た〜と
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『ダークシティ』 ![]() ジェニファー・コネリーが酒場で「SWAY」を歌うシーンが良かった。 『ダークナイト』(→公式サイト) 『バットマン ビギンズ』に続くノーラン監督によるバットマン2作目。前情報によると今度の敵はヒース・レジャー演じるジョーカー。
補足説明 ・思い上がり…ちょっと可哀相になったんで弁護するけど、ウェインさん思い上がっても当然だと思う。何しろ億万長者で独身でハンサムでバットマンでランボルギーニで乱暴運転だもんな。勝てる要素しかない。しかし何しろ勝ち過ぎた。勝ち過ぎて感覚が麻痺してるんだと思う。モテて当然。そんな男とつきあって面白いかって話ですわ。感動が無さそう。
『ダーティ・ハリー』 有名な”Go ahead,make my day”は4からだったんだな。犯人はかなり間抜けなんだけどそれ以上に警察が間抜けでした、という話。縦割り行政への警鐘というか。狙撃現場を抑えても見逃したり、派手に撃ち合った末に逃げられたり、証拠不充分で無罪になったり。それにしても犯人は最後にバスジャックして何処に辿り着くつもりだったのか。謎だ。 『ターミネーター3』
『ターミネーター4』(→公式サイト) ポッと出の類人猿が人類の覇権を握ったT3の続編だが、製作サイドでは「T3はなかった」ことにしてこのT4を製作したらしい。やはり「あの猿はないだろ」ってのが全人類共通の所感だったか。猿を引責辞任に追い込んで、絶好調のクリスチャン・ベールを主役に据えた4作目。原題は『Terminator Salvation:The Future Begins』であり、新3部作のスタートとしての意気込みが感じられる。
また、ストーリー的に納得できない点がゴロゴロあって、まずアンドロイドのマークス。こいつは半人間・半機械のアンドロイドなんだけど、こいつを作ったのが機械軍ってのが信じがたい。だってこの時代におけるスカイネットの最新鋭機であるT-800よりもはるかに進んだテクノロジーでっせ? こんなもんが量産の暁には抵抗軍なんかあっという間だよ。マークスタイプのアンドロイドが抵抗軍の中枢に紛れ込んでて、マイケル・アイアンサイドの腕もいで爆発※したらオモロかったのに。それから、人間を生け捕りにしたスカイネットの連中は、何をするつもりだったの? 恐らくT-800の外皮に使われている生体組織の「材料」か、死ぬまで過酷な強制労働なんだろうけど、それが一切映し出されないのが妙だ。腰がひけてる。なんか機械の合間に行列作って、これからスターツアーズが始まりますよ〜、みたいな雰囲気なんだもん。ここら辺をちゃんと描かないで何の「Salvation」だか。 あと、最大の謎が「タイムマシンは誰が発明したの?」って話。こういうリアル路線にすると前3部作よりも一層「タイムマシン」という存在が醸し出す馬鹿馬鹿しさが際立ってしまう。そこら辺をどう料理するかが今後2作の課題なんだろう。 補足説明 ・意外にすぐ飽きるパターン…これは作り手の力量次第なんだけど、最初の数分間だけ近未来っぽくて、後はその辺の野っ原とか資材置き場っぽい舞台に移行する手抜き演出に陥りがち。 ・マイケル・アイアンサイドの腕もいで爆発…『スターシップ・トゥルーパーズ』、『トータルリコール』、『マシニスト』と、確認されているだけでも3回も映画の中で腕がもげた。枕詞に「腕もげて」がくっつくハリウッド俳優として有名。
『ダイ・アナザー・デイ』 007映画は安心して見ることが出来るね。毎回、常に80点台を維持する優等生のようなシリーズと言えるし、今回も85点ぐらいあげても良いんじゃないかというデキ。新兵器、ボンドカー、フリーキーな敵役、ボンドガール、etc、etc、すべて及第点だった。”Q”役のジョン・クリースも良かった。 「企業の広告に成り下がっている」と一部のファンから批判を浴びているらしいけど、別にそんなことはなかったような…。画面に映ってる衣服や酒や化粧瓶やその他もろもろのブランドを即座に判別できる人たちにするとタイアップ映画に見えるということか。もっと庶民派のブランドが出てたら僕も気づくんだが。BOXYのシャーペンとか。ユニクロ野菜とか。 『ダイアナの選択』(→公式サイト) 「何か最後にドンデン返しがあるらしい」という情報以外何も前知識を仕入れずに観に行った。
