は〜ほ





『ハート・オブ・ウーマン』
 モテモテのメルギブが、ふとしたことから女性の心の声を聞くことが出来るようになって、モテる。結局モテるんだろ! もっと意外な俳優を使ってください。ノリノリのメルギブ1人芝居が、すごく楽しそうだった。これヤローが作ってたら噴飯モノなんだけど、女性監督なんだな〜。



『バーバー』
 誘拐しない『ファーゴ』という感じだった。



『パーフェクト・ゲッタウェイ』(→公式サイト
 ミラジョボ主演のサスペンス。外部から隔絶された文字通りの「孤島モノ」。

 ハネムーンでハワイのカウアイ島を訪れたミラジョボとメガネ君だが、現地には殺人鬼のカップルが潜伏中だった。

   面白くなかったわけじゃないけど、この手のサスペンスにしては容疑者の数(主要な登場人物はミラジョボ含めて6人)が極端に少なく、しかも犯人像が「男女」と絞られすぎ。さらにそのうちの二人は中盤で早々に退場してしまう。
 ここからはネタバレ含むので注意。
 ミラジョボ組がハネムーンのカップルを装った犯人でしたよ〜、という力技的な結末。へ〜。わかった上でもう一度見直したい。しかしどう考えてもおかしな箇所がある。焚き火のそばで猪をさばく別のカップルを見ながらミラジョボ&メガネ君が「あいつらはサイコだ。早く逃げよう」って囁き合うシーン。おかしくないか? 猪さばくぐらいのことで本気でビビッてたってこと? お前らの方がよっぽどサイコやんけ! う〜ん。しかしまあ、この犯人像(主犯と従犯の関係)は面白かった。ありそう。



『パーフェクト・ストーム』
 すご〜いよ、コレは。高波で漁船が垂直になる映像を予告編でよく目にしたもんだけど、あの後フツーに転覆して、乗組員は全員海の藻屑になる。夢も希望もない。アルバトロス映画みたいだ。



『パーフェクトブルー』
 B級アイドルをつけ狙うストーカーの恐怖を描いたサイコ・サスペンス。 主人公が可愛いので◎



『バーン・アフター・リーディング』(→公式サイト
 コーエン兄弟最新作。ブラピとジョージ・クルーニーとジョン・マルコヴィッチとフランシス・マクドーマンド共演。

 CIAを引退したマルコヴィッチの妻が不倫の関係にあるジョージ・クルーニーと出会い系サイトで知り合ったマクドーマンドの同僚のブラピはCIAの機密情報が書き込まれたCD-Rを職場で発見しマルコヴィッチを恐喝しようと企む。

 能天気な『ファーゴ』って感じかな。どっちかと言うと『ブラッド・シンプル』に近いかも。『ノーカントリー』でアカデミー賞を獲っちゃった後の息抜きというか、力を抜いたときのコーエン兄弟作品という感じだった。それでもそこらのありふれた作品よりずっと面白い。ふとした出来心により始まった計画が不幸な偶然によりどんどんスリップしていって収拾のつかない事態に発展してしまう。ユーモアたっぷりに現実の出鱈目さを突きつける独自のシニカルなテイストは健在。
 あらすじを読んでもらえればわかるように、人物関係が複雑で、まずそれらを説明するためにかなりの時間が割かれる。舞台がごく普通の市街地で、『ファーゴ』(一面の銀世界)や『ノーカントリー』(テキサスの荒野)のように圧倒的なビジュアルの美しさがない分パワー不足感は否めない。
 登場する男たちは各々、金(ブラピ)、女(クルーニー+支配人)、酒(マルコヴィッチ)に執着するあまり破滅していく。男が人生を誤る3大要素だ。そういう意味では極めて啓蒙的な映画なのかもしれない。アホな男どもがズブズブと関白失脚していく反面、女たちはしたたかに生き延びる。特に久々にコーエン兄弟作品に出演したフランシス・マクドーマンド(ジョエルの奥さん)のキャラが強烈で、出会いサイトで男漁りを繰り返し、「全身整形していい男をゲットしたい」という動機のもとにブラピをそそのかし、寝てる間に男の財布で個人情報を確認し、ヒステリックに車を衝突させ、まあ何と言うか女性のアレな部分を徹底的にカリカチュアしたような人物。しかも結局本願を成就してしまうんだから凄い。尊敬する。個人的には絶対関わりあいたくないけど。鶴亀鶴亀。



『バイオハザード』
 ゲームの映画化ということで、出来云々よりも、元ネタのゲームの雰囲気をどれだけ出せているかに注目して見たわけだが、かなり健闘していた。謎の洋館から地下を走るトンネルを列車で移動し、アンブレラの研究施設を経て廃墟と化したラクーンシティで幕を閉じるという、バイオゆかりの地を一通り巡る「ご当地ドラマ」な作り。そしてゾンビ、ゾンビ犬、リッカーが登場。ゾンビが生き生きとゾンビしていたので良かった。過去にあったゾンビ映画の「ゾンビ的状況」のポイントをきちんと踏襲した上でこちらの予想を微妙に外すような演出が上手かったと思う。普通に描くと見ててかったるくなりそうな「事件が起こるまでのいきさつ」を、主人公が一時的な記憶喪失ということにして、断片的に散りばめる手法もサスペンスとして機能していた。
 何より主演のミラ・ジョヴォヴィッチがとても良かった。非現実的な顔立ちかつおおむね無表情かつ長身(178cm)の体躯が特殊工作員という役柄にリアリティを与えていたのではないか。この人の無表情は役作りなのか、笑っても笑ってないように見える顔なのか、単に演技が下手なのか、判断に苦しむというミステリー。それから裸。登場シーンからいきなり全裸でその後ずっと太腿露出してアクションを披露、ラストでまたもや全裸になるサービス精神。必然性があるんだかないんだからわからない。この露出へのこだわりを何と呼べば良いのか。形容する言葉が見つからないが、ジョヴォヴィッチ、お前は間違い無くチャンピオンだ。銀河の果てまでスッ裸!!!



『バイオハザードII アポカリプス』(→公式サイト
 アポカリプスというのは生協で売ってるポカリのパチもんではなく、「黙示」又は「新約聖書のヨハネ黙示録」を指すのだという。『地獄の黙示録』の最後にマーロン・ブランドがポツリとつぶやいた"Apocalypse now"のアレだ。

 ゾンビが溢れだし壊滅状態となったラクーンシティに降り立ったアリスは、わずかな生存者達と共に脱出を試みる。

目元に注目!  決して重苦しい内容ではなく、ゲームに忠実な映像は前作通り、ミラジョヴォの脱ぎっぷりは前作比3倍、実に爽快感溢れるアクション映画になっている。ホラーではなくあくまでアクション。そもそも前作で恐怖の的だったゾンビがキャラメルコーンのピーナッツ程度の扱いになっている。「あいつらはトロいから大丈夫」なんて太鼓判押されて横を素通りされる始末。ここまでゾンビがなめられる映画も珍しいのでは。バイオハザード3に出て来たゾンビの親玉ネメシスがゲームそのままの姿で登場する。ガトリングガンやロケットランチャーでしつっこく主人公を追いかけてくるのもそのまんま。ここらへん製作者はよくわかっている。このネメシスは前作ラストでアリスと一緒に捕獲されなんとかウィルスだかワクチンだかを打たれた男の慣れの果てなんだが、同時に打たれたアリスとのこの差は一体なんなのか。おすピーの金持ちA様×貧乏B様でわかりやすく運命の分かれ道を解説してほしいぐらいだ。片やグズグズの化け物、片や中田とカメラのCM出演。同情を禁じえない。ネメシスにも中田とパチリとやらせてやってはくれないだろうか。
 最後に核がボーン! 街が浄化の炎に包まれて終了するんだが、『トータル・フィアーズ』といいこの映画といい、核を落とされたことのない国特有の大らかな描写だと思った。「ちょっと火薬の量間違えちゃった花火」程度の認識しかないのかもしれない。

補足説明

・ゲームに忠実…ジルが出てくるということで、ラスボスが大ヘビだったらどうしようかと思ったが、違った。

・ゾンビがなめられる映画…肌露出しまくりの服装でゾンビと格闘したりとか。

・バイオハザード3に出て来たゾンビの親玉ネメシス…こいつのせいでバイオ3はシリーズ唯一クリアできず。画面の外からロケットランチャー打ってきやがるし。無理!

・製作者はよくわかっている。…コードベロニカに出て来た謎のアイテム・黄金のルガーの二丁拳銃まで出て来た。マニアックすぎ。



『ハイ・フィデリティ』
 「モテない音楽オタクの物語」というような紹介文につられて観てみたが、看板に偽りあり。本当にモテないヤツはこんなじゃねえ!! それなりにモテるおかげで女心をあまり考えたことがなかった男(DJ)が色懺悔するお話。 あやかりたいのでサントラを購入した。



『パイレーツ・オブ・カリビアン』
 ジョニー・デップと『ロード・オブ・ザ・リング』のエルフの人が共演したディズニーの娯楽ヒット大作。ディズニーランドの同名アトラクションそのまんまのシーンが散りばめられており、きっと『カントリー・ベアーズ』や、まもなく公開される『ホーンテッド・マンション』なんかもこんな作りなんだろう。感想は、ズバリつまらなかった。まずお宝探しのスリルが皆無。海賊と言えば地図だろ? 謎の暗号解読だろ? お宝のまわりに張り巡らされた罠の数々だろ? それに上映時間143分は長いよ。1時間半ぐらいで良い。あと海賊がちっとも恐くない。かと言って子供向けにしては海賊の設定なんかが妙に理屈っぽいし。以上の点を総合するとディズニーが想定している客層は「バカなカップル」に違いない。

補足説明

・海賊の設定…「実体化して弱くなる」パターンはもう飽きた。これ以上僕に『ゴースト・ハンターズ』を引き合いに出させないでください。



『ハウルの動く城』(→公式サイト
 『千と千尋の神隠し』以来のジブリ作品。なんでも「このおばあさんがかなり元気!」らしい。

 荒地の魔女の呪いで一気に60歳ぐらい老けたソフィーはヤケクソになり、パンとチーズだけ持ってあてどの無い旅に出た。道中カカシを助けると恩返しにハウルの動く城に乗せてもらった。

 なんとも散漫な映画だった。確かに「このおばあさんはかなり元気!」だったけど。見てて様々な疑問が生まれるがどれも手付かずのまま終わる。ハウルの成長、ハウルの生い立ち、ハウルとサリマン、ソフィーの生活、母親との関係、戦争、科学と魔法、科学と人間、科学と自然、などなどなど、すべて生焼けのまま幕切れを迎えた。連載打ち切りになっちゃった漫画のような。まあ、つまらなかったわけじゃないから良いけど、『千と千尋〜』と比べるとどうもね。原作つきの物語だからか。着の身着のままで旅に出て、地面に刺さってた棒っきれを引っこ抜いただけで食住の心配がなくなることからもわかるように、これは御伽噺なんだろう。少々のことには目をつぶらないといけない。
 呪いで婆さんになったソフィーだが、ときどき「こりゃビジュアル的にババアじゃまずくね?」って場面になると唐突に元のソフィーになるのは製作者の「逃げ」を感じて白けた。そういう場面こそ老婆のままでやって欲しいのに。「自分の都合で大人と子供を使いわけないで!」

補足説明

・つまらなかったわけじゃない…自分のジブリ作品ランキングで言うと『平成狸合戦ポンポコ』とタイじゃないかな。見てないけど。

・「こりゃビジュアル的にババアじゃまずくね?」って場面…すやすや寝息をたてているところ、ハウルの思い出の小屋の外に広がるお花畑、あと忘れたけどイロイロ。



『バタフライ・エフェクト』(→公式サイト
 タイムスリップものという以外の予備知識を持たずに観に行った。

 短期的な記憶が飛ぶ症候群のエヴァンには、幼少時に体験したトラウマ的出来事の肝心な部分の記憶がところどころ欠落していた。昔の日記を読むことで過去の出来事に介入できる方法を知ったエヴァンは、記憶が欠落した瞬間に戻り自分や友人の現在を変えようと試みるのだが……。

 『ドニー・ダーコ』プラス『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな映画だった。自殺してしまった初恋の人を助けようとして始めた時間旅行だが、過去に戻ってベストな選択肢をチョイスしても、その都度現在に戻ってみると何かしらの不都合が生じている。こちらを立てればあちらが立たず。すべての人に有益な選択肢などない、と悟ったエヴァンの取った最後の行動とは? タイムスリップのメカニズムが超テケトー。バッドエンドがいちいちすごい悲惨なことになってる。

補足説明

・タイムスリップのメカニズム…昔の日記を読み返すだけ。ドクが知ったら憤死しそうだ。



『バタリアン』
 ゾンビが普通に走って追いかけて来る上に、警察無線で「もっと応援をよこせ(脳みそを食べるから)」と追加オーダーする。 ゾンビ化ガスを浴びて徐々にゾンビになっていく男2人の末路が悲壮感溢れて良い。ガスが噴出するときの音楽も最高。 「オバタリアン」という流行語を生み出したオバンバ(配給会社が勝手に訳した)も登場。



『バタリアン リターンズ』
 バタリアンの3作目にして大駄作。1作目の「恋人の片方だけがゾンビ化していく悲劇」を、全篇に渡って引き伸ばして涙を誘おうという。泣けるか、そんなもん。塩まけ塩!! 泣きたいなら普通は他の映画借りるって。とばっちりで腹と頭を撃たれて脳みそを食われた中国人の店主が一番泣けるわい。



『8月のメモワール』
 フロドが夏休みに秘密基地を作っていじめっ子と対決する。こっちで言ったらさ〜、山田の洋ちゃんあたりが撮りそうな映画じゃないの? 1本も観たことないんだけどね。ケビン・コスナーがベトナム帰りの父ちゃん役で出演。コスナーは好んでこういう汚れ役をやるけど、絶対似合ってないよな。



『パッセンジャーズ』(→公式サイト
 飛行機、失踪、サスペンス、というキーワードだけ聞くとかの大失笑映画『フライトプラン』が思い出される。すごく不安な気持ちを抱きつつ映画館に吸い寄せられてしまった。

 飛行機墜落事故から生還した5人の心理カウンセリングをすることになったクレアだが、不可解なことに患者が一人、また一人と姿を消していく。

 ここから先は結末まで含んだ重大なネタバレに触れるので注意されたし。
 結論から先に言ってしまうと、オチとしては「自分が幽霊でしたオチ」だった。ズコッ! クレアは飛行機に搭乗していたサイコセラピストであり、飛行機墜落を機長の過労による人為的原因に転嫁した航空会社の責任を追及したい心残りにより現世にとどまり続けていたらしい。そういうセリフがある。で、自らの死を悟った人から順に天国に召されて姿を消していたという。
 なるほどクレアも「パッセンジャー」だったんだねー……って、ま〜たこれですか!! 別にこういうオチ自体は否定しないけどさ、もうちょっと上手く騙して欲しい。幽霊オチにつながる霊界の生活にちらほら出てくる登場人物、アイテムの料理の仕方がこの作品のキモになると思うけど、どれもイマイチ。それどころか何一つとして納得できない。証言の食い違いは、『藪の中』風サスペンスと見せかけて結局パニックによるもの? そもそも生還者(と思い込んでいる人達)がなぜ(主人公含め)7人だったのかもわからない。自分の死を受け入れられない=即死したから? 一番納得できないのはクレアに自身の死を悟らせるための導き手として登場する近所のおばちゃんと上司の黒人が、実はクレアの死んだ祖母と幼い頃の恩師だったという設定。絶対気づかねーよ! タネ明かしされても何にも腑に落ちねーよ! なんで役割が変わっちゃうのか。お姉さんのことは覚えてるのに、どうしてそこだけ記憶がひん曲がっちゃうのか。悪いけどご都合主義としか言いようがない。もっと言うと、この近所のおばちゃんを演じるのがダイアン・ウィースト。もう最初から怪しいじゃんか。いや、あえて怪しい人物を配したんだろうけど、だったら納得のいくドンデンにしてくれ。騙された怒りが倍化するから。一番大事な、クレアが自分が死んでると気づくときの演出も乗客名簿の中に自分の名前を見つけるという、いたって地味でわかりづらいもの。衝撃がない。なんでここで引っ張り続けた「お姉さん」を出さないのか。一番いけないのが、飛行機事故の原因究明は、されたのかどうか曖昧なまま終わってしまう。じゃ何のためにこの世にしがみついてたんだよ。あ〜、アタシ死んでたんだーおばあちゃんもいる先生もいる、なんだみんな幸せそうじゃない……で成仏してる場合じゃねーだろ! 男とつがってハッピーエンド演じてるんじゃねえ! 悪霊退散、渇っっっ!!!

