あ〜お





『アイ・アム・レジェンド』(→公式サイト
 予告編で見る限り、なんかNY市民が大パニック(ありがち映像)で? NY大橋(仮名)がドッカンコで? ウィル・スミスが世界最後の生き残りになって汗まみれで真っ暗な建物を探索? どーいうこと? 戦争? 疫病か? 宇宙人?

 凶悪に進化したウィルスによって新種の疫病が蔓延した。免疫を持つ体質により生き残ったウィルはサバイバル生活を送っていた。

 序盤はウィルの孤独な生活を丹念に描く。廃墟となったNY市街のありさまはとにかく圧巻。本当の景色にしか見えない。どこまでがCGなのかまったくわからない。技術の進歩を感じた。ハリウッド映画の有無を言わせない説得力をまざまざと見せつけられた。あ〜、ここからがネタバレなので注意。厳密には人類は滅亡したわけではなく、ウィルが思い込んでるだけ。また、疫病の感染者は凶暴化し、他の動物(含む人間)を捕食して生き延びているらしい。紫外線に極度に弱い体質に変化し、日中は集合して建物の暗闇の中で睡眠している。ハリウッド版『28日後...』という感じ。ま〜、兎に角ウィルが廃墟で感染者達と遭遇するときの恐怖感たるや、かなりのもの。こっちもまさか「(広義の)ゾンビもの」だとは思ってないからな。自分が寝てる同じ街の何処かの真っ暗闇の中であーいう全裸のツルッパゲどもがうごめいてるって想像しただけでも怖い。全裸のスキンヘッドですよ? 暗闇で最も会いたくない人物像でかなり上位狙えると思う。
 面白かったけど、ひとつ残念なのは感染者の中にリーダー的な人物を置いたのは駄目だな。こういうところがハリウッド大作の弱点だ。わかりやすくしすぎ。ゾンビものは単純に没個性の集団からなる数の暴力でダーッと迫られるほうが絶対怖い。
 『幸せのちから』に引き続きウィルの実の子供が出演。今度は娘だ。別にいいけどさ、ちょっと手ヒラヒラさせて「バタフライ」ってやっただけだぜ? ギャラいくらよ。ハリウッド映画だし、軽く数百万とかいってそう。あやかりたい! そんなもん僕だってできるわいな。顔面真っ黒に塗ったくってスイッチ入れたままのドライヤー水につっこんで髪チリチリにしてから「バタフルワァ〜〜イ」って可愛く言えばいいんじゃろ?

補足説明

・真っ暗闇の中であーいう全裸のツルッパゲどもがうごめいてる…絵的に『ブレアウィッチ・プロジェクト』の最後のアレや『サイレント・ヒル』のナースっぽい恐怖。暗闇とか、顔が見えないとか、理屈抜きで本能的に怖い。

・暗闇で最も会いたくない人物像…あと、スーマリのテレサ。あと、米良美一。



『アイアンマン』(→公式サイト
 『インクレディブル・ハルク』に続くマーヴルコミックからの映画化第2弾。アイアンマンのことを知らないんだけど、これからマーヴルから続々ヒーローものが映画化されていくらしいのでとりあえず押さえとけ的なスタンスで観に行った。

 軍事企業の2代目社長トニー・スタークは天才的な頭脳を活かして自ら開発の陣頭に立ち様々な兵器を生み出していた。しかしある日アフガニスタンで行われた新兵器のお披露目会の場でテロリストに拉致される。自身が生み出した兵器が人々の命を奪う光景を目にし自らの所業を反省。テロリストのアジトから脱出するときに生み出したパワードスーツを改良し人知れず悪と戦う「アイアンマン」として生まれ変わった。

 驚くほど面白かった。まずテロリストから脱出するときに作成するアイアンマン(マーク1)がもう、格好良すぎ! こいつが暗闇からガッシュンガッシュン現れたときには血湧き肉踊った。「これで火でも吹いてくれりゃあ満点なんだがなあ」なんて思ってたら本当に火炎放射し始めるし。しかも両手から。参った。
 その後このマーク1を基にマーク2を経て完成版であるおなじみ真っ赤なアイアンマンが出来る。その開発はハイテクを駆使しつつも基本的にトニー1人でやっており、手作り感覚溢れるもの。試行錯誤の過程が非常に面白い。ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリーについつい見入っちゃう感覚。
 真っ赤なアイアンマンの活躍はハイテクの粋を集めたもので、マーク1とは別の意味の格好良さ。特に空を飛ぶシーンのスピード感、迫力は過去に例が無いぐらい爽快だった。ヒーローもの見ててふと頭に浮かぶ「でも人質とられたらどうすんのさ?」、「対空戦車に撃ち落されたら?」、「アメリカ空軍の戦闘機には勝てないね」その他諸々の小学生的な疑問にもキチンと答えてくれる。とにかく描写にメリハリが効いてて無駄がない。『ダークナイト』の脚本も見事だったけど、こちらのも相当なもんだ。
 それら凄いシーンの合間に入る人間ドラマも程よくひねりが効いてる。秘書のグウィネス・パルトロウも良かった。

補足説明

・秘書のグウィネス・パルトロウ…眼鏡をかけてないのは疑問だけど。



『アイアンマン2』(→公式サイト
 痛快娯楽大作『アイアンマン』の続編。

 トニー・スータク(=アイアンマン)を親の敵と逆恨みする悪のムキムキ科学者がやてきてアイアンマンを追い詰める。

 前作で自身がアイアンマンであることを公にしたトニー・スターク。金と才能と名声をひけらかして表向きはウハウハ状態だ。しかしその実胸のピカリング装置(仮名)の乱用がたたり、余命いくばくもないと自覚している。彼の暴走気味の活躍も、そんな背景があったればこそなのである。そこに敵か味方か謎の美人秘書やライバルの社長や黒人(サミュエル・L・ジャクソン)や黒人(軍人)やミッキー・ロークの思惑が絡み、ドラマ部分がなかなかに見応えのあるものになった。前作で核であったアイアンマン作成シークエンスのような面白みは残念ながら味わえないが、それを補うように今回は量産型アイアンマンという物量作戦で畳み掛ける。これぞ続編のお手本だ。レース場でアタッシュケース状の変身セットを使うところが燃えた。あれでもうちょっとガシャガシャ金属音が鳴ってりゃパーフェクトだったのに。惜しい。惜しいと言えば、今回アイアンマンは軍から監視されているとは言え、所謂正義の味方っぽいことをほとんどしてないんだよな。振りかかる火の粉を払うことに必死というか。ただ、怪我の功名というか、中盤のアイアンマン同士の内輪喧嘩は最高に可笑しかった。そのスーツ着てやる必然性がどこにある、みたいな。BGMがロボットロックだし。一見おバカシーンだけど、実はそれがちゃんとクライマックスに活きてくる。このシリーズの脚本はほんとに練られている感じがする。



『アイガー・サンクション』
 イーストウッド監督・主演映画。よくわからない話だった。まず主人公の設定がつかみづらい。美術評論家?として大学で教鞭をとるかたわら、ときどきCIAに頼まれて暗殺もやるダーティハリー風の無骨な男。この男が昔の相棒の仇をとるために、アイガーに挑戦する国際登山チームにもぐりこむ。登山チーム3人のうちの1人が犯人と目されるからだ。しかし、山に登る直前になって、実は真犯人は3人のうちの誰でもないことが観客だけに明かされ、一気に緊張感が薄れる仕組み。なんなんだ、その脚本は。


ロゴ
『愛されちゃって、マフィア』
 最初にアメコミ調のロゴが出たときはどうしようかと思った。恋愛コメディだけど、恋愛もコメディもパッとしなかった。始まって10分ぐらいでアレック・ボールドウィンがビキニ一丁で撃ち殺される。事件を追う捜査員がミシェルに近づいて恋に落ち、犯人のマフィアも交えて奇妙な三角関係を形成する。



『“アイデンティティー”』
 暴風雨のため外界と遮断されたモーテルに集まった男女が次々に殺されるというモロ好みのシチュエーション。面白かった。去年公開されたときに行きそびれたのが悔やまれる。伏線の張り方が巧妙で、観直したくなる作り。今日感想を書いた作品で人に薦めるとしたらコレだ。みんな、レンタル店へ走ろう。そして感想を聞かせてくれると嬉しいんだな。



『アイ,ロボット』(→公式サイト
サミー  新しいおでんの具のようなロボット(写真右)が大挙して押し寄せる近未来SFアクション。主演はウィル・スミス(写真左)。

 2035年のシカゴ。有名な科学者が殺された。容疑者は一体のロボットだった。大のロボット嫌いのウィル・スミス刑事は真相を追ううちに何度も死にかける。

 『シックスデイ』や『マイノリティ・リポート』などなどと同系統の近未来びっくりテクノロジー博覧映画として中の中の出来だろうか。ロボットが動きまくる様子は確かにすごいけど、それだけというか。ビジュアル偏向でアイデアに乏しい印象。サミーが机を叩くと凹んだり、高いところから飛び降りると地面にひびが入ったり、「そのまんま」な描写は滑稽でしかなかった。ここで描かれる未来像は上記のぬっぺっぽうもどきや、それより少し旧式の手塚版ゲジヒト刑事みたいなロボットが普通に市民権を得て街中を闊歩している。数も人間より多いぐらい。反乱を起こさなくても、それはそれで悪夢的な光景だった。仮に街中じゃなく、休日にふらりと出かけた近場の山道でバッタリ出会ったら相当嫌な気分になると思うな。
 ウィル・スミス演じる刑事の葛藤もいまいち伝わってこない。ロボット嫌いになった理由がチンケだ。交通事故で女の子(あかの他人)と同時に溺れかけ、助けに来たロボットが女の子より自分を選び、女の子が溺れ死んじゃったのが気に食わなかった模様。映画史上他に類を見ないほどの逆恨みっぷり。投身自殺を邪魔されてMr.インクレディブルを訴えた男も真っ青だ。せめて女の子がウィルの娘なら納得できたのに。
 ロボット三原則を逆手にとった形で博士はサミーに自分を殺させて「自殺」を図ったわけだが、サミー、明らかに力み過ぎ。防弾ガラスを突き破る勢いで博士を階下に突き落とした。もっと穏やかな方法はなかったのか。博士も落ちながら首を傾げてたんじゃないかな。まさか日頃からサミーを使ってそういうプレイを楽しんでいた……? とにかく、博士殺害シーンを描かなきゃ、この映画は嘘だと思うんだがなあ。そこさえ押さえてたらもっと良かったのに。惜しい。

補足説明

・ロボット三原則…SF界では万能の法則。しかし、現在開発されてる様々なロボットは、ロボット三原則を考慮に入れてるもんなんだろうか。六本木ヒルズの回転ドアなんかかなり違反してるっぽいが。



『アウトレイジ』(→公式サイト
 北野監督が久しぶりに撮ったヤクザ映画だが、大杉漣や寺島進などの北野映画の常連は出演していない。果たして。

 会長の思惑通りに子分のヤクザは右往左往した結果つぶしあい、消えていく。

 たけし映画の常連を排除し、さらに一般的なイメージと違った役者をそこに配置することでいつ誰が裏切るか、死ぬか生きるかがより予測不能になって緊張感を増していると思う。『ソナチネ』の紙相撲や『BROTHER』の性別当てゲームのようなあからさまな息抜きシーンも、ほぼゼロ。また、監督特有のやや難解(ととられがち)な表現、省略であるとか極端にセリフが少ないだとか時制の逆転だとかいった要素も影を潜めている。それが端的に顕れているのが暴力シーンで、すべての暴力が非常にストレートに描かれており、誰が、どのタイミングで誰を傷つけたか、殺したかがすごく明瞭だ。暴力の表現に関しては笑っちゃうようなものから度肝を抜かれるような奇抜なものまで各種取り揃えてござい、って感じで、「世界のキタノ」の座を獲得してからも決してそこにあぐらをかいたりしていない、このサービス精神旺盛さにはただただ頭が下がる思いだ。どこぞの「オレのシュールなギャグセンスがわかるやつだけついて来ればええねん」的なお笑い出身の監督にも見習って欲しいもんだ。
 個人的に一番良かったのは椎名桔平だ。髪型とか全然普通で最初はン〜?って感じなんだが、だからこそこの人が突発的にふるう暴力の恐ろしさったらない。もう画面に出てくるだけで緊張したよ。しかもコイツ、画面の端でやけにニヤニヤしてるんだよな〜。今までのたけし映画になかったタイプのキャラ。『アウトレイジ2』なんて話も冗談めかして語っている監督だけど、そりゃ是非観てみたいですなっ!
 あえてひとつだけ苦言を呈すると、監督自身が出演しなくても良かったんじゃないか。少なくともそいつだけは最後辺りまで死なないってわかるもんな。

補足説明

・一般的なイメージと違った役者…椎名桔平や加瀬亮や北村総一朗や三浦友和。キャストだけ見てヤクザ映画だと思えない感が甚だしい。

・ストレートに描かれており、…だからといって単純・退屈という意味ではない。

・そりゃ是非観てみたいですなっ!…別に話はつながってなくてもいいから、アウトレイジの手法というか、そういう雛形でもう一度作ったドンパチをまた観たい。広島死闘編的な。



『赤ちゃん泥棒』
 緊迫感の少ない『ファーゴ』という感じだった。 ニコラス・ケイジ主演。ならず者のニコラス・ケイジが不妊症の妻のために、五つ子の赤ちゃんの一人をさらってくる。 ビジュアル的(砂漠のハイウェイが主な舞台、ニコラス・ケイジ)にもストーリー的(終盤で銀行強盗、男女のクライム・ストーリー、異常な共犯者)にも『ワイルド・アット・ハート』に印象が似てるなあ、と思ったら、こっちの方が先だった! 『ワイルド〜』が暗だとしたら、こっちは明か。それにしてもコーエン兄弟は誘拐好きだね。ニコラス・ケイジはどんなに真剣なセリフをしゃべっても本気で言ってるように見えない。顔が。



『アクシデンタル・スパイ』
 なんかストーリーが良くわからなかった。というか、登場人物の目的がハッキリしないので、観ててもイマイチ入りこめない、スッキリしない、カタルシスが得られない、の3ナイ運動実施中らしい。ジャッキーのキャラクターが不可解で、敵(?)のボスから「(生物兵器として高く売りさばける)病原菌をおとなしく渡せば金を払うし、一目ぼれした女(色仕掛け専門のボスの部下。シャブ漬け)もやろう」と持ちかけられて悩み、結局病原菌を渡してしまう。すでにクスリでボロボロになっていた女はすぐ死に、ジャッキーは逆ギレしてボスに復讐しに行く、という。女が死ななきゃそのまま高飛びしてたのかジャッキー! 勧善懲悪として描きたいなら、女も救うし病原菌も渡さないのがジャッキーの正しいあり方であって、そんなご都合主義をどうやって無理なく見せるかで脚本の力がためされるわけだ。女を演じるビビアン・スーもノッペリしてて、「こんな女のために何千人の命を犠牲にしていいのかジャッキー!」とツッコミたくなる。要するに「ジャッキーを狂わせる女」として、ビビアン・スーは致命的に説得力不足なんだな。容姿から演技力から(まあ、容姿は好みによるが…)。おかげで最後のカー・チェイスでの子供救出劇も白々しく見えるし。シャブ漬けの女ひとりのためにポンと病原菌売ろうとしたお前がなんでいまさら赤の他人の命にこだわるんだよジャッキー! まわりの警察に任せとけばええやん、って。核爆弾のボタンを押すのは割と平気だけど包丁で人を刺すのは嫌って感覚か。……とまあ、割とボロボロにけなしてきたけど、それらはすべて脚本の敗北が原因であって、ジャッキーに罪はない。要所のアクションは相変わらず独特で素晴らしく、最後は高い所から飛び降りてドッカーン! なので、「ジャッキー・チェンが行く香港〜韓国〜トルコの旅」な特番とでも思えば別に良かった、僕としては。本場の(Hじゃない)トルコ風呂の様子とか。



『悪魔のいけにえ2』
 前作と完全に違うノリ。一種のパロディ。殺人3兄弟の隠れ家の惨状は圧巻。そんな中で「ファミリー」しようとする彼らがユーモラスに見えてくる。ラスト、ヒロインの逆ギレっぷりが最高。チェンソー2刀流のデニス・ホッパーはもっと最高。



『悪魔のいけにえ3』
 どう考えてもつまらなそうだったので敬遠してたんだけど、やっぱり強烈につまらなかった。人が死なない。犠牲者2、3人? いや、犠牲者の数だけだと1作目もそんなに人数がいなかったんだけど。恐さが決定的に違う。パート2までは最高なので、夏の夜の涼を得たいあなたは是非。ふっと助手席にいた人の方を向くと頭が半分になってた、とかそういう話が苦手な人には薦めないけど。『ゾンビ』の黒人警官が出てた。あと、『LOTR』アラゴルンが出てきて、そして、死んでいった。この後にまだ1作ある、というのも恐ろしい話だ。



