か〜こ





『カイジ 人生逆転ゲーム』(→公式サイト
 福本伸行の『カイジ』の映画化。基本的に漫画原作の映画はハズレ率が余りに高いので基本「様子見」で、評判が良ければ観に行くことにしてるんだけど、これは原作のファンにも評判が良いっぽい。

 人生の落伍者すれすれの生活を自堕落に送るカイジは、知人の借金の保証人になったのがキッカケでエスポワール(希望)という名の客船で、あるギャンブルに参加することになる。

 限定ジャンケン、鉄骨渡り、Eカードまで、相当スピーディーに話が展開する。「ザワザワ」効果音も有り。「焼き土下座」は無し。圧倒的に面白過ぎる原作を変にいじることなく映像化していた。原作よりも良かった点もあり、Eカードのイカサマの部分の仕掛けがシンプルになった。ただ、配役に違和感を感じた。カイジ役の藤原竜也と利根川役の香川照之は、別に悪い演技じゃないんだけど、なんか違うんでないかい? 藤原はあんまり負け犬っぽくないし、香川は小悪党って感じしかしないんだなあ。じゃ誰が適役か考えてみたけど、カイジはココリコの田中で、利根川は高田純次だな。あと兵藤は津川雅彦。



『崖の上のポニョ』(→公式サイト
 『ハウルの動く城』以来4年ぶりの宮崎駿の新作。

 海の魔術師のもとから逃げ出したポニョは自分の命の恩人である男の子に一目ぼれしてしまう。

 とっちらかってワヤって感じの『ハウルの動く城』よりは遥かに話にまとまりがあったし面白かった。ポニョ可愛い。特に中盤の山場である嵐のシーンは迫力満点だ。「海岸線を走る軽自動車を津波が追いかける」という一行の説明で事足りるような光景をディテールの積み重ねと並々ならぬ想像力で以って手に汗握るチェイスシーンに仕立て上げる力量はさすがと言うより他ない。むしろこういう、要素だけをとると単純なシーンほど作り手の力量がダイレクトに試されるのだろう。ここで映画が終わっても全く不満が無かったぐらいだ。ただ、その後がどうも良くなかった。嵐が良かっただけに、その後が抜け殻に思える。投げっぱなしというか。宮ちゃんの悪い部分が出ちゃったね〜。正直なところ海の精霊が何やら語ってる箇所から寝てしまった。エンドロールが始まって「うわ!」っと目覚めた映画は『ブレイド2』以来だ。それまで比較的大人しく見ていた館内の小学生ぐらいの男の子がここらへんで「まだ終わらないの?」と親に尋ねてた。宮ちゃんもさ〜、子供をターゲットにするならちゃんと起承転結があってハッピーエンドで勇気凛々になれる話を作ってあげてほしい。そういうのばっかでいい加減飽き飽きしてる気持ちもわかるけど。そもそもこの映画ハッキリとした悪役不在のまま進むしな。結末から考えると宮ちゃんの目線の先には「地球を汚染し続ける人類そのものが悪」というメッセージが(昔から)あるんだろうけど、そんな茫洋とした観念論を子供にそのままブン投げてどうすんのさ。いい加減大人になれよ。もっと「海埋め団」みたいの出さなきゃ。あとグッズ展開しやすいように波とかじゃなくて形がシッカリしてる敵出して?
 癇に障ったのが老人ホームの婆さんらが歩けるようになるところ。なにその都合のいいなんちゃってコクーンみたいな魔法。そもそも水没した世界で歩けてどうすんのさってツッコミは置いといて、嵐の描写の非凡さ天才さ加減に比するにあまりにも稚拙っちゅーかなんちゅーかほんちゅーか。え、なにここで感動すればいいの? 子供は、こういうの見て喜ぶか? むしろ保母さんらに取り残されて車椅子に座ったまま足の先の方からジンワリ溶けて白骨になるほうが大喜びのスタンディングオベーション鳴り止まないだろ。こんなん見せられるぐらいなら生まれつきの難病だけど親が貧乏で手術できないなんとかちゃんや塀にはさまった子猫救出大作戦やブランド品専門質店の訳ありOL交渉映像や大食いや絶品スイーツや激安ランチや大間のマグロなんかをアニメ化してくれた方がまだマシである。

補足説明

・正直海の精霊が何やら語ってる箇所…あ〜んなに幻想的で雄大な登場の仕方したわりに男の子の母親とボソボソ直談判って。

・ブレイド2以来…始まって10分ほどから最後まで爆睡した映画もある。あの、ボーリングフォーコロンバインの監督の政治のやつ。感想書けなかった。

・「地球を汚染し続ける人類そのものが悪」…天才にあるまじき凡庸な思想というか。アーチスト系の人ってビッグになるとどーしてこういう感じになっちゃうんだろうね〜。純粋な人ほど自らが生み出した作品が発するメッセージとそれにまつわる諸々が大量消費社会の中で直接的間接的に環境に与えた影響との間に生じるジレンマを身にしみて感じてしまうんだろうな。

・直接的間接的に環境に与えた影響…例えばニモのヒットで熱帯魚が乱獲され個体数が激減するとか。単純に「グッズ」と呼ばれるものが店頭に並び廃棄されるまでにどれだけの資源を消費したのか、とか。売れれば売れるほど免罪符的にエコエコ叫ばなきゃいけない強迫観念にさいなまれるのかも。

・老人ホームの婆さんら…ラピュタの空賊や魔女の宅急便の孫のためにパイを作るおばあさんに比べるとあまりに薄っぺらい存在。どうしちゃったんだろう。

・水没した世界で歩けてどうすんのさ…まだしもエラ呼吸できるようにしてもらったほうが便利そう。



『火山高』
 『マトリックス』と『らんま1/2』をカクテルにしたような、学園無差別格闘モノ。僕は(予告編から判断して)あんまり期待してなかったんだが、予想通りというか。ギャグもアクションも歯切れが悪い。効果的とは思えない「間」が多すぎる。ヒロインが可愛くない。主役が吉本の若手芸人みたいで迫力に欠ける。やりたいことはわかるんだけど。その「やりたいこと」の方向性が似ている作品で連想した『VERSUS』の方が面白かった。
 もっとこう、金竜飛みたいに韓国を感じさせるエキゾチックな演出が欲しかった。悪の教頭(赤シャツ)が天パーの眼鏡デブで美女をはべらせてるとか、トーストの代わりにポシンタンをすすりながら駆けて来るヒロインとか、38度線に向かってチキン・レースとか、河原で決闘の後に寝転がってると潜水艦に連れ去られるとか、海に向かってバカヤローと叫ぶと潜水艦に連れ去られるとか。なんか学級閉鎖で終わりそう。



『007/カジノ・ロワイヤル』(→公式サイト
 『ダイ・アナザー・デイ』以来、実に4年ぶりの007。主役もピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグにバトンタッチ。このダニエル・クレイグ、さる映画館で流された予告編の最後にアップが映った瞬間に後ろの席の外人から失笑が漏れた。確かに今までのジェームズ・ボンドのイメージにはそぐわない風貌の持ち主なのだ。大丈夫なのか。

 テロ組織へ資金を調達して株価を操作するル・シッフル氏を破産に追い込むために、我らがジェームズ・ボンドはカジノで戦いを挑む。

 ダニエル・クレイグ大丈夫だった。むしろ最高のボンド誕生した! この最新作では原点に戻った作りを目指したんだとか。『バットマン ビギンズ』のようなリアル志向というか。レーザー衛星や細菌兵器やルルイエや大魔暗黒天帝大王や、その他一発で世界を破滅に導くような脅威は登場しない。ボンドの使う武器も渋め。秘密兵器の類は出てこない。このシリーズでお約束の黒幕の右腕との死闘や、情婦との危ういロマンスも無し。ではつまらないかと言うとそうではなく、スリルとサスペンスに満ちた展開。なるほどこういうテイストなら、ダニエル・クレイグの抜擢もうなずける。
 これまた『バットマン ビギンズ』のように今回の話は007になりたてホヤホヤのボンドを描く。と言っても時代設定はあくまで現代のようだ。携帯がフルに活用されている。まあ、あらゆる時代で暗殺を続けた中村主水のように「いつの時代にもジェームズ・ボンド的な人間が存在した」ということだろうか。
 敏腕エージェントのボンドが単身てきぱきと任務を遂行していく様が清清しい。ときどき慢心や甘さが見え隠れするのも新米ならでは。除細動器片手に「洒落になんないよ、な〜んないよ」ってうろたえるくだりなんか、どっちかっつーと槇原敬之の「SPY」だったし。また、ヒロインのヴェスパー(エヴァ・グリーン)も所謂「ボンド・ガール」然としているわけではなく、役割も財務省から派遣されたただの監視役。このヴェスバーとの恋愛が隠し味、というかむしろメインにも思えるぐらい甘く切なくほろ苦く、昨今の難病させりゃいいんじゃろ的なくだらない恋愛映画に飽きた人々にオススメ。

補足説明

・黒幕の右腕…ボンドと一騎打ちの末に猟奇的な死に方をする。

・時代設定…セリフ中に「911」という単語が出てきたことから、少なくとも2001年以降ということになる。

・中村主水…余談だが、中村主水の主水(もんど)はジェームズ・ボンドからとってきたという。



『壁の中に誰かがいる』
 アフロの黒人少年が不良にそそのかされて、ある邸宅に不法侵入する。その館にはいたるところに致命的な罠が仕掛けられていた。館の主人は近所でも有名な変態夫婦だったのである。閉じ込められた少年は、館に潜む「住人以外の何者か」の気配を感じる。 設定の勝利。仕掛け満載の館が魅力的。ちょっと住んでみたい。ホラーと呼べるような恐さは無い。コメディというほど笑えない。サスペンスにしては馬鹿すぎる。不思議な映画。
   追記:最近ビデオを借りて観たんだが、途中で「前に一度観たことあるぞ」と気づいたときが一番恐かった。



『カラーズ 天使の消えた街』
 すごく中途半端な映画。ロバート・デュバルとショーン・ペン共演。ロスの腐敗をカラーギャングの抗争を中心に描く。はねっかえりの新米(ペン)と退職間近の警官(デュバル)という組み合わせはありきたり。2人が衝突するのも見飽きたパターン。ただたくさん弾を撃って人が死ぬだけの紋切り型なギャングの描写。車がひっくり返るカー・アクション。泣く子供。この映画からは天使だけじゃなくいろんなもんが消えてると思う。デニス・ホッパー監督作品だと後で知ったときが1番驚いた。出なよ!



『カリートの道』
 冒頭いきなりパチーノが撃たれ、病院へかつぎこまれる最中に思い浮かべる走馬灯。パチーノ演じるギャングとしては『ゴッドファーザー』のマイケルよりは過激で、『スカーフェイス』のトニー・モンタナよりは分別がある感じ。血なまぐさい事件が起こる直前のデ・パルマ監督独特の盛り上げ方が好調だった。



『借りぐらしのアリエッティ』(→公式サイト
 ジブリだが、宮崎監督ではないらしい。実は原作(小人たちシリーズ5部作の2作目ぐらいまで)を子供の頃に読んだことがある。けどほとんど覚えてないので、鑑賞するに当たってとくにこだわりのようなものはないです。

 絶滅寸前の小人族の末裔であるアリエッティと両親は田舎の洋館の床下で人間から生活必需品をくすねて細々と暮らしていた。

 やはりどうしても宮崎監督のこれまでの作品群と比べて見てしまうんだけど、やはり見劣りするというか。見てからしばらく経ってしまって記憶が曖昧なのでざっと挙げていくと、まず食べ物が美味しそうじゃない。高いところや危険なところを移動するシーンが怖くない。重要なシーンのはずなのに演出が淡々としすぎ。登場人物の心の動きがいまいちつかみづらい。動物の擬人化のレベルがまちまちで感情移入しづらい。などなど。



『華麗なる賭け』
 実業家トーマス・クラウン(スティーブ・マックイーン)は自らの冒険心を満たす目的で大胆な銀行強盗を計画。人を操って実行した作戦は成功する。しかし、保険会社の調査員ビッキー(フェイ・ダナウェイ)の目はごまかせなかった。トーマスに接近したビッキーは、彼の人柄とか野心とかワインとかサウナとかもう、ドラマチックにゴージャスな生活ぶりが女心に奔流となって押し寄せたので学徒兵を動員する間もなくグニャグニャの骨抜き状態になって撃沈。和平条約を結んだ。   〜fin〜
 まんまと計画が成功して高笑いしたり、砂浜をバギーで駆けぬけたり、「風のささやき」をバックに自家用セスナを操縦したり、兎に角マックイーンの格好良さをこれでもかと堪能できる。逆に言えばマックイーンの格好良さを堪能したくない方には正に地獄の映画と言えるだろう。
 '99年に『トーマス・クラウン・アフェアー』としてピアース・ブロスナン主演で再映画化。