結論から先に言ってしまうと、オチとしては「自分が幽霊でしたオチ」のバリエーションだった。成長したユマ・サーマンは乱射事件の犯人に撃たれたダイアナが水溜りに突っ伏すまでのほんの一瞬に見た「邯鄲の夢」であり、その時点で彼女が抱いた理想の将来。正直驚きよりも「散々引っ張ってこれかよ」という落胆が大きかった。何しろ最後のユマ・サーマン=妄想というオチにつながる伏線が弱い※ので、どうにも腑に落ちない気持ちだけが残る。だってこれって所詮夢オチだもんなあ。なんでもアリだよな。 夢オチにつながる高校生時代のダイアナの(現実の)生活にちらほら出てくる、後の「夢に投影されるイメージ」の料理の仕方がこの作品のキモになると思うけど、どれもイマイチ。唯一、理想の旦那から貰うプレゼントの赤い宝石を飛び飛びに配したネックレスが千切れて撃たれた彼女の銃創の鮮血と重なるイメージだけは良かった。 それから素人考えで脚本に意見すると、どうせこういう夢オチにするんだったら、ダイアナは事件の後遺症で未だに植物人間として昏睡し続けていて、その夢の主人公がユマ・サーマンであることにした方が面白かったのでは。なんか絵的にキルビルみたいになるけど。 補足説明 ・伏線が弱い…「1年後」のテロップはあったのにユマが出てくるときに「15年後」は出ないとか。
『大怪獣東京に現わる』 東京に「トカゲ型の大怪獣」が上陸。数日後に福岡に「カメ型の大怪獣」が上陸。両者は日本各地を火の海にする。その様子を福井県で戦々恐々と見守る人々。画面に大怪獣の姿は一切映らない。 …という、かなり実験的な映画。構図としては『ゴジラ対ガメラ』。「怪獣映画に怪獣を出さず、被害地から離れた人達を中心にすえる」というアイデアを実際に形にしてしまうのは偉いと思う。けど、それまでと言うか…。なんかだんだんダレてくるんだよな〜。上映時間100分はいかにも長すぎた。最初のB級コメディのノリは良かったのに、怪獣が福井の原発に近づくにつれてみんなどんどんシリアスになっちゃう。そりゃ命がかかってるんだから真剣になるのはわかるけど、「真面目が可笑しい」になってないと、題材が題材だけに、とてもサムい。本当にただ単に「予算がないから怪獣を出さなかった映画」と化した。 竹内力が正体不明の神様として降臨し、特に何をするでもなく去って行くシーンはすごく可笑しかった。 結局「怪獣映画にドラマやストーリーはいらない」という当たり前の事実を確認するのみ。非常に惜しい。次回作は『帰って来なかったウ○ト○マン』とか作って欲しい。 『第九地区』(→公式サイト) 『HALO3』の映画化の話が頓挫し、暗礁に乗り上げたプロジェクトの残骸を駆使してかのピージャクが作り上げたSF映画。
恐ろしげな容姿だけどどこか憎めないエビ星人の造形がまず秀逸。彼らと人間との大真面目なやりとりひとつひとつが誇張と置き換えの要素に溢れており、秀逸なブラック・ユーモアのコントのよう。お馴染みもしものコーナーでも見てるかのようだった。また、さすがに『HALO3』を下敷きにしただけあってSF的な武器の描き方が近年稀に観る珠玉の出来具合。兎に角かっこいい。また、立体映像によるバーチャル操作パネルが出てくるけど、こいつをクリストファー・ジョンソン(エビ星人の科学者の地球名)が操作するシーンがとにかくシビれる!! あっりがちなシーンなんだが、ちゃんと手抜きしないでやればこんなにも格好良くなると証明してみせた。拍手喝采を送りたい。 『大脱走』 第二次大戦。連合軍の脱走常習者ばかりが集められたドイツの捕虜収容所が舞台。 忘れた頃に見返したくなる。都合4回は観たんじゃないだろうか。物語は「穴掘りパート」と「脱走後パート」に分かれる。運良く逃げのびる者、捕まるもの、射殺されてしまう者…。 集団劇なので観る人によって人物の好みが分かれるのも面白い。僕はいつも偽造屋(ドナルド・ブレザンス)に注目してしまう。 関係無いけど、大脱走のテーマと戦場にかける橋のクワイ河マーチと史上最大の作戦のテーマを、いつも混同してしまう。 『タイタンの戦い』(→公式サイト) ギリシャ神話をもとにしたアクション大作。