『アサシン』
 『ニキータ』のリメイク。『ニキータ』が叙情的だとすると、『アサシン』は叙事的か。ハリウッドらしく、出来事の因果関係がかなり明確に語られる。 『ニキータ』のあいまいな語り口の方が好きだが、知ってる役者ばかりが出る『アサシン』も捨てがたい。「掃除屋」にハーベイ・カイテル。『パルプ・フィクション』のウルフっぽいが、こっちの方が先。関係無いが、ニキータに手の甲を刺される警官が『ゴッドファーザー』のルカ・ブラジ(手の甲をナイフで刺される)そっくりなんで可笑しかった。そう言えばブリジッド・フォンダは『ゴッドファーザーPART3』では殺し屋に怯えるだけの役だった。調べてみると、変な映画にいっぱい出てる女優だなあ。



『アザーズ』
 う〜ん。まあ何と言うか、困っちゃうね、これは。感想書けないよ。最後の展開が、ある映画にソックリ、と言うよりもほぼパクリだから。その映画のネタばらしするわけにもイカンし。ラストに2度ほどどんでん返しがあるんだけど、最初ので「こんなオチのために今まで見てたのかYO! 時間の無駄だ!」とムカーとして、2度目ので「ええ!?」っと驚いてしまい、即座にパクリに気づいて腹が立ったという。ムカつきがP波とS波で襲ってきた感じ。いかにも金をかけてない作りなんだからせめてストーリーの核心部分ぐらい独自のものを持って来て欲しかった。志低すぎる。
 ラスト以外にも不満があって、怖さの演出がなってない。いまどきただデカい音をいきなり鳴らすだけってのはダメすぎるぞ。しかも何回も。そりゃ人間だからいきなり大きな音を出されたら条件反射でビクッとするけどさー。わしゃパブロフの犬か? ダンシングフラワーか?って気になって不愉快。ニコール・キッドマンがのべつまくなしにわめきたてるのも鬱陶しい。
 図解すると、

A.子供泣く

B.キッドマンわめく

C.デカい音

(A〜Cを順不同で数回繰り返す)

フラストレーションの増大

オチ1(ムカ)

オチ2(怒髪天)

 ロシアの宇宙飛行士の耐性訓練じゃないんだから。違う意味で怖い。



『明日に向かって撃て!』
 実在した2人組の強盗を描いた西部劇。レッドフォードとポール・ニューマン共演。アウトサイダーが明るくトボけた雰囲気で暮らしてたら現実と直面してどんどん暗くなってく、所謂「アメリカン・ニューシネマ」の作風。主人公らが「雨にぬれても」(音が出ます)をバックに自転車を乗り回すシーンを名場面として挙げる人がいてもおかしくないと思った。

補足説明

・「アメリカン・ニューシネマ」…ベトナム戦争の頃から作られ始めたアメリカ的楽観をくつがえすハリウッド映画群。代表作品に『俺たちに明日はない』、『明日に向かって撃て!』、『イージー・ライダー』など。はみだし者が自由気ままに生きた挙句に破滅的なラストを迎えるのが特徴。

・破滅的なラスト…マシンガンで蜂の巣になったり、ショットガンで吹っ飛ばされたり、風邪をこじらせて病死したり、警察のバッジを投げ捨てたり、タンクローリーが谷底に転落したり、パーティー会場で5000人が焼け死んだり。



『アジャストメント』(→WIKI
 マット・デイモン主演。ディック原作の摩訶不思議アドベンチャーらしい。

 マット・デイモンは上院議員を有望視される候補者だったが、ふとした過去のスキャンダルが原因で失脚してしまう。再選へ向けて活動を開始するマット・デイモンだが、心のなかにはある女性との運命的な出会いの記憶がわだかまっていた。

 面白かった。運命を可視化するノートだとか、どこでもドアだとか帽子だとか、不思議アイテムの描写がものすごくわかりやすく、かつそれぞれに弱点というか「出来ること、出来ないこと」の設定がキッチリなされて説明されているおかげで納得できる仕組み。また、「運命操作係」である天使の世界にも上下関係があったりして妙にサラリーマン的なところが可笑しい。しかもこいつらが結構人間的なぽかをしたりする。しかも運命への介入の仕方がアナログ感あふれるところがいい。基本人力で、最後なんかただのおっかけっこだからな。CGに頼らずストーリーで勝負する姿勢を評価したい。

補足説明

・出来ること、出来ないことの設定がキッチリなされて説明されている…「天使たち」による監視は雨で妨害できるだとか、どこでもドアを使うには帽子被ってなきゃ駄目、だとか。



『アメリカン・ギャングスター』(→公式サイト
 実在した黒人麻薬王の半生をデンゼル・ワシントンが演じきる。彼を追う麻薬Gメンのリーダーに『グラディエイター』のヨダレの人。

 フランク・ルーカスはハーレムを牛耳るボスからシマを引き継ぎ、やがてマフィアをも出し抜く存在へと組織を成長させる。

 う〜ん? 運転手からギャングスターまでのし上がった人物の半生記というから『スカーフェイス』みたいな血で血を洗うような抗争劇を期待していたんだけど、冒頭でデンゼルはいきなりボスの座に収まっちゃう。しかも前のボスが心臓発作起こしたおかげで順当に繰り上がり優勝したみたいな。それよりも映画は如何にしてデンゼルが麻薬の独自ルートを築いたかに主眼を置く。そしてヨダレ男は如何にも頑張ってます風の演技で四苦八苦。
 期待してたものじゃなかったけど、157分にも及ぶ長丁場を飽きさせずに見せる力量はさすがリドリー・スコット監督だ。ただ、確かに飽きないんだけど、ここはという盛り上がりに欠け、しかもなんか最後が尻すぼみだった。デンゼルなんか捜査に協力して眼鏡かけたエエ感じの親父になっちゃうし。で、「この後フランクは〜」ってテロップが流されておしまい。ノンフィクションって絶対この終わり方だよな。



『穴』
 仲良し男女4人組が穴の中に閉じ込められて、生還したのはただ1人だった。空白の時間に何があったのか? オチが読めすぎる。生き残った人物の回想の形式にするより、時間軸を素直にたどっていく方がまだしも良かった。 ソーラ・バーチ最初から恐いし。『悪魔が来たりて笛を吹く』かと思った。 全く後で説明されないミス・ディレクション(すれ違った怪しげな男にハッとするシーン)もあって、ズルい。怪しげな男すれ違いっぱなしで最後まで出て来ねーの。誰だよ、アレは。



『アパートの鍵貸します』
 出世のために自分の部屋を上司の逢引の場所として提供する男の話。ひどく生々しい話をテンポ良く軽妙なタッチで描くアンバランスさが、柳沢きみおの大人向け漫画みたいで面白かった。ジャック・レモンはコミカルで飄々としており、シャーリー・マクレーンはひたすら可愛らしい。この2人の存在感が映画の印象を決定付ける。上司や町医者といった脇役を無駄無く肉付けして存在感を持たせ、テニスのラケットやコンパクトなどの小道具を効果的に使う。まるで良い映画のお手本のよう。ラストのシャーリー・マクレーンのセリフが良い。鑑賞後の後味が良く、もう1度観たくなる。



『アバター』(→公式サイト
 あの『ターミネーター』(&2)の、あの『エイリアン2』の、あの『タイタニック』の、あの『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』のジェームズ・キャメロン監督最新作にして3D映画。まわり(職場やWEB)のもの作りに一家言ある人達の評判もすこぶるよろしい。期待に胸を膨らませて鑑賞に臨む。

 22世紀。惑星パンドラでは米国海兵隊が基地を築き、先住民であるナヴィを遠巻きにして、彼らの聖地の地下深く埋まっている貴重な金属を虎視眈々と狙っていた。一方シガニー・ウィーバー率いる科学者チームはナヴィと人間のDNAを掛け合せた「アバター」を生み出し、それらを人間の脳波で遠隔操作してナヴィの文化を学ぼうとしていた。

 う〜ん。う〜ん。う〜ん。……え? 全然のれなかったし面白くなかった。ていうか中盤寝てしまったから主人公とナヴィ女がセックスするとこ見逃しちゃったよ。あ〜あ。あと、席が後方だったせいかあまり3D感は無かった。以降はそういう人が書いた文章のつもりで読んでください。ネタバレも有ります。以下駄目な点箇条書きで。

・これは映画館、ひいては日本の映画文化全体に対する警鐘なんだけど、3D(+字幕)版か、飛び出さない字幕版の二択しかない。おかげでせっかく3Dなのにそれより前に字幕がちらついて台無し。お願いだから吹き替え版もやってくれー。もう全員はるな愛が担当してもいいから。それか字幕が表示されるパネルをスクリーンの下につけて同期させてほしい。それぐらい現代のテクノロジーで出来そうなもんだが。

・これも映画館、ひいては日本の映画文化全体に対する警鐘なんだけど、始まってから5分後ぐらいにジジイが入ってきてスクリーンを遮る形で通路に棒立ち。さらにちょっと遅れたババアを待っていた。映画開始の数分は係員が見張ってて、こういう輩は注意するか木刀でしこたま膝を突くか頭を空気銃で撃ち抜くかしてほしい。

・字幕を抜きにしても3D効果があまり無かった。最初から感じたから慣れでもない。全体的に普通の映画と同じ感じで撮ってる。例えば物がこっちに飛んでくるとかナヴィ族の得意技がサミングだとか、3Dを見越したこけおどしの演出は、ほぼゼロ。ならば惑星パンドラの景観をその場にいるかのように体感できるかと言えば、それもイマイチ、というか。ほとんど客観視点なんだもんな〜。例えばヘリコプターで飛んでくんなら、山の頂を越えて眼下一面にナヴィの湿原が広がるところなんか、ヘリコプターの正面にすえつけたカメラ視点でやったらいいのに、絶えずちょっとひいて撮ってるし。3Dでもなんでもないスーパーマリオサンシャインでも高いところから落ちたら胃袋が持ち上がるような擬似Gがあったもんだけど。この映画では落下していく物体を固定で捉えるか、何かにひっかかるところまでカットを飛ばすもんだから何も体感できない。そういうのに弱い人に配慮しましたってか?つまんねーの。少なくとも「3D度」で言えば先日の『ファイナル・デッドサーキット 3D』の方がずっと良かった。

・2時間42分と尺が長すぎる。だいたい1時間ぐらいでそれほど面白くないと見切ってからの長かったことといったらない。最期の空中戦みたいな見せ場をちょっとスケールダウンしてあと一箇所ぐらいは欲しい。出来れば冒頭。

・ナヴィの生物は、なるほど独特の造形で面白いんだけど、なんか常識的な範疇に収まっちゃってるというか……。黒い虎、鼻が変なサイ、手長猿、トリケラトプス、といった具合に、スケール感といい形状といい全部地球上にいる(いた)生き物に置き換え可能なところがしょーもない。もっとわけわかんない奴出してよー。『ジュラシックパーク』の首長竜(もしくは『ミスト』のアレ)を足元から見上げるショットみたいなんを3Dで見たかったのに。全体的にほどほど感が漂う。

・ナヴィの植物も、なんかTDSの海底二万マイルふうというか。

・ナヴィ族の人間は、最後まで気持ち悪かった。半端に人間っぽいからだろうか。

・浮いてる岩の聖地。『天空の城ラピュタ』(orハウル?)やん。それは言いがかりにしても、この映画はかなり宮崎監督作品、特に『もののけ姫』の影響を受けてるように思える。森が意志を持ってるだとか、文明と自然の戦いだとか、そういうテーマ的なレベルから、細かい描写に到るまで。あの触手がウニュウニュするところなんかまんまタタリ神だし。

・主人公の設定が、死んだ双子の兄の軍人の替りに急遽選ばれた車椅子の傷痍軍人。こいつがナヴィ族に取り入ろうとする。それって最初から裏切りそうやん。SSみたいなバリバリの極右軍人がナヴィの文化に触れ、娘にほだされて徐々に心を開き、苦悶の後に祖国(&かつての戦友)を裏切る展開の方が燃えるのになー。

・シガニー・ウィーバーと、彼女の科学チームの存在自体が謎、というか。彼女らと海兵隊の力関係が理解し難い。軍部に所属するんならアバターなんか真っ先に軍事利用されてそうだし、独立してるにしては後半のあの展開はおかしい。一応独立してるけど危ないから海兵隊に守ってもらってたんだろうか。どっちにしても海兵隊を批判出来る立場じゃない気がする。むしろ半端に手懐けて警戒心を解いちゃう方がナヴィ族にとっては危険だろが。大航海時代の宣教師みたいなやつらだ。こんな輩はボーリングのピンででもブン殴ってやりゃいい。

・アバターの遠隔操作システムが練りこまれてないような。操作する人間はアバターを操ってる間は人工冬眠状態。そしてアバターが眠りにつくと自動的に起きる。また、スイッチで冬眠を強制的に解かれるとアバターは失神したようにノびる。見た目すごく間抜けなのに、ストーリー的には結構シリアスな場面なので、余計変な感じ。

・アバターを使って文化交流を図るという出発地点が間違ってるんじゃないか? 安全のためかもしれないけど、ナヴィにしたらわけのわからん遺伝子操作した「ナヴィもどき」から言葉を習ってるわけでしょ? それってかなり屈辱的なことなんじゃないかと思うんだけど。

・アバターは都合3体出てくるんだけど、主人公ともう一人の研究員の男のが非常に見分けがつきにくいせいでしばしば混乱。最期の空中戦のところなんか、研究員の男のアバターがいつやられたのかわかんなかった。なんかアクセサリーでもつけてくれー。

・男二人のアバターに比べてシガニーのアバターは一見してシガニーっぽくて気持ち悪い。そもそもアバターとしてのシガニーのキャラって必要か? こいつがいるせいでスイッチ切断のシーンも2段階になってもたつくし、死んで生き返らそうとするところも、族長で置き換え可能だろーに。っつか族長こそ生き返らそうとしろよナヴィ族は。こりゃ絶対シガニーが口出ししたね。間違いない。「あたしナヴィ族になっても露出したくない!」、「(『エイリアン3』みたく)感動的に死にたい!」って。シガニーがエセ宣教師のくせになんとなく良い人ふうに死んでいったのもすべて合点がいく。なんだ、そういうことだったのか。

・侵略の描写が甘い。『もののけ姫』のような部位欠損なんか出てきませんよ? 大雑把に爆薬で吹っ飛ばされたり木の下敷きになったり。

・ラストバトルで結集した他の部族の連中は、今まで何をしてたんだ? 聖域担当はナヴィ族だけだったの?

・『エイリアン2』のバスケスを彷彿とさせる女丈夫のパイロットを、ミシェル・ロドリゲスが好演。この人こういうキャラばっかりな気がするけど、やっぱり格好良い! しかし最期がいけない。普通に被弾して逃げかけて敵に背中を見せたところをドーン! って、あっけないなあ。もっと他にやりようがあるだろうに。殿で針鼠状態で仁王立ちとか、味方を庇ってドーン! とか狭い通路で海兵隊に追い詰められて弾薬がつきてそれまで馬鹿にしてた軟弱な海軍将校と手に手を取って敵もろとも手榴弾で自爆! とかさ〜。

・この映画の予告編を見たときに結末の予想をしていた。それは、ナヴィ族に寝返った主人公が海兵隊の本拠地に乗り込んで自分(本体)が眠っている施設まで到達。まさにそのとき、施設から迎撃ミサイル(最終兵器)が射出されようとしている。あそこを破壊すれば自分も死ぬ! でも俺はナヴィの為に、青い娘のために施設を吹っ飛ばすぜー(何らかの手段で)! っていう展開に我ながら涙した。しかし現実は、主人公は本体近くで戦うものの本体を狙われ、(黒い虎の下敷きになってる)青い娘そっちのけで本体を守り切るのに必死。え〜? 逆? それどころかピンチを娘に(矢と酸素マスクで2度も!)救われる体たらくティブ・ムービー。俺に脚本書かせてよ!

・しかもこいつが最強のトリケラトプスを従えてトントン拍子に部族のヒーロー顔でハッピーエンド(ふう)ってのがあり得ないし許せない。本当にアメリカ人的な(無神経な)善意を感じる。どこまでお人好しなんだよナヴィ族。勝手に侵略でもなんでもされてろ! 次は殺気立った海兵隊が10倍の兵力で乗り込んで来るからな。それまでに貴重な金属使って地球の武器商人から最新兵器を調達してゲリラ戦法を教わっとくといいよ。は〜。

 いろいろ書いたけど、パワーローダーだけは良かった。今度は3Dで『エイリアン2』リメイクして。気色悪い異星人なんか片っぱしからぶっ殺してアスタラビスタでいいじゃない。

補足説明

・主人公とナヴィの女がセックスするとこ…その後のシーンで知った。絆を結んだとかなんとか。あの気味の悪い触手を絡ませたんやろか? 人間と同じ方法? だとしたら体位は? 前戯は? その時サム・ワーシントンは夢精を? 謎は尽きない。

・そういう人…ちなみにもの作りに一家言ないです。楽がしたい。

・シガニー・ウィーバー…タバコぷか〜と吹かして、いかにもやり手ふう。お色気ゼロ。どの映画に出てもこんな感じだね。『エイリアン3』の脚本に口出ししてつまらなくした(当初はpart2路線だったとか)女優として僕の中で有名。この映画の脚本にも口出してねーだろうな? 出演者の中で一番大物だし監督とは『エイリアン2』の頃からの付き合いだし、有り得なくはないぜ?