補足説明

・航空会社の責任を追及したい心残りにより現世にとどまり続けていた…『シックスセンス』の元ネタと噂される『墜落! 大空港』に酷似した設定。



『バットマン ビギンズ』(→公式サイト
 バットマンがバットマンになるまでを描いている。ティム・バートン監督の『バットマン』('89)から始まった一連のシリーズとは別物らしい。

 追いはぎに目の前で両親を殺されたブルース・ウェインは自暴自棄を繰り返すうちにチベットみたいな山ん中の刑務所にぶちこまれた。そこで不思議な男に不思議な組織に勧誘されたウェインは男のもとで修行をつみ、一人前の戦士として成長する。街に戻ったウェインは恐怖を克服し自らが信じる正義をなす為にバットマンに変身することを決意する。

 リアル路線。バットマンは他の大勢のアメコミヒーローのような特殊能力を持たず、基本的に生身の人間である。なのでこのアプローチは正解だと思う。地味だけどね。
 バットマンのルーツが明らかになる。刑務所から救い出され、一人前の戦士として鍛え上げてくれた恩人であるデュカード(リーアム・ニーソン)に反旗を翻して独立した。文字通り組織を木っ端微塵にして。恩知らずもいいところだ。切ない。
 今回はとくに怪人らしい怪人も登場せず、本当に地味な戦いだった。ジョーカーやペンギン等のアホ丸出しな怪人をこの路線でどう料理していくことになるのか、シリーズ化が決定したそうだが、そこらへんが楽しみだ。



『パトリオット・ゲーム』
 これが涙が出るほどつまんなかった! なんなんだよ。そりゃハリソン・フォードもインディジョーンズ以降低迷するわ。
 どこがつまんなかったか書いていく。まず冒頭。IRAによる皇室の要人襲撃現場を目の当たりにしたハリソンが、家族(妻&子供)の前だからか知らないが異常にハッスル。パーッと走って行って、あたかも新日のヤングライオンのごとくテロリストに元気印の猛タックル! 銃を奪ったが百年目、ジャスティスショットも何所吹く風の急所めがけたピンポイント狙撃でポコポコ二人ばかし射殺する。そりゃ立派なことだと思うけど、なんか怖いなー、こういう正義感のカタマリみたいな人って。「オレが目の前でテロリストを撃ち殺したらワイフと娘も喜ぶはずさ!」なんて思ってるんだろうか。後に審問で「正義の怒りが込み上げてきて、無我夢中で…」と言ってるけど、現役(CIA)を引退した軍人の「オレだってまだヤれる」心理も相当あったことだろうと思う。結局このときハリソンに仲間(弟)を殺されたテロリストのショーンという人物に最後まで家族ともども命をつけ狙われることになるのだが。観る方としては、まだヤれるんならイクまでヤって欲しかったのに、全体的にハリソンの活躍が寸止めテイストなのもつまんなかった。最初にあんなにハッスルしたのは何だったの? 変なクスリでもやってたんじゃ? という気になる。いま考えてみると、最初の活躍以降にハリソンがやっつけるテロリストは、ショーンただ1人という地味さ加減。あとはひたすら逃げたり、ヘリがテロの基地を爆撃するのをペンの尻尾を噛みながら衛星中継で眺めたり。なぜハリソンがテロに手をかけることなくピュアなハートのままでいられたかというと、テロリストが勝手に自滅していくからなのであった。笑うよ実際。まず最初の襲撃の後にIRAの急進派と穏健派の対立で二人ほど殺され、急進派は自分たちの行方をくらます手段として爆弾作ってる最中のIRAのアジトを警察に密告し、ショーンの脱獄を手引きした稀覯本屋の店主は足手まといだから殺され、IRAの幹部は急進派の情報を密告し、皇室の中にいた内通者はドアを蹴破って入ってきたテロリストに間違って撃ち殺され、挙句の果てに、最後の土壇場でショーンが急進派のリーダーと赤毛の女を「うおぉおぅおぅおうオレは復讐してぇだけなんだ止めンなウギャア!!」と逆ギレして撃ち殺す。結局この映画は「IRAのヤツらは頭がおかしくて仲間を売る信用できへん連中なんやでー」とプロパガンダするのが目的だったのではないか。なるほど、だから「パトリオット」ですか。個人的に内通者を演じてるのが『名探偵ポワロ』のヘイスティングスの人だったので、頬をはたかれたり射殺されたりするのが痛々しくて見てらんなかった。あ、そうそう。フラストレーションがたまるもうひとつの原因は、人が撃たれるシーンがロングショットだったり、辺りが暗かったり、撃つ側の顔のアップだけだったりで、ちっとも全然ダメダメプーだからだ。一番ムカついたのが、この映画で最大の人殺しシーンである「テロリスト基地絨毯爆撃シーン」が、人工衛星を通した暗視カメラのような音無し画像でしか映されなかったところ。湾岸戦争の爆撃映像と一緒で、殺す側(=ハリソン)の暴力性が極力観客に伝わらない仕組み。巧妙ですな。もしかしたら、純正のアメリカ人が見たら小躍りして喜ぶ映画なのかな? ID4みたいにYO!
 口直しにDVDで『ダイ・ハード3』のゼウスがマクレーンと出会うシーンを、字幕&吹き替え&英語のみで見たら気分がちょっと良くなった。



『HANA−BI』
 大杉漣も寺島進も死なないのでややガッカリ。 北野監督はデ・パルマを意識してるんだろうか。真上から回転しながら撮影するシーンがあったので言ってみた。 銀行強盗シーンの盛り上げようとしない演出が秀逸。



『パニック・ルーム』
メガジョディ  眼鏡をかけたジョディ・フォスターが出てきて、眼鏡をはずして寝てたら不法侵入者が来て、機能がまだ万全でない新居のパニック・ルームに娘と閉じこもり、イロイロあってまた眼鏡をかけなおす話。
 閉じこもった部屋の内と外で丁丁発止、緊迫のドラマが繰り広げられる。意外に『ダイ・ハード』と近いノリ。面白かった。



『母なる証明』(→公式サイト
 『グエムル』や『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督作品。『殺人の追憶』はすごく面白かったし、『グエムル』は感想こそ書いてないけど(DVDで鑑賞)大好きな作品なので、これは期待できそうだ。

 猟奇的女子高生殺人の罪をかぶせられた頭の弱い息子を持った母親は、息子の無実を晴らそうと東奔西走する。

 ストーリーは至ってシンプル。パッとあらすじだけ聞くと『殺人の追憶』みたいな話かと思うけど、こちらは素人が手作り感覚で草の根捜査をしていく。その分ご都合主義的な展開も少し目につくけど、その大雑把な手法がCSIシリーズなどを見慣れた身には逆に新鮮に感じられてとても面白かった。
 ここからはラストまで含むネタバレモードなので未見の方は注意!
 まず個人的な話で恐縮なんだけど、主演のお母ちゃんを演じるキム・ヘジャが僕の祖母(故人)に非常に似ていたので、観ている間中ずっと変な感覚に襲われた。それは兎も角、僕が観た監督の過去2作品から「ストーリーの大まかな流れ」を予想して、多分いいとこまで行くけど真犯人は捕まらずに息子か母親が死んだりして煮え切らない終わり方なんだろうな〜、とタカをくくっていたんだけど、そんな凡庸な推測を裏切る衝撃の結末だった。結局息子が犯人だったという。ここでミステリー的な視点で思い返してみると、やはり凶器が何だったのかを明かさないのはちょっとズルい。当然警察は現場に転がっていた石だと特定できてたはずだし。頭の弱い息子が凶器を隠すはずがないし。しかし観終わってみると、この映画はむしろ、犯人は誰かというテーマよりも、母親の持つ盲目的な、無私無償の愛情そのものを描きたかったんだと気づく。それが如何に世間的な倫理に反していようとも。ディレルヴィンガーやアキバの加藤にも迎えに来てくれる、泣き崩れてくれる母親は存在したのだ。その点を極限まで突き詰めた結果、ああいう結末に至ったのではないだろうか。この点は自分が子を生み育ててみないとわからないし、育てたってわからない人間が結構いるのが実情だろう。社会的な弱者が、自分よりも更にか弱い者(クズ集めのジジイ)を殺し、別の弱者(モノホンの知的障害者)に罪を被せて逃げ延びる。恐らくこの息子と母親の間には生涯このわだかまりが付きまとうだろうし、それどころかほぼ確実にこの息子はまた別の事件を引き起こして人を殺めるか殺されるかの二択しか残ってない気がする。一見ハッピーエンドだけど、堤防の穴を指で塞いだだけ。何の解決にもなってないところが切ない。
 観客には普段映画館であまり見かけないオバサン達が連れ立って来ていたが、彼女たちはこの映画のかあちゃんの行動に最後まで共感できたんだろうか? すごく知りたい。



『パプリカ』(→公式サイト
 『パーフェクトブルー』の今敏監督。筒井康隆原作。最近多いな筒井康隆。富豪刑事が時をかけて日本以外全部沈没。

 他人の夢の中に侵入し、悩み事を解決する夢探偵パプリカが大活躍する。

 夢の描写が緻密。それに尽きる。ストーリーは今となっては手垢がついた感じ。ちょっと前のSFにありがちというか。
 後半、夢と現実の境界があやふやになり東京の街が混沌の渦に巻き込まれる。けど、なんかハリウッド映画で見飽きた感じというか。実写ならともかく、アニメだと迫力不足というか。見てるこっちも「夢なんだから何でもアリ」っていう心境だし。逆にアニメを逆手にとって、もっと有名スポットをド派手にぶっ壊しても良かったんじゃないかなあ。東京タワーとか都庁とか六本木ヒルズとか東京ドームシティとかヴィーナスフォートとかヴェネチアンゴンドラとか丸の内のビカビカした通りとか。カップルがうじゃけてそうな場所をちょう重点的に。
 あと、ブタッキーがモテたので許せん。

補足説明

・ブタッキー…何故かアムロの声。きめえ。



『パブリック・エネミーズ』(→公式サイト
 ジョニデ主演のクライムストーリー。実在したギャングをモデルにすえたクライム・ストーリー。

 大恐慌時代。大資本から盗みはすれど、一般市民からは盗まず殺さずを信条にしたジョン・デリンジャーは閉塞的な時代背景にあって一種の“カリスマ”的な人気を勝ち得ていた。

 うーん。地味。義賊的な主人公なのでそれほど血生臭い描写があるわけでもない。そして強盗シーン、脱獄シーン、銃撃シーンと、この手の映画で最も華がある見せ場も、演出が下手なのか、派手でもなく、かと言って手に汗握るような緊迫感があるでもなくの、中途半端な出来。想像の範疇を何一つ超えてくれなかった。ウリがない、というか。脱獄も強盗も銃撃も何度かあるわりに変化が無い。同じことの繰り返しを観てる感じ。だったらもうちょっと絞って尺を短くして欲しかったなあ。史実を基にするにしたって、もう少し脚色のしようがあるんじゃないか。似たような設定でこれより面白い『アンタッチャブル』や『ミラーズ・クロッシング』を家で観直した方が良いや。
 ジョンが一目惚れする堅気の女ビリーは、田舎暮らしに辟易してシカゴまで出てきて、ホテルのクローク係としてくすぶっている女性だった。一方のデリンジャーは「一儲けして引退したらあったかいところでのんびり暮らそう」って夢を語る。ビリーは曖昧に頷いてたけど、この手の女性はそういう暮らしをしだすと間違いなく「つまらない」ってブーたれ始めると思うぞ。やっぱり根本的に相性は良くなかった気がする。

補足説明

もう少し脚色のしようがある…唯一、これは明らかに脚色だろうとわかるシーンがある。デリンジャーが自分を血眼で探している捜査本部に白昼堂々乗り込み、捜査で出払ってガラガラの本部にある資料などをブラブラ眺めて回る。面白くなりそうなのに、それだけ。なんかもうちょっと、出来ないか?本部長の机にデリンジャー参上の印(帽子とか)を置いてくるとか、自分の写真にサイン入れるとかさあ。



『パペットマスター』
 古の名職人が残した呪いの人形が人を襲う。パペット達の造形がどれも個性的で面白い。口から吸血ヒルを吐き出す「ヒル女」人形が好き。



『ハムナプトラ2』
 今回の見所は何と言ってもイムホテップのダメさ加減! 終盤に出てくるスコーピオン・キングという化け物に、1作目から築き上げてきた威厳をすべてぶち壊される。主人公と戦ってるとき、封印されていた半人半蠍のスコーピオン・キングが復活して、イムホテップに襲いかかるのだが、アヌビスによって神通力を奪われてただの人と化していた彼は、なんとスコーピオン・キングの前にひざまずいて頭を垂れ、
「私はあなたの家来です。悪いのはあいつ(主人公)です。あなたを殺そうとしてました」
 と、でっちあげのチクリ。それほどのものか、エジプト5000年!! そしてクライマックス、主人公と争ううちに、崩れて行く神殿の裂け目に落ちそうになる2人。天井の破片が降り注ぐなか、危険を顧みず主人公の元へ駆けつけるヒロイン。それを横目で見ていたイムホテップは、最愛のアナクスナムンへ、恥も外聞もなく
「助けてくれぇ!!」
 と懇願。しかしアナクスナムンは、全速力で反対方向へ消えた。5000年の思いが一瞬で覚める瞬間。イムホテップは自ら手を離し、涙目をウルウルさせながら裂け目へと消える。浮かばれね〜。
 イムホテップさん、3作目では日本に来てください。そして菅原道真とか平将門とか天草四郎とか三島由紀夫と一緒に暴れてほしい。


補足説明

・スコーピオン・キング…チョコボール向井似。



『パラサイト』
 水を介して人間に寄生するエイリアンが、ハイスクールを徐々に侵略していく。
 そんなに期待していなかった割には面白かった。脳天気な学園もののような登場人物が何となく大事件を解決してしまう。モヤシみたいなイライジャ・ウッドがヘナチョコなりに頑張る姿が可笑しかった。ラストで寄生されてた教師や生徒が正気を取り戻すんだけど、ドタマを撃ち抜かれた女教師はどうなったんだろうか。あんなとこ撃たなくても良かったのに。



『ハリー・ポッターと賢者の石』
 キミは地味だからハッフルパフ。
 先日ビデオでようやく観た『ハリー・ポッター』について。エラい騒がれようだったハーマイオニーに密かに期待していたんだけど、僕的にはヒットせず。トロールは『ロード・オブ・ザ・リング』の方が良い。あと、最も残念だった変更点はスネイプ先生がポッターを助けた理由の説明が省略されていた点。子供向けの映画だし、ちょっと難しい人物描写だからか?
 最大の謎は、奴らが百味ビーンズの「〜クソ」シリーズの味の違いを即座に判定できる点。薬学の授業でなめたりしてるのかもしれない。



『ハリー・ポッターと秘密の部屋』
 なんでもかんでも選ばれしハリー君が、球技はエースでヘビ語ができて額に特別なエムブレムで知らない下級生からすでにモテモテで、もうホント、好きなように生きればいいさ。なあ?
 ハリー君と冴えない君に対するハーマイオニーの気持ちの差がありありと表現されるシーンが痛々しかった。
 ハアー
 もー
 あああーっ



『パラノーマル・アクティビティ』(→公式サイト
 100万円余りの制作費にも関わらず何十億円だか稼いだという触れ込みの、『ブレアウィッチ・プロジェクト』タイプのモキュメンタリー。

 ケイティとミカのカップルはプールつきの家に住む結構なご身分の若い夫婦だったが、ケイティがラップ音に悩まされるようになり、寝てる時に何が起きてるか確かめるために寝室にカメラを取り付けた。

 ネタバレ感想なので注意!
 『ブレアウィッチ・プロジェクト』には及ばないけど、それなりに面白かったかな〜。100万円でこれだけのものを作っちゃうってのはすごい。立派! いやキミ、いい仕事したよ。ただ、『ブレアウィッチ・プロジェクト』の場合はもう、森で遭難してわけわからん現象に畏れ慄いて、恐らくこれから死ぬ運命なんだけど、とりあえず生きた証として撮り続けなきゃ、っていう切迫した「撮る動機」があったのに対して、この映画はケイティは嫌がってるし、撮れば撮るだけ悪魔を怒らせるだけなんだっていう、むしろ撮り続ける方が不自然なんだもん。そこで白けちゃう。
 一番怖かったのは真夜中に起きたケイティがミカの寝姿をず〜っと眺めてるのが早送りになるところ。これ『エミリー・ローズ』でローズの恋人が夜中に目を覚ますとローズがものすごい形相でこっちを見てるシーンとか、『チェンジリング』の精神病院でアンジーが目覚めるととなりのベッドの精神病患者がこれまた怒りの形相でこちらを睨んでるシーンなんかを彷彿とさせた。寝てる時に睨まれたくない、とあらためて感じた。ただ、このシーンでは、その様子を記録した動画を見たミカの反応が「ケイティ立ったまま寝てる〜」。ガクッときた。それから足跡が三本足の昔ながらの西洋的悪魔のもので、これも白けた。ああいうの見るとどうしても昔読んだ『悪魔大百科』(名前うろ覚え)の巻末にあった、サタンを頂点とする地獄の組織図を思い出しちゃって可笑しくなる。意外に縦割りな悪魔社会。
 ツッコミどころ満載なんだけど、その中で最たるものがケイティとミカが寝る位置だ。最後の最後まで「悪魔さんごゆるりとケイティをお引きずりください」ってな具合に、ドア開けっぱの方に寝てるんだもん。いくらミカが馬鹿者だって限度があるだろ。



『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(→公式サイト
 超ベストセラーとなったファンタジー・シリーズ3作目の映画化。主要キャラは役者が死んだ校長以外は続投している。「ほとんど首無しニック(ジョン・クリーズ)」が出ないのは残念だった。原作を1作目しか読んだことが無いので、ハリー・ポッターの世界観が未だに漠然としかわからないんだけど、そこはそれ、眼前の出来事に集中すれば退屈しない。今回は「シリウス・ブラックとの対決」が焦点。

 シリウス・ブラックが脱獄してハリーを殺しに来る!