『大日本人』(→公式サイト) ダウンタウンの松本人志第1回監督作品。前情報というものがほとんど存在せず、松本の意に反して日本公開前にカンヌに出品されて一部で酷評された、という噂がチラホラ耳に届いた程度。果たしてどんな映画なのか。
ちょうどカンヌでの松本とたけしが対比されて報道されていたけど、たけしが笑わせることを目的に作ったという『みんな〜やってるか!』の方がはるかに素直で面白い。こっちも失敗作扱いだけど。 ちゅーわけで、今後の期待も含めて★2つ。これをバネに次回作では大笑いさせて欲しい。もし松本が今後映画を撮らなかったとしたら★ひとつ。ふざけんなって話である。 補足説明 ・「シュール」…この単語自体もはや思考停止ワード。
『ダイ・ハード4.0』(→公式サイト) 世界一運の悪い男が帰って来た! やや禿げちらかってる印象のあったマクレーンもきれいにスキンヘッドになった。予告編によると今度の相手はサイバーテロリストだとか。サイバー? なんだか嫌な予感がする。
シリーズを通してのお約束がほとんど無視されてるのもファンとしては寂しい限り。せめてダクトを這い回るのはやって欲しかった。登場人物では、妻ホリーやレポーター、黒人警官や3のサミュエルは出てこない代わりに誰だお前ってな一人娘※が唐突に登場。この娘の設定は『24』意識したんだろうか。娘が絡むマクレーン登場シーンも華が無いんだな〜。 マクレーンがパッとしないのに加えて敵もショボい。サイバーテロとあって、人の良さそうなおっちゃんらがいたりする。今までのシリーズだと、テロリストが到着するときは、なんだかワクワクしたもんだが。トラックからゾロゾロ悪そうなのが降り立ってテキパキ配置につく。戦闘のプロ集団のストイックな格好良さがあったもんだけどなー。だいたいマクレーンの娘を人質にとったり、ホワイトハウスを爆破するドッキリ映像流してみたり、無駄な行動が多すぎる。ラスボスの死に方もシリーズ屈指のショボさ。あんなの雑魚の殺され方だぜ? 雑魚といえば強敵ピョンピョン跳ね丸クンが死んだ施設の、削岩機みたいのが階段の真下で回転してる場所。ありゃなんだ。とてもFBIの施設に思えないんだけど。どこのスーパーマリオ養成機関だよまったく。 それから伝説のハッカーであるウィザード。こいつ、最初伝聞形で語られるんだよ。すごいハッカーがいるって。どんなヤツなんだろ? 嫌が応にも期待は高まるじゃないですか。しかし家※にたどり着いて会ってビックリ。普通のデブキモヒゲオタが地下室のいかにもって部屋のソファにふんぞりかえってた。なんじゃそら! 我々が海外のオタクと聞いて思い浮かべるような想念をフラスコにためて煮詰めたエキスを冷蔵庫で冷やして煮こごりにしたような男がいけしゃあしゃあと出てくる。そんでボバフェットがどうとかってハァ〜……。わかってない※。本当にわかってないな今回のキャスティング担当したヤツは。これ日本人が作ったら絶対に美形かショタ、ロリもしくはそれらの複合系になるはずなんだけどな。そういう意外性とか、どうでもいいんだろうね。ウィザードは、単にストーリーを都合よく進めるためのコマの役割しか与えられてないんだろうな。ガッカリだ。 補足説明 ・一人娘…1でちょっと出てきた。確か男の子もいたような? ・家…伝説のハッカーのわりに誰でも居場所知ってる風。なんかあったらすぐ捕まりそう。 ・わかってない…或は意図的にマクレーン以外が目立たないように、キャラ立たせないようにという配慮があったのかも。シリーズを重ねて主演が大物になってくるとありがちな現象。