『アリス・イン・ワンダーランド』(→公式サイト
 ルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』と続編『鏡の国のアリス』を下敷きにして、その10数年後に立派な女性に成長したアリスの冒険譚をティム・バートンが描くファンタジー3D映画。

 大人になったアリスが夢の世界でひと暴れ!

 最初に断っておくと、睡眠不足のためにアリスが穴に入った直後からアリスと一緒に眠ってしまい、その後重要な伏線が散りばめられた(らしい)10〜30分ぐらいの時間を寝ては夢覚めては(アリスの)うつつを繰り返したせいで後半の、アリスがヴォーパルの剣を手にとるのを迷う理由がよくわからず、さらにアリスと女王や気違い帽子屋の関係もよくわからないままだった。以降の感想はそういう人間が書いたものとして話半分に聞いて欲しい。
 まずティム・バートンということでテニエルと言うよりは金子國義のような世界観を期待していったんだけど、意外にまともというか健全というか。恐らく子供向きの3D映画を意識したんだと思うけどややガッカリ。また、原作の重要なテイストである夢の中での「あるあるネタ」も特に見当たらず。というよりも全体的に「不思議」と「鏡」の物語を相当ひきずったストーリーになっており、トランプとチェスの世界を行ったり来たりしてるうちに話が終わる。折角だから悪夢然としたビジュアルが交錯する「新しいアリスの話」を見たかったのでここも残念ポイント。ティム・バートン流のオリジナル夢キャラにも期待してたけど、やけにリアルで浮いてる犬以外は何にも出てこなかったし。個人的に納得出来ないのはアリスがとくにウトウトするような場面でもないのにいきなりうさぎを見つけるくだりかな〜。

補足説明

・アリスと一緒に眠ってしまい、…俗に言うハヤシ・イン・ワンダランとはこのことである。アリスとシンクロ率高かった。3D眼鏡をかけてるせいで画面が薄暗い上にティム・バートンの画面作りが暗めな効果も手伝った。決して映画がつまらないから寝たわけじゃないので。

・夢の中での「あるあるネタ」…走っても走っても追いつけないとか、どこまでも落ちていく感覚とか、登場人物がいつのまにかすり変わるとか。

・「新しいアリスの話」…バックギャモンの国とか麻雀の国とか三角ベースの国とか。そのゲームのルールや道具を知ってればさらに面白いような。



『暗殺者』
 もう何部作とかいうレベルを超越して数え切れないスタローンの駄作群のひとつ。スタローンとバンデラスの暗殺者対決と聞いて同じ獲物をどっちが先に殺すかという展開を期待したんだけど外れた。金をおろしに行ったスタローンを狙撃しようと銀行の出口を見下ろす窓で待ち構えるバンデラス。スタローンは中で6時間ぐらいネバり、頭にきたバンデラスは銀行に汗だくで乗り込んで来る。世界最高の暗殺者対決が我慢比べってのもな〜。



『アンストッパブル』(→公式サイト
 実話を基にした乗り物パニック映画。主演はデンゼル・ワシントン。割と今更な題材で、しかも実話を基ときた。大丈夫かな〜?

 脱線しようものなら大爆発を引き起こして近隣を壊滅状態にしかねない危険物を積んだ列車が「力行(加速)」状態のまま無人で放たれたからさあ大変。デンゼル・ワシントンとクリス・パインの二人は成り行きでその列車に追いすがる。列車が脱線する「大曲り」と呼ばれるポイントまでに止めることが出来るのか。

 乗り物パニックというよりは、すべてを跳ね飛ばして暴走する列車が主役のモンスター映画に近い。面白かった。CGや(自称)奇抜などんでん返しなどに頼らない、正々堂々とした娯楽映画を久々に観ることができて感動した。★5つ。
 あまりに正統派なため逆に書くことがない状態で困った。とにかく全てが良いとしか言いようがない。無駄な部分が一切ない脚本といい、本来反目しあっていたデンゼル&クリスが共通の危機を通じて徐々に信頼関係で結ばれていく過程といい、わからずやのお偉方の指示がおじゃんになってそれ見たことかの展開といい、まさに王道で、なおかつそれらすべてが暴走する「モンスター」のスピード感を損なわないメリハリの効いた演出で丁寧にまとめ上げられている。参りました。



『undo』
 豊川悦司が山口智子を必死で縛りあげる。
「こうか?」
「もっと!」
「これでもか?」
「ンむぉっとぉぉ!!」
一部始終を亀が見ていた。



『unknown -アンノウン-』(→公式サイト
 前世が記憶喪失だったのか知らないけど、記憶喪失の映画が大好きな僕はあらすじを見ただけで鼻息が荒くなった。記憶喪失プラス、クローズドサークルと来た。人がどっかに閉じ込められる映画も好物なのである。前世でよほど酷い目にあったらしい。

 密室に閉じ込められた5人の男達には記憶が無かった。やがて2人が人質、3人が誘拐犯らしいと判明する。
 生き残れるのは誰だ?

 面白かった。
 『メメント』の俳優(ジョー・パントリアーノ)が出ているあたり、監督も最初から意識してたのかも。『メメント』ほどではないけど、最後まで目が離せない展開。ちょっと『パニック・ルーム』っぽくもあった。こういう映画は面白さを伝えようとするとネタバレになるというジレンマであまり書けないのでもどかしい。

補足説明

・『パニック・ルーム』…面白かったと思うけど世間的にはつまんないことになってる不思議な映画。ジョディ・フォスター+眼鏡ってだけで評価甘めになってるんかしら>僕



『アンブレイカブル』
♪脆いぞ体! 脆いぞ体!
 映画そのもののできはショボいけど、サミュエル度は高いので満足、という不思議な体験をした。サミュエル・L・ジャクソンは、列車事故でも死ななかった不死身の肉体を持つブルース・ウィリスを見出すコミックアートギャラリーの店主という役。先天的に虚弱体質で、ガラスの杖で歩いている。髪型が奇天烈で、車椅子や玉虫色に薄く光るコートも奇妙で良かった。作中で一番のサミュエル・ポイントは、サミュエルによる階段落ちかな。ハラハラする。杖なんかパリーンとスローモーションで割れちゃってね。逆さまで目をギョロつかせるサミュエルは異様だった。一方のブルース・ウィリスの役は自分がヒーローである事実に気づいていく男なんだけど、最後のヒーロー証明の演出が地味すぎ。リアリティ(?)を出すためにわざと演出をおさえたんだとは思うけど、ヒーローの繰り出した技が「背後から忍び寄って裸締め」だけってのは如何なものか、と。しかもコスチュームはレインコートだし。あれだけ締め続けられても暴れてた赤い服の男の方がよっぽどアンブレイカブルやないか! それから、途中のリフティングのシーンも不必要にくどいだけで、アンブレイカブル男の非凡さを表現するにはパンチ不足。もっと洒落た演出があっても良かったんじゃないか、と。ていうか、観てる最中に『スーパーマン2』で超能力を失ったクラーク・ケントを思い出したので、この映画をまだ観てない人でサミュエル・L・ジャクソンとかにも興味が無い人は、そっちを観ては? シャマランは脚本料として史上最高の500万ドルをもらったようだけど、『交渉人』の脚本書いた人が聞いたら泣くだろうね。あっちの方がよっぽど面白かったっての。最後に出る字幕もすごくて、「警察に通報」ってアンタ、ヒーローのやることか! シャマランしっかりしてくれよ。ところでこの映画には続編が考えられてるらしい。ウィリスが離婚してNYに行き、名前も変えて刑事になり、そこでホーリー・ジェナロと出会うというのはどうか? そして数年後、NYの質屋の外で「I hate niggers」の看板をぶら下げてるウィリスを、サミュエルが再び発見するという。そう考えるとマクレーンの不死身ぶりも理解できるのだが。とにかく、何かが起こりそうな予感だけが満載の予告編を延々と見せつけられているような映画だった。最後にシャマランのインタビューでの言葉を紹介。「僕は、単なるホラーや、ヒーローものを撮る気はない」。続編は「単なるヒーローもの」を撮ってください。お願いします。



『E.T.』
 地球に取り残された植物学者の宇宙人が、偶然出会った少年一家と異文化コミュニケーションする。
 社会現象にもなったスピルバーグの大ヒット作。「月に自転車」のシーンがいくつの映画にパロられたことだろうか。
小説で続編『E.T.グリーン・プラネット』が発表された。リメイク版も出た。小説の方は途中まで読んでやめた。



『イグジステンズ』
 デビッド・クローネンバーグ監督作品。『eXistenZ』とは脊髄に直接接続してプレイするゲーム。バーチャル・リアリティと現実を行ったり来たりするうちに、次第に境界がボヤけはじめ…。『トロン』、『バーチャル・ウォーズ』、『マトリックス』、漫画だと『攻殼機動隊』、『ハンター×ハンター』のグリードアイランドなどに通じる世界観。こういった世界を表現する場合、バーチャル世界の魅力をどう描くかが問題になると思う。しかしこの映画のゲームでは、1日中食肉処理工場にこもってグロテスクな奇形生物を包丁でサバくのみ。絶対プレイしたくない…。これはクローネンバーグ監督だけが喜ぶゲームでは?



『イーグル・アイ』(→公式サイト
 謎の組織か何かの陰謀で男が右往左往する話みたい。スピルバーグ(製作総指揮・原案)が数年来暖めて来た企画だとか。

 コピー屋に勤めるシャイア・ラブーフは携帯の謎の声にあやつられるままテロ事件の重要参考人としてFBIに追われる身になってしまった。

 ものすごい「これ似たようなの見たよ」感覚。こういう「政府が常に我々を監視している」、「マザーコンピューターの暴走」的発想に支配されたサスペンス映画は本当に飽きもせず定期的に作られるな。アメリカ人は好きなのか、そういうの。スピルバーグはこの企画を暖めていたというよりも「まごまごしてるうちに似たのがいっぱい出来ちゃったしな〜」でほっといたというのが真相だと思う。その判断は正解だ。心底呆れ返ってしまった。今更マザーコンピューターなんか揚陸艇に乗って一個中隊で来られても怖くもなんともない。
 サスペンス面は中盤でマザーコンピューターの仕業とわかってからは一気にヒートダウン。計画が乱暴そのもので成功直前までいくのが奇跡だよ。ジェリーが生き残ることが前提の計画なのにいっちばん最初のビルから飛び降りさせるとこからもう危ないじゃんか。「頭良い」とされてるマザーコンピューターがちっとも賢く感じられない。作品世界との溝を感じさせる最高に白けるパターンだ。
 アクション面でもマザーコンピューターの言うとおりに強行突破を繰り返すばかりで単調。アタッシュケースのカウントダウンも振り返ると何の必然性も無い単なるこけおどしだし。こういうのはちょっと許せない。無駄にハラハラした僕が馬鹿みたいじゃない。

・単なるこけおどし…この場合爆発物ですらなかったのが問題。何のためのカウントダウンだったのかまるで説明が無い。まあでも、カウントがゼロになって爆発しちゃったら映画そこで終わるもんな。それはそれでヒッチコックの『サボタージュ』みたくトラウマとして記憶に残りそうだ。



『1941』
 この映画はスゴい。スゴすぎる。スピルバーグ監督、ロバート・ゼメキス脚本、ジョン・ウィリアムズ音楽、ダン・エイクロイド、ジョン・ベルーシ、三船敏郎にクリストファー・リーと、「超豪華キャスト」という謳い文句はこの映画のためにあるようなもんだと納得してもらえると思う。そして、この映画のスゴさは、これだけのメンツを集めてもちっとも面白くならなかった点にある。コメディだが丸っきり笑えない。いくら金をかけても「笑い」だけはどうにもならないことの証左になり得るんじゃないか。第2次世界大戦中のアメリカ西海岸はハリウッドまで日本の潜水艦がやって来て、街はてんやわんや。パニックになったアメリカ市民は大騒ぎして勝手に自滅していく。家は瓦解し、戦闘機は墜落し、基地は爆発…というように、笑いのバリエーションが「人が騒いで何かが壊れる」しかない。ブラックジョークや下ネタや差別ネタを取り去って「子供から大人まで楽しめるお笑い」を追求するとこんなもんになっちゃうのか。いや、それでもチャップリンの映画は立派に可笑しいんだから、やはりこれは製作者の笑いに対する感覚が鈍かったとしか言いようがない。『スター・ウォーズ』を蹴ったのを後悔して出演した三船敏郎が可哀想。



『いとこのビニー』
 ジョー・ペシ主演。ラルフ・マッチオ(ベストキッド)助演。 法廷モノとしてもコメディとしても水準以上の出来であり、法廷コメディという独自のジャンルを形成した感がある。ただの繰り返しギャグかと思ったら、後に生きてきたり。伏線の張り方が巧妙でうならされる。



『犬神家の一族』(2006年版)(→公式サイト
 '76年の同名作品を市川崑監督自らリメイク。主役の金田一も30年前と同じ石坂浩二。神主さんは大滝秀治。「よし、わかった!」の警部を加藤武。

 犬神製薬の創始者・犬神佐兵衛の遺言にはとんでもないことが書かれていた。全財産を珠世とその配偶者に譲るというのだ。珠世のハートを巡って、犬神妾腹ブラザーズの存亡を賭けた熱き貞操獲得バトルが幕を開けた!!!

 北風と太陽の喩えで言うと、熱き貞操獲得バトルは太陽の勝利!
 驚くほどオリジナルに忠実に作られたリメイクだった。ここまでくると枯淡の境地だな。まあ、復員兵がキーとなる原作をそうそうアレンジできないというのもあるだろうけど。気づいた変更点といったら、菊乃襲撃シーンで赤ちゃんに焼き鏝を押し付けるところ、犬神佐兵衛と神主の「衆道の関係」がカット。ラストもちょっと変更になった。
 しかしこの話は、見るたびに見過ごせない疑問点がある。いい機会だから挙げておこう。

・佐武が珠世を呼び出す湖畔のテラスの人口密度が高すぎる。佐武のところに珠世が来て、犯されかけた珠世を救いに猿蔵が駆けつけ、珠世と猿蔵が去り佐武1人になったのを確認してから松子が佐武を刺し殺し、その現場を物陰で覗いていた静馬&佐清が死体に細工をする。松子&静馬&佐清はいつ頃から物陰にいたんだよ。しかもお互いに存在を気づいてないってのもすごいな。すっげ見晴らし良さそうな場所なのに。

・珠世、ボート好きすぎる。冒頭でボートに細工されて死にかけたのに、中盤にまた乗ってるし。そして佐智に騙され犯されかける。きっと屋敷じゃ居場所が無くていっつもボートで寝てたんだろうな。不憫よのー。

・佐清の「部隊が全滅するほどのミス」ってなんだろう。よく軍法会議にかけられなかったね。全滅して訴える人もいなくなったか。

・佐武、佐智、と来てるんだから、次に殺されるのは佐清なんじゃないかと皆薄々気づいてるだろうに、金田一や警察からさえほったらかしにされてる佐清(静馬)かわいそ〜。

 あと、松嶋菜々子と奥菜恵が並ぶシーンの身長差がすごかった。調べてみると、松嶋174cm、奥菜155cm。ドラゴとロッキーぐらい違うがな。



『イノセンス』(→公式サイト

「ロバは馬でない(大意)」

 押井がさ〜、またやってくれたよ。95年公開の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』から9年。劇場版攻殻の2作目。

都会では自壊するセクサロイドが増えている
行かなくちゃ
犬に会いに行かなくちゃ
エサがない

 原作やテレビ版に親しんだ人ならすんなり入っていけるんじゃないだろうか。西暦2032年の公安9課の活躍を描くストーリー自体はとりたてて斬新でも奇抜でもない。ある意味安心して見ることが出来る。前作のラストでプログラムと融合し広大なネット空間に自我を拡散させて姿を消した少佐に代わって今回の主役はつぶらな瞳が印象的なサイボーグのバトー。全篇これバトーのシブ格好良さに満ちている。歩くバトー、かけっこバトー、スキップバトー、おてんばバトー、いたずらバトー…バトー★繚乱。テレビ版の「心の隙間 Ag2O」、「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」などバトーが活躍する話に血沸き肉踊らせ、大塚明夫の声を真似て知人に怪訝な顔をされ、筋トレを始めて2日で飽きた僕は劇場の暗闇で口半開き。ときどきニッコリうなずきご満悦である。
 ただ、主役(&準主役)になったから仕方のないことなんだが、バトーと相棒のトグサがしゃべりすぎ。かつて笑い男と少佐の会話を聞いた部長が「外部記憶装置の補助なしではチンプンカンプンだ」と揶揄したように、聖書だのカントだのポンセだのの言葉を『ディック・トレイシー』のアル・パチーノ並の勢いで矢鱈めったら引用しまくる。いや、君らはそんなキャラクターちゃうやろ? 少佐が消えた3年間にいったい何があったんだろう。世に電脳を利用した引用ブームでも起きたんだろうか。
 話は逸れたが、派手さに欠けるストーリーを表現する映像は実に斬新。「今まで見たことのない何か」がスクリーンに映し出される。レイヤー何枚重ねてんねん、ってな画像が動きまくる様子は「絵が動く」と言うより「絵画が動く」と表現したいぐらいで、不気味ですらある。攻殻、アニメに興味が無い人も一見の価値有り。やっちゃってるよ、押井がさ〜。
 最後に、新宿スカラの地下劇場の椅子はとても固く、義体化してない生身の尻を持つ僕としてはちょっとつらかった。



