。露伴先生がいぶかしげなまなざしで見つめていたという。ゴゴゴゴゴ。
 人物の評をしてみよう。

フロド・バギンズ
今回も散々な目に合ってご愁傷さまである。ハプニングでうやむやになったけど、結局指輪の誘惑に打ち勝てなかったよね?
ガンダルフ
この人だけですべてこと足りる。軍略、外交、指揮、戦闘、風呂釜の汚れにパイプのつまり、すべてにおいて大活躍。おまけに今回は目を開けたまま眠るという荒技を披露した。
アルウェン 
「自分が死ぬ予知夢」を見てから死を覚悟して引き返し、戦争が終わった頃にひょっこり現れて王としっぽり…って、なんだそれは。空白の時間に何やってたんだ。時刻表トリックか?
アラゴルン
サブタイトルの「王」とはこの人のことだった。アルウェンと一緒に髭の生えたハーフエルフを量産するといいさ。
サム  
1年もさすらった割にすごく血色良かったけど。やっぱレンバス食ってたんじゃないの? それはともかく「旦那様は土壇場で俺よりもつるつるのミュータントを選んだ」って、サムの心は一生記憶してると思うんだよね。
ガラドリエル  
エルフのさ、女王だよねー。
ギムリ 
あんま見せ場無かった。レゴラスとハーフドワーフ量産すればいいんじゃねっかな。
セオデン
なんか可哀想だよね見た目。親父狩りの犠牲者っていうか。この物語って世代交代の話でもあるわけだから、ある意味象徴みたいな存在じゃないの?
ピピン
変な名前の割にはよくやった。小遣いあげたい。
メリー
あんなに元気に走ってたのに、気がつくとオリファントの横で瀕死状態だった。起きたら横に血まみれのオリファント。マフィアの嫌がらせみたいだ。
レゴラス
象に這い登る動きがアンデッド軍団ぽくて恐かった。あれは我々の知るエルフじゃない。
エルロンド
やっぱりどう見てもエージェント・スミスだって。
エオウィン
ナズグルの首領と対峙したときの腰のひけ具合が可愛かった。
ゴラム
あと一歩が及ばず。
ハラドの民
ピアスをした象を駈るすごい民族。冥王サウロンと手を組み、中つ国に攻めてくる。サウロンの軍勢が必ずしも「人間の根絶」を目的としていないことがわかる。彼らや海賊、サルマン等の存在が物語に厚みを与えている。
アンデッド軍団
戴冠式にも参加して欲しかった。反則気味に強い。サウロンが人間を眼の仇にしてる理由がなんとなくわかった。よ〜く見ると中の1人がボロミア(ショーン・ビーン)だったりして。
サウロン
こいつが真犯人(ネタバレ)。


 ラスト間際にフロドが目覚めたら寝起きガンダルフでドッキリみたいなシーンがあった。あれはそろそろ目覚めそうなタイミングにガンダルフを先頭にして旅の仲間みんなで正装してドアの前に並んで待ってたんだろうか。ほほえま〜。



『ロスト・ハイウェイ』
「ディック・ロラントが死んだ」
「ディック・ロラントって誰だ?」
 こんな会話から始まるリンチ監督の摩訶不思議ワールド。観終わって友人と会話できないという不思議。つまらなかったのではなく「わけわかんないなー」としか言えなかった。最後に流れるデヴィッド・ボウイの曲も不思議。サントラを買った。



『ロッキー4』
炎の友情  昔サントラまで買って興奮したタイトル。ロッキーが「ソ連の沈黙する怪物」ことイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と対決する。今見るとボクシングよりも、「♪ここはアメリカ。さあ、祝おうゼ」と熱唱するジェームズ・ブラウンをドラゴが呆然と眺めるシーンの方が面白い。こういう、ジェームズ・ブラウンが突然現われて主役を食っちゃうような映画って他にどんなのがあるんだろう。僕は『ブルース・ブラザーズ』と『タキシード』しか知らないけど。他にもロッキーとアポロ(アクション・ジャクソン)が「There's No Easy Way Out」が流れる中、砂浜で波飛沫を巻き上げて追いかけっこをした後にスローモーションで抱き合ったり、ゴルバチョフのソックリさんが出てたり、おいそれと見過ごせない映像満載なのだ。あと、ポーリー(エイドリアンのバカ兄)のセリフがいちいち可笑しい。記者会見でドラゴ陣営に「俺か? 俺はアメリカの沈黙しない怪物だぁ!」ってわめいたり、「(殴られて)ドラゴが3人に見える」というロッキーに「真ん中を殴れ!」ってアドバイスしたり。『ロッキー6』(ダメそう)にはドラゴも出てくるそうだけど、多分パンチドランカーになったカーロスみたいな扱いだろう。



『ロッキー5』
 「パンチドランカーでアホになったロッキー」って設定が切な過ぎる。実際、ロッキーがシリーズで一番バカに見えるし。ボクシングしないし。シリーズで一番好きだ。 6も出るらしいですよ。

補足説明

・ボクシングしない…ロッキーがラストのストリートファイトで使った(ボクシングじゃない)技。蟹挟み、後頭部パンチ、バックドロップなどなど。




『ロッキー・ザ・ファイナル』(→公式サイト
 ロッキーは生きていた! パンチドランカーでヨレヨレになってた5から実に17年もの歳月を経た完結(?)編。

 エイドリアン亡き今、引退し小さなイタリアンレストランを経営するロッキーに現チャンプの若い黒人がエキシビジョンマッチながらも挑戦状を叩きつける。

 エイドリアンは既に死んだという設定。しかし代わりにマリーという未亡人が登場。良くも悪くも1作目の焼き直しという印象。4や5にあったようなけれんみもなく、2回は見たくならない。せめてドラゴかトミー・ガンが出てればなあ。
 スクリーンを眺める我々の感じる「今さらロッキー」な気分を上手く劇中にも活かしてたんじゃないか。

補足説明

・マリーという未亡人…しかしラストバトル後に「エイドリア〜ン!」の代わりに「マリー!」とは叫ばなかった。それやったら大顰蹙だろうな。



『ロボコップ3』
 アイスマセンアイスマセンアイスマセン。 悪い日本企業のボスがロボコップにおじぎをしました。



『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』
 主人公の扮装・設定・舞台が明らかに『レイダース』のパクリ。しかし、恐らく予算や才能のせいで全体的にチープな雰囲気が漂いまくっており、そこが妙な「憎めなさ」に繋がっている。例えば主人公がナチスの若い兵士で満席の列車に銃を構えて突撃するシーン。「動くな!」と威勢良く飛び込んだはいいが、多勢に無勢を見て取ると表情を豹変させ「いや〜良いね〜君達。素晴らしい反射神経だ。今日は演奏しに来たよ」とラッパを取り出しプップクプ〜と「草競馬」を吹いて通り過ぎようとする。緊張を解いて唱和するナチの兵士たち。♪Oh! doo-dah-day〜…って、なんでやねん! シュールだ。この男はいつもラッパひとつで危機を切り抜けて来たんだろうか。ナチスの兵隊が登場するときに、いちいち「ワルキューレの騎行」のヘボいアレンジがかぶさるのも脱力満点だった。続編『キング・ソロモンの秘宝2/幻の黄金都市を求めて』も借りてみよう。

補足説明

・主人公…リチャード・チェンバレン。目がいっちゃった宗教の人ふうで胡散臭さ倍増。雑踏で平然と爆弾を投げる。はぐれた仲間が乗ってるかもしれない貨車をナチと共に切り離す。結果的に自分が乗ってる側にいたが「お前無事だったのかー」で済ました。