 意外にもシリーズ3作中最も面白かったと思う。冒頭でか弱き人間相手にダミアンぶりを発揮した後はホグワーツでの奇妙な魔法の授業やクィディッチなど大筋はいつものコース。注目はラスト。すさまじいドタバタ加減はしっかり目を見開いておく必要がある。ここからかなりネタバレで書くので未見の方は注意。後半オッサン濃度が異様に高くなる。狭い部屋に7人中4人もオッサン! そしてこのオッサン4人のハリーに対する敵味方の関係(実際には見え方)がコロコロ変化する。前2作では大詰めになるとここでラスボス倒して終わりだと読めたのが、今回はさらに二転三転、四転ぐらいする。ベリアル倒してハーゴン倒してシドー倒して、まだ何か出てきたよ、みたいな。その都度ハリーの目的が目まぐるしく変わる。黒犬追っかけて動く木に殴られてシリウスと対決かと思いきやネズミ男つかまえようとして狼男と闘って吸魂鬼にやられて時間遡ってヒポグリフ助けて狼男に追いかけられてまた吸魂鬼やっつけて……もう無茶苦茶だ。だいたい、いきなり『バック・トゥ・ザ・フューチャー』になるとは思いも寄らなかった。そんな高位の魔法をたかが授業のために使うかハーマイオニー! お前、そんなことばっかりやってると確実に他の生徒より老けるの早くなるぞ? 育ち盛りなんだから。ところで、ひとつ疑問が残った。池のほとりでハリー達が吸魂鬼に襲われたときに光る鹿のような生物が出てきたけど、あれは何だったのか。説明が無かったように思う。誰かわかる人がいたら教えてください。

補足説明

・ハリー・ポッターの世界観が未だに漠然としかわからない…彼らは何故人間界とホグワーツを行き来するのか。学校には何年通うのか。卒業したらどうするのか。トイレの眼鏡ッ娘はどこ行ったのか。それから、2作目で黒人、今回はインド系と、回を重ねるごとに生徒の国籍が多様化しているように思える。国際化、あるいは経営不振による門戸開放どっちだろう? 次回作では日系、中国系、ラテン系の生徒がいることだろう。大穴でエスキモー(いつもフードをかぶり、生肉を食う)。

・か弱き人間相手にダミアンぶりを発揮…今回の犠牲者は親戚のいじわるおばさん。さすがにおじさん一家はハリーの実力を知っており、以前のようにハリーを邪険に扱ったりしてない模様。デブなんか完全にシカトしてた。どっちに転んでもまともな人間関係を築けないハリーと親戚なのであった。

・親戚のいじわるおばさん…なんか、ハリーの親戚はロクなのがいないような気がする。ハリーの母親も実はすげえ性悪女だったりして。実際、おばさんが何の根拠も無くハリーの母親(と、その子ハリー)に対して酷い言動をしたとは思えないフシがあるのだが。

・クィディッチ…アメフトとテニスを同時にやってるようなスポーツ。アメフトの人らがどんなに頑張ってようとテニスの1人が負けたら逆転される。



『ハルク』
 いや〜酷かった。世界のクロサワが最後に撮りたくなかった映画は、コレだな。今年観た駄目な映画の中では、ワーストが『刑事まつり』だとして、その次ぐらいに酷かったかな。『火山高』のちょい下ぐらいか。『刑事まつり』はいろんな意味で酷くても仕方がない代物なので、実質的なワースト映画と言っても良い。フラフラ〜ッと見物人に突っ込んだ西部警察の俳優なんか、前日にこの映画観てて、そのショックが長引いたんじゃねーの? まあ、あくまで憶測だけどね。なんだかもう、酷い部分が多すぎて書ききれないぐらいなんだが、出来るだけ思い出して書き連ねてみる。

『ハルク』のここ以外を見ろ!!
コミックを意識した画面
電話で話す2人など、同時に別の場所にいる人物や出来事などを映す場合にときどき画面を半分に分割することがある。しかしこの映画は明らかにやり過ぎ。中央から2分割なんて甘いもんじゃなく、ときには5分割、6分割される。なんでもないシーンでも多用され、それが最後まで続く。端役がひとことしゃべるだけでも顔が画面に貼りつけられたり。その都度視線を移動させて確認するのは疲れる。
重苦しいストーリー
ユーモアのセンスの欠如というか、クスリとでも笑えるシーンが用意されてない。笑えないんじゃなく、笑わそうとするシーン自体が無い。別に大笑いしたいわけじゃないし、むしろ笑わそうとしてスベッてるよりは良い。けど、上記のふざけたコマ割でシリアスなストーリーを見せられても戸惑ってしまう。
退屈なドラマ
観る前から「主人公がハルクという緑色の巨人に変身して暴れる」ことぐらい、誰だって予想しているのに、変身するまでが長い。長すぎる。特に見せ場もなく、延々と主人公とその周辺の人物の紹介に費やされる。しかも、そのドラマも希薄で内容が伴っていない。「会話のための会話」をダラダラ繰り返してる感じ。
いきなり変身
さんざん気を持たせたハルクの変身が唐突すぎる。たまりにたまった怒りが爆発! …ではなく、研究室で一人っきりで写真を眺めてた主人公の感情が勝手に昂ぶって何の脈略も無く変身してしまう。なんで? 今までの長い長い前振りは何だったのか。意味不明だ。ありがたみも何もあったもんじゃない。そして、何の理由も無く自分や仲間たちが使っている研究所を壊しまくる。オイオイ、それって単なるアブナいやつ〜、みたいな。感情移入できないよ。正直、ハルクを攻撃する軍隊の気持ちがものすごくよくわかる。自国の市民の安全が脅かされいるのだ。一刻も早く撃滅すべきである。
怒りの見張り
何らかの怒りによって止むに止まれず変身した後は破壊衝動につき動かされるまま行動し、変身時の記憶は主人公に残らない、…という基本設定らしい。けど、怒りが解けた後も変身したままだったり、変身したまま好きな女の子の家を大人しく見張ってたりする。なんだ、自由意思で変身できるんじゃないか。破壊行為に対する主人公の言い訳か?
ハルクを買いかぶるなよ? ただ見くびるな
いくらなんでも強すぎる。機関銃やロケット砲で撃たれても効かない。戦車や戦闘機のミサイルでも傷ひとつつかなかった。例え傷がついたとしても、みるみる塞がっていく。そして、誇張じゃなく500m〜1kmぐらいの距離をジャンプだけで移動できる。これだけ無敵なのに、対するのは軍のヘリや戦闘機のみ。同程度の力を持った敵が出てこないので、緊張感が無い。100mぐらいブン投げた戦車の乗組員が生きてたりして、あくまでも「一般人の命は奪ってないんですよ」という言い訳じみたカットが必ず挿入されるのが興醒め。何の理由も無く橋は壊すわ道路に穴を開けるわ、ハルクは相当たちの悪い乱暴者というだけの生命体なんである。それ以上でもそれ以下でもない。
巨大犬と巨大木
ハルクと同じ理屈で巨大化した犬3匹と闘うシーンがある。しかし、闘うのは森の中。「横に置いてあるマッチ箱」のような比較対象がないので、単なる犬と緑の男の喧嘩だ。それよりも、彼らが登って闘った木の方が何気にスゴいんじゃないだろうか。「身の丈3mはあるハルクと巨大犬3匹が心置きなく暴れることが出来る枝」を持ってるんだから。どんな木だ、それは。「この木なんの木」の日立の樹か。あと、このシーン夜なので見づらかった。CGのアラを隠すつもりか。 
砂漠はいつでも砂だらけ
軍と闘う場所は広大な砂漠。だから、それじゃーハルクのデカさが伝わってこないんだって! CGにしやすいのはわかるけど! 市街地に突入するシーンもちょっとだけあったが、なぜか道路の下に潜ってしまうハルク。不自然だなあ。 
偶然に頼り過ぎなストーリー
ハルクの父であるマッドサイエンティスト。彼を追放した将軍。その娘が偶然にもハルクの研究仲間。というように、何でもかんでも狭い範囲に集中させる駄目な脚本の見本だ。 
アホみたいな死
一応、ハルクのライバル的な人物がいる。しかし単なる一般人。な〜んの特殊能力もない。それなのに、まるで死に急いでるようにハルクを執拗にこづきまわし、遂にはロケット砲の弾を跳ね返されて死ぬ。そのシーンも、後ろでロケット砲が炸裂した瞬間にウヒャアッてなった間抜けなポーズのままくりぬかれて画面がストップ。例の「コミック的手法」だ。冗談じゃなく演出でやってるんだろうけど、一番笑えるシーンだったと思う。
壮絶な、ラストバトルの終わらせ方
終わり間近にいきなり超人化したハルクの父親とハルクが人里離れた湖までわざわざ飛んで行って(親父、もしかしたらイイ奴かも)対決してたら、戦闘機がミサイルを落としてキノコ雲でジ・エンド。なんだそりゃ? 面白くもなんともない。あと、このシーン夜なので見づらかった。CGのアラを隠すつもりか。
「この次」など無い
核ミサイル攻撃でも生き残ったらしいハルクは、なぜか南米かどっかのジャングルで貧困に喘ぐ村人たちと暮らしている。そこに独裁政権の横暴な兵隊達がやって来て、ハルクがニヤリ。「俺を怒らせる気か?」でエンドロール。はよそういう展開にせんかい! 何をもったいぶって続編を臭わせてんだか。出来ないって。賭けても良い。
さらば、ジェニファー・コネリーとその乳よ
ヒロインのジェニファー・コネリーが脂が抜けた感じの色気があって良かった。さて、ジェニファー・コネリーと言えば? そう。乳である。誰が何と言おうと子供の頃からエースで巨乳と言えばジェニファー・コネリーの代名詞だった。クイズ番組で「ジェ…」と発音された時点で「巨乳」と即答してかまわないぐらいだ。しかし、である。なんか、この映画では明らかに胸が小さくなってねえ? あの、『ホット・スポット』の頃の大迫力の乳房はラビリンスにでも置き忘れたじゃろか? クリスティーナ・リッチみたく貧乳手術か? 子供が出来ると胸が減るのか?

 他にもいっぱいあるけど、もういいや。そのうちグーグルでいろんなところが引っかかるようになってから『ダンジョン&ドラゴン』みたいな感想リンク集でも作ろうと思う。とりあえずココの評価の低さで察してつかぁさい。



『パルプ・フィクション』
 僕はタランティーノ作品を『ジャッキー・ブラウン』、『レザボア・ドッグス』と観たけど、どれも「?」という感想で、あんまし面白いと思わなかった。特にレザボア〜の方が周囲との意見の相違が激しくて、かと言って、ことさらそれを大声で宣言するのも恥ずかしいし、映画マニヤの方々から何を言われるかわかったもんじゃねーので今まで黙っていたわけだ。そして、そうやって蓄積された鬱憤を、何の罪も無いレザボア擁護派の友人に「どこがオモロいんだYO! 説明してみせろYO!」とからむことで発散させていたのだった。ライクア酔っ払い。分析するに、どちらの作品も「誰にも感情移入できなかった」のが原因なんじゃないかと。この映画も途中までは、やはり1日に10分ごとぐらいにチンタラ観てたんだけど、中盤のブルース・ウィリスが主役になるあたりから俄然面白くなったので瞠目することしきり。「ああ、これが監督の描きたかった『フィクション』なのですね」と素直に頭を垂れるしかないぐらい「あり得ない」偶然が偶然を呼ぶ展開。とくに「トラボルタがトイレから出てきたらビックリ」するシーンが3回ほど用意されていて、そこはすごく可笑しかったな。僕の中で「トラボルタ=トイレマン」に決定。その昔タカラ缶チューハイのCMで披露した華麗なダンスとはまた違ったダルそーな創作ダンスも観ることができる。肝心のサミュエル・L・ジャクソンは、かなり良い役を貰っていた。トラボルタの相棒のだまし絵みたいな顔の殺し屋で、ワイルドという文字を黒砂糖と一緒にところてんの型に突っ込んでからグニュウと押し出したらこんなんまろび出ましたけど〜、といった風情。序盤と終盤に見せ場が用意されているので、観終ったときにまるで男一匹サミュエル・L・ジャクソンの物語を鼻からしたたってきそうなぐらい満喫した気分になる。とくに印象に残ったのは悪党丸出しの小憎らしい表情でカフナ・バーガーを貪り食うところ。もうどこまでが顔でどこまでがハンバーガーなのか、皆目判別がつかないよ! 誰かサーモグラフィー持って来てくれよ! それから、人を殺すシーンの残忍な顔と、後始末ですったもんだするときの三枚目的な演技の対比も良い感じ。陽光降り注ぐ中、キャーキャー言いながらトラボルタと一緒に水をかけられたり。最後にひとつ。バランスをとるために誰か女優を誉めようかと思ったけど、ほとんどみんな「足手まとい」程度の描かれ方しかされてなかったので断念。ボスの愛人しかりカップル強盗しかりウィリスの恋人しかり。そういえば『レザボア・ドッグス』では、女性が出てきたと思ったら顔も見せずに撃たれてたし。監督のポリシーみたいなものがあるのかも。よう知らんけど。



『バレット・モンク』(→公式サイト
速報  チョウ・ユンファ主演のマトリックスぽいアクション。…と言えば聞こえは良いが、もう、ホントどうしよう? つまんねかったー。映画を見るために払った1800円をイラクの人道支援のために寄付したら、いったい何万人を貧困から救えるのだろう。鼻の下をこすりながら得意げにこの映画を勧めてくれたヤックンこと屋根の上のポン引きこと安井に罪は無いのだが…。

 チベットの高僧に代々伝わる巻物には世界を救ったり滅ぼしたりする力が備わっていた。そいつを師匠から譲り受けたユンファはナチに撃たれて巻物と共に谷底に消えた。60年後、巻物の不思議なヒーリングパワーで生きていたユンファは、まだナチに追われていた。でも全員やっつけた。

 箸にも棒にもひっかからない駄作である。最も気になったのはチョウ・ユンファの恰幅が良過ぎること。60年間ナチスに追われて魂をすり減らした修行僧にはとても見えない。演技も下手だし。最後に老けメイクで一気に年をとったときに、動く速度からして全く変化をつけずにきびきび演じてた。もしこの映画を観ようと思ってる人がいたら、そのお金を僕にください。

ブロマイド
劇場でもらったブロマイド



『パロディ放送局UHF』
 アル・ヤンコビックが瀕死の放送局を立て直すために自作自演で頑張る。「コナン・ザ・ライブラリアン」、「ガンジー2」、「フライパン返しの百貨店」などのでっちあげCMが可笑しかった。



『ハングオーバー!』(→公式サイト
 ハングオーバーとは二日酔いという意味らしい。

 結婚式を明後日に控えた新郎のダグのバチェラーパーティーをするべく友人3人とラスベガスへ向かう。羽目を外しまくった翌朝、ダグの姿は消えていた上に、彼らの記憶は雲散霧消していた。ダグは一体どこへ行った?