『イレイザー』
 シュワちゃん映画。やってることは『コマンドー』とさして変わってないはずなのに、この面白く無さ加減は何なんだろう。見てる僕が成長した、…って簡単に片付けられない何かがありそうな気がする。ラストバトルがジェームズ・カーンと一騎討ちってのもな〜。イジメだろ、それは。



『インクレディブル・ハルク』(→公式サイト
 滅多につけない★いっこという採点を進呈したアン・リー監督の『ハルク』から何年か。別の監督にバトン・タッチして、仕切りなおしの超人ハルクが誕生したらしい。あの駄作の忌まわしい記憶を上書きするためにも鑑賞。

 科学実験の失敗により興奮すると緑色の巨漢ハルクに変身してしまう特異体質になっちゃったブルース(エドワード・ノートン)の逃避行。

 原作も知らないし、ハルクというキャラクターにあまり魅力を感じないんだが、そこそこ面白かった。基本的に「追い詰められる」→「ハルクに変身して強行突破」を3セットほど繰り返すだけのストーリー。ハルク強過ぎる。ただアン・リー監督の作品と比べたら遥かにテンポ良く好印象。なんとハルクに変身するまでが主人公の悪夢の形で始まってから30秒ぐらいで解説される。もったいつけて3,40分もかけてたアン・リー監督のものとはえらい違いだ。ちゃんと昼日中に暴れたりもする。あと、ハルクの馬鹿力に匹敵するライバルも出てくる。僕がアン・リーので感じたような不満点はシッカリとリサーチされたようだ。偉い偉い。ブルースの心拍数を示すデジタル式のリストバンドもドラマを盛り上げるのに非常に有効に機能していた。
 どうも『アイアン・マン』(近日公開)とも絡めてマーヴル・ワールドを作って行きそうな雰囲気の幕切れだったので、どうしよう? 今後つきあおうか迷う。遂に映画界にもキャラクター総出演のマーヴルvsカプコン的なもんが出てくる兆しか?
 あと、ブルースの同僚の女科学者は亭主がありながらブルースと3回も接吻してから体を重ねようとする(未遂)ので退廃的だと思った。

補足説明

・ハルクというキャラクターにあまり魅力を感じない…だって緑色で大暴れする巨人ってだけだもんな。アメリカ人はコイツのどこがそんなに好きなんだ?

・幕切れ…そういや頭がモコモコなってた科学者はどうなっちゃったんだ。次回作への伏線か?



『イングロリアス・バスターズ』(→公式サイト
 タランティーノ監督作品。『地獄のバスターズ』(1976・伊)のリメイク……かと思っていたんだけど、どうも名前だけ借りた全く別モノらしい。

 ナチスドイツのユダヤ人狩りをからくも逃れたショシャナはフランスに逃げ延び細々と映画館を営んでいた。一方ブラピ率いる特殊部隊「バスターズ」はゲリラ的にナチスドイツを次々に血祭りに上げていた。

 冒頭から何故か「遥かなるアラモ」が流れ、開始5秒でこれがいつものタランティーノ印が刻印された映画だとわかる。章ごとにまとめられ、最後は必ず血まみれの幕切れ。そこに至るまでの会話の妙、徐々に緊張感が高まっていく演出はさすが。
 白人女性と黒人男性のキスシーンがあるけど、ハリウッド映画でこの組み合わせを見たのは『フル・フロンタル』以来かもしれない。『ジャッキー・ブラウン』でもあったかも?(男と女が逆バージョンの)。あと、女が全部死ぬ。撃たれた将校がスクリーンで動いてるのを確認するシーンでは『小さな泥棒』を思い出した。大銃撃戦の最中に隣のナチスの後頭部(死人)をザックザク刺してるバスターズのイカれ具合が可笑しかった。よせ! そいつはもう死んでる!!
 冒頭の「遥かなるアラモ」で思い出したが、アラモの砦に立て籠もってメキシコ人をバンバン撃ち殺す映画を観て快哉を叫ぶのも、見張り塔から連合軍をバンバン射殺するプロパガンダ映画で大盛り上がりのナチスの高官も、さらにはナチスの高官がバンバン撃ち殺される映画を見に来てるこの映画の観客も、本質的には何も変わらないんじゃないかというタランティーノ監督のメタ的なメッセージを感じた。



『インサイダー』
 アルパチとラッセル・クロウがタバコ会社目掛けてロープ際で危険なツープラトン敢行! これはタバコ会社も痛いが2人もダメージ大きいですよ? どうですか解説の馬場さん……馬場さん? 馬場さんが泣いている! 馬場を泣かせたラッセルとアルパチ!! ……という映画。ラッセルが料亭で「オネエサン」と言った。そう言えばラッセル&トヨエツ共演の『NO WAY BACK/逃走遊戯』はどんな映画なんだろう? 今度借りてみるか。



『インサイド・マン』(→公式サイト
 スパイク・リー監督。ジョディ・フォスターとクライブ・オーウェンとデンゼル・ワシントン共演というクライム・ストーリー。

 銀行強盗に押し入ったクライブ・オーウェンには隠された目的があった。

 完成度が高く、贅肉の無いストーリーにぐいぐい引き込まれる。『フォーン・ブース』でも出てきた「ゴム弾」は都合の良いガジェットだなあ。あと、ナチスドイツ。悪いのは全部やつらだ。
 しかし、頭取だか総帥だかの素性がバレた時点でデンゼルは一味のラビを疑うべきだと思うんだがなあ。どう考えても怪しいだろー。ま。いっか。



『インシディアス』(→WIKI
 『ソウ』シリーズの監督&脚本が再びタッグを組み、『パラノーマル・アクティビティ』の人が製作を務めるサスペンスホラー。

 曰く有りげな旧家に引っ越してきた一家に次々に怪奇現象が襲い来るー!

 良かった。さすがに『パラノーマル・アクティビティ』の人が関わってるお化け屋敷ものだけあって、出だしはうりふたつ。しかしこの映画の偉いところは『パラノーマル・アクティビティ』を見ていて感じた「俺だったらこうするね」的な願望をあらん限り詰め込んでるところ。一番すごかったのは、この手の映画では禁じ手とも言える「引越し」をやっちゃう。オイー! しかし霊は引越し先にもストーカーみたくついてくるっていう。正直噴きそうになった。あとゴーストバスターズみたいな、明らかに映画のトーンから逸脱してる二人組まで出てくる。もう勝手放題好き放題。よくやってくれた! こんなに清々しい気分になれるホラーってのも珍しい。



『インセプション』(→公式サイト
 え〜と、インターセンプトじゃなくって、インビンシブルじゃなくって、そうそう! コンセプション! ……という感じで、何度確認してもタイトルが頭に入ってこないと噂の映画。ちなみにインセプションとは「植えつけ」という意味だとか。知らね。監督はかの『メメント』の、『ダークナイト』のノーラン監督ということで、否が応でも期待が高まるが、『インソムニア』の前例があるのでそうそう期待してもいられない。さてはて。

 標的を眠らせ、あらかじめセッティングしたシチュエーションでアイデアを盗むアイデア泥棒であるディカプリオ君は、ある大企業の跡取りの潜在意識に大企業崩壊のシナリオを植えつける一世一代の大仕事に取り組む。

 まずディカプリオ君がそれほど「汚れ」に見えないのがどうも。アイデアを盗むという生業の生み出す罪過をもっと序盤で丹念に描いてればもうちょっと深みのある物語になったのに。なんかすべてがかっこよさげなんだもんな〜。基本的にはこの人ら泥棒なんでしょー?
 それから、このディカプリオ君っていろいろあって最愛の妻と死別してて、その業を今も背負ってる、という設定なんだ。あれ〜? どっかで見たことあるような……? って、この前の『シャッターアイランド』と同じじゃねーか! おい、ディカプリオ! お前はまたぞろ寂しガリア戦記を紐解いて観客をひきこもうとしてからに。いやらしわ〜。なんかそういう設定好きなんだろか。この、かまってちゃん! あのな〜、そういうフラレ状態の人間に近づいてくるヤツってのは、逆に言うとそういう状況じゃないとアピールできるもんが何もないようなつまんねーチンカスばっかだからな? 他者による承認でしか自分のアイデンティティを保てないような人間なのか、キミは? 自分の中に揺らぐことのない絶対的な基準を持てよ……ってまあ、それはどうでもいいんだけども。終わり方も含めて既視感バリバリでちょっと首を捻ってしまった。夢の映像に関しては、普段僕が繰り返し見続けている悪夢に比べたらなんてことないので★いっこマイナスで★みっつということで。ぷー。



『インソムニア』
 『メメント』のあまりの面白さにやられて一時的な興奮により過呼吸状態に陥って観客の上をバケツリレーのようにして運ばれそうになったことのある僕としては、同じ監督作品としてすごく期待していた。劇場に入るときに、もぎりの人をつかまえて
「インソムニア! インソムニア! ウホ! ウホ!」
 と叫んで追い出されそうになったほど。
 …で、鑑賞後は
「インソム…ニア?
 って売店の人にメンチ切って映写機のレンズにコッソリ逆焼きに「オモシロイ」って字を念写して逃げてきた。そのぐらい期待外れ。
オヒョウ  『メメント』監督作と言うよりも、「いつものパチーノ映画」? アル・パチーノ出演作は、総じてつまらなくはないけど、面白かったと人に勧めることもできない微妙なレベルの作品が多い。この映画も見事その仲間入りを果たし、殿堂入り映画としてレビュー欄の最後で紹介されるんじゃないかな? 出だしはいいんだよ。「オヒョウ釣り」しかレジャーがない寂れた片田舎のゴミ捨て場でポリ袋に入れられた女子高生の死体が発見される。その死体は爪を切られて髪を洗われたものだった。これだけ聞くと『ツイン・ピークス』思い出すじゃないですか。いわくありげな登場人物が次々に現れて石投げて犯人の予想してインコが撃たれてUFOが飛んできて、みたいな。しかしそうはならず。田舎ということで、カルト教団の供犠や先住民族の呪いでもあるんかと思えど、そういったオカルティックなアプローチもゼロ。あと舞台が白夜の土地というのも意味ありげに見えて、別に必然性を感じなかった。アル・パチーノが不眠症になる設定も最後まで特に展開に影響を与えず。不眠症だから幻覚と現実の区別があやふやになったりしたら良いのに。面白くなりそうな材料は露店でも開けそうなほどそろってるのに生かしきれてない。どういうつもりでそういった変わった状況を作り出したか、監督に問いただしたい。英語しゃべれないから無理だけど。美味しそうな材料を独り占めにして蔵から出さない、江戸時代の悪徳商人みたいな映画だな。次回作に期待する。
 それから最も重要な点。(僕の)頭が悪いのでパチーノが何を焦っているのかサッパリわからなかったので可哀想になった。僕の頭が。
 この映画、『メメント』の設定や場面を、誰がどう見たってソレとわかるほどそっくりそのまま引用したJOJO荒木せんせいも観たはず。そこでインソムニアから荒木せんせいがひねり出しそうな場面を考えてみた。

「お〜い、徐倫、はやく注文しちまいなよ」
「…なあ、エルメス。このモーテル、メニューにオヒョウ料理しかない」
「オヒョウ? 昨日入ったレストランもそうだったぞ」(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)
「お、おねえちゃん…敵の攻撃はすでに始まっていたんだ。メニューをオヒョウのフルコースに書き換えて僕たちを偏食にして餓死に追いこむスタンド」(ドドドドドドドドドドドドドド)
「ハンバーガーの具がオヒョウにぃぃぃぃぃぃ!!」(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)
「水道の蛇口からオヒョウがぁぁぁぁぁ!!」(ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド)
「本体はどこだ! ちくしょう! あたしは魚が嫌いなんだよーーッ!!」

補足説明

・そっくりそのまま引用…これは今に限ったことじゃないし、別に非難しているわけじゃないです。JOJO大好きです荒木せんせい頑張ってください。好きなスタンド使いはアバッキオです。あと、新宿でケンシロウとラオウが対決する外伝を描いてください。



『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(→公式サイト
 前作から19年の歳月を経て、あの男が帰って来た! 『ランボー 最後の戦場』といい、『Mr.ブルックス〜完璧なる殺人鬼』といい、今年は往年のハリウッドスターの健在ぶりが伺える作品が多くて嬉しい。クリスタル・スカルと言えば「並んだ時間の割りにビミョ〜」感を海底2万マイルと分かち合うTDSのアレを思い出してしまう。大丈夫か?

 時は'50年代アメリカ。クリスタル・スカルの秘宝を求めてインディは大冒険する。

 作品の中でも19年経ったという設定。なのでハリソン・フォードの続投も比較的スムーズに受け入れられる。毎度のことながら世界をあっちゃこっちゃ行き来しながら追っ手を半端に振りほどくツンデレぶりを発揮しつつクリスタル・スカルの秘宝へまっしぐら。さすがに追っ手はナチスドイツからソ連軍へバトン・タッチしているが、基本は何も変わってない。面白かった。ただ、期待してた分だけなんとなく物足りなく感じた。なんだろう。この消化不良な感覚は。シリーズものを見るときの宿命か。以下にどこらへんがマイナスだったか挙げていく。
 まず、背景になるアメリカの'50年代がよくわからない上に、舞台がすぐアメリカを離れて時代が止まってるような裸族地帯へ行っちゃう。一応時代ネタとしてネバダ砂漠の核実験が出てくるけど、3の「ヒットラーと握手」のようなインパクトは無い。そういう「インディmeets〜」的なオモシロ設定はヤング・インディ〜で使い切ったのかな?
 次に冒険の同行者が多すぎる。インディ以外にもその昔中出しして逃げた女とか、ロカビリーの若者とか、ホームレスとか、最後には裏切り者のパンチョが加わってなんかもうグダグダな水戸黄門的状態だ。ちょっとホノボノしすぎなんである。しかもこの人らが意外に活躍するせいで、肝心のインディの影が薄くなってしまった。インディときたら運転手殴ったり将校殴ったりしてばっかで機転が感じられない。いつからそんな力持ちキャラになったんだよ。最後の謎解きのシーンなんかその最たるもので、いっぱいある意味ありげな石仮面のひとつに突然おんどりゃ〜! って石で殴りぬけた。♪ピロリロリロリロン。それを機にみんなでよってたかって突起を無双乱打。謎解けたときの音鳴り続きすぎ〜。これゼルダだったら宮本さんが開発室のテレビ電話に灰皿叩きつけるレベルだよ。
 次。クリスタル・スカルは比較的早い段階で登場するんだけど、これが便利アイテムすぎる。扉は開けるわ蟻は避けるわ原住民は避けるわ。ホームレスなんかこれ持って戦闘の間中ホリコマンダーで「つかう」コマンド連打してるだけで今作のMVPですわ。
 オチはトンデモすぎて笑っちゃった。これは良いね。そう言えばこのシリーズは毎回超自然的なトワイライトゾーン系のオチだったよな〜。あ、でも水が流れ込んできて遺物が沈んで「知識は黄金と同じぐらいの価値がある」って解説するとこがカリオストロっぽいと思った。俺のポケットには大きすぎらぁ。

補足説明

・比較的スムーズに…と言っても、アクションになると「ハイ。ここからスタントマン」というのがありありとわかってやや興醒め。

・世界をあっちゃこっちゃ行き来…毎回思うんだけど、よくこの人らは雲をつかむような、ナウシカのばあさんの預言みたいな手がかりで即断即行するよな。あやかりたいわ。その決断力。

・♪ピロリロリロリロン…ゼルダの謎解けたときの音楽で。

・ホノボノしすぎ…これは単なる僕の推測なんだけど、ホームレスはもともとパパ・ジョーンズ(ショーン・コネリー)が来るはずのポジションだったんじゃないかな? そう考えると底なし沼にソ連軍をつれてくるところなんかすごくシックリくる。3じゃそんな足ひっぱりばっかりしてたしな。ショーン・コネリーが加わったインディご家族ご一行をすごく見たかった〜。それやってくれたら絶対★5つだよ。

・オチ…スパルコ大佐が目から発火してたのは、脳の容量以上にデータを詰め込みすぎてオーバーヒートしたってこと?