『華麗なるヒコーキ野郎』
 単葉機へ移行しようという時代に複葉機で危険な航空ショーをするロバート・レッドフォードの物語。レッドフォードの吹替えが広川太一郎で、まだ雰囲気が明るい冒頭に「池にイケー!!」とカマした。



『カンニング・モンキー 天中拳』
 主だった敵キャラが格闘中に不慮の事故で次々と他界する作品。天中拳って天中殺のことか? 世のクンフー映画をブルース・リー派とジャッキー派に分けるとしたら、ジャッキー派の極北に位置する作品に違いない。敵キャラの不幸を挙げると、まずジャッキーが持っていた扇の仕込針が偶然に射出されて相手は即死。ジャッキーは「ワーイ、ラッキー!」と大喜び。この仕込扇をなぜジャッキーが持っていたかというと、山の中で賞金稼ぎと相討ちになった山賊の死体から奪って来たのだ。この時賞金稼ぎは、草むらに隠れて見ていたジャッキーの立てた物音に気を取られているすきに仕込針の餌食になっている。次に犠牲になったのは盗賊の女首領で、ジャッキーと格闘中に自分が投げた手裏剣の上に落ちて死んだ。ジャッキーは「自業自得だ」と大喜び。最後に突然現れた「盗賊の父親」も、ジャッキーに突き飛ばされた拍子に、なぜか突き出ていた槍に刺さって文字通り立往生。この最後の闘いは、散らばっている奥義の書の断片を拾い読みしながらのもので、真面目にクンフーをやってる対戦相手がとてもバカみたいに見える。余談だけど、最初にジャッキーに関わった道場の兄弟子もジャッキーの覗きのとばっちりで命を落としている。この作品が他の一連の「〜拳」シリーズと一線を画しているのは、修行シーンがほとんどないことかな。恐るべし天中拳。絶対相手にしたくねー。


補足説明

・ブルース・リー派とジャッキー派…別にリンチェイ派を入れて三角形にしてもいいですが。

・突然現れた「盗賊の父親」…いわゆる「ラスボス」なのだが、ラスト間際に初めて現れて「息子の仇だ」とわめきながら、それまで最強を誇っていた別の盗賊一味の首領を鎌で惨殺。

・修行シーン…師匠が悪者に倒されたのを目撃して、涙とよだれをまき散らしながら「師父〜!!」ってスローモーションで駆け寄るシーンもない。



『カンバセーション 盗聴』
 僕が勝手に邦題をつけるとしたら「紺屋の白袴」だろうか。 ジーン・ハックマン演ずる盗聴のエキスパートが、自ら録音したテープに犯罪の臭いを嗅ぎ取り、職務の領域を踏み越えて深みにはまっていく。 パレードの雑踏を闊歩する2人の会話を、3つの異なった方法で盗聴する冒頭からラストまで、全篇にわたって画面を支配する緊張感。ハックマンから漂う圧倒的な孤独感。 劇中に流れるサティっぽい神経質なピアノと、ハックマン奏でるサックスとの不協和音も印象に残る。



『カンパニー・マン』
 『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ監督。 「洗脳」がキーワード。 嘘発見器にも堪え得る訓練を施された男が企業のスパイとして活動するうちに、イロイロある話。 なんか「シュワルツェネッガーの某SF映画」っぽかった。
 ルーシー・リューがシェルターの蓋を突き破って飛び込んで来るシーンがかなり心臓に悪かった。



『カンフーハッスル』(→公式サイト
 終了と同時に場内が拍手で満たされた『少林サッカー』以来の周星馳(チャウ・シンチー)最新作。

 ギャングに憧れるチンピラのシンは豚小屋砦の住民と斧頭会との揉め事に首を突っ込んで暗躍するうちに幼い頃に持っていた正義の心に目覚めていく。

 『少林サッカー』ほどの完成度はないけど面白かった。
 カンフーと言うよりも、むしろ超能力、ハッスルと言うよりも、むしろ惨劇。残酷・下品な描写が多目で、こっちのほうがシンチー本来の持ち味に近いのかもしれない。市井のおじさん・おばさんが実は武術の達人というカタルシスに満ちている。ラストでシンと戦う達人はあまりの強さに敵がいなくなって絶望し、自ら監獄に引き篭もってしまったほどの男なんだが、そこまで強くて尚、土壇場で姑息な手段に訴える。そういうなりふり構わない貪欲さが男を達人たらしめたんだろう。妙に納得。それに対して主人公が最後に人間離れした力を得る過程が説得力に欠けている。そこがちょっと残念だった。ともあれメジャーな映画ではあまり見られない、無駄に下品で残酷でクドい笑いの数々が嗜好に合う人には是非すすめたい。

補足説明

・シンチー本来の持ち味…『食神』に近い。

・主人公が最後に人間離れした力を得る過程が説得力に欠けている…シンチー自身「敗北→修行→勝利」方式の従来の物語の語り口に飽きてるのかもしれない。



『危険な遊び』
 フロドとカルキン共演。親戚の家に預けられたフロドがその家のカルキンに嫉妬されて酷い目にあう。カルキンの悪戯が遊びを通り越してダミアン級。玉突き衝突を誘発したり、妹を薄氷の上に突き飛ばして溺死させかけたり。で、カルキンの弟が事故死したのはカルキンのせいじゃなかったのかと母親が疑い出す。崖の上でフロドを交えて大乱闘スマッシュファミリーズしてるうちにフロドとカルキン両手に掴んで崖からブラリンコ。こりゃ究極の選択だ。ここが大岡越前の白洲なら先に手を離した方が真に母親を愛してたってことになるんだろうが、さすがに真の愛情を示した数秒後に全身打撲で死亡確定の状況。フロドもカルキンも離しやしない。どっちを取るか!? 人妻の逡巡。そして彼女は女としての自分を選び(曲解)、カルキン坊やの手を離す。崖下めがけて小さくなっていくカルキンがグラディウスのエンディングみたいだった。



『キサラギ』(→公式サイト
 過去の事件を検証していくうちに意外な事実が浮かび上がっていくというアームチェア・ディテクティブの発展形とも言える『12人の怒れる男たち』のような密室劇だという。前情報で気にはなっていたんだけど、機会がないままズルズル見逃していた。しかしガビョ布が観に行って絶賛しているのを聞いて独りで行くことを決意。

 謎の自殺を遂げたアイドル・如月ミキのファンサイトで知り合った見ず知らずの5人の男達。彼らはミキの一周忌をひとつの機会としてオフ会を開いた。
 そこで1人の男が疑問を口にする。

「彼女は自殺なんかしなかった」

 和やかなオフ会は一転。真相究明の熱い舌戦が繰り広げられることになるのだった。

 面白かったー。都合3回観に行った。『12人の怒れる男たち』を引き合いに出したけど、それを超える出来。現代の日本を舞台に携帯、メール、インターネット等の小道具を巧みに用いた推理バトルが繰り広げられ、笑い有りスリル有り、尚且つ最後にホロリとさせられる。素晴らしい。★5つ!
 というわけで以下完全ネタバレ感想なので、未見の方は絶対見てから読んで下さい。
 要所要所でなぜかチュンソフトのサウンドノベルみたいな良い意味でチープな演出。推理が進行する場面で流れる音楽は『かまいたちの夜』だし、イチゴ娘がミキの部屋を「見守る」一連のシークエンス等で使われるストップモーション的な映像は『街』を彷彿とさせる。
 最初はじゅっぱひとからげでしかなかった男達の立ち位置が目まぐるしく変化するのも面白かった。例えば『12人の怒れる男たち』や『12人の優しい日本人』の場合、大筋で「良いもん」と「悪いもん」が決まっていたんだけど、この映画では糾弾する側される側、ナイフ持つ側持たれる側、かっこいいヤツ悪いヤツまでもがどんどん変化して飽きさせない。特に家元とイチゴ娘の栄枯盛衰っぷりが可笑しい。家元はファンとしても社会的地位でもトップレベルだったのがどんどん落ちぶれていき、イチゴ娘にいたっては管理人さん→ネカマ→無職(デフォルト)→ストーカー→殺人容疑→無職→父親だからね。どんだけ変遷してるんだよ。各々が真面目な議論の最中に垣間見せる無防備な「ただのアイドルオタクの顔」も可笑しい。
 それから伏線の撒き方、回収の仕方も見事だ。マネージャー(「事務所を通さない仕事か」、「カメラは禁止だったはずでしょう」)、父親(「見守ってたんだよ!」、「そういう男なら俺も許す」)、ラッキーチャッピー、地震、アロマキャンドルなどなど、ひとつのアイテム・事柄・発言に二重三重の意味を持たせるのは限られた密室劇ならではの濃密さ。また、そういった新事実が明らかになるタイミングも絶妙だ。必ず少し前に観客である我々に気づかせるような「間」が存在する。そうすることによって登場人物と一緒に議論し、推理しているような感覚を味わうことが出来る。
 演技面ではイチゴ娘こと香川照之イチ推し。2回目3回目はこのオッサンの一挙手一投足を一から観察するために行ったようなもんだ。最初はストーカー扱いされてたのに、終盤すごく立派に見えてくるからな。「人間は皆、未知である」、「我が娘ながらまるで虚像のようだ」、「万物はすべて変化する。天体と同じようにね」。とてもストーカー呼ばわりされてた親父のひとつひとつのセリフとは思えん。もともと文学志望で身を持ち崩したタイプじゃないだろうか。あと、常に肌身離さず紙袋抱きかかえてるのも浮浪者っぽくて哀しい。この男のネット環境ってぜってーネカフェだよな。多分寝泊りしてる。イチゴ娘。まだまだ謎が多いなあ。
 ミキの顔バレで終わるけど、確かに「このままB級、C級……いや、D級」と言い直させただけのことはある衝撃映像。しかしことの顛末を知った今、DVDに合わせて歌い踊るオタク5人の姿を、決して笑い飛ばしたりできない自分を発見することになる。これがこのシーンの最大の意義だと思う。
 あと、最後の宍戸錠。これは本編で論議された内容はあくまで仮説にすぎなくて、実はすべて報道の通りだったかもしれないし、「真犯人」が存在したかもしれない、ということを強調したかったんだろう。事件に関する回想シーンがすべて胡散臭い『街』風アニメーションだったのも、そういう演出だったのでは。しかしそこまで観客を突き放すこともない気がするな。僕は蛇足だと思う。蛇足と言えばミキの歌の後に流れるエンドロールにかかる誰かわからん人の歌も蛇足だ。音楽でいいのに。

補足説明

・ガビョ布…人間の名前。ハンドルネームというか、まあそういったもの。ガビョ布とは映画の好みがかなり合うのだ。逆に安井などはよく一緒に映画に行くものの嗜好は微妙にずれている。

・観客を突き放す…たとえどういう経緯にしろ、ミキが非業の死を遂げた事実に変わりは無いわけで、十分切なくはある。ここへ来て序盤にイチゴ娘が叫んだ「自殺の真相を突き止めたところで彼女が生き返るわけじゃないでしょう」の一言が胸に迫る。



『奇人たちの晩餐会』
マルレーヌ  タイトル「奇人たちの晩餐会」とは、金持ちが奇人を招待して、彼らをあざ笑う為に開催するもの。もちろん奇人には会の真の目的は伏せたまま。さてさて、どんな奇人が現われるのか?
 で、内容はと言うと、実は晩餐会の様子は描かれない。晩餐会の主催者の1人である出版社の社長が1人の奇人を事前に招待し、そこで奇人の奇人ぶりに振り回されるお話。舞台は社長のマンションから一歩も出ないし、奇人は1人だしでガッカリ映画の予感がしたのだが、独特の、こみあげてくる可笑しさがあって面白く観ることが出来た。
 「バカ(←字幕から)」と呼ばれるピニョンが事態を悪い方へ悪い方へ導いていく。 ピニョンは「マッチ細工でエッフェル塔を作る趣味を持つ男」として晩餐会に招待される。その程度では奇人とは呼べないし、ましてやバカにそんな精緻な模型が作れるはずがないではないか。しかし、見ているうちに「これはバカだな」と納得できた。
 マルレーヌが可愛かった。
 スピルバーグがダスティン・ホフマンでリメイクする予定があるらしい。



『奇談』(→公式サイト
 諸星大二郎の『生命の木』を映像化。いやはや、あの独特の世界観やコマ割、間の取り方がスクリーンでどう再現されるのか、楽しみでもあり不安でもある。……なんつって実は原作未読。ごめ〜ん。

 大学生の佐伯里美は幼い頃に東北の渡戸村で過ごした数週間分の記憶が無かった。民俗学を専攻する里美はフィールドワークを兼ねて自分探しのため渡戸村へ単身赴くことを決意する。
 隠れキリシタンの村として有名な渡戸村には更なる暗部が存在した。村人から「はなれ」という蔑称で呼ばれる集落には一体どんな秘密が隠されているのか。里美の欠落した記憶との関連は……?