 うむー。期待していたコメディ方面は全く面白くなかった。けど、記憶喪失ものが好きなのでまあ、そこそこ楽しめた。なんだかプラスマイナスゼロ(ややマイナス)のような、不思議な感じ。
 まずもって「バチェラーパーティー」という慣習自体が日本人にはピンと来ない。あと、ラスベガスで羽目をはずして部屋がめっちゃくちゃになってる図(『ラスベガスをやっつけろ!』)とか、赤ん坊を抱えて右往左往する図(『スリーメン&ベビー』)とかカジノでカウンティングやる図(『レインマン』)とか、どっかで見たことあるような光景が続く割に、別にパロディとしてやってるでもないという中途半端さが変な感じ。中途半端と言えばチャイニーズマフィアのボスを巡る駆け引きなんか、いくらでも面白くできそうなのに肝心のボスが全然怖くない上におどけてるもんだから、なんか締りが無いんだなー。
 あとね、根本的に酒呑んで大騒ぎして周りに大迷惑かけて翌日に忘れてるような人間に共感できんですわ。悪いけど。その乱痴気騒ぎの顛末がネタとして昇華されてるわけでもないし。なので★いっこ減らして★2点!

補足説明

・羽目をはずして…二日酔いどころか、不可抗力によるものという苦しい言い訳つきだが、こいつらラリッてほうぼうを器物破損拉致監禁住居不法侵入猥褻物陳列しまくったんである。コメディタッチで描かれてはいるけど、監督を変えれば相当陰惨な映画になったに違いない。



『ハンコック』(→公式サイト
 ウィル・スミス主演。酔っ払いのヒーローが暴れる映画だとか。

 スーパーマン並みの力を持つアル中気味のハンコックは正義のために戦うつもりが独善的なやり方で市民の反感を買っていた。

 途中まではすごく面白いんだが、後半失速。それにしてもウィル・スミスは『アイ・アム・レジェンド』といい『アイ,ロボット』といい、どうしてこうも「しょっぱなは面白いんだけど後半グダグダ」な映画に出続けられるんだろうか。脚本途中までしか読まないでサインしてんじゃねーの?
 ハンコックのスーパーパワーに対抗できるライバル不在のまま終わってしまう。ハンコックの存在を「正義を振りかざしても空回りしてしまうアメリカ」に見立てて批評できるかも。



『ハンニバル』
 「まあしょうがないかな」という感想。僕的にはクラリスがジョディ・フォスターじゃない時点でもうダメだし。小説を読んで行って、イメージを補強する目的で観るといいかもしれない。フィレンツェの景色がすごく綺麗だった。
 以下は映画で削られた小説の設定。個人的に不満だった箇所。

・チルトンのその後。
・いきなり片耳を吹っ飛ばされるクラリス。
・めっちゃフライパンを眺めるクラリス。
・黄昏てるジャック・クロフォード。
・自身の経営する養護施設の子供に自分の姿をいきなりさらして泣かせ、その涙入りのカクテルを飲むメイスン・ヴァージャー。
・今や廃墟と化した、レクター博士の収容されていた精神病棟を再訪するクラリス。
・テルミンを演奏するレクター博士。
・レクター博士の「記憶の宮殿」。
・吊られたまま死後勃起するパッツィ。
・殺人現場から逃亡するときに、車内でお気に入りの音楽をチョイスするレクター博士。
・レクター博士の車に対するこだわり。
・逃亡用の資金を甲冑の中から取り出すレクター博士。
・豚に食われる監督。
・逃亡中の飛行機で隣のお子様に手をやくレクター博士。
・レクター博士の「人肉嗜好」に関するトラウマ。
・鹿ハンターを滑稽味溢れる方法で殺すレクター博士。
・メイスン・ヴァージャーの悲惨な最期に関わってくるマーゴ・ヴァージャー。
・脳みそを仲良く食べるレクター博士&クラリス。

 以上。思いつく限り挙げてみた。肝心要の、主役であるレクター博士の個性に肉付けするための描写があらかた抜け落ちている「目黒のサンマ」状態。映画の中で何度か「ゲイ」と揶揄されるレクター博士だけど、それも仕方がないかな、ってぐらい魅力をそがれる描き方。つまり省略されているレクター博士の嗜好や過去は、「なぜレクター博士がクラリスに固執するか」の間接的&直接的な説明になっていたわけで。それがない映画のレクター博士は支離滅裂に見える。おかげで「謎めいた人物」を匂わせるための演出がすべて裏目に出ていて、ただの変なオジサンみたい。特に最後の「脳みそ会食」〜ラストシーンまでは、ちょっと許しがたい感じに改悪されていた。せっかくレイ・リオッタが脳をさらして熱演してるんだから、ちゃんと小説通りに進行してほしかった。噂では2パターン撮られたらしいけど、もう一つが小説に忠実なほうなんだろうか。お前さんは人肉喰らってなんぼだろうが、レクター!! 「脱ぐのをやめたAV女優」みたいで哀れを誘う。思ったんだけど、T・ハリスは登場人物の権利を売っ払って、自分は監修的な立場になって、レクター博士とクラリスの「それぞれのその後」を別々に発表したほうが面白かったのでは。「2人を無理矢理にでも絡ませる続編」という、スタート地点からして間違ってるよな。

補足説明

・許しがたい感じに改悪…でも、「劇場版クレしん」で涙ちょちょ切らせてる方々には受けるかもしれない。泣けよ、ホラ。そして流れ落ちた涙をメスシリンダーに入れてデジカメで撮影の後、アップして涙の量を競ってくれよ。

・レイ・リオッタが脳をさらして熱演…蓋の開いたヤキソバンみたいでカッコ良かった。

・ジョニー・デップ…でも『シザーハンズ』は好き。



『ビートルジュース』
 西川のりおがビートルジュースの声をあてている日本語吹替え版を放送してたので10数年ぶりに観た。アレック・ボールドウィンが始まって10分ぐらいで死ぬ。ジーナ・デイビスと夫婦共々幽霊になり、最初は自分たちが死んだことに気づかない。新たに越してきた一家の娘(ウィノナ・ライダー)にだけは彼らが見える。これはアレちゃうか? ひょっとしてあの映画の元ネタちゃうやろか。あの幽霊が見える少年のやつ。霊界の住人が出るたびに「ユーレイ隊」、「コナカケジジイ」、「キャラメル・パパ」とテロップが流れる。ビートルジュース役のマイケル・キートンは、誰かわかんない。『ハンニバル』のゲイリー・オールドマンと良い勝負しそうである。アレック・ボールドウィンが首だけになったけど、ティム・バートン監督は男前を首だけにするのが趣味なんだろうか。『スリーピー・ホロウ』や『マーズ・アタック!』でもやってた。



『HERO』
 良くも悪くもCM通り、ジェット・リーが三万本ぐらいの矢を相手に蓮画像みたくなりながら大立ち回りを演じる映画だった。監督は違うが同じようなテイストの『グリーン・デスティニー』よりは面白かったと思う。ジェット・リーが剣の達人という設定なので、徒手空拳の体術を見ることができないのが残念。ワイヤーアクションで人が水平に浮遊する効果も、「達人の技」を表現する形式的なものになってきている。そろそろ飽きてきた。武侠映画以外で見てみたい。生まれつき空中を水平に漂ってしまう体質の男が活躍する法廷モノとか。



『ヒックとドラゴン』(3D)(→公式サイト
 『シュレック』シリーズや『カンフー・パンダ』、『モンスターVSエイリアン』等のドリームワークスによるCGアニメ作品。

 北方のヴァイキングの村は、定期的に襲ってくるドラゴン軍団との戦いに明け暮れていた。村を率いる最強のヴァイキングの一人息子であるひ弱なヒックは、手製の投網マシーンで最速のドラゴンを捕獲することに成功するが、手負いのドラゴンにトドメを刺すことができず、なぜかみんなに隠れて餌付けするようになる。やがてドラゴンと彼の間に友情が芽生え……。

 割とよくある系の話を手堅くまとめているな、という印象。とにかく出てくるドラゴンの種類が多様で、それぞれに特徴がある。そのドラゴン達に対処するヒックの戦法もオタクっぽく知識重視。ゲーム感覚の攻略法という感じで面白かった。
 一番驚いたのが、ヒックと友情を結ぶドラゴン(トゥース)の挙動。こいつの動きときたら何から何まで猫そのものでやんの。萌えてまうやろー! ズルい。



『必殺!3 裏か表か』
 「必殺」の映画では一番好きな作品。
 リアリズムという観点から必殺を見直したような。まずテレビと比較して中村主水が弱体化している。浪人3人相手にビビッたりして、とても「すれ違い様に十手で5人を撲殺」するような男には見えない。次に仲間の仕事人(テレビ版のレギュラー)が実にあっけなくコロ死にする。彼らとて人間。素手で大勢に取り囲まれたらひとたまりもなかった。そしてラストの不条理な展開。テレビ版のファンほど心に響く作品ではないだろうか。



『ヒッチャー』
 ごく普通の青年がドライブ中に乗せたのは、殺人鬼だったのです。理由も無くジワジワと主人公をつけねらうルトガー・ハウアーが怖すぎる。ハマり役。観てて「ひょっとしてホモ?」と思わせる演出。ヤヲイ好きのあなたも観てみろりん。



『評決のとき』
 どうして歴史の上に黒人が生まれたのか。
 南部アメリカのブルーカラーであるサミュエルの娘が、白人のならずものにレイプされる事件が発端。怒ったサミュエルが法廷で二人を待ち伏せ。正義のトールハンマーを喰らいやがれとばかりに突撃銃で二人を撃ち殺す。知人として、事前に犯行をほのめかす告白を聞いていたにも関わらず警察に通報しなかった自責の念にかられた若い弁護士がサミュエルの弁護に立ちあがってすったもんだする、という内容。明確に「黒人」の役割をあてがわれたサミュエル観ててもつまんないってゆーかー。法廷ものにしては最後のお約束「ドンデン返し」のセンが薄いのもマイナスポイント。この映画を好んで観に来るであろう観客の心の中にある「人種差別に対する憤り」に寄っかかりすぎとちゃいまっか? 人種差別云々よりも、襲撃のときに巻き添えで膝を撃ちぬかれて膝から下を切断した警官Aの証言に感動した。「私だって娘が乱暴されたら同じことをしただろう。彼(サミュエル)を釈放してやれ!」だってさ。アンタったら、すごく優しいバカだよ! 今回のサミュエル・ポイントは、そういうわけで無し。それよりも、弁護士の奥さんが気になって参った。この女優は誰ですか? 暑いのか知らないけど、汗だくで床を拭いてるシーンがあって、そこは思わず座りなおして3回ぐらい巻き戻して鑑賞。あと、KKKと黒人の集団が衝突したときに、KKKの首領が黒人の投げた火炎瓶で火だるまになるシーンが見所といえば見所かな。どっちもどっちというか。



『ピースメーカー』
 トム・クランシーシリーズみたいな、ありがちな国際陰謀もの。ロシアの核が紛失してアメリカに来る話は、もういいから。ロシアの核が紛失して、吹雪に閉ざされた雪山のロッジで凶器として使われるミステリーを見たい。「被害者は核弾頭のようなもので後頭部を強打されています」。



『ビートたけし殺人事件』
 '89年。フライデー事件の3年後、バイク事故の5年前の作品である。いや、特に意味はないが。
 そのまんま東の原作を連続ドラマにしたもののビデオ化らしい。ビートたけしが失踪し、たけし軍団が困惑。そうこうするうちにメンバーにも犠牲者が…というメタな設定。この難事件に一番弟子のそのまんま東が挑む。『さんまの名探偵』みたい。「軍団の知恵袋」ことダンカンが暗号を解読するシーンが一番面白かった。っつーか、ダンカンを主役にして欲しい。島田紳介、渡辺正行などがカメオ出演。で、このビデオの一番の見所は「東につきまとい、やがて恋仲に発展してしまう編集者」役のかとうかずこの存在だろう。
「やめて。仲間を疑う東さんなんて見たくないわ」
「好きに…なったみたい」
「うふふ…スケベなこと考えてるんでしょう」(ラブホテルで)
「強いのね、東さんて」
などなど、強烈なセリフをしゃべらせてしまう東。お前ってヤツは…。以下はネットで発見した、かとうかずこインタビューより抜粋。
「ちょうどその頃、『ビートたけし殺人事件』というドラマで初めて主人と共演したのですが、ある日、セットに変な匂いが漂っていたんです。それで、私が「誰かのくつ下が臭うんですけど」と言ったら、彼が「あ、僕、僕」ってすごく明るく手を挙げたのにびっくりして。恥ずかしいことも笑って言えちゃうのは、素晴らしい才能だなと思った」
 …彼のことが好きなんだな〜、って気持ちが伝わってきて、ホンワカした気持ちになるよなあ、オイ。



『ビッグ・リボウスキ』
 誘拐事件に、錯綜した人間関係が絡む。 『ファーゴ』をゆるくしたような感じだった。



『ピンチランナー』
 たった1人の陸上部で頑張る主人公(なっち)の元にゴマキや飯田や矢口や市井が集まり、頑張る。
 クライマックスの駅伝大会の待ち時間で、それぞれの抱える問題が次々に解決していく。暴力パパが「父さんにやり直すチャンスをくれ」と言いに来て、疎遠になっていた彼氏が励ましに現われ、仲が悪かった友達が応援に駆けつけ、主人公はトラウマを克服する。
 モーニング娘。の演技が演技だけに、脇役の松坂慶子が神に見えた。



『ピンポン』
 原作がどういうものか全く知らなくて、ハミチンサーブが飛び出すようなぶっ飛び学園コメディなんじゃないかと期待して見たんだけど、思いっきり正統派スポ根ものだった。井の中の蛙→敗北→特訓→勝利という流れなんか、ジャッキー・チェンの「〜モンキー」シリーズっぽい。師匠とかトーナメントとか。終り方が『タッチ』っぽかった。これ漫画だとどんなだったんだろうなー。もしかしたら漫画は面白いかもしれない。そんな出来だった。



『ファーゴ』
 ファーゴはノース・ダコタ州の田舎町。 偽装誘拐が破綻していく顛末を、一面の銀世界を背景に淡々と描く。 映画全体が一種のブラック・ユーモア。物事が、人が死ぬ方向へ、被害が大きくなる方向へ加速度的にスリップし続ける。事件を追う警察の女署長は、他の映画で見かけない地味な人物像。しかし抜群に冴えている。 実際にあった事件が題材とか。本当にこの映画のスティーヴ・ブシェーミみたいにドジな男がいたんだろうか。



『ファイナル・デスティネーション』
 主人公の予知夢により飛行機事故を逃れた7人。だが、死神の魔の手は生き残った彼らにも確実に迫って来る。
 人の死に様がふざけていて、「風が吹けば桶屋が儲かる」式で面白い。予想を外す手法が上手かったと思う。逆に「来るぞ来るぞ」と思わせた要素ひとつひとつが全部振りかかる気の毒すぎる人物もいて、可笑しかったり。バスがゴオッ!と来るシーンが一番良かった。



『ファイナル・デッドサーキット 3D』(→公式サイト
 これで4作目となる『ファイナル・デスティネーション 』シリーズ最新作。3はつまらなそうだったので未見なんだけど、今回は★5つの続編『デッドコースター』を手がけたデヴィッド・エリスが再び監督を務めたらしい。しかも今回は3D映画。これは期待できそうだぞ?