『インデペンデンス・デイ』
 UFOに「私を宇宙に連れてって」と書いてあるプラカードを掲げる無垢な人たちが瞬殺されるところとタコみたいな宇宙人がウィル・スミスにゲンコでノされるところと宇宙船にアップルが繋がるシーンは何度見てもある意味感動の渦。



『インビジブル』
 ケビン・ベーコンの怪演見たさに鑑賞。結果満足。透明になってもケビンにしか見えないところが凄い。天才科学者の役なのに、ちっとも天才に見えないところが格好良い。「透明人間になると副作用で凶暴化する」という設定が用意されてるんだけど、素でもじゅうぶん怪しい男だ。透明になったときに「まぶたも透明だからすごくまぶしい!」というシーンがあって笑った。ソレを言ったら網膜とかどーなってるんだ!?



『インファナル・アフェア』
 警察とヤクザ、双方の内通者として組織に潜入したアンディ・ラウとトニー・レオンが、お互いの素性を知らないまま麻薬の取引を巡って火花を散らす。軍人将棋でスパイが大将に勝つ理由がなんとなくわかった。面白かったけど、暴力シーンが抑え目だったのが少し不満。ヤクザに潜入する捜査官の方があらゆる面で損だわな。可哀想に、何度も「やめたいやめたい」言ってたし。ケリー・チャンが良かったけど、何のために出てきたのかよくわからない役だった。



『インベージョン』(→公式サイト
 『ボディスナッチャー』など、何回かリメイクされたことのある原作らしい。

 宇宙から飛来した隕石についてたアメーバが人間に寄生して、町が大パニック。

 なんだこれは。すんごく古臭いテーマだけに何か真新しさというか「今あえてやる必然性」を求めて観たんだけど、何一つ無かった。『スターシップ・トゥルーパーズ2 』のときに発見した「乗っ取られた人らが三白眼になって主人公をゆっくり取り囲むシーンが入る」の法則もしっかり発動。全っ然怖くないし、むしろ滑稽だ。「豆サヤ人間」のメイクも、一昔前のハリウッドという感じ。ハァ〜。全人類を巻き込んだにしては結末があっけなさすぎ。これ観るぐらいなら先の『ボディスナッチャーズ』や『パラサイト』借りた方が良い。
 ニコール・キッドマン自体あまり好きな女優じゃないので、イライラ度が加速した。今回もボーイフレンド(ダニエル・クレイグ)とちょっとイイ雰囲気になったときに「好きだけど、友達の関係を壊したくない」とか何とか、アホなことガタガタぬかすシーン有り。やかましわ。

補足説明

・むしろ滑稽…無表情でジワリジワリとにじり寄る。小学生のお楽しみ会で「地球人に乗り移った宇宙人」やらせたら全く同じ演技しそう。

・ニコール・キッドマン自体あまり好きな女優じゃない…例えば、仕事が終わって家に帰ったら部屋の真ん中にスッポンポンのキッドマンが大股開いて寝そべってたとしても、またいで『HALO3』始めるな。



『ヴァン・ヘルシング』(→公式サイト
 あの『ハムナプトラ』シリーズの監督(名前知らんけど)がゴシックホラーの古典を題材にした物語を映像化。あの『ハムナプトラ』シリーズである。半分悪い意味での「あの」というニュアンスを汲み取ってもらいたい。圧倒的な映像に気圧されて「何だかスゴいもんを見たぞ」と映画館を後にするけど、暫くして振り返ると何も残ってない。それどころか1作目と続編が所々ごっちゃになっている。そういう映画を作る監督。名前知らんけど。

 モンスターハンターのヘルシング教授(←いま書いてて思ったが、この人ちゃんと教鞭はとってるんだろうか……)がジキル博士を退治して帰って来ると新しい依頼が舞い込んでいた。ターゲットはドラキュラ伯爵。必殺の新兵器を手にトランシルヴァニアの寒村に赴くと、早速ドラキュラ配下の女吸血鬼3姉妹に襲撃される。そこに狼男(え?)が絡んできて、もみ合ってるうちに地下に落ちてフランケンシュタイン(ええ!?)と鉢合わせ。大変だ〜。

 このまま対戦格闘ゲームに出来そうな世界観だ。まずドラキュラとヘルシングが宿敵でもなんでもないし。狼男がドラキュラの天敵ということになってるし。だったら伯爵が何故狼男を傍に置いておこうとするのか意味がわからんし。フランケンシュタインの生命パワーがドラキュラの子供らの卵を孵化(えええ〜!??)させる為に必要らしいし。その為に伯爵はフランケンシュタイン博士を援助してたらしいし。もうまったくわけがわかりません。字幕を見ないで映像だけに集中することをお薦めしたい。すると実に楽しいよ? そういった意味で予想通り期待通りの映画と言える。
 ところで、これだけは言っておきたい。ドラキュラと狼男とフランケンシュタインがご近所にいる寒村にそれなりに人が居付いてるのが不思議で仕方がない。そういう最悪の立地条件をさっぴいて余りある利潤が転がってるのか、それとも先祖伝来の土地にしがみついてるのか、不動産屋が下見のときに必死に隠し通したのか。少なくとも若者は離れるんじゃないか? 過疎化が心配だ。

補足説明

・対戦格闘ゲームに出来そう…次回作では半魚人とミイラ男とハムナプトラのハゲとブレアウィッチとダイハードで首吊っても生きてたテロリストを出してほしい。

・ドラキュラの子供ら…卵生だったとは。マンボウのようにヤケクソに沢山いる。ほとんど天敵もいないのになんでこんな多産なんだよ。っつか誰が生んだんだよ。

・伯爵はフランケンシュタイン博士を援助…よくよく考えるとフランケンシュタインを生み出すときのエネルギーをそのまま卵に持ってったら良かったのでは。

・先祖伝来の土地にしがみついてる…なんちゅーか、三宅島の方々ってこんな気分ですか。

・過疎化が心配…あとドーナツ化現象も心配だと言っておく。



『ヴィレッジ』
 狼少年ことシャマラン監督の最新作。そもそも全く見る気はなかったが、当初予定していた映画の上映時間を間違った関係で観賞。

 森に囲まれた小さな村。その村には決して破ってはならない掟があった。森の魔物を怒らせないように、彼らのテリトリーには侵入しないこと。

 『シックスセンス』以来、『アンブレイカブル』『サイン』と回を重ねる毎に大仰かつ馬鹿馬鹿しくなっているシャマラン作品だが、今回は意外にまとも。少なくとも『サイン』よりはずっとマシ。以下激しくネタバレにつき未見の方は注意されたい。
 いつものシャマラン作品らしく「どんでん返し」が存在する。しかも2回。時代に関しては「あ、そう」だったが、魔物関係は逆に驚いてしまった。「逆に」というのは、勿論『サイン』の後だから。共同体の中に有色人種がいないのはすぐにネタバレになるからだろうな。綿花背負ってない黒人とか華僑の重鎮がいたらブチ壊しだし。そう考えると盲目のヒロインの設定は如何にもオチから逆算して作ったっぽい。車が見えたらマズいから。
 そもそもこの村の人々はいつ頃の時代に生きてるつもりだったのか。長老達はうっかり「アニメタル」とか「ハメ撮り」とか口にすることはないんだろうか。銀歯や金歯の人はどう弁解してたのか。おさつスナックが食べたくて仕方がないときはないのか。寒さに負けてホットカーペットだけ誰かがいきなり発明したことにして導入することはないのか。謎は尽きない。



『ウォーターボーイズ』
 連続ドラマ『ウォーターボーイズ2』も始まったようで。多動症っぽい竹中直人が可笑しかった。文化祭で使うプールの水がピンチになったときの解決策が棚ボタ式で突然すぎる。実話でもああだったんだろうか? ヒロインが関係してくればもっと盛り上がったのに。それから、惚れてる女にシンクロを見られたくないから主人公がヘタりこむのは今更な感じだし、竹中直人に何か言われてやる気を出すのも変。竹中直人に励まされて立ち直る程度のコンプレックスなら、とっくに克服してそうなもんだが。それこそヒロインが何か言えばもっと盛り上がったのに。それから、アフロ君のキャラは「シンクロが恥ずかしい、かっこわるい」という点で主人公とかぶってるのでエピソードがボヤける。いなくても良かったと思う。



『ウォッチメン』(→公式サイト
 アメコミの映画化。ヒーローが次々に殺される事件の謎を追う話らしい。監督は映像がただただすごかった『300』の人。

 ヒーロー達が徒党を組んだ「ウォッチメン」。彼らは条例によって廃業に追い込まれて、今は民間で細々と暮らしていたが、ある日彼らが一人、また一人と殺されていく。

モスマン  あらすじだけ読むと面白そうな話なんだけど、実際はそれほどでも。とにかくなっげーの。『シン・シティ』に近いテイストだった。これも2,3年したら忘れてそうな感じだ。
 精神病院に送られたモスマンというヒーローが可笑しかった。全身タイツにヒラヒラと安っぽい蛾の羽がついてる、すさまじくアホくさいコスチューム。
 あと、ヒーローチームの中に一人青白い裸の男がいて、こいつの出てくるシーンだけはすごく面白かった。こいつったら超巨大化するわ瞬間移動で火星までだって行けるわ、念じただけで敵を破裂させるわ、無敵以上の神のような存在。実際こいつが行ったおかげで作中ではベトナム戦争に勝利したことになってるし。ずるすぎる。『エイジ・オブ ・ミソロジー』かと思った。



『WALL・E/ウォーリー』(→公式サイト
 ピクサー映画。

 人類が見捨てた29世紀の地球で任務を遂行し続けるゴミ収集ロボットがいた。その名はウォーリー。

 見る前はお泪頂戴ものだと思ってたんだけど、そうでもなかった。ピクサー流の生命賛歌というか。
 適度にツイストの効いたストーリーと、ウォーリーのけなげさ、荒廃した地球と最新テクノロジー満載の宇宙空母の対比などなど、見所満載だった。
 ただ、欲を言うと荒廃した未来の地球にあまり魅力が感じられなかった。子供向けだから仕方ないんだけど、あまりにも毒がないというか。人骨や奇形生物や退化してバギーでヒャッハー言ってるモヒカンやらがうごめいてても良かったんじゃないだろうか。あと、個人的にピクサーが作る人間の造形に違和感を感じるので感動すべきとこで醒めちゃうんだな。

補足説明

・ピクサーが作る人間の造形…逆『ロジャーラビット』現象というか。人間以外の「動き回るモノ」のあまりの人間くささに対して、当の人間が昔のアニメから全く進歩してない感じ。この落差に違和感を覚える。『トムとジェリー』みたく足首だけの出演程度にとどめてほしいんだけど。ドラマで人間の比重が大きくなればなるほど目に付いてくる。ところどころ実写の人間になるのもよくわからない手法だ。



『ウォールストリート』(→WIKI
 『ウォール街』(1987)の続編をオリバー・ストーン監督自らがリメイク。冷酷非道な投資家ゲッコー役をマイケル・ダグラスが続投。

 出所した無一文のゲッコーに世間は無関心だった。
 一方その頃、若手証券マンのシャイア・ラブーフはゲッコーの娘といちゃついていた。

 時系列的にはほぼリアルタイムに作中でも時間が流れており、前作のインサイダー取引の罪で投獄されたゲッコーが刑期を終え出所するところから物語は始まる。前作のチャーリー・シーン的な役どころをシャイア・ラブーフが演じる。こいつのキャラがいまいち弱かった。チャーリー・シーンみたいなギラギラした上昇志向がない。いまどきの恋愛も仕事もそつなくこなしてる若者って感じなのかな。一応恩師にあたるおっさんを自殺に追い込んだ人物に対する復讐譚的な側面もあるんだけど、そっちもなんか尻すぼみ。
 しかし後半、それらの半端なシーンはすべて我らがゲッコーせんせい復活を盛り上がらせるためのミスリードだとわかる。さすがですゲッコーせんせい! 中盤までの、引退してしょぼくれたゲッコーの描写が前作の武者振りを知ってる者にとっては少し寂しいな、と思ってたらこういうことだったんだね! イエーイ。

補足説明

・シャイア・ラブーフ…いまいちぱっとしない感じの役をやらせるとピカイチ。添え物のパセリみたいな俳優。『トランスフォーマー』では主演だけど、あれだって変形ロボットの添え物だし。



『うずまき』
 伊藤潤二の漫画が原作のホラー。うずまきにとり憑かれた小さな町が舞台。最後までしっちゃかめっちゃかな展開で、それはある意味原作に忠実なのかもしれない。 大杉漣と高橋恵子が作品に一種の格調を与えている。2人ともCGで目がグルグル回ったり膨張したりする体当たりの熱演。 うずまきの謎を解いた、と思われた人物が交通事故で即死。結局謎は解けずじまい。いい加減だな〜。



『宇宙空母ギャラクティカ』
 テレビ版の第1話を劇場用に編集したもの。サイロン星人(誰?)の裏切りにより和平交渉は決裂。母星群を失った人類の生き残りは、宇宙空母ギャラクティカを旗艦とする船団で銀河漂流するのだった。ボン・ボヤージュ! 目指すは伝説の惑星−地球−
 物騒なので目指さないでください。戦闘シーン満載のスターウォーズ的なものを想像していたんだが、どっちかというと会話でドラマが進んでいくスタートレックに近い。スターウォーズ的な部分を挙げるとしたら、白人パイロットが全員ハン・ソロに見えるところかな。サイロン兵のデザインはスターウォーズのトルーパーよりカッコイイ。「電子音しゃべり」はSWエピソードTのバトルドロイドに、「左右に動いて光る目」はガンダムのモノアイに受け継がれたのではないだろうか。 テレビ版で地球はどうなっちゃうんだろう? 少し気になる。



『宇宙戦争』(→公式サイト
 1953年同名作品のリメイク。

 雷と共に宇宙からエイリアンが飛来し、地中深く埋まっていた人類抹殺マシーンにパイルダーオン! 人類を抹殺し始めた。

これをね、こうやって、ドーン!  古典SFの世界を現代の技術で忠実に映像化したらこうなった、という感じ。人類抹殺マシーンもただただ大きいだけで、やってることはすごく非効率的な気が。街を破壊したいのか人類を捕獲したいのか偵察したいのか蒸発させたいのか血を吸いたいのか。一台でなんもかもやりたすぎな設計思想は捕虜に手榴弾で反撃させる隙を与えていた。
 宇宙人よりも逃げ込んだ先のティム・ロビンスや車をめぐって暴徒と化す群集を描くシーンにスピルバーグの手腕を伺うことができた。
 トム・クルーズがキャシー塚本みたくいきなりバチーンとパンを窓に叩きつけるシーンが大迫力だった。しかもその後にピーナツバターの粘性で窓にペタ〜と張り付き、徐々にずり下がるのを背景にマジな演技するし。



『THE 有頂天ホテル』(→公式サイト
 三谷幸喜監督のドタバタコメディ。キャストがとにかく豪華。

 大晦日の年越しパーティーを目前に控えた有頂天ホテルの副支配人である役所広司の周りではてんやわんやの大騒動が持ち上がる。

 三谷幸喜監督の持ち味というか、ほどほど感の漂う素敵に無害な万人向け最大公約数ギャグをゲップが出るほど楽しめる。どんな薄ら馬鹿とでも安心して観に行けるという点では良い映画なのでは。登場人物が多い分、薄味な印象。どっちかと言うと監督の作品では『笑の大学』や『12人の優しい日本人』の方が好きだな。あのぐらいのスケールがこの監督の持ち味なんじゃないか。
 ホテルのロビーを再現したセットが売り物らしいけど、狭く見えた。映画が始まった瞬間に思ったけど、入った途端にあんな大勢がひしめきあってるホテルに泊まりたくないよ。最後の年越しパーティーも、なんか思ったよりこじんま〜りしてるしさ。半分以上ホテル関係者なんじゃないの? 邦画のスケールの限界を見たようで寂しかったな。
 あと、カビラの演技は最悪だった。わざとか何か知らないけど、舞台劇そのもののオーバーアクト。白ける。このカビラと堀内敬子のカップルが画面に出てくるたびに、悪い意味での演劇くささが漂ってきて閉口した。どーなったっていいよ、こんなやつら。どーなったっていいと言えば、そうそうたる顔ぶれの中で、香取慎吾はちょっと可哀想なぐらい浮いていた。役柄とうらはらに覇気が感じられない。多分疲れてるんだろう。

補足説明

・薄味な印象…なんだか『ミンボーの女』を薄っぺらくした感じというか。伊丹監督の早逝が悔やまれる。

入った途端にあんな大勢がひしめきあってるホテル…『ゴッドファーザー PARTII』の移民局みたいな有様。



『ウルトラヴァイオレット』(→公式サイト
 ミラジョボがガン=カタをやるらしい。すごい面白いんではないか?

 近未来。政府の研究機関で謎のウィルスが発生。感染した人間はファージと呼ばれ、超人的な能力を発揮する。彼らに恐れをなした政府はファージ狩りをする。追い詰められたファージ達の中から愛の超戦士ウルトラヴァイオレットが出現した。政府勝つか? ウルトラヴァイオレット勝つか?