 『ブラザーズ・グリム』の後だからなのか、面白く感じた。全体的に抑え目のトーン。東北の寒村という辺境の雰囲気と相まって独特の不気味さを醸しだしていた。村人がとくに(表面的には)排他的に描かれてないところも良い。いかにも「何か隠してます」って演技してると逆に白けるし。区切り区切りでテンポ良く小イベントが発生する。難があるとすれば阿部寛が全然民俗学者に見えないところか。
 わかったようなわかんないような、アンニュイ千万なまま物語は終わる。疑問がゴロゴロ残る。そのひとつが「渡戸村の教会で何があったのか」だ。事の発端は里美がかろうじて覚えていた「教会の入り口から中に入るときの記憶」なのだから、中で何かが起きたに違いないのだ。ところが、事件が終わってみると何も解明されないまま。当時の神父もすでに村にいない。また、この教会と「はなれ」の村人が何か関係していたという事実は提示されなかった。「はなれ」を異端と見なしタブー視していた現神父の言葉からもそれは明らかだろう。だとしたら、この教会は表面上は何も怪しくないはずなのだ。これはすごく不思議。ここからは僕の考古学的、民俗学的見地からの推測なのだが、里美は教会の地下室かどっかで当時の神父に悪戯されたんじゃね? 「明日ハレルヤ?」、「どうせアーメン」とか言いながら。結局その忌まわしい記憶は封印されたまんま。臨床心理学の教授が思わせぶりに言ってた「人には思い出さないほうが良い記憶がある」ってのは、そのことだったんだよ。恐ろしいことです。

補足説明

・教会の地下室…こう考えると里美が潜在的に「穴」を恐怖する感情も理解できるのである。「はなれ」の「穴」はミスディレクション。真に恐ろしい「穴」は手の届く範囲にポッカリ口を開けているものなのである。ホラ、あなたの後ろにも……。



『キック・アス』(→公式サイト
 「大きなハズレがない男」ことニコラス・ケイジが出演しているアメコミヒーローもの。

 アメコミのヒーローに憧れるデイブは「世間の人々の無関心」に憤るあまり、通販のヒーロースーツを着込んで自らが「キック・アス」としてたった一人の自警団活動を開始する。

 ハズレどころか大当たりだった。面白い。★5つ進呈。
 ニコラス・ケイジ扮するビッグダディ&その娘ヒットガールの活躍はハードそのもの。マフィアに対して全く容赦が無い。こういうアメコミものだと敵の死に様は殴られたり蹴られたりで死んだかどうかよくわかんなかったりするんだけど、この映画では足はもげるは眉間は撃ち抜かれるは、こりゃ完全に死んだなって確認できるものばかり。このところのリアル路線のアメコミものでもここまで描かなかったという描写の連続には胸のすく思いがした。しかもこの父(&娘)の犯行動機は正義でもなんでもなく、妄執に近いような復讐のみといういさぎよさ。ハードコアな描写の合間にキック・アスのヘッポコぶりが程良くアクセントとして加わる。この絶妙のバランスもいい塩梅だ。
 まあとにかくヒットガールがかわゆかっこいい。歴史に残るキャラクターだと思う。それから中盤のニコラス・ケイジの倉庫討ち入りのシーンもしびれる。ここまでかっこいいニコラス・ケイジも初めて見た。

補足説明

・ここまで描かなかったという描写…かつてのトロマ映画を彷彿とさせる。



『機動戦士Zガンダム A New Translation 星を継ぐ者』(→公式サイト
 タイトル長っっっ!!! 今さらZガンダムの映画版。しかも3部作だとか。TV版に新しいカットを付け足し、旧フィルムには流行の「デジタルリマスター」も施されている。

 一年戦争の数年後。宇宙はティターンズとエゥーゴと地球連邦軍とジオンの残党により割拠されていた。

 退屈になるだろうから、あえて事前にTV版を見直すことをしなかったおかげでなかなか新鮮な気持ちで楽しめた。付け足された美麗シーンと旧フィルムとの違和感がかなりあるが。
 内容がダイジェストみたいなもんなんで、ウォンさんによるいわれなき修正とか、月面ピザとか、立体エロビデオとか、ドキドキ身体検査とか、そういったどうでもいいけど何故か心に残ってる逸話の数々が見事に削られている。また、ファのエエ感じの説教がカットされたのはすごく残念だ。
 あと、場内は案外臭くなかったです。

補足説明

・ファのエエ感じの説教…カミーユが支給された宇宙食にブーたれてると「みんながこういうもん食べてると思うな」とかなんとかのたまう。



『機動戦士ZガンダムII 恋人たち』(→公式サイト
 『機動戦士Zガンダム A New Translation 星を継ぐ者』の続き。3部作の真ん中ということになる。

 カツ勘違い。

 付け加えられたシーンに出て来るガザCが無茶苦茶かっこ良かった。ロボット大戦じゃ単なるザコキャラなのにな。
 観終わって愕然としたんだが、どうもシャアがカミーユに修正されるシーンは第1作の段階ですでにカットされていた模様。なにソレ! それから、今回はシャアの演説もカット。スーパーロボット大戦シリーズで引用された数々の名シーンはのきなみカットされたことになる。なんだかな〜。フォウの死に方がテレビ版とかなり違ってる気がするんだけど、気のせいか? なんかミハルみたく海にフワ〜ッて落ちてった。僕の記憶ではフォウが撃墜されるのを目の当たりにしたシャア&アムロが顔を見合わせて「今の見た? 悲劇が繰り返されたね〜」と感慨にふけるシーンだった気がするんだけど。違ったっけ? 監督の方針として「(ロボット大戦で引用されがちな)あんな感じのシーンは完膚なきまで変えてく」ってことなのかも。みんなに愛されたいのかも。OLにモテたいのかも。
 ところで、僕が一番変更した方が良いと思ったのは「月面都市に潜入したときのサラの格好」だ。フワフワヒラヒラしたタケノコ族みたいな布きれにベレー帽といういでたち。何だろうコレは。どう形容したらいいのか、「どこでこわれたのohフレンズ」的な、「マイ・ネーム・イズ・トンプー」的な、「翼の折れたエンジェル」的な、「咲かせましょうかフルーツスキャンダル」的なデザインはどうしようもなく(Zガンダムがテレビで放映された)当時の日本を想起させる。悪目立ちしすぎだ。そりゃすぐに発見もされるわ。



『機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛』(→公式サイト
 は〜い。やって来ました3作目。冨野監督の公開色懺悔こと機動戦士カルパッチョことZのリメイク3作目。

 カツ勘違いして、死ぬー。

 もう冨野! この人ガンダムのこと何もわかっちゃいない! 「誰も知らないラスト」というコピーの通り、確かに見たこと無いラストだった。とは言え予想はできていた、というか、まあぶっちゃけコレ言っちゃっていいのかな? カミーユが壊れないのさ。逆にアリ? なあなあ、コレって逆にアリ? 無しだバカ!! つまんねーの。な〜んか、カミーユとファがうじゃうじゃとうじゃけてお終い。ノロケてんじゃねー! そんなのZじゃない!(Zじゃない)Zじゃない!(Zじゃない)本当のことさ〜。なんかホントに、それまで散々レギュラー陣が死んでるのに、ラストだけ無理矢理ZZみたいになるってのはどうよ。集団自決しない白虎隊、切腹しない忠臣蔵、殉職しないジーパン刑事みたいなもんよ?
 最も許せない変更点はヘンケン艦長の「ラーディッシュはマーク2の盾になる」のくだり。ここはヘンケン艦長が愛と職務(=クルー全員の命)を秤にかけて愛を選択。クルーもろとも一億玉砕する一等良いシーンだったはず。それが、クルー一丸となってマーク2を助けようとしてたことに改変されている。は〜? それじゃ感動もなんもなかろうが。ヌルいな〜。なんなんだよ。走ったみんなが一等賞のかけっこか? ゆとり教育か?
 何かのインタビューで冨野監督が「Z作ってた当時は鬱だった。あんときは滅茶苦茶だったわ(大意)」って応えてるのを読んだことがあるけど、結局この3部作は監督にとって「若気の至りの修正」だったんでしょうな。認めたくないもんよな。自分の、若さゆえの過ちってのは、さ。

補足説明

・「若気の至りの修正」…若さの勢いに任せて綴ったポエムや恋文や交換日記なんかを焼き捨てたくなる心理。



『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
 実在した天才詐欺師をディカプリオが演じる。追いかけるFBI捜査官にトム・ハンクス。普通「コン・ゲーム映画」というと騙し騙され知恵比べの展開が常なんだが、この映画はプリオが一方的に騙し続ける。その手口の巧妙さ、大胆不敵さがウリ。ウディ・アレンの『カメレオンマン』を思い出した。面白かったし、オープニングテーマが暫く頭から離れなくなった。
 しかし、この映画は「ディカプリオ主演(+ドリームワークス)」というイメージで損してるんじゃないかなー。あと、脇でクリストファー・ウォーケンが珍しくウェットな演技をしていた。両の眼をウルウルさせてたね。



『キャビン・フィーバー 』(→公式サイト
 全くのノーマークだったのだが、ヤックンこと荊州兵こと恋のピンチ・ヒッターこと安井僚介がクワッと目を見開き「『ブレインデッド』みたいな映画らしい」、「タランティーノやピージャクが褒めた」、「ぜってー面白い」、「面白くなかったら容赦はいらぬ! この背に向かい全矢射ち放てい!!」、「ワシは……ワシは日本一のパティシエになるんや!」、「ガっっっ……(失禁)」、「そこのネーチャン、ココ! ココ舐めてみ!!」と必死の形相で汗だくになって甲州街道の真ん中に裸で大の字になりタンクローリーに轢かれながら絶叫するので、そこまで言うのなら……と観に行った。劇場はかの銀座シネパトス。シネパトスと言えば『スターシップ・トゥルーパーズ2 』『ミーン・マシーン 』などなど、そうそうたるクズ映画を輩出し江東一帯に名を轟かせた劇場である。ものすごく不安なんだが。

 大学生の4人組が田舎のキャビンで葉っぱ吸ってドンチャンやってたらみんな死んだ。

 酷い。酷すぎるよ。見る前はゾンビ映画ぽいものだと思ってたがそうではなく、ショボいアウトブレイクだった。つまり、ゾンビ映画とパニック映画から恐怖感とスケール感を取っ払った、いいとこ取りならぬいいとこ取らない映画。ピージャクやタランティーノはどこを褒めたんだろうか。追跡調査によると、「ピージャクが褒めた云々」は、どうやらファミ通の映画レビューからの受け売りっぽい。駄目だよーファミ通のレビューなんか信じちゃ……。とにかく今後銀座シネパトスでは映画を絶対に見るまい、と心に決めた。

補足説明

・ファミ通の映画レビュー…なんでも褒めることで有名。



『ギャラクシー・クエスト』
 トカゲヘッドの人が自宅でもトカゲヘッドなので感動した。 「宇宙人が地球のSF番組を真に受けて神格化し、登場するメカを作ってやって来る」というプロットに既視感を覚えつつ鑑賞。だいぶたってから『機動戦艦ナデシコ』だと気づいた。



『CURE』
 カニバル・レクター博士は「人間は目に入るものに欲望を抱く」と説いたが、この映画の萩原聖人は「人間は目に入るものを嫌悪する」とうそぶいて心の隙間に忍び込む。 不可解な連続猟奇殺人に役所広司が挑む。怖さの演出が、見せ過ぎず見せなさ過ぎずで丁度良い。役所とタメを張るには萩原聖人ではちょっと弱い気が。
 観終ってから、身近な人を愛せているか自問自答してみるのも案外「CURE(癒し)」になるかもしれない。



『キューティーハニー』(→公式サイト
 永井豪のお色気漫画をエヴァンゲの人が監督し、その奥さんが一部のキャラデザを担当してサトエリが主役を張った話題作。

 音にきこえし尻の小さき女を見てしよりなどかこなたを向くべしと問ひつれば「頼む。後生だ。傷つけないでくれ。聞こえないのか心雑音。よせ。やめろ。いけない。見るんじゃあない。ハニー・フラッシュ!」と。  