 恋人とレース観戦に来ていたニックは、不吉な予知夢を見て会場から逃げ出したおかげで、難を逃れた。しかし死神の魔の手は生存者達のもとに確実に伸びてくるのだった。

 ★5つ出ましたー! 面白かった。やっぱりエリス監督は最高だぜー。もっかいぐらい観に行きたい。ここからはネタバレ全開なので未見の人は注意されたし。
 オープニングの大惨事でゴア描写がやや抑え目に設定されているのでちょっと不安になったけど、安全地帯に逃れたと思った頃に唐突にタイヤドーン! 人体グチャ! 脊髄ビローンでもう笑っちゃうしかないぐらいグロい死体が写ってファンを安心させ、怒涛のオープニングへ。このオープニングが最高だ。ハイテンポのハードロックに合わせてレントゲン風CGの骸骨にナイフが刺さり、千切れ飛ぶ。よくよく見るとシリーズの歴代死に方ダイジェスト。この映像が『アイアンマン』のEDで流れたアニメみたいなノリで無駄にかっこ良い。
 今回も良い意味で予想を裏切る「そう来たか」な殺され方の連続。金網でサイコロステーキになるやつなんか『デッドコースター』の鉄条網のアレを彷彿とさせつつさらに発展した感じで面白かった。それと1作目で一番びっくらこいたバスがゴオッ! を彷彿とさせるシーンの直前に犠牲者がデジャビュがどうたらって言いかけてるのも可笑しい。また、最後にもう一度大惨事が起こるのが新しい。しかも舞台はいかにもこの映画がかかりそうなシネコンで、スクリーンの裏で爆発が起こるという、3D化を見越してこれ以上ないってぐらいの疑似体験をさせてくれる。本当に今見てるスクリーンが弾けとんだ感じだったもん。そしてラストでは1作目のオチから類推して「ああ、ここで順番に沿ってこの女が死ぬんでしょ」って構えてたら、なんと3人一気に全滅。アレ? と思ってると、コンマ何秒の差で律儀に「順番通りに」死んでることがあのふざけた骸骨アニメで示される。じゃあ今まで丁寧に一人ずつ面白く殺してたのはなんだったんだっていう。死神にしか出来ない豪快さと繊細さを兼ね備えた殺害法と言える。しっかし主人公の彼女は予知夢で2回プラス、ラストで都合3度も惨たらしい死に方をする。こんなにも酷い死に方を3度もさらすヒロイン像って珍しいんじゃない?

補足説明

・デヴィッド・エリス…このシリーズの他にも『スネークフライト』や『セルラー』など、とても面白い映画を作っている注目の監督。



『ファイナルファンタジー』
 S氏にとっての「最後の幻想」だったんでしょうなー。合掌。「本物と見紛うばかりの」登場人物が奏でる稚拙なストーリー。この映画については「フルCGでやる必要があったのか」とみんなが思うと思うし、僕もそう思った。新しいFFのデモ映像を延々と見せつけられてるような苦痛の2時間だった。実際にはあまりに退屈なので1週間ぐらいかけて小刻みに観たんだが…。やはりS氏の誤算(というか思い違い)は、FFをやる人が「ストーリーにひかれて先を見たいがためにプレイする」と捉えていることなんじゃないか。リアルな登場人物に対して、エイリアンの描写が貧弱なのもマイナス。いかにも作り物っぽい半透明で流動体のクリーチャーだし。映画そのものよりも、観た後に人の感想読むほうが面白い。ココとか。スティーブ・ブシェーミが誰かの声あててたんだな。わかんねーよ。



『Vフォー・ヴェンデッタ』(→公式サイト
 あの『マトリックス』の何とか兄弟がアメコミ原作のダークヒーローものを手がけたらしい。主演はエージェント・スミスことヒューゴ・ウィービング。

 全体主義の政府が支配する近未来のイギリス。横暴な政府に立ち向かうのは、仮面の男V。

 あの『マトリックス』の何とか兄弟と聞いて、どうしても『マトリックス』との相似に目がいってしまった。しかし、こっちの方がストーリーとして良く出来ているし、何より革命の終結まできちんと描けてるのが良い。
 Vの人物造詣が良かった。目的が単純に「世のため人のため」ではなく、自分という怪物を生み出してしまった横暴な政府に対する復讐(Vendetta)のため。行動力の源は、恐らく「怒り」だろうか。結果的に抑圧された人々を解放する役割を担ったわけだけど、Vにとっては人々もまた復讐成就の為のパーツにすぎないのだ。こういう独善的なヒーローは好きだな。復讐の為のプロセスも、武力一辺倒ではなくメディアを利用したり、敵勢力の離反を誘ったりと、なかなか賢い。
 人格的に相当問題があると思われるVの愛情表現は屈折している。少女イヴィーに対する監禁&洗脳。それはかつて自分が味わった苦痛を共にしてもらいたかったからなのだろうか。困難な状況や苦痛の共有は親近感を生む土壌になるが、Vは意図的にそれを作り出したのではないか。エゴだ自分勝手だと言われればそれまでだが、その事実をイヴィーに明かし、一切弁解しないVの態度は一貫した「正しい姿勢」であるように思えた。
 Vを演じるヒューゴ・ウィービングは、遂に素顔を晒すことはなかった。『ハンニバル』のゲイリー・オールドマンよりすごい。

補足説明

・こっちの方が…後半グダグダになったマトリックス3部作をひとつの作品として比べると。

・復讐成就の為のパーツにすぎない…現に厳密には政府側とは言えないテレビ局の人間や警官も巻き込んで(ときには殺して)るし。

・独善的なヒーロー…『デアデビル』もそうだったが、一般受けしなさそう。



『フーディーニ 天才魔術師の恋』
絶対倒そう  脱出王ハリー・フーディーニ (1874-1926) の生涯。フーディーニに対して漠然と縄抜けのインド人という誤ったイメージを抱いてたんだけど、れっきとしたアメリカ白人だった。魔術師として名を成してからは世に横行するインチキ霊媒師狩りを始める。オカルトに傾倒するコナン・ドイルに招かれてドイルの妻(霊媒師!)のトリックを暴いて絶交。自分は命がけだってのに、座って手品師の真似事するだけで法外な金をふんだくるのが許せなかったんだろう。フーディーニの霊と奥さんが踊る意味不明なラストは、本人が観たら耳から血を出して憤死するんじゃないかな。

補足説明

・縄抜けのインド人という誤ったイメージ…SFC版ウィザードリィVのグラフィックのせい。



『フォーガットン』(→公式サイト
 映画館の予告編で見た「椅子に座ってる人間が天井ごと上空かなたに吹っ飛んでく」映像のあまりのインパクトが忘れられず、後にDVDで鑑賞。一体何がどうなってあんなにも人間がすっ飛ばされるのか。

 ジュリアン・ムーアは1人息子を飛行機事故で亡くしたショックから立ち直れないでいた。ある日ジュリアンはかかりつけの精神科医から「息子が死んだ妄想にとらわれている」と告げられる。息子は確かに存在したはずなのに。

 そんな感じで、最初は真っ当なサスペンスっぽい幕開け。映像、音楽、ジュリアン・ムーア、その全てがこれから息詰まるスリラーが始まりそうな雰囲気を盛り上げていく。ある瞬間までは。そう。何を隠そうかの人間ぶっ飛びシーンである。なんと神隠しの黒幕は宇宙人だった。このシーンを機に映画は突如として矢追純一ワールドに突入。猛スピードで坂道を転がり落ちていく。我々はただ、口をポカンと開けて事の成り行きを見守る他ないのである。『バートン・フィンク』で、途中までニコニコしながらバートンの脚本を読んでいたプロデューサーが突然激怒する場面があったけど、もしかしたらこういう筋書きだったのかもしれない。
 蓋を開けて見ればトンデモ映画だったわけだけど、この映画のすごいところはトンデモストーリーに全力で取り組んでいるところだ。兎に角件の人間ぶっ飛びシーンの迫力は圧巻。こんなシーン見たことない。巨大掲示板などでは畏敬の念を込めてズバコーンと呼ばれているみたい。実際この現象を正確に表現する言葉が見当たらない。上で「すっ飛ばされる」と書いたけど、何かに突き飛ばされたわけでもないので正確には当てはまらない。自力で飛んでるわけでもないので「飛んでいく」に類する動詞も相当しない。かと言って「引っ張られる」、「引き寄せられる」、「吸い込まれる」等も、何か違う。わかりやすく牽引ビームのエフェクトがあるわけじゃないし。やはりズバコーンしかないのか。ただただ自らの語彙の拙さを嘆くばかりだ。そもそも宇宙人のズバコニウム(仮)テクノロジーがどんなものかまるっきり説明が無いし、想像もつかない。連れ去られて何処に行っちゃったのかもわかんない。ルイーダの酒場か?
 1度目ビックリ、2度目から爆笑必至のズバコーン。中でも最もうけたのが3度目だったか。ジュリアン・ムーアの同行者の男がアパートの一室で宇宙人に突進し、そのまま窓を突き破って2人で落っこちていく場面。落下する同行者の男は、地面に激突する前にズバコーン! どういうことだよソレ。宇宙人は、人類に秘密がバレそうになったらズバコーンするわけじゃないの? ほっといても落ちて即死だったろうに。結果的に命は助かったけど、史上これほど嫌な助かり方もないよな。素直に落ちて死んだ方がマシな気がする。
 結局最後まで宇宙人のテクノロジーや大多数の行方不明者がどうなっちゃってるのか、詳細はまるで不明のまま終わってしまう。とりあえず子供が帰って来たからいいやみたいな。リアルと言えばリアルだ。神の御意志、神の御業は人間には伺い知れないものなんだろう。時として奇跡は笑える。そんなことを学んだ映画だった。謹んで☆一個進呈。

補足説明

・☆一個…採点不能。ある意味すごい。生きたいように生きろ。



『The 4th Kind フォース・カインド』(→公式サイト
 ミラジョボ主演のモキュメンタリー映画。田舎町で相次ぐ失踪事件にサイコセラピストの女医が挑む。果たして真相は?

 アラスカで不眠症の患者の治療にあたっているミラジョボは、全く関係ない患者達にある共通の証言が見受けられることに気づき、調査に乗り出した。

 催眠状態の患者が尋常じゃない取り乱し方をする予告編の映像が気になり鑑賞。
怖い顔と怖くない顔  本編の合間合間にフェイクドキュメンタリー映像が挟まれて、なかなかの効果を上げていた。しかもこのフィルムに出てくるミラジョボのモデルとなったとされる精神科医の顔が半端なく怖い。ある意味出オチ。こりゃ『母なる証明』の「知恵遅れの犯人」(ウォンビンじゃない方)と並んで「スクリーンに出しちゃいけない顔」だよ〜。モノホンの精神病患者っぽいんだもん。この人の顔面がスクリーンに大写しになるたびにいたたまれない感覚に襲われた。あと監督の顔が超うさんくさくてうけた。怖い顔と交互に映るもんだから「悪い刑事と良い刑事」的な効果があった。



『フォーン・ブース』(→公式サイト

 スチュ(コリン・ファレル)は、口先で他人を利用してNYを泳ぎ回る自称ヤリ手の宣伝マン。ある日、不倫相手と会話するためにいつも使っている電話ボックスのベルが鳴った。何気なく受話器を取った瞬間、悪夢は始まる。通話相手である狙撃手のレーザーポインタがスチュの胸で光ったのだ。
「電話を切ったら殺す」
スチュは過酷な要求を次々と飲まざるをえない窮地に立たされた。

 上映時間81分のほとんどが電話ボックスでの会話に終始する。ダレることがない。2時間超の大作に疲れ気味なので心地よかった。レクター博士とクラリスの会話の部分が延々と続く感覚なので、あーいうのが好きな人はどうぞ。スチュは、不倫相手の女の子にまだ何もしてない入れてないファック未遂の段階で、相手にしたってスチュのことを好きでも何でもなかったのに、どこらへんが犯人の逆鱗に触れてしまったのか。心の中で姦淫しただけで罪なのか。ひょっとすると厳格なクリスチャンだったのかもしれない。スチュの太鼓持ちか、イタリア料理店の主人の親戚かなんかが真犯人かと思ってたら、映画ファン的に別の意味で意外な人だった。思い返せば伏線も何にもあったもんじゃないんだけど、妙に納得してしまった。たまにはこういうのもアリかな。それにつけてもコリン・ファレル。好きでも嫌いでもない俳優なんだけど、『マイノリティ・リポート』、『デアデビル』、『S.W.A.T.』と、最近の出演作をはからずもすべて見ていることになる。この映画ではエモーショナルな演技が冴えていた。特に不安そうにNYのビル郡を眺め回す表情は情けなさ満点で適役だと思う。真犯人のバリトンボイスが実に渋くて格好良かった。声帯が違うのか知らないけど、邦画ではほとんど聞けない類の声だ。こういう声を出す日本人でパッと思い浮かぶと言えば、いまだに刑事コジャックの人(森山周一郎)ぐらいだもんな。



『フォレストガンプ』
「走ってフォレスト!走るのよぉっ!!」
 友人とチャットしていて、全く会話についていけなくて悔しかった『フォレスト・ガンプ/一期一会』を見た。ネタバレになるので内容については詳しく触れないが、見ていて思ったことを箇条書きにする。
・この飛んでる羽根を追っかけていく技術すごいなあ。合成に見えない。
・IQかあ。いっぺん測ってみたいなあ。
・『レインマン2』ってどうなったんだ?
・おいおい、校長とやっとんでこのおばちゃん。
・おお!プレスリー!
・アメリカ人って本当にアメフト好きなのな。
・ジェニーのばかー!
・あ、この曲知ってる。
・エビ食いたくなってきた。
・そういえば卓球少女ってどこ行った。
・おお!ケネディ!
・ジェニーのばかー!
・おお!ジョン・レノン!
・エビのカクテルってあるのか?
・うわ!地震!
・そんな都合良く金持ちになれるんかいな。
・ジェニーのばかー!
・このニコチャンマークって、なんていったっけ?
・良かったね、フォレストくん。
 こんな感じ。二時間以上ある映画だけど、テンポがいいので長いとは感じなかった。



『復讐のビッグガン』
1985年 フランス
 公開当時は『凶悪の街 刑事の勲章』というタイトル。
 不良少年とつるんでいた一人娘を謎の自警集団に殺された元刑事が犯人を追い詰め、一人また一人と復讐を果たしていく。
 ジムでトレーニングするアラン・ドロンが当時50歳とは思えない筋肉美。驚いた。甘いマスクに似合わず容赦ないドロン。膝を撃ちぬいてから手榴弾の安全ピン抜いて置いてったり。
 黒幕に銃をつきつけられ用済み宣言された犯人が「ワー!」って叫びながらヤケクソ気味に素手で特攻するけど顔を撃ちぬかれるシーンが良かった。ドロンがピエロに扮するラストも見所。中途半端にメイクを落としてるせいで片眉に見えた。シリアスなムードなのに片眉…。 あと、「アタシ寂しいの」「オレもさ」ピョ〜ン!ってドロンと一夜を共にした女刑事が、成り行きで犯人にショットガンで撃たれたのに一命をとりとめ、南の島で首にギブスしてじゃれあっていた。



『フットルース』
 footloose=勝手気ままな、足の向くままに
「ヘイヘイ、今夜はパーティだぜ。レッツダーンス!」
 ケビン・ベーコンが当時最先端のアストロ・ミュージックに合わせて踊る! 踊る! 踊る! サントラを買った。



『フライトプラン』(→公式サイト
 ジョディー・フォスター主演。航行中の旅客機の中で一人娘が忽然と姿を消すミステリーだとか。宇宙人の仕業か? 周りの人全員がグル? CIAの陰謀? 人体自然発火現象? こうなったら見届けてやらぁ!

 ジョディは突然の夫の死を機に、一人娘とドイツからアメリカへ渡ることを決意する。その飛行機の中。少しまどろんだ間に一人娘が姿を消してしまう。

 ザ・ガタガタなフライトプラン。う〜ん。ある意味すごい。こういう映画には、少しぐらいの矛盾があっても目をつぶるのが楽しみ方だと思うが、粗が多すぎて閉じた目が開きません。逆に楽しくなる。アカデミー突っ込まれ部門があったら間違いなく獲得していることだろう。惜しい。
 見てから1,2ヶ月経ったんだけど、思いつく限りの突っ込みを試みようと思う。ネタバレだらけなので注意!!