『太陽はひとりぼっち』 1962・伊 「テーブルもクロスも本も男も同じ。飽きるのよ」。 愛の不毛を描いた作品。しかし、この作品自体が不毛というか、雰囲気だけというか、内容が無いよう。最後なんか、どっかの学生が作った実験作品みたいになっちまうし。アラン・ドロンとモニカ・ヴィッティの美男美女ぶりを愛でる映画か。冒頭と劇中で一瞬だけ流れるテーマ曲は良かった。それだけ。不毛だ…。 『太陽を盗んだ男』 コチラ 『ダ・ヴィンチ・コード』(→公式サイト) 世界的なベストセラーが遂に映画化。しかし原作は未読だった。
見るまでに全くストーリーに関する前知識がなく、おそらく「『セブン』のように、サイコキラーが次々にダヴィンチの作品に見立てた殺人でオモシロ死体を発表してくれるんじゃないか」という期待は見事に裏切られてしまった。ミステリというよりも、むしろ冒険活劇的な要素が多めで、ちょっと意外。ミステリで動機を歴史的陰謀に求めるのはあまり好みじゃない※。しかも組織ぐるみだともっと駄目。たいてい大味になるしね。迷ってたんだけど、原作読まなくて良かった。原作未読なのに言うのもなんだが、トム・ハンクスも何かが違う気がする。 あと、モチーフになるダ・ヴィンチの作品が最後の晩餐と人体図だけってのも拍子抜けだった。モナリザいっこも関係無いし。っつか、あの館長はなんであそこまで全裸になる必要があったんだよ。嬉しくもなんともない。親父が必然性のない裸体を晒さんでくれ。 アメリが隠れキリシタンの村みたいな集落に落ち着いてハッピーエンドっぽい幕切れだけど、ありゃヤバいだろ。キリストの子孫を絶やさないために、よってたかって村中の男どもに種付けされるんでないかい? あの変態の儀式※でさ。おぞましい。 補足説明 ・あまり好みじゃない…話は逸れるけど、同じ理由で「館もの」も嫌い※。館の建造主が奇人変人の金持ちだという伏線がある場合、たいていその館は回転、あるいは下降上昇するし。その移動のため、犯行はみんなが寝静まった夜中に起こるし。 ・「館もの」も嫌い。…ところが、館ものと似て非なるものに「館が動かない見取り図もの」が挙げられる。今勝手に作ったジャンル。こちらは館の見取り図がついているところが「館もの」に似てるけど、館が動いたりしない。純粋にパズルのように人物の動きを追える。見取り図大好き。読む前に判別できないのが難。オビにでも「見取り図つきですが館は動きません」って書いてくれないだろうか。 ・変態の儀式…原作未読でよくわからなかったんだが、裸の館長がセックス(座位)してるのを『ファイトクラブ』みたく村人が取り囲んで盛り上がってる。オラこんなAV村※嫌だ。 ・こんなAV村…近親相姦を繰り返してそうだし、相当ヤバそう。
『タキシード』 ドリームワークスとジャッキーのコラボと聞いて何となく胸に抱いていた不安が的中した。ジャッキー映画の魅力と言えば体当たりアクションと相場は決まっているんだが、本作ではその大部分が特撮に置き換わっている。それらはすべて「別にジャッキーじゃなくてもいいシーン」※へと換言することができるわけだ。特撮全開のラスト・バトルよりも、中盤のロープを使ったアクションが一番の見せ場だった。いくら精巧な技術でカッティングしたって、ジルコニアはジルコニアじゃない。ダイヤモンドが持つ生来の輝きには、比べるべくもないじゃない。お馴染みのNG集もあったことはあったが、共演のジェニファー・ラブ・ヒューイットが笑い転げるシーンばかりで首をヒネッた。しかし、ジャッキー・チェンもトシだし、しょうがないか。少し寂しいが、この路線で受け入れられるんなら、それに越したことはない。いつかアクションゼロの、「動けなくなったスタントマン」のような映画を撮って欲しい。チャップリンにおける『ライムライト』みたいな感じでさ。 補足説明 ・「別にジャッキーじゃなくてもいいシーン」…裏返して言うと、「世界中でジャッキー・チェンにしか出来ないシーン」というものが確かに存在する。 『立喰師列伝』(→公式サイト) 押井監督作品。立ち食い飲食店を専門にゴトを仕掛ける立喰師と呼ばれるプロフェッショナルの物語らしい。グラフィックは実写を切り絵にして動かしてる風。