 ふー(ため息)。思ったよりも相当つまんなかった。エヴァンゲリの監督にしてこのザマである。なんか、やっぱり日本人には空想科学漫画を実写で映像化する才能が無いんじゃないかと思う。すべてにおいて安っぽいというか。これ深夜の情報番組の1コーナーだったら拍手できると思うんだけどね。それを金とって2時間かけてやられちゃな〜。特撮のレベルがお子様向けなのは、まあ仕方がないとして、ストーリーがお粗末すぎる。コミカルとシリアスのバランスが全く取れてない。ハニーの父や京本正樹教授に関するエピソードが何も無いところへ持って来てハニーが「夜霧のハニー」をバックに沈んでみせたところで、どう感情移入してよいのやら。あとギャグのセンスがサムすぎる。わざとらしく「お手上げ」のポーズをしてみせる探偵とか、(ジョージアのCMを意識したっぽい)バレバレの変装で会社に潜入するところとか、片桐はいりとか松尾すずきとか。一番ヤバいと思ったのはカラオケで「津軽海峡冬景色」歌うところかな。
 田中要次と森下能幸が、『キル・ビル』に続いて2人とも出演しててちょっと笑った。すごい2人だ。森下に到っては出番1秒間ぐらいなのでお見逃しなきよう。あ、もう公開終わってるか。

補足説明

・やっぱり日本人には…予算の問題もあると思うけど。現実離れした設定になればなるほどボロが出て来るような。



『96時間』(→公式サイト
 リュック・ベッソン製作・脚本のクライム・アクション? スパイもの? 予告を見てちょっと面白そうだったのと、主演がリーアム・ニーソンというキャスティングに興味をひかれた。

 元CIA諜報員のブライアンは離婚した妻との間にもうけた一人娘の成長を見守るのを生きがいにしていたが、その一人娘が旅行中にパリで誘拐されてしまう。

 ブライアンの救出作戦には一応「96時間」というタイムリミットがあるんだけど、これが「誘拐事件の被害者が無事でいられると考えられる期間」という曖昧設定で、結構余裕があるように見えてしまう。
 しかし改めて見るとリーアム・ニーソンってでけえな。確かにCIAの腕利きっぽい雰囲気。諜報活動で培ったテクニックでじわりじわりと黒幕に近づいていく過程はなかなかのサスペンスだし、もちろんベッソンらしく派手なカー・チェイスも堪能できるし、当然のように地元の警察はボンクラ揃い。この監督は警察に恨みでもあるんだろうか。続編にも期待したい。

補足説明

・ちょっと面白そうだった…「あんまりふざけてないときのリュック・ベッソン作品」という印象を受けた。

・曖昧設定…実際娘と一緒にさらわれたバカ女は、なんか5時間ぐらいで死んでたし。



『キラークラウン』
 未公開の名作B級SFホラー。
 宇宙からの侵略者は、なぜかピエロの顔をしていた! 犬の風船やパイ投げを駆使して町を侵略。 最後に巨大なピエロのボスが出現。 主題歌がかっこ良い。



『嫌われ松子の一生』(→公式サイト
 『下妻物語』の中島哲也監督が中谷美紀を主演に据えて1人の女の転落人生を描いたという。予告を見る限りそんな面白くない気がするんだが。

 1人暮らしの中年女性、松子が何者かに殺された。
 絶縁状態の弟の依頼で、嫌々ながら松子の遺品整理を始めた甥は、叔母と関わった人々に接するうちに、この女の数奇な生涯に惹き込まれる。

 下妻と比べると全く救いがない壮絶な悲劇だけど、監督のテイストであるポップな画面作りによってそれほど深刻にならずに物語りに引っ張っていかれる。あっという間の2時間超だった。ミュージカル仕立てでもあり、ところどころに挿入される時事ネタが隠し味になっていて昭和後半を振り返るドキュメンタリーとしても見ることが出来る。不思議な映画。チョイ役に至るまで相変わらず面白いキャスティング。
 幸いにして、白痴に近い純粋な松子の性格に全く共感できなかったので、それほど嫌な気分にはならなかった。松子、男に依存しすぎ〜。もうちょっと自分ひとりで幸せを見出す努力をしようぜ。
 あらゆる男に裏切られ続け、引き篭もりドカ食いしてぶくぶく太って最期に辿りついたのがブラウン管の中のジャニーズってのが、えれぇリアルさで目を覆いたくなった。

補足説明

・えれぇリアルさ…そういう知り合いがいた。



『キル・ビル』(→公式サイト
要次(多分)  前後編に分かれたタランティーノ最新作の前編。当初、ヤックンこと鎌倉男爵ことフジツーさんこと安井僚介と『フレディVSジェイソン』を観に行く予定だったんだが、道中おばあさんの手をひいて横断歩道を渡ったり、ダンプカーの前を横切った仔犬を助けたり、女の子が転んだ拍子に落としそうになった高価な壷をキャッチしたり、ファーストキッチンでチリドッグと焼とうもろこしポテト(←意味不明な食い物)を買ったりしているうちに遅刻してしまい、それでも『ファインディング・ニモ』と『ラスト・サムライ』の予告をまた見るよりはいいじゃろ? と思ったら「予告なし」の回だったのであきらめて他の映画にすることにした。歌舞伎町まで歩き、ちょうど上映に間に合う映画を探して駆けこんだのがこの『キル・ビル』で。さすがに話題作、しかも公開初日の最初の回にすべり込みとあって混んでおり、席がムチャクチャ前の端っこで、ヤックンは「こんな前で映画見たこと無いよ。(スクリーンが)平行四辺形」とプリプリ怒りだしたので、焼とうもろこしポテトを袋ごと与え、「いいか、山岳隊が遭難したときはな、寒さでも飢えでもない、仲間割れから行動を誤って自滅するんだよ?」と言ってきかせると、理解してくれたのか、大人しくなった。そうこうしているうちに予告編の上映が始まったんだが、『ラスト・サムライ』の予告で「400ドル払う用意があります」と言う日本人の提督の顔がビニョ〜ンと歪んでて、真横から見ると髑髏が浮かび上がるだまし絵みたい。でもすぐに慣れた。

 かつて世界最強の暗殺者としてブイブイ言わせたこともあるユマ・サーマンが、足を洗って堅気の男と結婚式を挙げていたら、暗殺組織の刺客がやってきてみんな殺されてユマも植物人間になった。昏睡から目覚めたユマは、式をムチャクチャにされた4人の殺し屋とボス(ビル)への復讐を誓う。

 『レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』などに漂っていた「スタイリッシュ」、「お洒落」な雰囲気を完全にかなぐり捨てて、タラちゃんご乱心、俺は俺の道を行く、俳優から音楽から舞台に至るまで、任侠、忍術、チャンバラ、アニメ、クンフー、マカロニウエスタンが混ぜこぜになった、監督の趣味性丸出しの作品に仕上がっていた。フィクションの楽しさのみを追求した清清しさだ。『新・仁義なき戦い。』のテーマがかかるセンスに、タランティーノはよく見てるなあ、と感心した。あの映画で良かったは、その音楽がかかる場面だけだったし。『グリーン・ホーネット』のテーマのアレンジ・バージョンや「ウイークエンダー」で「新聞によりますと…」の前にかかる音楽(『鬼警部アイアンサイド』のテーマ)も良かった。タランティーノはテーマ音楽が好きなんだな。久しぶりにパンフと一緒にサントラも買った。そう言えば映画館でサントラ買ったの『新・仁義なき戦い。』以来だ。前にも触れた田中要次と森下能幸が、2人とも出演してて笑った。『サトラレ』の「ばあちゃん、ごめん」で涙ぐんだ田中が、『刑事VS刑事』で尻に菊の花を挟んだ森下が、揃ってハリウッド進出である。



『キル・ビルvol.2』(→公式サイト
 タイトルからわかる通り『キル・ビル』の続編、というか後編。最初に明らかにしておくと、僕は前作にそれほどノれず、そもそもタランティーノ作品自体あんまりノれない体質なので、今回の後編も何も期待しないで観た。事前に買ったサントラも前編ほどオモロくなかったし。モリコーネ多過ぎ。

 ヴァニータ、ソフィ、オーレン・イシイを始末して復讐ツアーもいよいよたけなわ。残り3人を求めて舞台はテキサス〜メキシコへ。

 やっぱりあんまり…。一応ラストまで興味を持続しつつ鑑賞できたけど特に感動も無い。★3つかな。以前にも触れた駄目なアクション映画の法則「主人公以外のふたつの勢力が勝手に潰し合う」をやっちゃってるし。前編のはっちゃけぶりは息を潜め、サブタイトル「ザ・ラブ・ストーリー」が示す通り、クライマックスに近づくにつれてビルとブライドの恋愛関係エトセトラに比重が移る。「会話のタランティーノが帰って来た」とか言われてもな。地味だよな。プッシーワゴンは廃車だしな。ビルが意外にこじんまりまとまった好々爺だったのも拍子抜けだ。個人的に最大の焦点だった「ザ・ブライドの本名は何故伏字か」の理由が明らかにならなかったのが一番ガッカリだ。いや、本名は明らかになるんだけど、なんで伏字にしてたのかが本気でわからん。誰か説明してください。
 サミュエル・L・ジャクソンが結婚式のパイプオルガン奏者として出演。やたらに渋格好良く紫煙をくゆらせていたのがちょっと良かった。暗がりのためよほど目を凝らさないと同定できないのが難だったけど。『ジョニー・スエード』でクラシックベースを真暗闇で奏でてたサミュエルを思い出したよ。出世したよね、サミュちゃん。前編の教会でオルガンに突っ伏してる死体はサミュエル・L・ジャクソン本人が演じてるんだろうか。DVDで確認したけどわからなかった。顔見えないし、クレジットにも名前無いし。
 あ、そうだ。ここからすごいネタバレぽいこと書く。最後に五点掌爆心拳によってビルの胸を打診っぽくトントコ叩いて決着が着くシーンでは、残悔積歩拳ハリウッド版『北斗の拳』を思い出して笑いそうになっちゃったよ。決して笑うシーンじゃないはずなのに。

補足説明

・『キル・ビル』…1作目の感想はコチラ

・僕は前作にそれほどノれず…田中の親分が何言ってるのか全然聞き取れなかった! 最初のコッパーヘッド戦が一番良くて、あとは下降線というイメージ。サントラは良かった。

・タランティーノ作品自体あんまりノれない…★5つ満点で評価すると『レザボア・ドッグス』★★、『パルプ・フィクション』★★★★、『ジャッキー・ブラウン』★、『キル・ビルvol.1』★★★ぐらい。脚本で関わった『トゥルー・ロマンス』★★、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』★★★★★。あと『フォー・ルームス』★★。要するに僕は「途中から話がすごく変な方向に逸れていくQT映画」が好きらしい。

・こじんまりまとまった好々爺だった…弟の心配をしてみたり横笛を吹いてみたり師匠に殴られてアザを作ったり子供とじゃれてみたりスーパーマンに対する独自の解釈を披露したり。もうちょっと恐い側面を見たかった。ただ、腰にぶら下げた2丁拳銃は格好良かった。オモチャみたいに口径がデカくてギンギラなやつ。演じるデヴィッド・キャラダインは『デス・レース2000年』のフランケンシュタインなんだな。100数本の映画に出演しているベテランらしいけど、僕の中では『デス・レース2000年』(1976)→『テキサスSWAT』(1983, どこにいたか不明)→『キル・ビル』(2003)という俳優だ。ブランクありすぎ

・『ジョニー・スエード』でクラシックベースを真暗闇で奏でてたサミュエル…すっごい端役。わかってて観てもほとんど判別不能だった。

・ブランクありすぎ…同じように「僕の中でブランクありすぎ俳優」として『エクソシスト』(1973)→『ニードフル・シングス』(1993)→『マイノリティ・リポート』(2002)のマックス・フォン・シドーがいる。



『キング・アーサー』(→公式サイト
 本当は期待に胸膨らませて『マッハ!』を観に行ったんだが、ヤックンことムキンポこと蛆虫こと安井僚介の野郎が「寝てた〜」とかアホ面下げて遅刻して来やがったので、仕方なく上映時間の都合がつくコレを観るハメに……。うげえ〜。だってコレ、剣のやつじゃろ? 恐らく上映前のそこそこ人が入ってる館内で1番テンション低かったと思う。

 ススメー、ススメー、モノドーモー
 ローマ帝国が疲弊しだした5世紀頃のブリテン島。隙に乗じてサクソン人が攻めて来た。
「後は任せた」
 ローマの司教が逃げたので、地元のアーサー王と部下は迎え撃った。勝った。

 みなさんはアーサー王伝説と聞いて何を思い浮かべますか? 人それぞれだとは思いますが『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』や『モンティ・パイソン・アンド・ホーリーグレイル』やJ・H・ブレナンの「ドラゴン・ファンタジー」シリーズを見て育った人間(=僕)としては「剣(エクスカリバー)と魔法、聖杯にドラゴンに黒騎士にランスロットとギネビアの不倫にニッの騎士に詩の魔神」なんかを想像するわけ。しかし、この映画はアーサー王伝説の元になった実在した(らしい)アーサーという人物にスポットを当てているため、前述の太字で示したうちの「剣(エクスカリバー)」しか出て来ない。しかも回想シーンでチョロッと出て来るだけ! ふざけんな! そんなもんFFVのエクスカリじゃい! 喩えるなら「あっ! ピノコがいるヨ!」って声で振り向いたら内臓のピノコだったようなもん。どないせえっちゅーねん。これ組み立てろってか? もともとこういう「単なる剣のやつ」が苦手な僕にとっては地獄の責め苦にあってる気分。現実逃避で2/3寝た。何が哀しくて映画館で現実逃避しなきゃなんないのか。
 寝てたおかげでストーリーはよくわからなかったんだけど、マーリンの扱いがひどい。最後にアーサーとギネビアが結婚するときの仲人以上の働きをしてなかったような。ちょっとした魔法ぐらい使ってほしかった。
 ダラダラした展開もマイナス。戦闘シーンが少なすぎる。剣劇は冒頭と最後の2箇所のみで、それさえ工夫のうかがえない単調なもの。ってか、サクソン人が馬鹿すぎる。1箇所に固まってゆっくりと徒歩で行軍するだけ。戦略が無い。キミらはあれか? ボコスカウォーズか?