・まず真犯人の計画がまわりくどすぎる。計画の成就までに「ジョディの夫を自殺に見せかけて殺害」→「機内で娘誘拐」という単独でも難しそうな犯罪を二つも成功させなければならない。そこまでやってやっと準備段階。
・ジョディが夫の棺桶&娘連れで飛行機に乗らなかったらどうしたのか。
・ジョディが片時も娘から目を離さず、離れた席で仮眠をとらなかったらどうしたのか。
・ジョディがそれほど騒がなかったらどうしたのか。
・なぜ真犯人はジョディの近くの席を取れたのか。発券係も共犯か?
・(おそらく共犯のスチュワーデスによる)娘誘拐シーンを写さないのはずるい。機内食を運ぶワゴンに娘1人を騒がないように突っ込むなんて無理がありすぎるし。
・それを周りの誰も気づかないのも不自然。
・特に前の席の子供連れの夫妻がジョディの娘を覚えてないのはおかしい。子供連れの親は前後の席にどういう人間が乗ってるかまずチェックするだろーに。真後ろに自分の子供らと同い年ぐらいの少女がいたんですよ?
・棺桶に細工した(らしい)死体置き場の共犯が全く出てこない。とってつけたような説明だけ。
・「ジョディが飛行機の設計者(すごい偶然!)だったのは好都合だった」と犯人が言うけど、どこら辺が? まんまと娘を発見されたわけだが。こんだけ綿密に計画しといて、ジョディの職業も調べなかったのかー? どういう基準でジョディを選んだの? 顔?
・それまで大騒ぎしてちょっとした精神病扱いされてたジョディを突然ハイジャッカーとして認め、身代金を即座に振り込む飛行機会社側の対応。
・意外にショボかった爆発。ジョディの奮闘なくしても計画失敗だったっぽい。

 ざっと挙げてもこんなにある。「飛行機の中で一人娘が消えるんですよ! それをジョディが必死に探すんですよ!」という設定だけ先に思いついた脚本なんだろうなー。そんで犯人1人の力だけじゃ無理なとこだけ共犯者がやったことにして。娘なんか見つかんなかった方が面白かったかもなー。



『ブラザーズ・グリム』(→公式サイト
 原作が結構残虐なことで一昔前に物議を醸したグリム童話を、「映像がすごい」としか褒めようが無い作品を次々に撮ることにかけては右に出る者が無いテリー・ギリアムが撮ったという。

 グリム兄弟がインチキ妖怪退治で日銭を稼いでいたら、本物の妖怪に出くわしたからサア大変。

 「嘘から出たまこと」パターンのありがちな出だし。『スリーピー・ホロウ』みたい。こういった展開では、「怪異が本物の現象だとわかったときの主人公らのリアクション」とか「妖怪を嘘っぱちだと信じて疑わなかった人物が当の妖怪に殺される(「信じらんねー」って顔で)」などがお約束。けど、ことごとく外してた。それらしきシーンもあるにはあるんだけど。「妖怪を嘘っぱちだと信じて疑わなかった人物」代表の将軍なんか、妖怪どころかグリム兄に普通に刺し殺されたし。違うだろっ! そこは死にかけの将軍の頬っぺたに妖怪の顔面をグリグリ押し付けるぐらいしないとだろっ!!
 肝心のグリム兄弟の書いた童話の世界がいかに活かされてたか、についてもすんごく疑問。「ヘンゼルとグレーテル」という兄妹が出てきても「お菓子の家は出てこない」、赤ずきんは出てきても「狼のお腹は縫合しない」といった具合。なんやねんなソレは。それだったら別にグリム兄弟じゃなくても、千原兄弟でもハーン兄弟でもエエやんか? 
 半端に妖怪退治ものにしなくても良かったのでは。いまグリム兄弟の映画を撮るからには、もうちょっと新しい「ギリアム流の解釈」を感じさせる作りにして欲しかった。主人公達が同じところをグルグルするストーリーは舞台劇臭く、予算の無さ加減はヒシヒシと感じた。「木や蔦が動いて人間を襲う映画は金が無い」ってひとつのパターンかも。



『ブラザー・ベア』(→公式サイト
「ヒト的なニュアンスを出来るだけ伝えへんほうがトクやんけここは。木の実しか食わへんとか、槍がどうこうとか、絶対ナシやねんて」
 予告編がずっと気になっていた映画。兄弟のように仲の良い2匹の熊のうち、兄貴分のキナイが、母親とはぐれた弟分のコーダにある日うちあけた秘密。その秘密を知ったコーダはタイガーバームを嗅がされた猫のようにギョクンと飛び上がって逃げだすのである。一体その秘密とはなんなのか。これは是非とも確かめねばならない。事前の予想では、

1.キナイがコーダの母熊を食った。
2.キナイは実は人間。

 どっちかだろう、と。しかし観て驚いた。この予想の両方を満たすような才色兼備かつ文武両道おまけにアンドロギュノスな解答が待っており、座席からズリ落ちそうになった。キナイはもともと人間だった。彼は3人兄弟の末っ子であり、長兄を死に追いやった熊を殺す。その熊の子供こそコーダだったのだ。自然界の掟に背いたキナイはグレート・スピリットの怒りに触れたらしく、倒した熊の霊魂と融合してしまう。外見は熊で精神は人間の生命体になったキナイは、実の兄(次男)に長男殺しの熊と勘違いされてつけねらわれるはめになる。その逃避行の途中で熊としてコーダと知り合ったのだ。生き別れの母親を殺した兄貴が人間だったのである。どこに驚けばいいのやら。怯えたコーダはPTSD寸前だ。しかしそこはディズニー。歌ったり踊ったりしているうちに何となく仲直り。キナイはグレート・スピリットの導きにより再び人間の姿に戻りめでたしめでたし。普通ならここで幕が降りるはずなんだけど、「インディアンのぬいぐるみなんか誰が欲しがるんだよ」というスポンサーの意向が働いてキナイはまた熊の姿に戻る道を選択。コーダと末永く暮らしたとさ。どんなオチなんだよそれわああああ〜。再び椅子から滑り落ちそうになるのを前の席のシートカバーにしがみついて必死に堪える。すべてブチ壊し。つうがやっぱり人間としてよひょうと暮らすような、かぐや姫が「テヘ☆」っと月から速攻Uターンしてくるような、泣いた赤鬼の肩を「嘘や〜ん!」って青鬼が後ろから抱きすくめるような、ロミオとジュリエットがゲップと共にみんなの目の前で蘇生するような、ニルスがまた縮むような…喩えが長くなったが、とにかくコーダに感情移入している子供の精神を甘やかさずにはいられない含蓄も何も無い結末だった。
 それでいてややブラックな笑いやNG集なんかは大人向けでピクサーのノリ。大人にも子供にもバカップルにも気に入られようとディズニー、必死。熊の楽園であるサーモン・ランでコーダの軽口をかわして実は人間だという素性を必死に隠そうとする場面がトカゲのおっさんみたいで可笑しかった。僕は日本語吹替えで観たんだけど、途中で流れる挿入歌をフィル・コリンズが日本語で歌っていたらしい。もんたよしのりみたいな声だったな〜と思いながら眺めていたエンドロールでキナイ&巫女のタナナの声をあててるのが東山紀之&森光子だと知ってシートカバーごと転げ落ちた。

補足説明

・キナイはもともと人間…ネイティブ・アメリカンっぽい。舞台は大昔の北米大陸と思われる。

・自然界の掟に背いた…公式サイトに書いてるんだけど、どこらへんがどう背いたのかよくわからない。復讐のために熊を殺したのがいけなかったのか、兄貴を犠牲にしたのがいけなかったのか、クマのトーテムをポイ捨てしたのがいけなかったのか。とにかく神が内緒で定めたハウスルールに抵触したらしい。

・グレート・スピリット…これもよくわからないんだけど、神のようなもの。キナイごときを熊に変えてたしなめるところなどからスケールの小ささがうかがえる。狭〜い範囲で奉られて得意になってる土着の神だろう。



『ブラック・ジャック ふたりの黒い医者』(→公式サイト
 『ブラック・ジャック』の映画化。手塚治虫のご子息の「どーにもこーにもまこっちゃん」こと手塚眞氏が監督を勤めた。

 ブラック・ジャックが命の大切さやはかなさを知る。

 褒めるところがない。原作のエピソードを何個か切り貼りしてみた風。病院の廊下だけ無駄にCGになったり、肝心の「ロック」役の声優がド下手だったり、無頭児が出てこなかったり、なんともトホホな出来だった。ストーリーもなんだかわからんちんだし。原作の素晴らしさを再確認できた。
 家族だからって遺族の作品を好き勝手しようなんて、おこがましいとは思わんかね? 眞君?



『ブラック・スワン』(→WIKI
 ナタリー・ポートマン主演のサイコ・スリラー。

 有名バレエ劇団のプリマ・ドンナに抜擢されたナタリー・ポートマンは生真面目な性格が災いし、『白鳥の湖』で妖艶な黒鳥を演じきれるかどうかの不安に苛まれていた。

 すごく面白かった! 『羊たちの沈黙』や『氷の微笑』などと比肩し得るサイコ・スリラーのスタンダードになれるんじゃないかな。ナタリー・ポートマンが次第に追いつめられていくダンサーを好演。ダイエットで痛々しいほどガリガリになった肉体がその役柄に見事に説得力をもたせるている。劇中劇の『白鳥の湖』を知らなくても見ていくうちに自然に理解できる。この「劇中劇」の構造、さらにラストに至るまでに『ブラック・スワン』自体が『白鳥の湖』を現代風に翻案したものだと気づき、その無限の円環構造に感心させられた。また、脇を固める振付師(ヴァンサン・カッセル)やライバル(ミラ・キュニス)、落ちぶれたプリマ・ドンナ(ウィノナ・ライダー)などもまさに適材適所で、その役柄も決して類型的ではなく必ずどこか逸脱したところがあってリアルな感じがする。母親やライバルによるミスリードもあざとくなる一歩手前で踏みとどまっている絶妙さ。また、いろいろな解釈ができるようにあまりはっきりした描写をしないで放ったままにしておくカットのつなぎ方、ストーリーの運び方も上手い。もう一度見たい作品。

補足説明

・ストーリーの運び方も上手い…所々に眠気覚まし的に「生理的にうけつけないぐらい痛そうなシーン」を挟んでくる点も小憎らしい。爪とか、爪の上のささくれだとか肋骨の下マッサージとかさ〜。ホントやめて。



『プラネットテラー in グラインドハウス』(→公式サイト
 タランティーノとロドリゲスの競作プロジェクト。タランティーノの『デス・プルーフ in グラインドハウス』がまずまずの出来だったので期待できる。

 ゾンビ発生大暴れ。

 痛快な作風。劇中ハッキリ「ゾンビ」と呼ばれてるわけじゃないけど、まあ同じようなもん。しかしゾンビ映画にありがちな「本当に怖いのは人間」的なメッセージ性なんか微塵もない。登場人物が結構ゴチャゴチャいるんだけど、それぞれのストーリーを過不足無く描けている。物語の過熱ぶりに合わせて主人公らの戦闘力も化け物並みに。往年のジャンプ漫画っぽい。



『フリー・マネー』
 チャーリー・シーン主演。詰め物をして異様に着膨れしたマーロン・ブランドが恐ろしい。双子を孕ませたバド(チャーリー・シーン)とラリー(知らん俳優)は、横暴な義父(マーロン・ブランド)から逃れるために一攫千金を狙って列車強盗を企む。…という、大筋はそういう話のようなんだが、ストーリーがあっちへ逸れたりこっちへ転んだりで、一体何がしたい話なのか、わからないまま時は流れてブランドの前にマーチン・シーンが出現。なんだこれは『地獄の黙示録』の2人じゃんか! 豪華…なのか? と驚いてたらエンドロール。全体としてよくわからん話という印象だけが残った。どうでもいい役でドナルド・サザーランドが出演。



『ブリジット・ジョーンズの日記』
 良く出来たラブ・コメディ。ドジな三十路のブリジットが、ヘマや失恋を繰り返しながら、前向きに生きていく。 ブリジットを演じる女優が、よくぞ探してきた、と言いたくなるぐらい見事に「微妙なヤバさ加減」を醸し出している。体型、笑いシワ、下アゴのたるみ、オバハンパンツ、etc、etc…。女の人って大変そうだ…と幻滅と共に嫌でも学習できる。



『プリティ・ウーマン』
プリティー締め  テレビで録画したのをチョビチョビ鑑賞。ようやく観終わる。んだー? こういう話だったのか…。そもそもジュリア・ロバーツが娼婦に見えないし、どういう価値観で生きてるのか不明で薄気味悪い。
 期限つきで金貰って大富豪リチャード・ギアが滞在するホテルにいるのに、いちいち「娼婦あつかいした」とゴネるし、ギアの友人から「アンタ娼婦なんだってな」と言われて「今日ほど自分を汚いと思ったことはない」ってスネるしで、もう少しプロらしくできないものだろうか。しまいには「お姫様になりたいからギア、アンタ仕事サボれ」と言い出す始末。撃たれるぞ? 娼婦になった理由を「街で稼いでる誰某(友人の娼婦)を見たから」とピロートークかますぐらいなんだから、それなりに自分の職業に誇りを持ってる人かと思ったんだが。
 金が欲しくて短絡的に娼婦になったワガママ女が、マンマと金持ちギアの捕食に成功した、シンデレラ・ストーリー。『本当は残酷なグリム童話』よりむごたらしいなー。ギアにとっては。 リチャード・ギアの声があおい輝彦だった。



『プリティ・リーグ』
 '43〜'54に実在した全米女子プロ野球の黎明期を描く。あらかじめ全米から選抜されたメンバーで構成されたチームなので、この手のスポーツドラマにしては珍しく弱小でも駄目でもない。むしろトム・ハンクス演じる呑んだくれ監督の方が駄目。僕は「弱小チームが頑張って何とかなるスポーツもの」が好きなので、あんまり面白くなかった。トム・ハンクスが監督としての自覚を取り戻すのもいつのまにか。カタルシスがない。最後のヨボヨボになったメンバーが集うシーンは本当にそれぞれが歳をとったみたいだった。

補足説明

・「弱小チームが頑張って何とかなるスポーツもの」…『クール・ランニング』、『頑張れベアーズ』、『少林サッカー』、『スラップ・ショット』などなど。



『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』(→公式サイト
 アクションゲームの映画化。ジェイク・ギレンホール主演。僕の感覚で言うと『プリンス・オブ・ペルシャ』と言えばPC98版の、真横から見た迷宮を進んでいってミスすると主人公が信じられないぐらい痛そうな死に様(ギロチンで真っ二つとか、落とし穴で串刺しとか)をさらすゲームという印象だけど、この映画の元になったものはずっと最近のハイエンドなゲーム機で発表されている3Dばりばりのものらしい。

 無鉄砲さを認められて時の王の養子として育った王子が、国王暗殺の濡衣を着せられて真犯人探しの逃避行へと繰り出した。

 ジェイク・ギレンホールは時間をちょっとだけ遡行することができる時間の短剣という便利アイテムを持っている。前述のPC98版が頭にある僕は、見る前に「ギレンホールが時間を遡れるのをいいことに無鉄砲な死に様を300回ぐらい披露してくれる映画だったらいいな」と期待していたんだけど、意外にこいつ死なないでやんの。とは言えこの短剣の使いどころに工夫の跡が見られ、見せ方も上手い。また、ギレンホールの親兄弟や暗殺団や道中仲間になる商人や黒人などなどの肉付けがお約束ながらもアクションの邪魔にならない程度に巧みで、思ったより面白かった。特に投げナイフ使い同士の戦いは緊張感があってなかなかに印象的だった。



『ブルドッグ』(→公式サイト
 「獣の名冠せし映画は、災いである。彼らは熟睡するであろう」と、コリント人への手紙の第38章9節の欄外コラムにもあるように、昔から配給元によって適当な動物の名前をつけられたアクション映画にはハズレが多い。『ゴリラ』、『コブラ』、『レッド・スコルピオン』などなど。そしてこの映画も見事にその仲間入りを果たした! おめでとう!! つまんなかった〜。松竹さん、この映画をかけてる新宿ピカデリー3(198席)と『東京ゴッドファーザーズ』の新宿ピカデリー4(44席)を入れ替えてください。
 主演は『プライベート・ライアン』で音速より速くブッ倒れ、『トリプルX』でテロリストにも好評なネット有名人を演じた、あの卵黄ムキムキハゲ坊主。またの名をヴィン・ディーゼル。

 特殊部隊のディーゼルが国際的麻薬組織のボスを逮捕したら「ディアブロ」という謎の新ボスが登場して妻を撃ち殺されたのでディーゼルだけに機関車のごとく頭から湯気出して連コインしてたら最終ステージで刑務所のボスが乱入して来て負けました。黒人のダチ公と家までつけてってボコりました。

 麻薬組織とか妻が殺されたとかお調子者の相棒(黒人)とか陳腐すぎる設定な割に、アクションなんだかシンジケートを追うセミドキュメンタリーなんだかわからない中途半端さ。面白くもないオチがついてるけど、最近の良くない傾向だね。そういうのはサスペンスに任せとけばいいじゃない。観客がこのムキムキ坊主に何を求めてるか考えてもみて欲しい。名推理? 名演技? 名コック? 深夜の散歩? 違うだろ。ムキムキ坊主の枕詞は「すげえアクション」に決まってる。何も考えずに敵地に突入して黒幕をブチ殺す方がスッキリする。ヒネるにしても「警察の上司が黒幕だった」程度で結構。あんまりストーリー寄りにすると伏線で無駄な描写が多くなるだけ。ヴィン・ディーゼル、次の主演はあるんだろうか。
 またまた『ラスト サムライ』と『ファインディング・ニモ』の予告を見るハメに…。もはやこのコンボは、すべての映画ファンにとって精神的な拷問じゃよ〜。トム・クルーズが嫌いになりそうだ。そう言えば『マトリックス・レボリューションズ』の前に流れた携帯サービスのCMで、彼女に『ファインディング・ニモ』の動画見せてチケット予約してるタワケモノがいたが、俺が彼女ならスペースローリングエルボーからフェイスクラッシャーに行くと見せかけて串刺しシャイニングウィザードだ、そんなもん!!