同じ題材で『ぎゅわんぶらあ自己中心派』の片山まさゆき先生に何か描いてもらったほうがはるかに面白いんじゃないか。少なくとも押井監督にお話書かせちゃ駄目※だな、とヒシヒシと感じた。ユーモアのセンスも最低レベル※だし。お前は映像だけやっとれやー。というわけで、映像だけは心ひかれるものがあります。内容がともなってないので、2時間もしたら飽きるけど。 補足説明 ・押井監督にお話書かせちゃ駄目…作中の同人誌的なパロディの部分も、今っさら明日のジョーの、しかも真っ白に燃え尽きるシーンだったりガンダムっぽいシルエット出すだけだったり、なんつーかイタい。 ・ユーモアのセンスも最低レベル…ジョンイルやミッキーマウスやマクドナルドの白いやつに何かやらせて※面白がってるレベル。プロとしてどうか。 ・ジョンイルやミッキーマウスやマクドナルドの白いやつに何かやらせて…この感想を書いてからネットで他の人の感想も読んでみたけど、この映画を面白いと言ってる押井信者の感想が示し合わせたように「(ピー)ランド※のくだりが面白かった」と書いてて笑った。 ・(ピー)ランド…ナレーションの「ディズニーランド」の部分に放送禁止用語に被さるピー音が入っている。
『ダンジョン&ドラゴン』 感想リンクを作った。 『チーム・バチスタの栄光』(→公式サイト) 原作はこのミス大賞で、後に漫画化もされたとか。どちらも未読だけど、予告編が面白そうだった。手術室での殺人事件というあまり聞いたことのない設定に興味を覚える。
補足説明 ・モニカ以来…いつだってそう。
『チェイサー』 韓国映画を観るのは2003年の『シルミド』や『殺人の追憶』以来だと思う。現実に起きた連続猟奇殺人事件※を基にした大捕り物帳だとか。
補足説明 ・現実に起きた連続猟奇殺人事件…ユ・ヨンチュル事件。この映画での描写は長野で起きた頭にクイ打ち殺人事件を彷彿とさせる。
『チェブラーシカ』 観る前は「可愛いチェブラーシカとその仲間たちがスクリーン狭しとファンシーに動き回る」という、一種の「ロシア版ピカチュウ」的イメージだったのが、いざ目にしてみると第一印象からしてそのステレオタイプを覆された。蜜柑箱から出てきたチェブラーシカはあまりに薄汚くて貧乏臭かったのだ。ちっとも「ピカー」じゃない。リンク先の画像などではわかりにくいかもしれないけど、体がまだらに煤けている上に、体毛が生え揃ってないので輪郭がギザギザ、フォトショップで作業しにくい感じの生物だった。話によって人形の作りにバラつきがあるのもポイントで、なぜかお尻の部分に体の中心線からズレたリアルなハゲがあったりする。 そして次に注目すべきは無邪気を通り越した馬鹿さ加減だ。居場所を求めて働きだした電話ボックスからはすぐに飽きて逃げだすし、レンガは逆に運ぶし、何のヒネリもないスピーチだし、泳がないし、行進には遅れるし、荷物は運ばないし、という具合。出た映画が『フルメタルジャケット』じゃなくって本当に良かったね、と言いたくなること請け合い。しかし、こんなにダメなチェブラーシカでも微笑ましく眺めていられるのは、本人に全く自覚が無いからだろう。自覚が無いので辛気臭い反省や自己憐憫に陥ることも無い。ホント、キミはキミのままでいてくれよ。ウラー天真爛漫!!※ それから、一応主人公のチェブラーシカではあるが、上記の通りあまり機転が効いたりする方ではなく、自己主張もしないタイプなので、話が展開して登場人物が多くなるほど影が薄くなっていくのでハラハラする。ストーリーを転がすアクションは、親友であるワニのゲーナ※が一手に引き受けている感がある。チェブラーシカはスクリーンの端っこの方でモジモジうごめいてるだけ、という場面が多々。 …とかなんとか、薄汚くて馬鹿な部分を強調して書いてきたけど、それこそがチェブラーシカの魅力なんだろうな。しばらく見ないな、と思ったら押入れの奥でヒッソリと餓死していそうな、そういう母性本能をくすぐるダメな魅力に溢れていて。 面白かったのでまた観に行きたい。ウラーチェブラーシカ!!※ 補足説明 ・ウラー天真爛漫!!…紅茶にどぼどぼジャムを入れながら。 ・ワニのゲーナ…ひとむかし前に公開されたときの1作目の邦題は『ワニのゲーナ』らしい。 ・ウラーチェブラーシカ!!…ウォッシャー液のかわりにどぼどぼウォッカを入れながら。 『チェンジリング』(→公式サイト) イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の実話を基にしたサスペンス。