補足説明

・FFVのエクスカリパー…ダメージ1。

・「単なる剣のやつ」…史実よりの歴史もの。ソード&ソーサリーのソードだけ。文明が発達してないのがムカつく。チンタラ馬で移動したりさ!

・ちょっとした魔法…メラゾーマやアルテマまではいかずとも「木を繁茂させる」とか「食料を作り出す」とかいった、なにげに高レベルだけど地味なクレリックorドルイド系のスペル希望。



『キング・コング』(→公式サイト
 LOTRのピージャクが『キング・コング』をリメイクしたという。

 無人島から連れてきたでっかいゴリラが大暴れ。

 こういった「監督の思い入れのある題材」がテーマの映画の場合、往々にして駄作になるものだけど、この映画はちゃんと娯楽作品として面白かった。コングの他にも恐竜や巨大昆虫軍団なんかも出てきて飽きさせない。化け物だらけの島に住み着いている原住民の汚いババアが得意げに「トレコング! トレコング!」言うのがやかましかった。お前の手柄か。
 あと、「死ねばいいのに」ってキャラが野放しのまま終わるので、その点はマイナス。



『グラン・トリノ』(→公式サイト
 イーストウッド監督作品。『チェンジリング』から間を置かずの公開ということになる。

 退役軍人のイーストウッドは妻を亡くし生きがいを失っていたが、隣に住む中国人のタオに愛車グラン・トリノを盗まれかけたのがキッカケでタオを一人前の男に育てようとする。

 予告編から判断するに『許されざる者』みたく、チンピラにこずかれ回されて怒りゲージMAXに達したイーストウッドの全身が明滅を始めクライマックスでミラクルマサクル大爆発!! お前の母ちゃんファックした明日は父ちゃん掘ってやる的な映画かと予想しワクワクして観た。しかし、詳しく言えないが違ってた。なんつーかな、もうイーストウッドさんも年が年だし、従来のヒーロー像を演じ続けるのに疲れたんじゃろか。仕方ないんだけどガッカリ。タオ一人勝ちじゃん。なんかグラン・トリノ貰ってニンマリしちゃってさ〜。

補足説明

・詳しく言えないが違ってた…誘い受けっつーか、ダッシュで近づいて「当身返し」みたいな。

・従来のヒーロー像を演じ続けるのに疲れた…時代と自身の役者的資質と年齢を見据えたクレバーな選択なんだけどさ。あまりに計算されてる感じがして嫌だ。「いつまでも馬鹿やってらんないしよ〜」って言われた気分ッス。

・タオ…とっつぁん坊や風の中国人少年。登場するアジア系の俳優がリアルな感じで良かった。タオなんか準主役なのに華がない風貌だし。

・アジア系の俳優がリアルな感じ…ありがちな、名前の片方が西洋(ヴィッキー、アンディーなど)で美形でハメ撮りで、みたいなのとは一線を画すご近所の薄馬鹿って感じの風貌。



『クリムゾン・タイド』
 昔、テレビで観たときにリアルタイムでとった記録。

21:07 02/09/06:ロシアが大変なことになっているようです。
21:08 02/09/06:音楽ハンス・ジマー。ジマーね。なるほど。
21:09 02/09/06:デンゼル・ワシントンとジーン・ハックマンが出てきた。
21:10 02/09/06:物事の本質を知るのに本は必要ないんだって。
21:12 02/09/06:ロシアの反乱軍が中国と北朝鮮の国境を占領したそうです。そっから核爆弾が飛んで来るかもっていう話。そいつらをやっつけに原潜「アラバマ」が行く。そして副長は新任のデンゼルだった。
21:15 02/09/06:艦長はハックマン。なんか演説してます。「臆病なヤツは空軍へ行け!」って。やっぱ空軍と海軍て仲が悪いんでしょうか。
21:16 02/09/06:デンゼルとハックマンが葉巻を吸う。
21:17 02/09/06:なんか賛美歌をバックに原潜が潜航中。
21:18 02/09/06:いきなり厨房が火事だー! お前ら大丈夫かぁ?
21:19 02/09/06:デンゼル自ら消火活動だ。
21:20 02/09/06:いきなりミサイルシステムの予行演習をしだすハックマン。「なんでこんなときに!?」デンゼルむせながら怒ってる。
21:22 02/09/06:デンゼルは右目の上のあたりに傷跡があるぞ。自転車でこけたのかなあ。何かの伏線かも?
21:23 02/09/06:誰かが死にました。
21:24 02/09/06:わかってきた。頑固なハックマンとデンゼルの対立の映画だ!
21:25 02/09/06:死んだ人は太りすぎだー火事のせいじゃねえもーんってハックマン。
21:27 02/09/06:CM。そうだ、冷蔵庫のビールを飲むことにしよう。
21:27 02/09/06:ミキプルーンのCMだ! しかも新バージョン!! ゲラゲラ。
21:29 02/09/06:ビールだと思ったら発泡酒でした。
21:29 02/09/06:反乱軍が核ミサイルを発射しようとしてるそうです。
21:30 02/09/06:アメリカと日本に発射しようとしているらしい。何やってんの、自衛隊! 弾幕薄いぞ!
21:32 02/09/06:犬が小便をした。
21:32 02/09/06:デンゼルが「士気が下がってるぜ?」って。それを艦内放送するハックマン。「嫌なヤツはこの艦降りれ〜」。そりゃ無理だよ。イジメだ!
21:34 02/09/06:レーダーに反応あり。潜水艦か!?
21:35 02/09/06:国家最高司令部からミサイルの発射命令が来たー。主砲撃てー! なんかいきなりクライマックスだぞ!?
21:36 02/09/06:こいつら核ミサイルもう撃つ気だ! 敵を叩くには早い方がいいってさ。
21:38 02/09/06:相手が巨大タコだったらどうする気だろうなー。
21:39 02/09/06正体はロシアのアクラ級潜水艦だったー。反乱軍の潜水艦かもしれないってよ。アクラとは?
21:40 02/09/06:これは現実だ。演習ではない!
21:41 02/09/06:敵影が消えた。
21:42 02/09/06:撃つのやめたようです。浮かんだら敵にバレるので沈んだままだって。『眼下の敵』みたいだー。
21:43 02/09/06:敵が戻ってきていきなり魚雷ぶっぱなしたー!
21:44 02/09/06:CMです。松雪泰子です。小池栄子です。よし、いいぞ。
21:45 02/09/06:みんゴル3がサンキュッパ。ワシはプロで挫折した。
21:46 02/09/06:ゴーヤーちゃーん! プルー! 沖縄ナメてます。
21:47 02/09/06:廊下に一列になって魚雷に備える乗組員。意味あるのか?
21:48 02/09/06:外れた! けど二発目がキター!! 結構近くで爆発したみたい。敵艦を見失ったポ。
21:49 02/09/06:攻撃のせいで指令が切れた。司令部に確認するかどうかでモメるデンゼルとハックマン。
21:52 02/09/06:頑固なハックマン。ポパイ刑事を彷彿とさせる。
21:52 02/09/06:いきなり「お前はクビだ!」って怒鳴るハックマン。怒鳴るデンゼル。うるせー。
21:54 02/09/06:ハックマン艦長が指揮権を剥奪されました。デンゼルの台頭。敵は今が絶好のタイミングだったのにな。
21:56 02/09/06:二十世紀末、デンゼルがその発言力を強めました。そしてハックマンは犬と独房に閉じ込められた。
21:58 02/09/06:でも部下の態度が悪い。
21:58 02/09/06:敵はまん前だったー。魚雷が来たのでオトリ魚雷でしのいだ。
22:00 02/09/06:アクラに命中したー。奇跡の生還のテーマが鳴り響く。でもこっちにも当たったー。
22:03 02/09/06:どんどん沈んでいく潜水艦。深度500メートル。これはダメかもしれんね。
22:05 02/09/06:CMです。菅野美穂。武富士。
22:08 02/09/06:浸水したところを隔離するためにハッチを閉めるようです。あ、人が死んだ。
22:10 02/09/06:なんかまた浮き始める潜水艦。ハックマン何してるんだろう?
22:11 02/09/06:勝手にハックマンに指示を仰ぎに行くヤツが。こいつジェームズ・ガンドルフィーニか?
22:13 02/09/06:船が艦長派と副長派に分裂しようとしています。
22:14 02/09/06:「ヤる気のないヤツがコンドームつけるか?」。
22:15 02/09/06:反乱が始まったー。
22:17 02/09/06:不穏な空気を察知してマスターキーを下士官に預けるデンゼル。
22:18 02/09/06:ハックマンが簡単に復権しました。これはクーデターですよ?
22:22 02/09/06:ハックマンは指令の再確認をしないで核ミサイルを撃つ気だ。
22:24 02/09/06:CM。セパ。
22:26 02/09/06:神奈川県横浜・川崎・三浦半島に大雨洪水警報。
22:26 02/09/06:デンゼル派が動き出した。さっきの鍵を預けられた下士官が活躍。
22:28 02/09/06:あと3分でミサイル発射されまっせー。
22:29 02/09/06:発射トリガー金庫から出し係にやめろと言ってるデンゼル。発射トリガー金庫から出し係どうする?
22:31 02/09/06:発射トリガー金庫から出し係は躊躇した。
22:32 02/09/06:怒ってハックマンが来た。発射トリガー金庫から出し係の部下を殺すと脅すハックマン。こいつ狂ってる。
22:34 02/09/06:わー発射…されなかった? デンゼルが間に合ったようです。何かに。どっかから艦長のキーを抜いたとさ。
22:35 02/09/06:「こちらカーク船長、ワープスピード9」とか言うデンゼル。
22:36 02/09/06:ハックマンがしたたかデンゼルの頬を殴る。
22:37 02/09/06:無線が復旧するらしい。これで司令部の指示を再確認できるね。「撃て」なわけねーが。
22:38 02/09/06:なんか馬が黒とか白とか。人種のメタファーですかな?
22:39 02/09/06:敵ミサイル、あと4分で発射されちゃうyo〜(><;
22:40 02/09/06:CM。スーンスーンスーン。
22:43 02/09/06:正式な指令を確認。シーン。
22:44 02/09/06:ハックマン「ミサイルの発射は中止」。みんな「やったー!」。犬「ワンワン」。
22:45 02/09/06:ハックマン自ら退場。「反乱軍は降伏、ミサイルの攻撃を中止せよ」。やっぱりね! こうなると思ってたんだ。
22:46 02/09/06:軍法会議だ。「軍規に照らし合わせるとハックマンもデンゼルも両方悪いにょ」。
22:49 02/09/06:ハックマンは希望により引退。後任はハックマンの推薦によりデンゼルになった。アメリカの正義が継承されたー。
22:50 02/09/06:ハックマン「キミが正しかった」。おせーよ! そして犬と消えるハックマン。
22:51 02/09/06:本当は核ミサイル発射ボタンは大統領の手にあるんだって。そらそうやで。こんなヤツらに命運握られたないわい。
22:51 02/09/06:終わったー。あ、フォントサイズのタグを閉じ忘れてた。