 すごい面白いわけではなかった。確かにガン=カタっぽくはあるんだけど、何かが違う。それなりに格好良くはあるんだけどな〜。なんだろう? やられる敵がそんなに痛くなさそうだし、編集の問題なんだろうけど、ガン=カタにあった一瞬で大勢を片付けるスピード感も足りない。動きのメリハリの点でもクリスチャン・ベールに軍配が上がる。いま気づいたんだけど、本家ガン=カタは座頭市っぽく敵を見ないで戦ってたのが格好良くは無かったか? ずっと目がすわって斜め下を見てたような。
 しかし最初の15分ほどはアクションに継ぐアクションで、本当に良かった。ミラジョボのヌードもあるし。素っ裸のままラストバトルまで突っ走ったら歴史に残る傑作になったかも。

補足説明

・ガン=カタ…『リベリオン』参照。

・敵がそんなに痛くなさそう…プロレス的に言うと、「説得力の欠如」かな。あ、関係無いけど、予告編で流れてた「♪ハニャラホニャラハ」って女性ボーカルのいかした歌がどこにも流れてなかった。なんでだ。



『運命のボタン』(→公式サイト
 新トワイライトゾーンの短編『欲望のボタン』と同じプロットを使い、キャメロン・ディアスを主役に撮ったのはかの奇作『ドニー・ダーコ』の監督、と後から知ったSF映画。

 押すと大金(一億円ぐらい)が転がり込んでくるかわりに「どこかの見知らぬ誰かが死ぬ」と説明されて奇妙なボタン付きの箱を渡されたキャメロン・ディアスは面白半分に押してみた。

 あらすじだけ聞くとどーせ「猿の手」パターンの皮肉なオチでしょ、と予想はつくんだけど、さすがは『ドニー・ダーコ』のリチャード・ケリー監督だけあって、オチというよりは過程の見せ方がかなり変わっててまあ退屈しなかった、かも。人には絶対薦めないけどな。キャメロン・ディアスが体験する出来事があまりに突飛というか絵空事すぎておちおち感情移入もできない。とりあえず最初の「ボタンを押すかどうか」の選択の場合だったら、自分なら速攻で連打するけどな〜。だってどっかの誰かが死ぬだけじゃろ? 一億円ですぜ? 目の前で命乞いしてる人が大爆発するんだったら嫌〜な気持ちで押す(←)けど、知らん場所で知らん誰かが死ぬって、毎日起きてることやん? 毎日誰かが電車にダイブして湘南新宿ラインが止まってるやん? あ〜、でも、親族(何年も会ってないイトコとか)が死ぬんだったらどうしよう? さすがに目を伏せて押す……かな。連打は絶対しない! さすがにね。

補足説明

・オチというよりは過程の見せ方がかなり変わってて…ガマの油売り方式というか、運命のボタンで観客の興味を惹きつけといてリチャード監督の映像世界とやらを延々と見せつけられる感じ。

・さすがに…押さないとしたら誰かな〜と考えてみたんだけど、やはり一親等以内の人たちと、恋人(いないけど)と飼い猫(いないけど)と、あとmixiアプリで世話になってる人たちかな〜。あと宮本さん。マリオやゼルダできなくなるもん。



『A.I./A.I. Artificial Intelligence』
 大雑把なあらすじ。
 難病に冒された子供を冷凍睡眠させている夫婦。夫は男の子の姿をしたロボット(オスメント)を連れてくる。初めは抵抗を示していた母親も、次第にロボットに愛着を持ち始め、「彼」に「愛情」を吹きこむプログラムを作動させる。その瞬間ロボットの中に母親に対する「愛情」が芽生える。ところがある日、難病を克服した実の子が家にやって来た。家を追い出されるロボット。元のように母親の愛情を得るためには人間になれば良い、と考え、「ピノキオ」の童話のヒントを頼りに海底の廃墟にある青い妖精の像の元へたどり着き、エネルギーが切れるまで「僕を人間にしてください」と繰り返す。そして2000年後。氷河期の地球からすでに人間は消え、異星人によって発掘されたロボットは、母親の毛髪を元に彼女のクローンを作ってもらう。しかし彼女の寿命は1日。その1日の最後の瞬間、ロボットは母親から「愛してる」という言葉を聞いて眠りについたのだった。

 個人的にオスメント少年がちっとも可愛く感じられないので、わりと冷静にストーリーを追うことが出来て良かった。ボーッと見てるとうっかりロボット少年に感情移入して肩入れしてしまいそうになるけど、実はこんな不気味なデク人形もないわけで。思い出す点を箇条書きにすると、

1.人間の子供を殺しかけて家を追い出される。
2.ロボット狩りにつかまってロボット破壊ショーに連れて行かれるんだけど、そこでも自分が壊されそうになったときはギャーギャーわめいて手近にいた別のロボットの手を引っ張って巻き添えにしようとまでしたのに、他のロボットが破壊される有様は割と平然と眺めている。
3.自分にそっくりな兄弟ロボットを前にして、「僕はユニークな存在なんだ!」と叫んで電気スタンドで破壊。
4.逃亡中の仲間だったロボットが連れ去られるときも傍観。
5.クローンとして再生される予定である母親の「人権」や「意識」にはまるで無頓着。

 どうやらプログラムによって課せられた母親の「愛情」獲得と、そのための自己保身以外には、その他の存在(含む父親)に対して何の感情も持っていない様子。僕が不満だったのは母親の毛髪を元に生み出されたクローンの記憶がどうなっているのかがアヤフヤに描かれているところ。オスメントのことを覚えているのになぜ夫や実子の不在を疑問に思わないか、とか。異星人によって洗脳されていたのかもしれない。薄ら寒いエンディングだった。異星人にとっては、自分たちの技術不足でたかだか1日しか生きられないクローン人間よりも、かつての地球の記憶が書きこまれたマイクロチップ搭載のロボットの方が遥かに重要でしたとさ。人間なんか琥珀に閉じ込められた蚊ぐらいにしか思ってないよ、ヤツらは。完全に人間とロボットの立場が逆転するブラックユーモアの世界だね。恐ろしいのは、今までにもこういう出来そこないのクローン人間が異星人によって大量に作られてきたらしい、という点。
 この映画のキャッチコピー「その愛は真実なのに、その存在は、偽り」はひとつのギミックで、「その存在は真実なのに、その愛は、偽り」が正解。何となく感動的に見えてしまうオブラートを被せてるところがスピルバーグの巧妙さだと思う。さすが人喰い鮫映画でのし上がった人は違う。
 ていうか、みんな『シザーハンズ』観ようよ。同じようなテーマならあっちの方がオモロいよ。



『8Mile』
♪は〜車もネェ。所得もネェ。ライムはあるけど色素がネェ。
 米国のカリスマラッパーエミネムの伝記映画『8 Mile』を観た。予告編で白人が黒人にボコられてる衝撃の逆差別映像に惹かれて観たんだが、期待にたがわず面白かった。エミネムを本人が演じている点が良い。

 あらすじ。車とブラコンの名産地デトロイトの貧民窟で、ある朝黒人にまぎれて真っ白なエミネムが生まれました。まわりの黒人は彼のことを、やれジャングル大帝だ、やれ連邦の白いヤツだ、やれキッチンハイターだ、とはやしたてました。それでもエミネムは黒人になりたい一心で詩作に励みます。デルモを目指すブリタニー・マーフィの応援も心強い味方です。ある日エミネムはラジオ局で黒人のスカウトとブリタニーがNYデビューと引き換えにヤッてるところを目撃してしまいます。エミネムの若白髪は、その夜からはじまり、ヤケノヤンパチ恋時雨、プレス工場を飛び出して天下一ラップ大会でケツ出してハシャいだら聞き慣れない白人英語を奴隷解放宣言と勘違いした黒人たちにそりゃもうバカ受け。COOLのメーターが点灯していつもと違ったムービーが流れて優勝しました。「ぜ、全滅? 3人の黒人ラッパーが全滅?」と絶句した男がいました。コンスコンでした。


 枯れかかったキム・ベーシンガーが愚かな母親を好演。「彼とのセックスは最高よ、でも…クンニしてくれないの」とエミネムに相談する。クンニて! ラップ風に言うと
to theto theニ!
 母親が息子に語る言葉かそれは。これにはさしものエミネムもラップで返すどころじゃなく、「エミネムにわかに馬首を翻し城壁の内側に逃げ込みて『うるせえYO!』と一声うなりて耳を塞ぐ」(『デトロイト列女伝』より)という。
 そしてデトロイトの黒人率の高さに驚いた。表題にもなった「8マイル」という通りを隔ててすみわけが行われてるんだけど、エミネムが住む低所得者層の溜まり場は、ほとんど黒人しかいない。真っ黒け。そしてヤツらは何かと言うと
「ラップで勝負よ! Let's Shoot!」
 昼休みにランチトラックの前で、駐車場でたむろしながら、自動車を修理しながら、とにかくラップ。映画用に誇張してるんじゃないかと疑わしくなるぐらい。きっと懺悔室の中や、反対尋問や、時報もラップ調なんだろうな。



『英雄の条件』
 暴動の起こったイエメンで発砲してきた市民を撃ち殺した米軍部隊の隊長(サミュエル・L・ジャクソン)が軍法会議にかけられる。サミュエルが法廷で叫ぶ「女子供でも場合によっては撃ち殺す! それが戦争だ!!」がすべてを語っており、なおかつ作り手がそれを擁護している薄っぺらな作品。…であるばかりか、法廷ものとしてもお粗末そのもの。サミュエル・L・ジャクソンの弁護士が検察側を法廷の外で脅かして決着がつく。なんじゃそりゃ? そんな法廷ものは初めて見た。



『エイリアンVS.プレデター』(→公式サイト
 『フレディVSジェイソン』や『スーパーマンVSバットマン』など、ハリウッドの静かな対決ブームの歴史に新たなタイトルが加わった。『プレデター2』のラスト近くでプレデターの母船内部にエイリアンの頭蓋骨があったことから噂され続けていたドリームマッチが遂に実現! わーわー……って、実は内心それほど心踊ってるわけやないねんけどな。大人やし。

 時代は現代。南極の地下深くの謎の遺跡でエイリアンとプレデターが戦う。

 なんだかね! もう! このタイトルは偽りだった。正しくは『エイリアンVS.プレデターwith人間』。人間が主人公なのは仕方がないとしても、でしゃばりすぎ。いくらなんでも導入部が長すぎる。ちゃっちゃとエイリアンとプレデターに戦って欲しいわけだよ。人間なんかどーでもいい。長い導入部で明らかになった登場人物たちの背景も活かされてなかったし。
YMS-15  プレデターは「敵の敵は味方」方式で人間の女(主人公)と共闘することになった。しかし、さすがに足手まといでしかないとすぐに悟ったようで、倒したエイリアンの体のパーツを使って武器を作ってやる。槍と盾……のようなもの。というのも、鋭利な尻尾を利用した槍はいいとして、盾は強酸性の血液がいっぱいつまったエイリアンの頭部を流用。それ、とてつもなく危なくないか? 敵(この場合エイリアンしかいない)の攻撃を防いだ瞬間に肘から先が溶けると思うが。しかも当然エイリアンは酸が飛び散っても平気だ。どういう設計思想に基づいた武具なんだろうか。ミサイルを満載したギャンの盾を彷彿とさせるビックリウェポンだ。



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(→公式サイト
 エヴァンゲリオンというTVアニメの劇場版。タイトルに「序」とあることから勝手に「序破急」3部作だと思い込んでいたんだけど、なんと4部作だとか。テレビ版(プラス旧劇場版)は途中まで面白いのに後半グダグダで意味不明になったので、今回どう決着をつけるのかという興味が沸く。よく考えたらテレビ版はながら見だったためほとんど内容が頭に残っておらず、新作同然に鑑賞できる。

 使徒という未知の存在の侵攻によって人類の半分が失われた未来の東京でエヴァンゲリオンという巨大ロボットが作られた。全人類の命運がかかった決戦兵器である。そのパイロットとして招へいされたのは、シンジ君です。

 テレビ版の記憶が雲散霧消していたため、興味深く最後まで見ることが出来た。所謂名セリフの類も余さず網羅されていたのではないだろうか。この点、続きものの大作リメイクとして思い出すZガンダム3部作と比べると親切設計。ただ、TV版に思い入れの微塵のかけらがこれっぽっちも絶無な身にとっては、いろんなメディアで散々消費され尽くした臭いセリフや音楽の数々が大音量で流れるたびにいちいちむず痒い思いをした。最後の電力集中作戦のとこなんか拷問だぜ、まったく。
 4部作の分内容は薄めだけど、それを補う映像の美しさ。リメイクするからにはこれぐらいやってもらわないと。特筆すべきは第三東京のビルビョーンシステム。不肖林田、勝手ながら全てのエヴァファンを代表する形でここで天地神明に誓って断言しよう。このビルビョーンシステムは、すごいぞ? あそこまで隆々とそそり立つビルビョーンを見せつけられてはオチオチしていられない。なんという直立か。いや立派。勃興、屹立、剛直、爽快、真摯、唐突、その他どのような賛辞の言葉を以てしてもあの威容を形容し切ることは叶わないだろう。あのビルビョーンシステムを描写するために日本のアニメーション技術は進歩してきた。そして、あのビルビョーンシステムを拝むために、その雄姿を語り継ぐためにこの私が生まれてきた、と言えばいささか過言のきらいがあるのだが。兎にも角にも、「エヴァヲタきもい」とか「いろんなアニメの継ぎ接ぎ」とか「ナイーブぶってんじゃねえ」とか「マジンガーZとやってること同じ」とか「ドラマがない」とか「オトナの金儲けに踊らされてるオタク可哀想」とか言って食わず嫌いしている人らにこそ、このビルビョーンシステムを見てもらいたい。
 シンジ君の同級生2名をエヴァでかばったときに操縦席のカプセルから縄梯子のようなものがミョ〜ンと降りてきて次の瞬間に2人ともアッサリ乗り込んでるのは吹き出しそうになった。だってシンジ君が乗り込むときはシンクロがどうとかTLCがどうとかみんなして大変な騒ぎだったのに。誰かを梯子で救助して同乗することを想定してる決戦兵器ってのもすごいな。

補足説明

・どう決着をつけるのか…完全に製作者の思う壺である。

・内容…鼻垂れ小僧が尻たたかれて嫌々出撃×3セット。テレビが基だけに使徒ごとに似たような話がリピートされる感じ。



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(→公式サイト
 劇場版エヴァンゲリオンの2作目。アニメ好きの友人が突然「こ、こ、公開初日のエヴァ一緒に行っちゃるんぞ? 行っちゃるんぞ〜!?」って風呂釜で拳銃自殺する直前の北大路欣也みたいな青ざめて思いつめた表情で懇願してきたので、仕方なくついて行った。いや、エヴァ自体は別にいいんだけど、初回が8時って! しかもオンラインで予約任せたら豊島園のチケットとりやがんの。何が悲しくて土曜の朝5時半に起きなきゃいけないん? 蛍なんで死ぬのん?

 次々に押し寄せる使徒との戦い!

 いや素晴らしい。立派。眼鏡の女が降って来てギュ〜。今まで日本で公開された数多のエヴァンゲリオンの劇場版の中でも最高傑作の部類に入ると思う。これを超える傑作は、今後なかなか出ないだろう。TVシリーズと比べて、僕でも気づくぐらい大幅な変更のあった箇所が有り、この先どういう風に物語が展開していくのか期待させる。シンジ君や綾波の性格がかなり明るめに修正されており、それに伴ってセリフも増えている。時代が変わったのか、作り手が変わったのか。足場ビョーンシステムがすごかった。アニメだからって下に見ている分別のあるいい大人にこそ目撃して欲しい驚異的なシステムである。こんなシステムいっこがシンジ君の走る一直線上に並んでなかったら地球の命運が変わっていたかもしれないのだ。褒めてばかりなのもなんなので、駄目だったところ。「翼をください」は余計〜。斬新な演出も2度目だとギャグになっちゃう。
 次回作は「序」、「破」と来て「Q」だとか。ってーことは4作目は「A」ですかい? これは直感的な外野の意見なんだけど、もしかしたらこの世界がタイムリープものってことはないよな? あの試験管の素潜り大会みたいなんで優勝したのがたまたま今回の明るめのレイだった、とかいうオチ?そんで最後にもう一巡して普通の学生生活送ってるシンジと綾波がすれ違う、みたいな?