結局坊やは戻って来ないけど、逃げ出したときに捕まったかどうかは、共犯の少年に聞けばすぐにわかったはずで、それと主人公のモデルになった女性が死ぬまで捜索を続けたという事実を付き合わせると、男の子は当座生き延びたんだろう。なんで発見されなかったか? 野垂れ死にか、あるいはリッチな里親を見つけて、すんごく居心地が良くて安住しちゃった、とか? 暗い部屋で中途半端に手振って、なにやら不満げだったしな。 『チェンジング・レーン』 ベン・アフレックとサミュエル・L・ジャクソン共演。アフレックの強引な車線変更による交通事故で命より大事な裁判に遅れたサミュエルが逆ギレ。事故現場にあったアフレックの命より大事なファイルを間にはさんだ嫌がらせ合戦が始まる。たった1度の事故、たった1度の遅刻、たった1冊のファイルでグラつくほどに脆かったお互いの生活。2人が抱えた矛盾が一気に噴出し、観客に上映時間の間ずっとデロデロ降り注ぐので、心に余裕があるときに見た方がいいと思う。久しぶりに黒人度全開のサミュエルを見ることができて良かった。『ダイハード3』のゼウスから知性をゴッソリ抜いたようなキャラクター。イラついてタイガーウッズの話をダシに罪のない白人男性2名に言いがかりをつけ、ボコボコにするシーンは圧巻。逆差別だ〜。ちょっとやりすぎだゾ、サミュエル!! その後何のフォローもないからな。あの2人は本当に可哀想だった。 あと、劇場に置いてあった『呪怨』のチラシのガキが怖過ぎる。 『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』
『チャーリーとチョコレート工場』(→公式サイト) ティム・バートン監督の最新作。チョコレート工場を見学する映画だとか。面白くなるのかそれはー???
チョコレート工場を見学するガキ共はデブ、わがまま、傲慢、負けず嫌い、貧乏……とわかりやすくカリカチュアライズされている。そしてウォンカ氏が用意した策略にまんまと頭から突っ込んで行き、一人ずつ見立て殺人ぽく自滅していく。残ったのは日和見主義のチャーリー君だけでしたとさ、チャンチャン。そしてチャーリー君はうま〜いこと少年愛嗜好(多分)のウォンカ氏に取り入って財産をせしめ、くんずほぐれつチョコのプールであま〜い関係。WAO! 原作が童話だけあって、(大人にとって)悪い子は酷い目に遭うよ! という内容なんだけど、大人の目から見るとチャーリーみたいな物分りの良すぎるとっちゃんぼうやも十分キショいって。なんか変態に成長しそうだし。唯一実力でチケットを勝ち取ったマイク・ティービーが浮かばれませんがな。あと、真に許せないヤツはウォンカでも、脱落したガキ共でも、その親でもなく、チャーリーの祖父母4人だと思う。だってさー、4人が4人ともチャーリー家に同居してるってどうなの? いや、同居と言うよりも、暮らしぶりから見て寄生してると言い換えたほうが良い感じ。おかげでー家は内憂外患の極貧状態だ。この4人のじーさんばーさんは、今まで何をやっとったんでしょーか? ろくな蓄えもせず、家も持たず、好き勝手生きた挙句に子供の家にやっかいになってる風情。ろくでもね〜。せめてチャーリーの誕生日に何か買ってやる※ぐらいしろよなー。その上、じじい2人は寝たきりを装ってはいるけど、少なくとも眼鏡の方はじゅうぶん働けるぐらい元気だった。チャーリーの工場見学が決まった瞬間にベッドから跳ね起き、付き添いの父親を押しのけてタップダンスを踊った※から。そんだけ動けるなら食費の分だけでも働けい! さもなくば今すぐここで朽ちるがよいわっ!! 補足説明