 面白かったんだろうかこの映画は。見終わってみたら頭の中に何も残っていなかった。



『グリーン・ホーネット』(→公式サイト
 元々がアメリカのラジオ・テレビ番組。未見だが、評判が良いので観に行った。

 新聞王のボンクラドラ息子であるブリットは父親の急逝によりなぜか正義に目覚め、余りある財力を背景にカンフー&メカニックの達人である部下のカトーの助力によりグリーン・ホーネットとして名乗りを挙げた。

 面白かった。★4〜5の間。★5でいいか。とにかくブリットとカトーのボンクラコンビが見ていて清々しく微笑ましい。思い返すたびにどんどんこの二人が好きになってくる。ブリットの財力と新聞社を利用したメディアへの影響力、カトーの武力&メカの才能、どちらが欠けてもグリーンーン・ホーネットの活躍は成し得ない。この二人の絶妙な力関係と、そこから巻き起こるじゃれあい的な牽制が可笑しい。キャメロン・ディアスを巡る変な三角関係もほのぼのしている。
 ジェイ・チョウ演じるカトーはメカ&戦闘の天才、さらにアニメ絵を描いたりするオタク気質の持ち主。ブリット=グリーン・ホーネットの活躍が広まるにつれ「その助手」としてしか見てもらえない自分の境遇に不満を持っている。オリジナルではブルース・リーが演じてたんだけど、とりあえず東洋人というだけで、これみよがしにそういうアプローチをしないのは正解だと思う。ブリット役のセス・ローゲンの脳天気でコミカルな演技も良かった。どう見てもヒーローじゃないし。どのぐらい脳天気かというと、カトーに向かって「孤独な匿名ヒーローの責任感から来る重圧に耐えられなくなったか?」って『バットマン』を小馬鹿にしたようなセリフをシレッと言い放ったりする。映画オタクという設定らしく、ときどきつぶやく映画小ネタにまわりが誰も反応してないのも良い。わかるわ〜。
 また、この映画の第三の主役とも言えるのがカトーがカスタマイズする万能カーであるブラック・ビューティー号。もうオタクが夢想するオレ的かっこいいカーの集大成みたいな機能が満載だ。今となってはこういうレトロ調の無骨でカクカクした高級車が逆にかっこよく見える。しっかり火炎放射するのもツボ。
 3D上映版を観たんだけど、その仕様を意識した演出が随所に成されていた。これは3Dで観るべき楽しい映画だと思う。

補足説明

・オタクが夢想するオレ的かっこいいカーの集大成みたいな機能…ホイールから飛び出すスパイクを見たブリットが「『ベン・ハー』(の戦車戦)みたいだ」って驚嘆したのがそのまま名詞化してピンチのときに「ベン・ハー出せベン・ハー!」って叫ぶのが可笑しい。



『紅の豚』
 男のロマン垂れ流し映画。深刻に悪い人間が出てこないので緊張感が薄かった。 アメリカの飛行機乗りは大統領になると言いつつ映画スターになったみたいだけど、レーガン大統領がモデルだろうか。



『グレムリン』
「ヤムヤム、ウマイ」
 サミュエル・L・ジャクソンが出演していると聞き鑑賞。可愛いお猿のギズモから変身した醜悪な小悪魔グレムリンがクリスマスの田舎町で大騒ぎする映画。サミュエルは物語の中盤でグレムリンに殺されてしまう。しかも注射器を尻に突き立てられてかなりみっともない。ナンマンダブー。この映画のサミュエルはすごく痩せていて別人のよう。まあ17年も前のことだし…と思って公開当時に購入したパンフをチェックしてみると、別人でした。ア、アレ? ネットで発見した「『グレムリン』にサミュエル・L・ジャクソンが出演している」という情報がガセだった模様。というか、ビデオ借りに行く前に確認しようよ>自分。というわけで、サミュエル度は2点ぐらいかな? 改めて見ると、主人公の母親が1人でグレムリン3匹も始末しているのでカッコイイ。あと、騒動の最中にフィービー・ケイツがボソボソ語るトラウマがすごすぎ。クリスマスの夜から行方不明になったパパは、サンタの格好のまま煙突の中で腐ってましたとさ。なんで今そんなこと言い出すかなー。続編で主人公とフィービーがやや太り気味だったのが嫌だった。
↓主演のザック・ギャリガン逮捕の哀しいニュース http://www.eiga.com/buzz/030128/index.shtml



『クローバーフィールド/HAKAISHA』(→公式サイト
 NYに現れた「何者か」によって自由の女神の首がスッポーンゴロゴロゴロッと飛んでくる映像をハンディカメラで撮影した予告編以外の一切の情報がない状態で公開初日に鑑賞した。「何者か」の正体とは。

 ロブの日本転勤パーティーでハンディカメラを回していた男は、後に「クローバーフィールド事件」と呼ばれることになるパニックの一部始終をフィルムに収めることになった。

 「怪獣版ブレアウィッチ」というか「ハンディカム版GODZILLA」というか。僕はブレアウィッチのあの方式がかなり好きなので面白く鑑賞できた。たまにはこういうのもいい。全編これハンディカメラによる手ぶれアリアリの映像なので、体調によっては激しく酔うかもしれない。これディズニーランドのスターツアーズorストームライダー方式の揺れる客席で見てみたい。
 水曜スペシャルの探検隊シリーズみたく、なっかなか怪獣の全貌が明かされない。このひきはうまいね。最後にちゃんとバーンと見せちゃうところも良かった。しかし、怪物のデザインは、正直ちょっとガッカリしたな。途中でチラチラ見える体や四肢はちゃんと怪獣っぽかったのに、顔がなんか、ジャバザハットの宮殿の地下にいたやつティムバートン版スーパーマン(お蔵入り)のドゥームズデイみたいなの。う〜ん。『プレデター』もそうだけど、アメリカ人の考える怪物ってどうしてこんな顔なんだ。元を正せば教会にあるガーゴイルに行き着くんだろうか。わかりやすい怖さ。なんでもかんでも擬人化すりゃいいってもんじゃないだろー。
 エンドロールで流れるスコアが、もうあからさまに伊福部サウンドで可笑しかった。

補足説明

・たまには…全部の映画がこの方式になったらたまったもんじゃないが。

・あからさまに伊福部サウンド…探したらyoutubeに(音だけ)あった。http://jp.youtube.com/watch?v=k64oSCrUJiE



『黒蜥蜴』
 1962年 大映  大木実(明智小五郎) 京マチ子(黒蜥蜴)
 大昔に渋谷のどっかでやった乱歩祭りで鑑賞。『双生児』と、監禁モノ(名前失念)との3本立てだったと思う。3本の中では一番インパクト大だった。 一応、原作にほぼ忠実に物語は進行する(通天閣が東京タワーに変更)けど、ところどころ大げさなミュージカルになる。明智が「頑張れ日本一!(←自分のこと)」と自らを叱咤激励したり、用心棒が「ヨ〜ジンボー♪」とおにぎりをパクついたり、セットがヘロヘロだったり、乱歩ワールドが音を立てて崩れていく。「美輪サマの黒蜥蜴が見たかったのに…」って連れが言ったのを覚えている。



『刑事グラハム/凍りついた欲望』
レクター '86年
・T・ハリス『羊たちの沈黙』のひとつ前の作品
・レクター3部作の1作目
・原作のタイトル『レッド・ドラゴン』
・映画の原題『MANHUNTER』
・後に『羊たちの沈黙』のヒットを受け、『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』と改題されて販売
・A・ホプキンスがレクター博士を演じるリメイクが『レッド・ドラゴン』として2003年3月公開予定
 レクター博士を逮捕した捜査官が主人公。原作にあった犯人のトラウマに関する描写やラストが微妙に異なる。すでに収監中のレクター博士をブライアン・コックスが演じる。「沈黙」はしてないけど活躍もしてない。監獄が白く近代的な建造物で『羊たちの沈黙』のそれとは大きく異なる。サントラとの兼ね合いか、脈絡なくロックが流れたりして、今見ると古臭さがぬぐいきれない。



『ケイゾク/映画』
 TVの最終回→特別編→映画
3度目の「最終回」。 テレビ版は後半グダグダになるまでは面白く観れたんだが。エエ加減にせい、と思いながらも根性で鑑賞。 ゴリさんこと野々村係長(補佐)が途中から出てこなくなるのが不満。小雪は良い。



『ケイブマン』
 ドキ★ 浮浪者は名探偵!?
 この映画のサミュエル・L・ジャクソンは、元天才ピアニストで現役ホームレス。いや、正確にはホームレスではなく、N.Y.の公園にある洞窟に住んでいる。彼は精神を病んでおり「蝶の羽が生えた黒人の天使」や黄色い「Y光線」、緑色の「Z光線」、元妻の幻影につきまとわれている。世界はクライスラー・ビルの屋上にいるスタイヴェサントに操られているのだ、と。ある冬の朝、洞窟を出た彼は向かいの樹の上に凍死体を発見する。
 最初は突拍子もない設定についていくのに苦労するけど、観終わると意外に普通だったな、という感想を抱いた。



『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』(→公式サイト
 劇場版3作目となる、テレビドラマ『TRICK』の映画化。僕はテレビ版は見てないのに劇場版2作と、あとスペシャルだけ全部見てるという特殊な人間であり、ファンとはとても公言できないけど、割と好きなシリーズだ。少なくともいつかテレビシリーズも見たいな、機会があれば、ぐらいには考えている。

 万練村の次代のカミハエーリ(村を統べる霊媒的存在)を決めるため各地から集まったうさんくさげな霊能力者に、ひょんなことから山田(仲間由紀恵)&上田(阿部寛)コンビが立ち向かう!

 いやはや、舞台の万練村というふざけたネーミング通り、小ネタからストーリー展開から舞台設定に到るまで、全編これ、いつも通りのおふざけと悪ノリと内輪ギャグ(シリーズのファンのための)で埋め尽くされており、ホッとした。いや、このシリーズはこれでいいんだよ。テレビシリーズの映画化というと、変に気張って大げさになったりシリアスになったりしがちな風潮の中、本当にスタッフは身の丈をわきまえてる。自分たちが何を求められているかわかってる。
 感想は、以上かな〜。
 山田&上田コンビの関係も、ものの見事に進展も発展も成長もしないしな〜。逆にこの二人が男女の関係になったら嫌だよ。



『激突!』
 ひと時代もふた時代も早く「ストーカー」を描いた傑作。 なにげなく追い抜いたタンクローリーが執拗に後をつけて来る恐怖。様々な嫌がらせはエスカレートし、やがて悪意は殺意に変化するのだった。広大なアメリカのハイウェイならではのサスペンス。顔を見せないタンクローリーの運転手が心底不気味。こいつの小中高時代に隣に座ってたヤツらはさぞ嫌な思いをしただろう。



『ゲッタウェイ』
 スティーブ・マックイーン主演。サム・ペキンパー監督。'72 銀行強盗、仲間の裏切り、夫婦2人で逃避行。
 マックイーンは無表情で頭が切れ、冷静沈着で人を信じないワルを演じる。ショットガンとリボルバーの使い分けが見事。逃走の手法も手を変え品を変え飽きさせない。ラストは意外だった。



『現金に体を張れ』
 キューブリック監督。良くも悪くも昔の犯罪映画って感じ。とりあえず計画は成功するけど仲間割れで自滅、みたいな。主役の男がな〜んかステーキ食ってる最中に咽喉を撃ち抜かれそうな顔してるな〜、と思ってよくよく見るとやっぱり『ゴッドファーザー』のマクルスキー警部だった。



『恋に落ちて』
 ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープのラブ・ストーリー。クリスマス間近のNYが舞台。妻持ち夫持ち中年の恋愛を描いた、よくあると言えばよくある話で、淡々とした展開。しかし演技派2人の表情を見てるだけでも飽きない。 デ・ニーロが妻に浮気を告白するシーン
デ:(肉体的なものは)何もなかったんだ
妻:なおさら悪いわい!
 でバチコーンとほっぺたはたかれるシーンが印象に残っている。つまり「ついムラッとしちゃったから」な浮気の方が救いがあるということかな?