『エクスクロス〜魔境伝説〜』(→公式サイト
「足を切り落とされるぞ!!」

 DVDで。第一回このミス大賞が原作のホラーらしい。予告編でちょっと気になっていた。

 女子大生が温泉目当てに訪れた阿鹿里村。その村には忌まわしい風習があった。

 どこまで本気なのかよくわからない、不思議な映画。いや、一応ホラー的な舞台設定で、登場人物もホラー映画っぽく立ち居ぶるまうんだけど、どうにもこうにも怖くない。けど、決してつまらないわけではなく、妙な面白さがある。憎みきれないロクデナシ、とでも言おうか。阿鹿里村の村人と、なぜかこのタイミングで愛子の前に現れたハサミ女が別々に二人の女子を付け回し、時間軸も交錯する、なかなかに複雑で飽きさせない巧みな構成のおかげだろう。ハリウッドでリメイクしてほしい。
 しょこたん(眼鏡ッ娘)が適材適所としか言いようがない役どころで出演。殺伐としたドラマの合間に一服の清涼剤として機能していた。



『エクスペンダブルズ』(→公式サイト
 スタローンの一声によりアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク等々の、錚々たるメンバーが集結したアクション大作。

 雨ニモマケズ風ニモマケズ、自嘲気味に“消耗品”と自らを呼ぶスタローン率いる傭兵チームは今日もわいわいしがない傭兵稼業を続けていた。東にジャックされたタンカーあれば行って皆殺し、西に悪い大統領がいれば偵察に行って大爆破。戻ってきて大爆破。

 いやはや。すごい。すごすぎる。『ランボー』(スタローン)で男の生き様を学び、『ターミネーター2』(アーノルド・シュワルツェネッガー)で死に様を教わり、『ダイ・ハード』(ブルース・ウィリス)で靴の大切さ知った直撃世代にとってはこの3人が同じ画面に収まってるのを拝めただけでも観る価値があった。感動した! ★5つ!
 ストーリー的には陳腐だし、コレといった驚きの仕掛けや真新しい何かがあるわけではないんだけど、これはわざとだと思う。スタローンとしては「俺達が派手にドッカンドッカンやってりゃ満足だろ?」という自負があるんだろうし、それで満足できない「一見さん」を完全にはねつける作り。この思いきりの良さもまた魅力、というか。ジェット・リーやジェイソン・ステイサムのようなスタローンから見たら「傍流」のような俳優にもちゃんと活躍の場を譲っているとこも奥ゆかしくてGOOD。見てから暫くして思い返すたびにどんどん好き度が増して来るという楽しい映画だ。年に一回こういう映画を観ることができると「ああ、映画ファンで良かったな」って思うな。スタローンありがとう。

補足説明

・同じ画面に収まってるのを拝めた…ただ、ちょっと合成っぽかったのが残念だけど。まあ良しとする!

・ストーリー的には陳腐…襲撃時間を夜にしただけの『コマンドー』というか。ホント酷い。



『エグゼクティブ・デシジョン』
 カート・ラッセルとセガールの共演。と聞いてバリバリのアクションを想像すると、良い意味で肩透かしをくう。一時期はやった飛行機パニックものから一本選ぶとしたら、これか『コン・エアー』を挙げるだろう。『名探偵ポワロ』のD・スーシェが凶悪なテロリスト役で出演。『パトリオット・ゲーム』のヘイスティングス並の違和感が。



『X−メン』
 そういえば。先週のいつだったかに「あっ!」っと思い立って『X-MEN』を観たので、その辛口レビューをやってやろう。
 やっぱりやめて登場人物の紹介。


必殺爪男
(hissatu-tume-man)
手の甲からニョキリと飛び出す。なんでだ!
ゲーハー男
(geehaa-man)
胸毛があからさまにセクシーすぎ。
ヘルメット男
(met-man)
ヘルメットかぶると急に強気になるタイプ。
理系の女
(rikei-lady)
どおしてすぐに眼鏡はずすかナ!?
サングラス男
(gura-san-man)
ハイハイ。
似合ってる似合ってる。
雷女
(goro-goro-lady)
飛べるのか飛べないのかハッキリしようゼ。
触れない女
(untouchable-lady)
いまタクシー呼ぶし。
つぶらな瞳の
大男

(tsuburaeyed-man)
働け!
舌男
(bero-man)
毒舌ぶるのはいいんだけどさー。
何にでも化け女
(nannidemo-change-lady)
つきあってください!



 ダメだろうなー、と思ってたら意外に面白かったので観劇中に万歳三唱したくなった。我慢したけど。
 2に期待できる。



『X−メン2』
 X−MEN倍増でたいへん結構。ヤツら良く戦った。感動した。ところで人物紹介。


必殺爪男
(hissatu-tume-man)
人間灰皿。
ゲーハー男
(geehaa-man)
全人類の脅威なのに。
ヘルメット男
(met-man)
鉄骨飲料とか好きそうだよねー。
理系の女
(rikei-lady)
眼鏡はどうした。
サングラス男
(gura-san-man)
キミの瞳を逮捕する!(器物破損で)
雷女
(goro-goro-lady)
アカデミー賞モンの白目。
触れない女
(untouchable-lady)
いまタクシー呼ぶし。
さらばシベリア男
(good-bye siberia man)
息でコーラをコーラした。誰でも心に冬を隠してると言うけど、あなた以上冷ややかな人はいないと断言できる。
着火マン
(tyakka-man)
「地球はひとつ。割ったらふたつ」って替え歌あったよね?
サソリワープ
(sasoriwarp)
人間からかけ離れすぎ。
必殺爪女
(hissatu-tume-lady)
だからなんで眼鏡とるかなっっっ!!?
幻想即興男
(instant-dream)
ザルツブルグのつぎはぎ野郎。
鉄男
(t.E.T.u.)
ヘルメット男に倒されるために生まれてきたようなヤツ。
目リモコン
(rimokon-man)
まばたきでチャンネルを変える。
かべぬけ女
(kabenuke)
ゼパイルさんに教わったな。
大声女
(BIGvoice)
ディーバになれる。
アフロの少年
(afro)
この子の将来性に賭けてみたい。
舌がふたまたの少年
(bysitaboy)
何て言えばいいのかわからないが、頑張れ。
何にでも化け女
(nannidemo-change-lady)
ずっと好きでした!




『X-MEN:ファイナル ディシジョン』
 Xメン3作目。人類とXメンの存亡を賭けた闘いが遂に終息を迎えるのか? そうなんだ?


必殺爪男
(hissatu-tume-man)
爪を刺してた。
ゲーハー男
(geehaa-man)
『バーチャルウォーズ』みたくはじけてた。
ヘルメット男
(met-man)
救世主面してみんなかき集めて山でキャンプてあんた。
理系の女
(rikei-lady)
いやいいわ。アンタ強いわ。
サングラス男
(gura-san-man)
バイバーイ。
雷女
(goro-goro-lady)
行っけー!
触れない女
(untouchable-lady)
今回MVP。人間になって、最後の闘いの間は姿をくらまし、ほとぼりが醒めた頃にセックスしに戻って来た。
さらばシベリア男
(good-bye siberia man)
やれーそこだー!
着火マン
(tyakka-man)
いい気になんな。
鉄男
(t.E.T.u.)
真夏に背中とかで目玉焼き作れそう。
かべぬけ女
(kabenuke)
壁、壁、壁。床は? 便利だね。
青い男
(blueman)
この人の合成作るときってブルースクリーンじゃなく違う色だったんかな?
羽男
(wingman)
飛んでるだけ。
突進男
(gogo-man)
この力をなんとか平和に利用できないか。
分身男
(multi)
マルチ商法ってやつ。
速い女
(fastlady)
もうちょっと上手く能力使えよ。
超音波マン
(sonicboom)
プラスチックは任せた!
トゲゾー
(togezo)
偉そうにするなよその程度の力で。
耳がいい男
(mimizo)
まさに歩哨になるために生まれた。
骨飛ばし男
(honezo)
どんだけ牛乳飲んだらそんなに骨が生え続けんのさ。
ハゲ坊主
(hageboy)
すごいけど使えねー能力だなー。
何にでも化け女
(nannidemo-change-lady)
ただの女になった。




『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』(→WIKI
 昨今のリアル路線Xメンシリーズの最新作。今回は一端仕切りなおして彼らのルーツに迫る。Xメンは正直食傷気味なんだがな〜。

 ユダヤ人のエリックとお坊ちゃんのチャールズは同時代に生を享けながらも、全く違った半生を歩むことになるのだった。

 驚くほど面白かった。今までのXメンは、ありゃなんだったんだという出来。アメコミに対してなんとなく抱いている「アレじゃろ? 馬鹿っぽいコスチュームで馬鹿っぽい書き文字だけど、結構背景やストーリーは深かったりするんじゃろ?」という漠然としたイメージを完璧にまとめあげてくれたかのような。今後そういう話を人にするときにこの作品を薦めることにしたい。
 同じ異能力者として生まれながらも生い立ちや思想の違いによって最終的に引き裂かれていくチャールズ(プロフェッサーX)とエリック(マグニートー)の半生を交互に描く。この明暗の対比で全くだれることなく物語は進行する。とりわけエリックの出自は壮絶のひとことで、そりゃこんな目にあったら人間そのものに対して不信感を抱き続けるわな。Xメンだけの理想郷を作ろうかってなるよ。エリックの能力が徐々に開眼する過程の見せ方もそれぞれ凝っていて面白い。しかも、最初に動かしたコインがラストのラストで見事に活きてくる。素晴らしい。
 以降絶対的な悪役として君臨するマグニートーの代わりに今回はケヴィン・ベーコン扮するセバスチャン・ショウが登場。彼の能力の無敵さ加減は反則技っぽく、こんなやつどうやって倒すんだと思ってたら、チャールズとエリックの言わば合体攻撃による撃破という納得の展開。作品のテーマと演出が見事に合致した名シーンだと思う。



『エネミー・オブ・アメリカ』
 国家の権限であらゆる情報が傍受される危険性を訴えた映画。 『カンバセーション 盗聴』でプロの盗聴屋を演じたジーン・ハックマンが同役を彷彿とさせる闇の盗聴屋を演じる。彼のその後を見ているようで楽しい。 途中から主役がウィル・スミスからハックマンに交代する感じ。



『F/X 引き裂かれたトリック』
 特殊効果がSFXと呼ばれていた頃の映画。確か続編まで観たはずなんだが、忘れてたので新鮮に鑑賞できた。特殊効果マンのロリー・タイラー(ブライアン・ブラウン)が、司法省の役人に利用されてギャングの親玉殺しに仕立て上げられた。警察の手を逃れ、潜伏したロリーは得意のトリックを使って反撃を開始する。銃を使わない異色の主人公。反撃の仕方がすごく回りくどい。目潰し爆弾つきの風船を飛ばしたり、カーチェイスで死体人形やオイルを撒き散らしたりする。記憶では、最後に自分のテリトリーで罠を張り巡らせて迎え撃つんだと思っていたら違っていた。なんと黒幕が待ち構える邸宅に乗り込んでから、いそいそと持参の仕掛けを取り出して廊下に設置する。ポジティブなのかネガティブなのかわからんヤツ。



『エミリー・ローズ』(→公式サイト
 ドイツで起こった実話を基にした悪魔祓いの話だとか。フ〜ン。

 田舎町の女子大生エミリー・ローズが過度の自傷行為と栄養失調のため死亡した。地元の警察は死亡寸前まで悪魔祓いをしていた神父を過失致死により逮捕。キリスト教団体により神父の弁護に抜擢されたのは、野心家の敏腕女弁護士だった。法廷で徐々に明かされる驚愕の真実とは。何がエミリー・ローズに起こったのか?

 結論から言うと、エミリー・ローズには地獄のエリート6人衆がとりついていたらしい。ヒトラーにユダにネロ等々、錚々たる顔ぶれ。そいつらが神父の儀式によって引きずり出されて名乗りをあげるシーンがひとつのハイライト。しかし、6人も雁首そろえてやってることは田舎の女子大生いじめ。直接的な被害にあってるのはエミリーだけだ。なんか、ちんま〜い。
 こういう映画を見るといつも思うんだけど、基本的に神父と牧師の違いもよくわからない非キリスト教圏の人間なので、悪魔の怖さがいまいち伝わらないんだな。たとえば夜中の3時に起きて異臭がするシーン。悪魔はすっごく臭いらしい。逆にコミカルに感じてしまうんだけどな〜。日本の怪談なんか、ほとんど臭いに関する描写は無いように思う。スゲー臭い幽霊って聞いたこと無いぞ。異臭に対する感覚のズレだろうか。
 あと、エミリー役の女優、顔が最初から怖いよ。別に死んでもいい感じ。

補足説明

・ヒトラーにユダにネロ等々…こういう逸話を聞く度にいつも思うんだけど、なんか矛盾してないか? キリスト教ではあれしちゃ駄目これしちゃ駄目って戒律が厳しいけど、仮にこの話がすべて実話だとして、現世でおもくそ悪いことしたやつらが死んでからもこうやってやりたい放題死後ライフをエンジョイしてるっぽいのはどういうこと? ヒトラーだのネロだのは、最初から悪魔だった? 保釈金つめばいいのか? 仕組みがおかしいよ。西洋人頭悪いんじゃね? というようなことをアメリカ人の子供に生まれ変わったら神父さんに問い詰めてみたいです。

・悪魔はすっごく臭い…便所や流し台なんかから汚水が溢れる描写もよく見かける気がする。



『M:i:III』(→公式サイト
 トム・クルーズ扮するイーサン・ハントが活躍するエスピオナージュの3作目。

 イーサン・ハントは身分を隠して一般人と結婚していた。するとミサイル飛んできて横っ飛びにドーン! 車のガラスが割れた。

 バチカン潜入のあたりが面白かったけど、尻すぼみな印象。ポスターなんかではバーンとひとり立ちしてた仲間の扱いがどんどんぞんざいになっていくのが可笑しかった。上海まで行って2人がかりで隣のビルにボール発射するだけって、セコすぎないか。そのシーンでハントが中国人のビルに突っ込んで出てくるまでが丸まる省略されてるのも手抜きっぽいな〜。
 アクション映画として平均点は取っていると思う。けど、これといった「売り」に欠ける作品。面白みがない。人並みの幸福(友情や家族)を得て守りに入るとヒーローはどんどんつまんなくなっていくんだね。

補足説明

・「売り」に欠ける作品…月並みな感慨だけど、結局PART1が一番面白かったな。エステベスがすぐ死んだり、CIAの赤外線バリバリのダクトになぜか鼠がいたり、ベアールが眼鏡ッ娘だったり、見所がテンコ盛りだった。



『エリン・ブロコビッチ』
 ジュリア・ロバーツ主演という前知識だけで、「働き盛りのお洒落なキャリア・ウーマンが、恋に仕事にてんてこまい、片手にヒール、片手にドンペリで摩天楼を背景にクルクル回転しながらマルチ・エンディング(1.仕事で成功 2.恋愛成就 3.どっちも成功)に突き進む都会の御伽噺じゃよね?」と勝手に予想して見たんだが、意外にも硬派で社会派の、実話を基にした公害訴訟に関するドラマだった。 「実話を基にしている」と念頭に置かないと、フィクションほど突飛なことが起こるわけではないので退屈するかもしれない。ブロコビッチはとても活発なキャラクターで、絶えず喧嘩ごしで周囲にわめきちらす。自己主張の激しい女性が好みの方は必見。僕は日本語吹き替えで見て、かなり早い段階でゲンナリした。



『エルム街の悪夢』(2010年版)(→公式サイト
 ホラー映画の金字塔のリメイク。おなじみフレディを演じるのは、ロバート・イングランドからバトンタッチしたジャッキー・アール・ヘイリー。……って誰? と思ったけど、『ウォッチメン』のロールシャッハの人か。

 エルム街の若者グループはある共通した悪夢に悩まされていた。

 うーん。この前激怒した『13日の金曜日』のリメイクを手がけたマイケル・ベイが制作なので、不安だったんだけど、ああ、やっぱりね、という感じだ。別にホラー撮りたいわけでもない真面目な監督が、でも与えられた仕事はとりあえずキッチリこなしました〜的な無難さが一貫しており、なんかある意味そっちの方が空恐ろしいわ。興味もないのによくこんな人が何人も惨殺される映画作れるね、みたいな。血は出るけど全然痛そうじゃないんだよね〜。
 ただ、13金のときと違ってもともとこのシリーズにそれほど思い入れがないので、★は三つぐらいが妥当かな〜。この手の映画を見慣れた身からすると少し感心した箇所があったので。ただ、殺され方その他演出は全然オリジナルの方が面白いし怖いので、これ観るぐらいなら今すぐツタヤでオリジナルのエルム街借りて来たほうが良いよ。ジョニデも出てるしね!