『フル・フロンタル』
 ソダーバーグ監督。大物映画プロデューサーのガス(『Xファイル』のモルダー)を機軸に交錯する様々な人物の日常を描く。同監督の『トラフィック』も群像劇だったが、あれよりもっと下世話。出番が少ないにも関わらずモルダーが印象に残る。僕はこういう主役や場面がぱっぱと切り替わるのが好きなので面白く観た。



『ブルーベルベット』
 デビッド・リンチ監督作品。草むらで人間の片耳を拾った青年が奇妙な事件に巻き込まれる。
 ドラッグ、犯罪、古風な顔立ちの美女、ダイナー、変態クラブ、奇妙な死体、etc,etc…リンチ作品に繰り返し登場する原色に彩られたイメージは、すでにこの作品から確認することができる。 デニス・ホッパーが酸素マスクを吸いながらハイ・テンション演技を披露。



『ブレアウィッチ・プロジェクト』
「これは本当のことだ」と思いこんで観ると楽しめた。劇場で観たら怒ったかも?



『ブレアウィッチ2』
 前作とはガラリと違った作り。最初に「再現映像です」と断りが入り、普通の心霊モキュメントになっている。
 『ブレアウィッチ・プロジェクト』のヒットで半ば観光地化した森にツアー客がやって来て夜通し酒飲んで大騒ぎ。しかし次の日、目を覚ますとキャンプは荒らされ、機材も破壊されていた。 前作の「何も映さず想像で怖がらせる」手法から転じて結構いろいろ怖げなモノがバーンと映し出される。空白の一夜に何があったのか、残っていたテープを元に調査していく、この過程がなかなか面白かった。
 大ヒットした前作の手法を繰り返す愚挙に出なかった点を評価したいが、その時点で前作支持者の大半は切り捨てているわけで、やはり商業的には失敗した模様。資金はあるんだからもっと有名な役者を使っても良かったかもしれない。
 3ではブレアウィッチを主人公にしてうるさい観光客を追い払う映画にして欲しい。これまでの犠牲者がゾンビとして復活してるとか。



『ブレイド2』
 たしか前作ではブレイドに注射弾で撃たれたヴァンパイアが膨張して破裂する映像だけが面白かったように記憶しているんだが、今回はそういった「いかにもB級演出」を嫌ったのか、普通に燃えて消え去るだけでつまらん。アクションも凡庸で退屈。主役のウェンスロット・スナッパーとかいう黒っぽい人が本気でかっこつけようとする素振りが全力でカラ回りしている。誰かヤツに鏡を見せてやってくれー、っても吸血鬼は鏡に映らないんだっけ。新しい敵のリーパーが弱いのも難点。閃光弾で一瞬で全滅するし。それはないんじゃないの? そのリーパーの親玉にも物申したかったけど、最後の闘いのときに熟睡してたのでなんとも言えないなー。もしかしたらそこだけ奇跡的に面白かったかも? っつーか、リーパー出すんならヴァンパイアの王と絡ませた設定なんていらない。土壇場で化け物親子の愛憎劇を繰り広げられてもなー。どーせ30分たたないうちに殺されて塵と化すんでしょーがアンタらは…と呆れ返って館内を見回してるうちに寝たんだけどね。起きたら黄梁は煮えてなくて、親玉は死んでいたという。イヤ参った。ストーリーを膨らませようとして第三勢力を出して失敗するパターンがここにも。同時多発テロの影響でもないだろうけど、化け物同士がアッチの世界の勢力争いで勝手に殺し合ってるだけで、まともな人間がほとんど1人も殺されないのが最大の敗因だと思う。人間と比較してこそモンスターがモンスターたり得るのでは。思い返しても辻褄が合わないことだらけなので、この脚本を書いた人は前向性健忘なんだろう。まったくもって、安井も今度くだらねえ映画に誘ったらタダじゃおかねえって気持ちになったね今回だけは。



『フレイルティー 妄執』
 ある日父ちゃんが2人の息子達に「神託を受けたので、人間に化けた悪魔をこの世から根絶してみよう!」とぶっちゃけトーク。殺しの片棒を担ぐのを嫌う兄と、父を盲信する弟。父ちゃん役の俳優が普通の顔して黙々と「仕事」を遂行するのが恐い。冗談みたいなオチ。面白かった。オススメ。



『ブレインデッド』
 一番好きなゾンビ映画。いちおう「マザコンが母親から自立する」というテーマが貫かれているんだが、血しぶきの量が多すぎてそんなこと忘れる。あまりに非現実的に飛び散るのでギャグとして成立している。監督は『ロード・オブ・ザ・リング』と同一人物。



『ブレーキ・ダウン』
 カート・ラッセル主演。ラッセル夫婦が乗ったワゴンが砂漠の途中でエンコ。通りかかったトラックに便乗し、近くのドライブインに救援を頼みに向かった妻が、消息を断ってしまう。一体妻はどこへ消えたのか? 何が起きたのか全くわからない前半からクライマックスまで、緊張感を持続させて見せてくれる。意外な拾いものだった。



『フレディVSジェイソン』(→公式サイト
 『エイリアンVSプレデター』『ゴジラ対若大将』(※嘘記事)などと共に、ファンの間でその存在を噂され続けてきたドリームマッチが、ついに実現した! フレディとジェイソンが対決するんですよッッ。見逃していいんですかァーッッ! …というほど期待してたわけではない。だいたいVSとか言われても、どっちの何を応援して良いのやら。『13日の金曜日』シリーズは10作目でちょっと盛り返したものの、8、9作目が駄作だったし、『エルム街の悪夢』の方は、最新の5〜7までがどーでもいい出来か、駄作という具合。ハッキリ言って両シリーズのウォッチャーとして義務的に鑑賞に臨んだようなもの。結果としては、まあ、普通。ロニー・ユー監督が両シリーズを1作目しか見てなくて、野心的な冒険をしない、シリーズのツボを押さえようと努力した跡のうかがえる手堅い作り。13金の大ファンが監督したという、9作目『13日の金曜日/ジェイソンの命日』がシリーズ屈指の大駄作だったという痛い前例があるので、今回の人選は良かったんじゃないだろうか。自分に対して何の感情も持ってない人の方が案外気持良かったA…みたいなもんか。プロの仕事してます。

 シリーズの出来がどんどん酷くなった為なのか、人々の記憶の中で風化し、過去の人になりつつあるホラー界の重鎮フレディが、起死回生(文字通り)の為に魔界クラブから謎のマスクマン・ジェイソンを刺客(文字通り)として迎え入れた。おいこらエルム街の連中、聞いてるかー? これからはビッシビシいくからなー、このジェイソンさんが。

 最初フレディは影法師のような存在であり、人に触れることさえできないほど弱っているので、死んでたジェイソンを蘇生させてエルム街に召還、人をじゃんじゃん虐殺させる。すると当然、エルム街の人々は伝説の殺人鬼・フレディ・クルーガーと勘違いして恐慌をきたし、その恐怖のエナジーが養分となってフレディがすくすく成長する、という塩梅。なんかフレディさん、失礼ですけど姑息じゃないッスか? 案の定、この無理のある蜜月関係はあっという間に破綻。そもそもジェイソンはフレディに対して何の恩義も仲間意識も感じておらず、天衣無縫に殺しまくってるだけ。ようやく殺そうと思った獲物を目前でかすめ取られたフレディは逆ギレ。無軌道に殺しまくるジェイソン、それを阻止しようとしつつ自分も人間を殺したいフレディ、とりあえずジェイソンをけしかけて実体化したフレディを何とかしようとする人間という、狂った三つ巴が展開。
 タイトルにVSとあるけど、殺した数で比較すれば軍配はジェイソンに上がる。珍しく大勢の前に姿を晒し、公開殺戮ワンマンショーを繰り広げた。一部始終を目撃した若者が「なんだか怒ってるみたいだった…」と感想を漏らしたが、怒ってるどころじゃないだろ。そこまで表現されなきゃ相手の感情を読み取れないのかキミは。フレディの方は、超人硬度が鉄ぐらいの悪魔将軍みたいな、パワーが中途半端に回復した状態で戦ってるため、全体的に冴えなかった。得意の悪夢的な殺しの演出も独創性に欠けていた。しかもジェイソンと比較すると、殺し方にこだわったり獲物の恐怖心に執着する分、なんだか常識派に見えてしまうという皮肉な結果に。さすがに一度は幸福な家庭を築いていただけのことはある。
 次回作がすでに決定したそうだ。噂ではフレディ&ジェイソンのモーストデンジャラス・コンビと『死霊のはらわた』のアッシュが戦うという設定もあるらしい。ジェイソンの妹フレディの娘をアッシュ側につけて欲しい。あと、この際だから『新13日の金曜日』の偽ジェイソンも。あいつは単なる人間ながら、超人心臓あげたいぐらい良く戦った。
 パンフレットに今までの両シリーズに対する忌憚のない紹介文や、両雄の比較表、ピンナップ(ジェイソンが格好良いポーズをとったりしてる)なんかも載っており、お買い得だった。

手がこんな人


『プレデターズ』(→公式サイト
 『プレデター』シリーズの3作目。制作総指揮はロバート・ロドリゲス。主人公ロイスを演じるのは、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。

 何者かによって拉致されジャングルに放り出された男たちは傭兵、CIA工作員、囚人、マフィアの暗殺者などなど一癖あるメンツばかりだった。

 エイドリアン・ブロディがクールな軍人を好演。ひたすらナチスから逃げ隠れしてたピアニストが物凄く成長したように見えて嬉しくなったよ。また、居合わせた見ず知らずの人間が極限状態で疑心暗鬼に陥る序盤の展開も好きなシチュエーションなので面白く観ることができた。
 プレデターズの方も新種の「もっとでかい種族」が登場したりプレデター犬が出てきたりで楽しい。さすがに今見ると、あの赤い棒を組み合わせたデジタル表示のプレデター語ディスプレイは古臭く見えるんだけど、なぜか地球の武器の進歩に呼応するようにサーモグラフィのみならず、「心音センサー」も装備。体に泥を塗りたくるだけでは勝てなくなっちゃった。人間がんばれー。



『プロジェクトBB』(→公式サイト
 ジャッキー・・チェンが久しぶりに香港映画に出た。しかもミスター・ブーとユン・ピョウも共演しているという。

 お人よし泥棒トリオのジャッキー&ブー&若造は魔がさして目がくらむ大金のために赤ちゃん誘拐に手を染めてしまう。
 しかし赤ちゃんの可愛さにほだされて、依頼主への引渡しを拒否。そして大騒動になった。

 二十年ぐらい前に日本対香港の芸能人によるサッカーの親善試合があった。ジャッキーとミスター・ブーを同時に見るのはそのとき以来だ。さすがに往年の無茶なアクションや抱腹絶倒のギャグは望むべくもない。しかしまあ、このメンバーの元気な姿を見ることが出来たので良し。
 どう考えても吹き替えで見たい。もちろん石丸ジャッキーと広川ブーで。

補足説明

・日本対香港の芸能人によるサッカーの親善試合…日本からはトンネルズが出てた。試合的にはつまんなかった。ジャッキーとか途中でちょっとでてきてポーンと蹴って終わり。



『ペイ・チェック』(→公式サイト
 フィリップ・K・ディックの原作をジョン・ウーが監督してベン・アフレックが主役を張りユマ・サーマンがヒロインを演じる。このキャスト陣、まとまりに欠けるというか、割と出鱈目っぽいというか、何かの拍子で吹雪の山小屋に閉じ込められたメンバーが暇つぶしに始めた伝言ゲームのノリ。果たして吉と出るか凶と出るか。

 近未来。ベンアフは凄腕のコンピューター・エンジニア。ハイテク企業を渡り歩き、最新技術をコピーして高い報酬(ペイ・チェック)を得ていた。企業の機密保持のため、契約期間中の記憶は消去されることになっている。
 契約期間3年間という大仕事を終えて報酬(ペイ・チェック)を受けとろうとしたベンアフは記憶を消去する前の自分が巨額の報酬(ペイ・チェック)を放棄して、19個のガラクタとしか思えない品物を自らに託していたことを知る。愕然とするベンアフ。
 自分はどうして報酬(ペイ・チェック)を放棄したのか。そして19個のアイテムの意味するところとは……?