『仔犬ダンの物語』
 『ピンチランナー』は「モーニング娘。>ストーリー」な作りだったが、こちらはかなりストーリー寄り。しかも主役はハロー!プロジェクト・キッズの小学生たち。モー娘は添え物程度の脇役だった。あらすじは、盲目の犬を団地のみんなで飼おうとする話。目が見えない動物はグルグル回るんだって。言ってみれば「小学校で道徳の時間に体育館で見るような内容」であり、ツッコみどころも少なく、ちょっとコメントに困ってしまう。「お子さまの徳育にどうぞ」ってところだろうか。バンバンと兵藤ゆきが間を置かずコンボで出てくるところはウけた。ヨッスィーはジャージにウインドブレーカーで登場。女子サッカーチームのコーチ役なので納得するしかないんだが、その後の私服がオーバーオールって、昨日の紅白と一緒だー。「体のラインを誤魔化そうとしてる人」に見えてしまい、仔犬ダンよりも泣けた。



『交渉人』
サミュエルー! カンバーーークッッ!!!
 ハッキリ言ってあんまり期待してなかったんだけど、意外にイケた、というか、すごく面白いのでビックリした。サミュエルは、人質をとって立て篭った犯罪者を説得する「交渉人」という役柄。狙撃の名手かつ爆発物のエキスパートかつ戦略に精通した、警察の中でもエリート的な存在。で、観る前は「サミュエルが交渉人としてイカレた凶悪犯と戦うアクションand会話半々ぐらいのどっちつかずな話だろう」と思っていたんだけど、かなり違っていた。警察内部の汚職にからんだ事件で、サミュエル自らが逮捕されかけてしまい、逆ギレしたサミュエルが汚職の黒幕とおぼしき人物ほか数名を盾に、市の建物に立て篭もってしまう。ここまでがすごくテンポが早い。観てて「エエッ!?」と思った。で、かつての仲間である警官やFBIやスワットがビルを囲み、「交渉人であるサミュエルを相手にした交渉」が始まるわけだ。説得しようと試みる警官に対して、「交渉するときには死を連想させる牧師の話を出すな。NOと言うな」など、逆にレクチャーしてしまうサミュエル。かっこいい。んで、サミュエルは汚職疑惑を晴らすために、管轄の違う地区の交渉人であるセイビアンという男を呼んで自分のかわりに外部で捜査させようと試みる。このセイビアンとサミュエルの会話&かけひきが良い! この映画はこの二人の会話につきるな。偶然居合わせた人質も、それぞれに個性がある感じで面白い。一番役立たずっぽかった男が大活躍するところとか。それから、後で考えると、セイビアンが都合3回もビルの20Fまで階段で上り下していた事実に驚いた。交渉人も、基本は体力のようだ。終盤に二人の交渉人が手を組んで行動するんだけど「この二人とは絶対に喧嘩したくないな」と思った。しかし今後の主人公はどうなっちゃうのか? 疑惑は晴れたけど、人質や器物破損などの罪は消えないわけで、それを考えると少し切なくなりました。



『皇帝ペンギン』(→公式サイト
 数ヶ月かかって卵をあっためてかえすという一芸で亜細亜大入学も夢じゃないと学会でまことしやかに噂された皇帝ペンギンを追っかけたドキュメンタリー。生き物地球紀行やわくわく動物ランドなどが消極的に好きな僕としては結構楽しみなタイトルだった。

 寒いところで数ヶ月。暖め続けて幾星霜。ついに出ましたペンギンの子。発表です!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ペンギンの子? な。う、嘘だろオイ……凍死してる。

 いや着眼点はエエわいな。南極行った、皇帝ペンギンおる、卵凍ってるのに必死で暖めてる〜、そこまではトントン拍子やがな。如何せん調理法がマズかった。余計なボイスオーバーさえなければ。ペンギンの「心の声」を声優が演じるんだな。これがウザい。バウリンガルじゃないんだから。中には「本当にそんなこと考えてるか?」的な、なんでも擬人化しすぎな西洋合理主義的独善的甘栗むいちゃいました的なものもあり白けた。特に子供ペンギンの声が類型的。決定的瞬間特集の合間に流れる息抜きのワンちゃんニャンちゃん動物映像みたい。森本レオや江守徹などによる客観的な解説のほうが何倍かマシである。それかいっそのこと、何かあるごとに三村ツッコミとか。

補足説明

・消極的に好き…ごはん食べながらチャンネルを回してたまたまやってると見てしまう、程度。予約録画するほどじゃない。食べ終えると消す。

・西洋合理主義的独善的甘栗むいちゃいました的なもの…リアルってのはそうじゃないだろ? お前さんの本音はそうじゃないはずだ。どーしてこう女ってのは別れ話のときぐらいしか本当のことを言ってくれねーんだい? 結局経済力の話かよ、みたいな。なんだソレ。



『荒野の用心棒』
 イーストウッド主演のマカロニ・ウエスタン。
 『バック・トゥ・ザ・フュチャー2』でビフがジャグジーにつかりながら観ていた映画。そして3の重要なシーンで元ネタになった。という理由で借りて来たら、黒澤明の『用心棒』の舞台を西部劇に置き換えただけの話で驚いた。事実、黒澤監督はこの映画に対して訴訟を起こしたらしい。
 とりあえずパロディの元ネタのシーンを確認できて良かった。こうして見ると、マーティが西部にタイムスリップして名前を訊かれ「イーストウッド…クリント・イーストウッド」と咄嗟に答えるシーンは(『用心棒』と『荒野の用心棒』をふまえた)2重のパロディだったんだなー、と感心した。



『ゴージャス』
 『デッドヒート』、『シティーハンター』と並び「観る前からつまんない予感がギュンギュンするジャッキー映画3部作」の一角を担う作品。アクションよりもスー・チーとジャッキーの恋愛映画色が強いけど、スー・チーじゃなあ……。アタシのジャッキー様に触れないでよ! って気持ちになるわな。エレファントマンのマスク被って出て欲しい。チャウ・シンチーがカメオ出演。犬に引きずられて退場した。



『ゴースト・オブ・マーズ』
 『ゴースト・オブ・マーズ』の切なさについて。とりあえずあらすじを紹介。

 あらすじ。舞台は未来の火星。地球人は火星のテラフォーミングにほぼ成功し、かなりの人数が移民していた。ある日、辺境の鉱山地区から自動操縦の列車が中央都市に到着する。乗っていたのはベッドに手錠でつながれた女性警官ただ一人。彼女は指名手配犯の目撃情報をたよりに同僚4人と乗り込んだはず。さっそく査問委員会が開かれる。一体そこで何があったのか…?

 冒頭の大まかな流れはこんな感じ。細かい部分が違ってるかもしれないが気にしない。ここからネタバレありで書いていくので、未見の人は注意。
 最初に断っておくと、この映画はとてもつまらない。見るだけ時間の無駄と断言できる。
 鉱山地区から生還した女性警官の証言に沿って見ていく。彼女は仲間と共に町に到着し調査を開始。居住区で首を切られた住民の惨殺死体が天井から逆さにぶら下げられているのを発見する。…とまあ、面白いのはここまで。後は、真相が明らかになるにつれて加速度的に下らなくなる。まず真相を書いてしまうと、火星の先住民に意識を乗っ取られてゾンビ化した人間によって住民が虐殺されたことがわかる。つまり、この映画はゾンビ映画の亜流と考えることが出来る。ゾンビ化した人間は自分の体を傷つけた血でボディー・ペインティングし、鼻ピアスなどのアクセサリーで如何にも先住民族っぽくコスプレしだす。このゾンビは普通に人間と同じ速さで動く上に、鋭利なブーメランを投げつけて遠距離から一撃必殺の攻撃(首が落ちる)も可能。強い、強過ぎる。さらに絶望的なのは、火星の先住民の正体だ。火星の先住民は、不可視の気体のような存在であり、空中を漂って移動し、人間の鼻や口から侵入、意識を乗っ取り、宿主の人間が死亡すると、次の宿主を求めてさ迷う。この設定が最大のネック。だって、人間に勝ち目無いじゃん。ただでさえ激強のゾンビを倒しても中の本体に体を乗っ取られるんだから。見えない気体状の火星人に対して人間側に何の有効策も授けてないというのはいかがなものか。戦ってる途中に突然乗り移られて脱落していく仲間達。切ない…。この恐怖の「体乗っ取り」が、ビジュアル的に果てしなく地味であるのもいただけない。結局のところ、逃げるのが一番という、映画的に見て面白くもなんともない結論に到ってしまう。主人公が生き残るのは、単に「主役だから」という理由しか見出せない。これでは面白くなるわけがない。少なくとも「生き残ったから主役」という風に見せないと。それから、もともと仲間意識が乏しい(たまたま居合わせた囚人と警官が手を組む)上に、監督に興味が無かったのだろう、「人間を描く」類のシーンがほとんど無いので、戦闘にメリハリが無い。列車を目指すラストの総力戦で、誰がいつどこで死んでも、誰も何の反応も示さないのだ。見てるこっちも「勝手にやってれば? どうせ主人公一人しか生き残んないんだし」となる。本当に、なんで主人公の回想なんて形にしたんだろう。最近よく見る形式だが、この場合全くの逆効果だ。この形式が活きるとしたら「回想自体が虚構」の場合だと思うのだが。別に女性警官が突如ゾンビになって査問委員を襲うような「オチ」もつかなかった。ただの頭の悪い脚本である。一番切ないのは、この映画を撮ったのが『遊星からの物体X』(傑作)や『ヴァンパイア 最期の聖戦』(隠れた名作)のカーペンター監督だという事実。どうせなら、『ゼイリブ』(バカ映画の傑作)や『ゴーストハンターズ』(バカ映画のバカ)みたく突き抜けて欲しかった。
 あ、そうだそうだ。この映画が個人的にちょっとでも役に立つとしたら、他の人のレビューを読むときかな。カーペンター監督というだけで半笑いになって「カーペンターがいつものバカ映画を撮ってるよ。何も考えずに楽しもうぜ。仲間だろ?」的な文章(検索すると結構ひっかかるはず)を書いちゃう人と、その文章の、僕に対する信頼性を判別できる。仲間じゃない。



『ゴーストシップ』
 公開されたときに行こうかどうか迷っているうちに終了してしまったんだが、今回レンタルショップで見かけて借りた。結論から言うと「劇場に行かなくて良かったな」と。味付けを間違った料理のようだった。その間違いも、塩と砂糖を間違えたような致命的なものでなく、塩と味の素を間違えたような、食べられないこともない、微妙なズレが続く非常にもどかしいもの。惜しい。観終って、なんだか余りにも「釈然としない気持ち」が強く残ったので、どこらへんがいけなかったのか順に追っていく。ラストまでのネタバレを含むのでご了承を。
 冒頭はスゴい! いきなり誉めますが、兎に角スゴいのである。ワイヤーがね、もう、ビーンとなって、大量虐殺なんである。個人的にはこのシーンだけでレンタル代のもとはとったかな、というグロさ。ダンスパーティーで踊る人々の間をですなー、鋼鉄のワイヤーが超スピードで横断するわけだ。するとどうなるかな? 人体が腰や胸でスパッと分断されるのだ。30人ぐらいいっぺんにバラバラになってドサドサと床に転がった。こりゃスゲー。神経衰弱ができそうだ。ヤバイ。もっとがんばれ。超がんばれ。開幕早々こんなもん見せられたら期待するでしょ? でも、スゴいのはこのシーンのみ。これ以降の人死にシーンの残虐度はほどほどに抑えられている。バランスとして、このシーンは最後に持って来た方が盛り上がったのでは。
 忌まわしい事件のあったゴーストシップに乗り込む7人の海洋冒険家たち。当然主人公の女を残して全員むごたらしい殺され方をするんだろう、と期待は膨らむ。けど、なんかことごとく、微妙にはずしてた。演出がヌルいというか。ワイヤー大量虐殺に比べるとどうも…という目で見ちゃうんだよな。まず、最初の犠牲者が出るまでが長い。1時間ぐらい経った頃か? しかも爆死。乗ってきた船のエンジンを修理してるうちに、ガスボンベの栓がひとりでに緩んで、スイッチを入れた途端にボーン! そんな大雑把な死に方するやつがあるかー。ボンベの栓が緩むシーンも、ただ見せるだけの古臭い感覚。恐くない。修理中にエンジンの部品がはじけ飛んで顔に突き刺さってワーッてなってボンベに当たって倒れるとか、他にあるだろ?
 その後、直前に乗り込んで全滅したらしい同業者の死体が発見される。しかしこの描写もねー、水で一杯の部屋からドンブラコ〜ッて流されて来ただけ。映るの一瞬だし。どうやって死んだのかハッキリしないんだな。まあ溺死なんだろうけど。海で溺死って…当たり前すぎて父ちゃん涙が出らぁ。この人達がどんな恐ろしい目にあってどうやって死んだかをにおわせるような演出が欲しかった。このときに、またまたひとりでに部屋のドアが閉まるけど、普通に反対側から脱出できた。
 そして2人目は縦穴で墜落死。う〜ん。微妙。落ちる瞬間しか見せないし、落ちてからしばらく経った死体を発見するのは主人公の女だけだし。思えば、乗組員が徐々に減っていく恐怖に乏しかった。2人目からラストまでは、バラバラな場所で同時多発的に人が死んでいく。
 3人目の犠牲者(ガブリエル・バーン)は、錯乱して主人公に襲いかかったところを拘束されて、空の水槽に閉じ込められるんだが、いつのまにか溺死していた。水が徐々に増えたりするシーン皆無。いきなりガブリエル・バーンぷか〜って。恐くねーなーオイ。この死体を確認したのも主人公のみ。だからさ! ホラー映画の面白さのひとつに人が減っていくごとにウヒャーと慌てるヤツらのパニックがあるんだって、どうしてわかんないの!
 4人目は、水中で歯車に巻き込まれて死亡。ここもなー、巻き込まれると同時に煙幕のような血が大量に画面を覆って、よくわかんなかった。水中の血は、ビジュアル的にあんまり恐くないんだよな〜。この死体を確認したのも主人公だけだった。
 そして5人目の犠牲者。こいつはスゴい。なんと、隊員の中の裏切り者(悪魔の手先)が「殺した」って語るだけ。具体的にどうやって殺されたかわからない。前代未聞じゃないだろうか。実質的に最後の犠牲者の死を伝聞で済ますホラー映画ってのは、さ。
 で、その悪魔の手先(プッ)と女主人公が殴り合いの喧嘩になる。起爆装置を銛で撃って船が大爆発。沈んでジ・エンド。どうしてそんなに大味なんだ。「悪魔の手先」なんて、書いてて恥ずかしい。でもな、ヤツは言うんだよ。「船を満杯にするまで魂を集めないとサタン様に怒られる」って。そうかー、悪魔もイロイロ大変なんじゃね。
 それにしても、とらえどころがない映画だったなあ。スプラッタで始まったかと思えば、ホラー風味の舞台に移って、パニックものになって、オカルトな解説が加わって、最後は完全にアクション映画だった。まさか悪魔とのガチンコバトルで幕を閉じるとは、古色蒼然たる幽霊船を発見したときには想像もしていなかっただろう。主人公も、観客も。