・少し感心した箇所…後で読み返して自分がわからなかったら困るのですこしネタバレ気味だけどここに書いときますよ! 当初主役的に扱われていた女の子が中盤で死んで、そこからは次々に犠牲者が移り変わるたびに殺されていき、誰が生き残るのかが若干わかりにくいよう工夫されている。



『エルム街の悪夢3 惨劇の館』
 別に知りたくなかったフレディの出生の秘密が明らかに。 それはすごく悲惨な話で嫌な気分になったのでみんなは見ない方がいい。



『エルム街の悪夢 リアル・ナイトメア』
 シリーズ7作目。来る『フレディVSジェイソン』の予習のために、シリーズで唯一未見の最終作だけ見ておこう、と。この頃は、残酷描写に対する規制が厳しくなってたのかな? 『オーメン4』とかと一緒のヘボさ。あんまり悪夢が出てこない。そもそも4人しか死なないってのは何事? そのうちの2人はニュースで報道されるだけだし。質では圧倒的にジェイソンが勝ってると思う。



『エンジェル ウォーズ』(→WIKI
 『300』や『ウォッチメン』など、「映像がとにかくすごい」としか褒めようがない映画を撮らせたら右にでるものがいないザック・スナイダー監督が撮った映像がすごそうな映画。

 養父から逃れるように精神病患者の治療院に収監されたベイビードールは、ロボトミー手術までの5日間に逃亡のためのアイテム探しの旅へと向かう。

 うーん。映像がすごかった。ベイビードールの冒険譚(の妄想)と現実世界の登場人物やアイテムはリンクしており、すべて大詰めで明らかにされる。ここらへん丁寧に作られているな、と感じた。冒険の舞台も毎回違うステージ構成で、敵の種類や勝利条件も違う。ここらへんゲーム感覚に溢れており面白い。欲を言うと女の子ごとにもっと特徴を出して欲しかったな。操縦担当の子以外は決め手に欠けていたような。せめて色分けするとかさ。



『エンド・オブ・デイズ』
 テレビで。すごく金をかけた映画らしいけど、面白く無さ加減が予想通りすぎて悲しくなった。シュワルツェネッガーに影のある役は似合わない。設定がトンチキで可笑しかった。魔界のプリンスことサタンがですな、1999年の大晦日に人間界にパッと降臨、そこらへんにいたガブリエル・バーンに憑依する。12月31日の午後11時からミレニアム到来までの1時間の間に選ばれしナオンと交わることで、次の千年紀が悪魔のモノになるのである。悪魔は最終的にシュワちゃんに憑依し、ミレニアムまで残り3分を切った状態で女と交わろうとする。なんぼなんでも3分は無理だろ〜? それはともかく、ポーカー・フェイスでナオンを追跡するガブリエル・バーンの頭の中で「ファック! ファック! んふぁっくぅぅぅ〜?」の4文字ワードがグルングルン渦巻いてたかと思うと感慨深いものがある。サタンも、なんでもっと自然に性交に持っていけそうな人間に憑依しなかったんだろう。育ての親として手下を送り込んだぐらいなんだから、彼氏や元カレや憧れの先輩やらを、あらかじめ手下で固めとけば良いのに。したらシュワちゃんも「交わってるんじゃねーよ!!」とは言えなくなるべ? コメディになりそうだけど、そっちの方が面白い話になった気がする。やはりどこか煮え切らないんだな。シュワちゃんにも、サタンと対等に戦えるような超自然的な背景が欲しかった。代々妖怪ハンターだとか、すべてを捨てて悪魔側から寝返ったとか、頭を半分吹っ飛ばされても平気な特異体質だとか。ラストは悪魔に乗り移られたシュワちゃんが剣にダイブしてアスタラビスタ。なんだか有名な古典的悪魔映画にソックリな展開だなあ。どうせすぐ生き返ると思って見てるから、悲壮感もショックも無い。生き返んなかったけど。シュワちゃんは、一人で主役を張るのはよして、共演や助演で個性を発揮するショーン・コネリー的ポジションに移行していけば…と思ったけど、無理だろうな。『エイリアンVSプレデター』には出るんだろうか。これを機にシュワちゃんの「面白くなさそうで敬遠してた映画」を見てみるか。今ならそんなにガッカリしないで見ることができそうだし。



『追いつめられて』
 ケビン・コスナーがペンタゴンでドタバタして最後にドンデン返しでっせ〜、みたいな。このドンデン返しはかなり驚く。しかし、経過がかなり退屈。よく考えると陳腐で退屈な展開で作品を見切った結果、「ドンデン返しそのものじゃなく、それが存在したことに驚いた」ように感じる。



『狼の死刑宣告』(→公式サイト
 チャールズ・ブロンソンの傑作『狼よさらば』の原作者による同名小説をケビン・ベーコン主演で再映画化。

 大企業の重役であるケビン・ベーコンは一人息子を強盗グループに殺されてしまう。実行犯は逮捕されるが、犯行を直接目撃した人間が不在のため、もし有罪に持ち込んでもたかだか数年の懲役刑と知らされる。ケビンは法廷での目撃証言を一転して撤回。犯人は釈放される。息子を殺した犯人にはしかるべき報いを受けさせる。俺自身の手によって。

 途中まではなかなか面白かったんだけど、どんどん失速していく。こうなってしまっては傑作『狼よさらば』(下記参照)と比較するのも馬鹿馬鹿しい。復讐する対象が曖昧で、ただ自分の鬱憤を晴らすために夜な夜な犯罪者を辻撃ちしたブロンソン。不条理な社会に対する不条理な怒りの発露からくるやり切れなさに比べて、こちらはもう、単純ストレートに息子を殺したギャングとケビンが丁々発止、ドッカンドッカン大雑把な撃ち合いに終始する。ナイフ、バット、ショットガン、マグナムと武器がエスカレートしていき、革ジャンとモヒカンに衣装チェンジしたケビンが強盗をぶっ殺し、車を奪ってアジトに突っ込んで派手な銃撃戦を繰り広げる。ほとんどGTAの映画化だ。どーしてそーなるの!? リアル路線なのかB級アクション路線なのかはっきりして欲しい。特筆すべきはあまりに無能な警察だ。明らかにケビンとギャングの間で何か起こってるのに、どっちも野放し。不自然なくらいな〜んにもしない。二虎競食の計か?
 一番酷かったのは、『狼よさらば』で超かっこ良かったブロンソンの「拳銃バキュンのポーズ」、アレをあろうことかチンピラがやっちゃう。思わず俯いてしまった。これ、『狼よさらば』を見た人なら誰でもガッカリするポイントなんじゃないか? そしてなんと、邦題の「死刑宣告」ってフレーズ。これをギャングの親玉が「俺が死刑宣告を下してやる」って、ご丁寧にルビつきで高らかに宣言する。思わず天を仰いでしまった。まさかタイトルの「狼」がコイツだったとは。



『狼よさらば』
ポール・カージー  NYに住む建築家のポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)が主人公。彼の留守中に押し入った強盗によって、妻は殺され、一人娘は乱暴されたショックで廃人になってしまう。警察による捜査も行き詰まり、娘は高い入院費を払う必要のあるサナトリウムに通うことに。 「警察は何をやってる! 娘は行政が面倒を見るべきだ!」 ポールの胸中にわだかまっていた怒りは、ある夜公園で出くわした強盗に銃をつきつけられた瞬間に爆発。逆に撃ち殺してしまう。
「人を殺してしまった…」
苦悩の内にも言いようのない解放感を感じたポールは、夜ごと犯罪者が現れそうな場所をうろつき彼らを返り討ちにする「辻撃ち」を始めた。彼の行為はマスコミに「幻の狩人」と称して取り上げられ、NY市民の賞賛を得る。しかし、警察の捜査は確実にポールの元へ近づいて…。

妻子がヤられても、瞬間的に復讐に走らない。ポールの中で社会や法律に対する不信感がつのっていく様子を段階的に描くことで、後半の劇的な展開が真実味を帯びる。 ラストでブロンソンが見せる不敵な笑顔が最高に格好良い。



『オーシャンズ12』(→公式サイト
 あの詐欺師軍団が帰って来た! ほとんど何も悪いことをしてないアンディ・ガルシアのカジノからまんまと大金をせしめたオーシャンと11人の仲間達が性懲りも無く復帰するらしい。限りないもの、それが欲望……。

 全世界に潜伏していたオーシャンの仲間達の元にアンディ・ガルシアが現れて金を返さないとすぐ殺すと言ったからサア大変。オーシャン達は借金返済のために泥棒の計画を立てて世界へ羽ばたく。

 意外にも前作より面白かった。テンポが良くてそれぞれのスターに適度に見せ場が割り振られている。前作で盗んだ金を返すために顔が割れてない海外で仕事をするという目的からしてトホホ感が漂っており良い。公式サイトでは格好良く行進してるオーシャンズ達だけど、この人ら殺されたくない一心で借金返済のために働くんでっせ? 女工哀史もかくやの悲話である。ライバルとしてゼタジョン演じる女刑事とヴァンサン・カッセル演じる自称世界一の怪盗が現れる。場面ごとに見ると11人が1人相手にアタフタしてるわけで、なんともはや。女刑事は組織力があるけど、怪盗なんか1人だしな。次回作では開き直って『オーシャンズ300』ぐらいにして、大部隊で美術館を包囲・撃滅してほしい。伝国の玉璽みたく焼け跡から戦利品掘り出すのな。焼死体から指輪や金歯抜き取ったり。

補足説明

・前作で盗んだ金を返すため…続編ものの常、というか、1作目の喜びは何だったの的脱力感が漂う。脱力する続編と言えば『ベストキッド2』、『ゴーストバスターズ2』、『マトリックス・レボリューションズ』など。

・借金返済のために…今回は現金でなく世界的に有名な美術品を盗むんだが、即座に現金化できるものなんだろうか? かなり疑問。



『オーシャンズ13』(→公式サイト
 あのオーシャンが帰って来た。

 オーシャンの恩人でありスポンサーだったモーグリーン似のオッサンがアルパチに騙されて捨てられた。廃人みたくなったおっさんに元気を取り戻すため、ド派手な弔い合戦がおっ始まった!!

 そんな面白くない。すべてにおいて「11」の劣化版。全体的に一本調子。オーシャンズ押せ押せムードの中で展開し、メリハリというか、ワクワクハラハラがまるで無い。毎回敵のヘマで1点とる野球の試合見てるようなもんだ。敵であるアルパチ陣営がもう、絵に描いたような人材不足で不甲斐ない。ヘチマかってぐらいスッカスカ。見てる最中に何度も目こすったもん。「あれ? ヘチマ見に来たんだっけ?」って。劇中でもオーシャンに「内部は敵だらけだ」と揶揄される始末。そんな戦う前から興をそがれるようなこと言うなや。将棋で言うと、こっちは全コマプラス飛車角持ってて周りにいる猫もバーテンも丘の上でサッカーやってる少年も味方なのに対し、向こうは王と歩と桂馬(エレン・バーキン)だけ。しかもこの桂馬、土壇場で殿の寝首をかくやもしれません(荀ケ曰く)。斬首を覚悟でアルパチに即時撤退もしくは全面降伏を進言したくなる。アルパチがアタフタする様子を楽しむようにも作られてないしな〜。そこがイタい。
 オーシャン達もだんだん個性が無くなってきてる。一作目でメカニック担当の兄弟は単なる雑用だし。詐欺師の変装はいい加減だし。黒人は黒いし。マットデイモンなんかスリの技術はどうしたんだよ。こいつ親の七光りでとりあえずメンバーに入れてもらってるだけじゃね?
 タイトルの「オーシャンズ13」のうち、「12」で入ったテス(ジュリア・ロバーツ)が抜けてアンディ・ガルシアが入ったのはわかるけど、13人目は誰なんだ? 「煎茶か玄米茶」の男? ホテルのフロア・マネージャー(内通者)? フロントの女(これまた内通者)? 四川料理の受付の男(いわんや内通者)? ニセFBI? バンサンカッセル(テキトーすぎる扱われ方)? ホテル格付け男(最後に「分け前」をもらった)? 工場のメキシコ人(数十人からひしめいてる)? 黒人が連れてきたデルモ達? 仲間いすぎ!

補足説明

・オーシャン…この名前を聞くたびに中国から来た留学生の王さんが都庁の展望室に向かうエレベーターの中かどっかで自分のことを指差して「王しゃん、王しゃん、ウォーアイニー」と自己紹介している光景が浮かんで困る。

・アルパチがアタフタする様子を楽しむようにも作られてない…もっとこう、慌てふためく様子を可笑しく演じることができるコメディアン出身の俳優を起用したほうがよかったのでは。ジム・キャリーとか。石倉三郎とか。



『オー・ブラザー!』
 コーエン兄弟の。ひとことで言うと、誘拐しないで脱走する『ファーゴ』という感じ。意外に面白かった。観た順番は逆だけど、この路線が『ディボース・ショウ』に引き継がれていくんだろう。



『オーメン』(→公式サイト
 '76の同名作品のリメイク。2006年6月6日公開というプロモーションが面白いけど、続編はどうするのか。2016年まで待たないといけないのか。気になるところ。

 アメリカ人のエリート外交官の1人息子として育てられたダミアンの周辺では、謎の怪死事件が相次ぐ。

 なかなか良く出来た佳作。ベイロックさん(ジュリア・スタイルズ)が怖すぎる。大駄作だった『オーメン4』より遥かに良かった。題材自体が古いので、怖さというよりは「ふんふん、なるほどなあ」という感じでリメイクの仕方に感心しながら観た。監督が勉強したことが伺える。オーメン4の悪かった点である(時代に配慮した)「見せなさ過ぎ」の演出を反省したのかしないのか、残酷シーンもメリハリが効いてて良い。乳母が首つりダイブするとこなんか、そこまでしなくとも、というぐらい色んなアングルから映してたし。旧作の名シーンである神父串刺しの場面もスピード感に溢れていた。ただ、人死にもカメラマン死亡シーンまで来ると、さすがに予定調和で驚きはない。もう屋根の工具が転がるところなんかスッ飛ばして何の前触れもなくスパーン! でも良かったのでは。
 ストーリー的には旧作の続編『オーメン2/ダミアン』の方が面白いので、そっちのリメイクにも期待したいところだ。

補足説明

・『オーメン4』…公開当時に劇場に足を運んで下らなさに愕然とした記憶あり。馬が、暴れた。そこしか覚えてない。



『オクトパス』
 潜水艦に巨大タコが襲い来る!
2000年に作られたと思えない時代錯誤なストーリー。唯一キャロリン・ローアーって女優が良かった。やたらに下着になるし。
キャロリン・ローアー



『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』(→WIKI
 ジョン・ウー監督の名作『男たちの挽歌』(1986)のリメイク作品。ウーは制作総指揮にまわり、監督は違う人。

 脱北者の兄弟の一人は警官、一人はヤクザになって、ちちくりあう。

 オリジナルの内容をほとんど忘れていて、しかも続編と記憶がごっちゃになっているので違いなどあまりわかんなかった。オリジナルのチョウ・ユンファ討ち入りシーンは植木鉢の中にあらかじめピストルを隠したりして大変面白かった記憶があるんだけど、こっちのは割とアッサリで拍子抜け。
 核となる兄弟の愛憎劇がまるでなってない。弟は脱北の時に自分と家族を見捨てる形で韓国入りした兄を憎んでいる、という設定なんだけど、こいつの心理状態及び表出の仕方が出鱈目すぎて感情移入を阻害することしきりだった。タメがない、というか。ツンデレキャラとして失格だ。一緒に飯食ったと思ったら激昂してみたり、かと思ったら最後の最後に「俺が韓国に来たのは兄さんに会うためだあ〜!」って、そんなこと信じれるか! お前はじゃあなんで最初に会ったとき首絞めようとしてたんだよ。それが北朝鮮の挨拶か?っていう。というか、兄貴が追い詰めらてく諸々の要因が全部こいつのせいだしな。もう北に帰れよお前は。
 ともあれ隣のおばちゃん二人連れは最後の何にも納得できない陳腐なお涙頂戴シーンでしくしく泣いており、「ただしイケメンに限る」光景を目の当たりにできてちょっと面白かった。

補足説明

・それが北朝鮮の挨拶か?…何かっつーとミサイル飛ばすカ・モ?的な。



『踊る大捜査線 THE MOVIE』
 テレビシリーズをレンタルで借り、一気に映画まで鑑賞してしまった。 支店と本店の対立、スリーアミーゴス、シリアルキラーに誘拐犯、BOSS(タイアップ)…テレビ版の魅力もそのままに、空き地署の青島(&室井)が帰って来た! 未見の方はテレビシリーズから観て損はないと思う。できれば映画を見る前に黒澤明の『天国と地獄』も。



『踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!』
ファンとしての眼差し(「こいつ立番から刑事に昇格してるよ!」、「電光掲示板ハングルだよ!」、「和久さん相変わらず片手で缶コーヒー開けてるよ!」、「今回『戒名』シーン無しかよ!」、『天国と地獄』,etc,etc...)で画面の隅々を眺めながら、ストーリーも追わなければならない。情報量が多過ぎて1回観るだけではとても把握できない。何ならあと3時間ほどダラダラ湾岸署の日常だけを流されても楽しく鑑賞できるだろう。シリーズのファン以外がこの映画だけ観たらどう感じるのか。心配になるぐらい間延びした作りだったが、ファンなので全く問題無し。面白かった。あえて文句をつけると、女性キャリアが全くいいとこ無しで、見る人が見たら非難の的になりそうだけど、ここまで典型的に薄っぺらなキャラ(室井管理官の見せ場を作る道具以上の役割を与えられていない)だとつっこむ気にもならないだろう…という製作者の確信犯的な意図が見えてヤな感じ。噛みつき魔事件の結末が杜撰すぎる。青島と犯人グループに「テーマ的会話」をさせるのが激しく興醒め。だらしないリーゼントの眼鏡デブおやじがエキストラとして、全く関係無いシーンに2度ほど出てきたのは、関係者? 「潜水艦事件」って何? 『アニマトリックス』みたいなモンか?



『おもひでぽろぽろ』
 適齢期のOLが農村の現状に触れながら小学校時代の思い出に浸る。最後が蛇足。そこまでハッピーエンドにしなくても。