 未来を見通すマシンで壊滅的な将来を知ったベンアフが行く先々のバッド・エンディングを回避するために茶封筒に入れたのが19個のアイテムなわけ。で、一見役立たずに見えるそれらの品物が危機的状況で『無人島はボクの島』における「さすと雨が降る傘」や「もぐらてぶくろ」みたいに役に立っていく、という面白さ。これに尽きる。それ以外は見るところ無し。微妙なSF映画と言えば、去年見た『カンパニー・マン』と似たようなテイスト。『カンパニー・マン』も記憶喪失の映画で、『トータル・リコール』(ディック原作)の二番煎じみたいな内容だった。
 まず主役がミス・キャスト。『トータル・フィアーズ』の情報分析官や『チェンジング・レーン』&『デアデビル』の弁護士などのように、見かける映画でことごとくインテリに挑戦するベンアフ。たくましくて頭も切れるイメージを作りたいんだろうか。しかし、どの作品でも空回り気味だ。それは今作でも例外でない。ベンアフが立体映像を操作してプログラムしてる姿を見ると「こんなのオレでもできそうじゃん」って気になってしまう。その姿は筋肉ダルマのイメージを払拭しようとあがいていた頃のシュワルツェネッガーを彷彿とさせる。今作は出来の悪いベンアフ版『トータル・リコール』だな。
 ついでに言うと、ユマ・サーマンも今の時期『キル・ビル』のザ・ブライドにしか見えないし。下手するとベンアフより強そうだぞ。
 ディック原作ということで『マイノリティ・リポート』のようなケレン味溢れる近未来像を期待すると裏切られる。どうやらジョン・ウー監督はSF的なものに対する興味が無いらしく、記憶操作のテクノロジー以外未来っぽい描写はほとんど登場しない。前半に登場した立体映像が伏線になってて、ベンアフが斜め前を見ながら追っ手に「ハッハッハッ! 本物かな?」って『トータル・リコール』みたく笑うシーンを期待してたんだが。



『ヘルボーイ』(→公式サイト
ロン・パールマン  アメコミが原作らしい、異形の怪人たちが活躍するアクション映画。主役はロン・パールマン。ロンパールームと似た名前からは想像できないほどの凶暴なツラ構えの俳優だ。この人の顔面から着想を得てかのダーウィンが進化論を書き上げたと言われてもウッカリ信じてしまいそうな説得力がある。「娘に生まれつきたくない人ランキング」でもかなり上位をキープするんじゃないだろうか。映画では、この人がさらに特殊メイクで赤鬼になる。実にくどい。カレーの上にさらにトムヤムクンをぶっかけるようなもんである。ゲップがとまらなくなりそうだ。

 半人半獣の怪人ヘルボーイは政府の秘密組織で怪物相手に思う存分活躍していた。

ヘルボーイ  予告から『X−メン』のようなノリを期待したのだが、こちらはもうふた回りほど規模が小さい。一応ヘルボーイにも仲間はいるのだが、半魚人は役立たずだし人体自然発火女は精神病院に入れられている。敵も、ブロッケンジュニアみたいの以外はCGの犬ばかりで面白みが無い。ラスボスに至ってはCGにありがちなグニャグニャのでかいタコ。かなり眠気を誘った。ストーリーもショボい。主役のヘルボーイに葛藤が無さ過ぎる。もう生まれたときから人間になついてるし。人間もとくに疑うことなくこんな生物を受け入れてみんなで記念撮影なんかしてるし。その後シッカリ飼いならされて政府の組織で筋力トレーニングなんかしてるし。顔のわりに生き様は堅実なヘルボーイなのである。

補足説明

・半魚人は役立たず…CG犬から逃げだし、水に飛び込んでさあ反撃、と思ったら水を得てもっと速く逃げた。

・人体自然発火女…炎を身にまとわせながら衣服がそのままなのが変だ。破れないハルクのパンツは黙認できても、この女の衣服はちょっと許せない。



『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(→公式サイト
 設定は面白いんだけど何となく煮え切らないXメンもどきな印象だった前作『ヘルボーイ』の続編。

 相変わらず市民の目を避けながら名も無く地位無く姿無き戦いを強いられているヘルボーイ達。一方太古の昔人類と地球の覇権を争ったエルフ族が目に余る人類の所業を見かねて暗躍を始めていた。

 なんと前作より数倍面白かった。
 前作ではヘルボーイ達の出自に時間が割かれたおかげで敵の造形がイマイチだっただけど、今回はサービス満点。いろんなもんスッ飛ばして「ヘルボーイ側の」魑魅魍魎が余すところ無く描かれる。特に異形の者どもで溢れかえる闇市場のシーンは圧巻。スターウォーズのモス・アイズリーの酒場のごとく、その手の奇形生物大好き人間にとって血沸き肉踊る夢のような一大スペクタクルが展開する。堪能しました。
 今回も半魚人の無能っぷりが光っていた。前作では逃げるだけだったとは言え水中なら任せとけなシーンがあったけど、今回は水溜りの表面をバシャリ〜ッとやるだけ。あと、緑のアクセサリーを拾い損なう。そして足を引っ張るだけでは飽き足りず、王冠のかけらを勝手に持ち出して世界を破滅へ導きかけた。唯一役に立ったのは掌のソナーで同僚の妊娠を感知したとき。お前は産婦人科に再就職しとれ!!



『ボイスレター』
 猟奇的な妻殺し事件で死刑を宣告された囚人(パトリック・スウェイジ)が塀の外にいる4人の女性とテープ(ボイスレター)で文通している。ちょっとした恋愛番長気取りのパトリック・スウェイジである。ある日行き違いからテープの宛先が入れ違ってしまったのが事件の発端。文通の相手が他にもいると知った女性のうちのひとりは嫉妬に狂い、音声を変調させた匿名の脅迫テープが届く。獄中でビビりまくるパトリック・スウェイジ。そうこうするうちに、辣腕弁護士により逆転無罪を勝ち取り出所する。あの脅迫テープの主が気になって仕方がないパトリック・スウェイジ。よせばいいのに女らを訪ね歩き犯人をつきとめようとするが、やがて女達はパトリック・スウェイジの妻と同じ手口(薬指を切断され撃たれる)で1人ずつ殺されていくのであった。真犯人が捕まった後は女のうちの1人とハッピーエンドふうに終わるけど、ちょっと待ってくださいよ?(コロンボふうに) 妻殺しの犯人はまだ捕まってないんですが? 死体から薬指切り落とすような異常犯はどこに消えたのさ。むしろそっちを最初に気にすべきじゃなかったのかパトリック・スウェイジ。お前、やっぱり奥さん殺してるだろ?



『ボーン・スプレマシー』(→公式サイト
 記憶喪失のジェイソン・ボーンが自らのアイデンティティーを求めてさ迷ううちにCIAの陰謀に巻き込まれる『ボーン・アイデンティティー』の続編。3部作の2作目に当たるらしい。主演はマット・デイモンことジミー大西。

 自らの過去に決着をつけインドで隠遁するボーンの元に新たな刺客がやって来た。間一髪危機を脱したボーンは再び血なまぐさい陰謀の火中に飛び込んでいく。真の黒幕は? ボーンの過去の秘密とは?

「ボーンちゃんやってる?」「やってるやってる!!」  様々な手がかりを元に過去を取り戻していくミステリ的な面白さは半減しているけど、純粋にアクション映画として楽しめた。基本的に前作でほとんど知識として自分の経歴を知っただけだったボーンには、やばい過去がざくざく埋もれているようだ。記憶を手繰って舞台はナポリ、ベルリン、モスクワへと展開。「ジミーちゃんの欧州血けむり暴れ旅」といった趣。元CIAの暗殺者という過去を疑いたくなるようなド派手な逃走劇を繰り広げる。各国の新聞の一面を飾ってるに違いない。どこに行っても同じ服装&顔面丸出し。あっという間に地元の警官に取り囲まれる。カモフラージュする行為自体を女々しいと断ずる強烈なオス度を発揮してALERT表示が点滅しっぱなしな中をCQCでちぎっては投げ掴んでは投げてから画面を切り替え物陰に潜伏する面白さは前作を継承。いくらすごい活躍をしても所詮ジミー大西な胡散臭さも前作をシッカリ継承。見てると敵のスゴ腕スパイをついつい応援したくなる。
 「彼らは思いつきで行動しない。失敗もしない。必ず狙いがある」と語られるCIA特製暗殺者のボーンだけど、前作&今作のキーとなる過去の暗殺任務では2件ともイレギュラーな事態が発生して失敗or計画変更しているんだが。ここぞというときにすごく弱いのかもしれない。
 記憶喪失になる前、悪魔超人だった頃に暗殺した夫婦の娘に「両親殺したのオレなんだけど、ホントに御免」って言いに行くんだけど、他にも謝らなきゃいけない人は無数に存在するんじゃないかなー。

補足説明

・やばい過去…3作目ではゴルバチョフにデコピンしたり恋人を殺してたり強盗に撃ち殺されたりした過去を思い出すかもしれない。

・地元の警官…ベルリンの警察がホテルのボーンを強襲するシーンでは毒ガスとか火炎放射器使うのかと思ってワクワクしてたら、案外普通にやってた。わかってないな〜。



『ボーン・アルティメイタム』(→公式サイト
 マット・デイモンが世界各国を巡りながら地元の警官達と鬼ごっこする「自分探し」シリーズも遂に完結編。記憶を小出しにする「思い出すぞ詐欺」まがいの商法も遂に年貢の納め時が来た。

 かつて自分が関わっていたCIAの陰謀「ブラックブライアー」作戦の謎をつきとめるため、ボーンは世界を駆け巡り、暗殺者としての自分のルーツへ近づいていく。

 3作目にして最高傑作と言っても良い出来。すごい。マット・デイモンも伊達に20を「テンテン」と発音したりDVを「ドンマイバチカン」と誤読したりするだけの男ではなかったようだ。
 どのシーンも手に汗握るんだけど、今回の見所はなんと言ってもボーンが成り行き上「仲間」となった同行者を庇いながら逃走あるいは追跡する箇所。1度目は鍵を握る新聞記者。2度目はCIAの女性局員。いつ死んでもおかしくない脇役の命がかかってるところが上手い。強すぎるボーンという設定上の弱点を補う素晴らしいアイデアだ。
 一番のツッコミポイントはCIAの建物の構造だ。2のときもそうだったけど、向かいのビルから丸見えすぎ。CIAの主要登場人物のうち悪役の男とボーン寄りの女局員が自室で何やってるかが一目瞭然に見渡せる。なんちゅーわかりやすい構造か。CIAにはブラインドをしちゃいけない規則でもあるのか。まさにガラス張りの諜報活動。読唇術の心得がある者が一日張り込んだら国家機密がザクザク入手できそう。

補足説明

・わかりやすい構造…『アンタッチャブル』のショーン・コネリーの家みたい。



『北斗の拳 FIST OF THE NORTH STAR』
You're already dead!
ハリウッド版『北斗の拳』  誰かが夢見たハリウッド版『北斗の拳』。何処が見所かと問われると、吐き捨てがちに「あ〜? 全部」と答えるしかないような作品だった。特に目についた箇所を列記すると…

・ケンシロウ、髭が濃い
・ケンシロウ、おもきし外人
・周りの人のケンシロウに対する呼び方が「ケンシーロ」、「ケンシロー」で一致しない
・シン、リュウケンを銃殺
・ときどきカメラ目線で凍りつく登場人物
・バットがピーコそっくり
・リンが黒人
・ユリアが鷲尾いさ子(本人)
・ケンシロウが秘孔を突くモーションがペタペタと大急ぎで触診をしているようにしか見えない
・かつてケンシロウを破ったシンの決まり手が「頭突き」&「金的蹴り」
・リンにリュウケンの魂がのりうつり、空中浮遊
・皇帝戦士ベイダー見参! 羽交い締めで死す
・シンのおでこに拳骨ゴチン! 白目をむいて死す

 せめて奥義で葬ってやって欲しかった。



『僕らのミライへ逆回転』(→公式サイト
 mixiのバナーであらすじだけ知って観に行く。ジャック・ブラック主演。

 叔父さんから短期間レンタルビデオ屋を任されたマイクは悪友のジェリーのせいで売り物のVHSテープをすべておじゃんにされた。困った二人は自分らでニセ映画を撮り貸し出し始める。

 偽テープの題材が『ゴーストバスターズ』、『ロボコップ』、『ラッシュアワー2』、『ライオンキング』、『キャリー』、『ドライビング・ミズ・デイジー』などなど、全く一貫性が無くて面白かった。ただ、ちょっと多すぎるのでメイキング映像がどんどん雑になっていく。タイトルを減らしてもうちょっとひとつひとつのメイキングを面白おかしく見せても良かったのでは。
 ジャック・ブラックだからなんとか見てられるけど、コメディ部分はお世辞にも笑えるレベルには達してなかったように思う。あと一工夫で可笑しくなる状況を勿体無く捨ててる箇所が目立った。ジェリーの磁石体質(すぐ消える)を利用して何かひとつ(『Xメン』のマグニートーなんか適役)作るとか。『ライオンキング』を選んだのがいかつい黒人の兄ちゃんだったという可笑しさを何故か訂正(実は店員の女だった)するし。いい味出してる黒人の脇役が突然覚めて偽テープ作りから降りちゃうし。せっかく『キングコング』出してるのにジャック・ブラックを悪徳興行師役にしないし。シガニー・ウィーバーが『ゴーストバスターズ』の偽テープ見てしかめっ面したら可笑しいのに。……なんて感じで次々に「可笑しくなりそうポイント」をニアミスしていく。
 最後になぜか感動っぽくなるのも興醒めだった。



『ボギー! 俺も男だ』
 『カサブランカ』のクライマックスを陶然と眺めるウディ・アレンのアップから始まる。妻に逃げられた映画オタクのアレンを励ますために友人夫婦はあれこれ骨を折るのだが、やがてアレンが妻に惚れてしまい…。果たしてアレンは男になれるのか? ウディ・アレンのモテなさぶりが痛快。その奇矯でコミカルなパーソナリティを眺めているだけでも最後まで退屈しないで観ることが出来る。ときどき現われる「脳内フレンド」のハンフリー・ボガード(ボギー)とのかけあいも楽しい。



『ポセイドン』(→公式サイト
 パニック映画の古典的名作『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク。カート・ラッセルも出ている。ラッセル映画で大はずれのものは少ないので、期待できるんじゃないか。

 ポセイドン号が大津波でまっさかさま。下の方に居合わせた人たちが脱出しようとする。

 なんの前フリもなくいきなりの大津波。ここでこの監督のスタンスが単純明快に脱出劇だけを描きたいんだなと理解でき、安心して観ることができた。とにかく余計な人間ドラマが極力そぎ落とされた思い切りの良い脚本は、カタルシスこそ薄いものの、サバイバル活劇として十分見応えがあった。見終わって何も残らないけど。
左:兄 右:弟  配役で面白かったのがラッキー・ラリー。見てる最中ずっと『メリーに首ったけ』のマット・ディロンが、あのどうしようもない私立探偵と全く同じ下衆な性格&ファッションで出演してることに大うけしていたが、見終わって確認すると演じていたのはマット・ディロンの弟のケヴィン・ディロンだった。弟いたのかよ! しかも兄弟揃ってそんなんか。ゲラゲラ。ラッキー・ラリーが生き残るバージョンも見たい。早く死にすぎだろー。ああいう小憎らしいキャラは脱出寸前まで生かしといてコロ死にor改心して自己犠牲させなきゃ。
 それから、途中で船底に居残った人々がガラスが割れて海水が流入してきて全滅するんだけど、あれって逆に活かせばチャンスなのでは? 水が入りきるまで死に物狂いで何かにしがみつきさえすれば、後は最短ルートで浮上できる気がする。……無理ですか。
 あと、流れるプールみたいになってる通路が映るシーンで律儀に例外なく血まみれの死体がプカ〜と漂ってくる演出が素晴らしい。だんだん可笑しくなってくる。ガンジス川かよ、みたいな。

補足説明

・古典的名作『ポセイドン・アドベンチャー』…見たことはあるはずだが、実は記憶に残ってない。個人的には続編の救いの無いラストで大ショックを受けたことだけを覚えている。確かやっとの思いで船底から太陽の下に脱出すると、マフィアみたいのが待ち構えてて、泳いでる人らをマシンガンであらかた撃ち殺したような。ひどすぎる。



『ホワイトアウト』
「このダムをお前たちの好きにはさせない!!」
 と雄たけぶ織田クンは「もしかしてダムフェチか?」と勘繰りたくなるような迫真性があった。
 人質の松嶋奈々子がテロリストにサンドイッチを作りすぎて怒られるシーンが迫力満点だった。



『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(→公式サイト
 この映画が公開された期間はほんっと〜に見たい映画がなくて、まあもしかしたら面白いかもよ?という程度の期待で鑑賞。

 カザフスタンの辺境の村からアメリカへやってきたボラットは、ホテルのケーブルテレビで見たパメラ・アンダーソンに一目ぼれし、NYから一路西海岸を目指す。

 もっともっとアメリカを馬鹿にした映画なのかと思ってた。すっごく面白いか超つまんねーか、どっちかだろうと踏んでいたんだけど、意外にもその中間。まあまあの面白さ。過激ってんでもないし。少なくとも続編が出たら見に行ってもいいかな、ぐらい。それにしてもボラットのキャラクターは高田純次にダブッて仕方なかった。日本でこういう映画作るとしたら高田氏にお願いしたい。



『香港国際警察/NEW POLICE STORY』(→公式サイト
 『ポリス・ストーリー 香港国際警察』(1985)から19年の歳月を経て、ジャッキーの警察シリーズ最新作がお目見えした。♪サンティモ〜、ナーンホンチ〜、ヘンチョンィエッサンチ〜。名字! 漢子! 

 香港警察のチャン警部は、ゲーム感覚で銀行を襲撃した強盗一味の姦計により死地におびき出され、部下全員を失った。1年後、すっかり酒浸りの日々を送るチャンの元に新人刑事のシウホンが現れる。

 『メダリオン』『タキシード』などなど、ハリウッドに行ってから「なんだか微妙〜、っつかクソだよねこれ?」的な映画ばかりのジャッキーが起死回生の1作を放った。香港復帰作だけあって、掛け値なし特殊効果なし余計な外人なしのジャッキーアクションが楽しめる。なんか'85年からアクションのキレが変わってない気がする。往年のジャッキー作品ファン必見!

補足説明

・「なんだか微妙〜、っつかクソだよねこれ?」的な映画…観終った後に館内にそんな雰囲気が充満するのである。非常に気まずいのである。

・往年のジャッキー作品ファン必見!…こんなこと言わなくてもファンなら見てるつーの。無駄なフレーズ。