『ゴーストバスターズ2』
「タイタニック号が到着したそうです」
「ずいぶん遅れたな」
 最初はヒンデンブルグ号が到着する予定だったとか。
 3の予想。
「貿易センタービルが建ってるそうです」



『ゴーストハンターズ』
 バカ映画のバカ。
 この映画ほど主役(カート・ラッセル)が何も貢献しないアクション映画も珍しいんじゃないか。『少林寺への道』のカーター・ワン出演作として僕の中で有名。『BAKI』を実写でやるとしたら烈海王はこの人しかいない。



『コードネームはファルコン』
 「タイトルだけ気になる映画」として『ガンシャイ』と共に長きに渡り僕の中で名を馳せた作品。CIAにコネで入ったボンボンが諜報部のダーティな実態に触れて突如正義感に目覚めて国家機密をソ連大使館に売り渡そうとするが、なんだか恐くなったのでやめたくなった。ボンボンの相棒をショーン・ペン、ソ連の大使館員を『名探偵ポワロ』のデイヴィッド・スーシェが演じる。実話をもとにしてるにしても退屈すぎる。誰も死なない。



『氷の微笑』
 公開当時はシャロン・ストーンがノーパンで足組んで尋問を受けたり騎乗位の最中にアイスピックを振りかざしたりするシーンなどが話題となり、無数のエピゴーネンを生み出したサスペンスだが、未見だった。こういう「何となく気にはなってるけど借りるまでもない」のがテレビでやるとすごく得した気になる。内容は、この手の映画にありがちなパターン。強引なドンデン返しがラストにある。あーあーあー、そりゃ登場人物の誰かが犯人でしょうよ。しかし、シリアル・キラーものやサイコものの小説でよくある「残り30ページでいきなり現れたヤツが真犯人」よりは心情的にマシか。シャロン・ストーンの髪(金髪)と眉毛(茶)の色が一致しないのが気になった。

補足説明

・「残り30ページでいきなり現れたヤツが真犯人」…電話の交換手や修理屋など。一見無縁に見えた被害者達をいきなり結びつける。そして主人公の前に向こうから現れる。そして死んだと思ったら生き返る。



『告白』(→公式サイト
 あの『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督作品。

 終業式が終わった教室で松たか子女教師は夭逝した一人娘を殺した犯人2人がクラスにいることを明かした。

 予告でクラスの中に犯人がいる、ところまで見てクラス全員が容疑者の犯人探しミステリーなのかと思っていたが、犯人自体は実にあっけなく判明する。映画はその後のクラスの成り行きと、松たか子先生が如何に娘の復讐を果たしたかを描く。この監督の持ち味なのか、主要登場人物がみな適度にエキセントリックで漫画チックであり、それらの登場人物が小気味良いテンポでストーリーをぐいぐい引っ張っていく。とにかく松たか子先生の復讐者としてのハードボイルドな非情さが際立っていた。嫌われ松子に比べると、死んじゃえばいい奴がどんどん死んでくれるので観終わった後味はそれほど悪くない。



『心の旅』
 やり手だが自己中なところがある弁護士のハリソン・フォードが雑貨屋で強盗に出くわし、胸と頭を撃たれて重症を負う。回復はするものの、前頭葉のダメージによって片言しか話せない記憶障害者になっていた。しかし、フォードは以前の暮らしで失いつつあった家族との絆(=「自分の人生にとって本当に大切なもの」)を獲得する。オ。オ。オデ、馬鹿になって良かった〜。フンガ〜。まあ、本人が幸せそうだし良いんじゃないかな。しかし、弁護士時代の不正に気づいて(なぜかそのときだけ頭が良くなる)それを暴く新証拠を相手側に渡すのはやりすぎ。特別背任か何かじゃないの?



『GODZILLA』
 テレビで初めて鑑賞。
 本家ゴジラを1本も観たことがないので何とも言えないけど、造形がずいぶん違う。思ったよりすばしこい。放射能の炎も吐かないようだ。
 最初に襲われる漁船に『ダイハード』のチャイニーズ・テロリストが乗っていたので笑った。テレビでは「ゴッドジラ」として報道されていた。そもそも、漁船の生き残りのじいさんが見覚えのある怪獣を思い浮かべて「ゴジラ…」と言ったからそう名づけられただけで、映画の正式名称は「GODZILLAと呼ばれた巨大トカゲ」とでもしておけばいいような気がする。
 続編ではミニラが「シェー!」をやって欲しい。



『ゴッドファーザー』
 大学生のマイケルは日々をそれなりに楽しく過ごしていた。目下クリスマスを恋人のケイとどう過ごすかで心は一杯。やがてはケイとごく普通の結婚をし、ごく普通の家庭を築くのが夢。でも、ただひとつ違っていたのは、父親はマフィアだったのです…。
 マフィアの父を持つ三男坊マイケルがひょんなことからお家騒動に巻き込まれる顛末を叙情豊かに綴る。きかん坊の長男ソニー、臆病な次男フレド、常に冷静な義理の兄トム、兄弟それぞれの性格の描き分けが見事。



『コップス&ロバーソン』
 刑事マニアが本当の事件に巻き込まれるコメディ。本物の拳銃を手に取って鏡の前で『タクシー・ドライバー』の"You talking to me? "(音が出ます)をやる。『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』でもマーティがやってたけど、向こうでは物真似の定番なんだろうか。



『子連れ狼 三途の川の乳母車』
 '72年の時代劇。この映画の残酷描写をタランティーノが『キル・ビル』で参考にしたというので借りてみた。スプラッタやトロマに先んじて、手が飛ぶ足が飛ぶ耳が飛ぶ鼻の先の皮が飛ぶ。すでに完成形の域にも見える過激な残虐描写だった。ある忍者が四肢を切り刻まれて人間達磨落としになるシーンは『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』('75)の黒騎士みたいで面白かった。ベアークローと棘つき手甲と鉄の棍棒を使いこなす用心棒3人の戦いっぷり、死にっぷりが鮮烈に印象に残る。タイトルになるだけあって、大五郎が乗る乳母車が凶悪。槍が仕込んであったり車軸から刃が飛び出して敵の脛を裁断したりする。大五郎はこの和製ボンドカーを眉ひとつ動かさずに操作して群がる敵を屠りまくる。秘密道具が飛び出す筆箱感覚でのびのびと使いこなしてるからな。出来る子や。



『御法度』
 優作ちゃんのご子息が新撰組でヤオイをやってました。



『コラテラル』(→公式サイト
 『ラスト サムライ』に引き続き、年末と言えばトム・クルーズ……なのかどうか知らないが、クルーズ最新作。「トム・クルーズが初の悪役に挑戦」という触れ込みだったが、本当だろうか? この手の宣伝文句は割といい加減なので、鵜呑みにできない。早速『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のレスタトが思い浮かんでしまった。

 タクシー運転手のジェイミー・フォックスが乗せたトム・クルーズはプロの殺し屋だった。一晩のうちに5人仕留めるために、市内を巡る死のツアーの案内人に無理矢理就任させられたフォックスはぶんむくれ。何とかして逃げようとする。

 トム・クルーズは良かった。『ラストサムライ』よりこっちのほうが格好良いぐらいだ。ただ残念なのは、脚本の都合でちょっと間抜けに見える。まあ、それ以上に警察が大間抜けだったおかげで8割がた仕事を完遂できたわけだが。個人的にはラストに不満。相討ちか、もしくはトドメは漁夫の利的に女検事にもってってもらいたかった。
 このジェイミー・フォックスは病気の母親に高級リムジンのタクシー会社を経営していると嘘をついている。そしてその嘘をトムにばらされそうになって動転し、2人をほったらかしにして病室からトムの鞄を持って逃げるという暴挙に出る。よほど恥ずかしかったんだろう。もう何でもいいから母親にばらされたくなかった模様。下手すると母親がバラされるよ? リムジンの手付金も払ってないとつっこまれたときもいきなり車を暴走させたし、どうやらジェイミーにとってリムジン関連は触れてはいけない逆鱗のようだ。

補足説明

・この手の宣伝文句は割といい加減…『ターミネーター2』のときに「シュワルツェネッガーが初の続編出演」と謳っていたが、『キング・オブ・デストロイヤー コナンPART2』は? そう言えばシュワちゃんが知事になったときに「ハリウッドスター初の快挙」と騒いでいる報道番組があったが、ジェシー・ベンチュラはハリウッドスターに含まれないのだろうか。

・ジェシー・ベンチュラ…ミネソタ州知事。シュワちゃんと共に『プレデター』に出演している。カーボーイハットのマッチョマン。『プレデター』には他にアクション・ジャクソンも出演。すごい映画だ。

・ちょっと間抜け…そもそもジェミー・フォックスに固執する意図が不明。



『コラテラル・ダメージ』
 何かの手違いでシュワちゃんが『パトリオット・ゲーム』に出演しちゃった感じ。
 爆弾テロで妻子を失ったシュワちゃんがテロリストの本拠地に突撃して帰って来て真相に気づいてさらなる大きなテロを防ぐ。「帰って来て〜」以降が蛇足。シュワちゃん映画である限り、テロリストを本拠地で全員ブチ殺して葉巻ふかしてダイジョウブーイ! でスカッとさせてくれればエエやないの。真相にも何にも気づかずに。
 CIAの事務室をメチャクチャにするシーンが可笑しかった。テロリストを相手にしてるときよりよほどはじけてた。



『コンスタンティン』(→公式サイト
 キアヌが悪魔ハンターに扮する。オフィスの間仕切りをバキバキ破ってワイヤーアクションぽい動きで女が後ろ向きに引っ張られる予告の映像やキアヌの格好が嫌でも『マトリックス』を想起させる。仮想現実を魔界に置き換えただけの映画なんだろうか。

 悪魔ハンターのキアヌは地獄行きの運命から逃れるために悪魔狩りを続けていた。

 まんま『マトリックス』のシーンがあった他、『エクソシスト』、『ブレイド』、『ゴーストバスターズ』、『ヴァン・ヘルシング』などなどの美味しいところを切り貼りしたような印象。それだけに、この映画独自の「ウリ」がない。それから、一応キリスト教的な世界観に添っているんだが、筋が通ってないので随所に疑問が残る。かと言ってB級映画特有のハチャメチャさを期待するわけにもいかないシリアスなムード。すべてにおいて中途半端な印象。まあ、結構高かったけど日にちが経った幕の内弁当みたいな映画だ。

補足説明

・まんま『マトリックス』のシーン…死刑囚の椅子に座って地獄にダイブし、危なくなるとうなされ、それを見た現実世界の住人が揺り起こすと戻って来るところ。

・B級映画特有のハチャメチャさ…コンスタンティンが両腕の紋章を合わせると、ガブリエルが空中からボテッと落ちてくるところが唐突で可笑しかった。