・チャーリーの誕生日に何か買ってやる…じじいのうちの一人が後でもったいぶってチョコ一枚買うだけの金を与えてた。プレゼント代ポッキリ渡すって、一番夢がない方法だよな〜。ここで両親のチョコに引き続き、じじいのチョコでもチケットを外すところがうけた。なんなのソレは。「世の中チンケな善意だけでどうにかなるもんじゃない」って教訓だろうか? 『チャトズ・ランド』 やり手だが自己中なところがある混血インディアンのチャト(チャールズ・ブロンソン)が正当防衛で保安官を撃ち殺し※、「自分の人生にとって本当に大切なもの」とは無関係に思う存分追っ手を皆殺しにする話。「余裕ぶっこいてるうちに家族や友人が酷い目にあって怒りのミラクルマサクル大爆発!!」ってのがブロンソン映画のひとつの黄金パターン。しかし、西部の荒野に精通してるはずのブロンソンが実家まで先回りされて妻をレイプされるのは変。その後、この妻は登場せず、ブロンソンとの会話も一切無し。追手のリーダーは仲間割れで殺され、直接対決が無い。追手のうちの道案内のインディアン※も、盛り上がり無くただ乱戦の最中に1発で倒れる。カタルシスになりそうな要素をことごとく外してくれる。 補足説明 ・正当防衛で保安官を撃ち殺し…ここまでが脈絡無く早い。始まって3分ほど。 ・道案内のインディアン…こいつ葛藤無さ過ぎ。白人ばかりの追手のうち、ただ1人チャトと同じくインディアンなんだから、それなりの苦悩やらチャトとの会話やらあれば良かったのに。チャトの妻がレイプされてるときも、ポケーッとそこらの風景眺めてるだけだったし。
『チャンス!』 投資コンサルタント会社に勤めるウーピー・ゴールドバーグが性別を理由に冷遇されたのを不服としてフリーになるが女性には厳しい社会。そこでウーピーは架空の白人男性パートナー「カティ」を作りだし、ウォール街で成功するが、カティの不在をどうにも誤魔化し切れなくなってウーピー自身がカティに変装する。黒人女性が白人男性にクラスチェンジしてしまうのだ。オニオンシリーズで最強になったたまねぎ剣士みたいなもんである。この変装は確かにウーピーには絶対見えない※んだけど、もはや特殊メイクの域なんでちょっと興醒めだったかな。もうちょっと手作り感が欲しかった。最後は「演説オチ」※でうやむやになるけど、詐欺だよな〜。共演のダイアン・ウィーストが優しいオバサマふうで非常に良かった。あと、ウーピーのクライアントの社長が、な〜んかチョコ食いながらオペラ見てる最中に心臓麻痺でポックリ逝きそうな顔してるな〜、と思ってよくよく見るとやっぱり『ゴッドファーザーPARTIII』のドン・アルトベロだった。
補足説明
・ウーピーには絶対見えない…こちらのページの右下の白髪紳士がウーピー。
・「演説オチ」…法廷ものや社会派ドラマにありがち。主人公が土壇場で心をさらけだした捨て身の演説をして場が静まり、パラパラの拍手が大喝采になって何かよくわからんうちにハッピー・エンドになる。『ディボース・ショウ』はこのお約束を逆手に取って、その後さらに二転三転して面白かった。
『チュパカブラ・プロジェクト』 土曜日(2001.1.20)に『チュパカブラ・プロジェクト』というC級ホラーを観たことは書いたけど、それについてガビョ布が「せっかく借りて見せたんだから感想を書け」と言うので、書いてみた。 ただ、テープが手元に無いので固有名詞がアヤフヤな点と、元々ストーリー展開が破綻しているので読んでいて首を傾げたくなることもあると思う。大丈夫です。書いてる僕も傾げているので。 それから、いつにも増して頓珍漢なことしか書かないので、チュパカブラに興味がある人以外は、どうか読まないでください。
林田林田男
この映画は、とても怖い映画だと思いました。まず、オープニングがすごいです。チュパカブラの卵、卵から取り出される胎児、チュパカブラに襲われた人などなど、全部で5パターンぐらいしかない映像がしつこく繰り返されます。ガビョ布さんが思わず「これ長くない?」とつぶやいていたのが印象的でした。しかも、後で気付いたことですが、チュパカブラの胎児や研究所のような建物で襲われて 倒れている人は、本編のどこにも登場しないではないですか。きっと政府の関係者にもみ消されたに違いないです。僕の心にふつふつと正義の怒りが湧きあがりました。すると本編が始まりました。まず、チュパカブラを隠し撮りしたという、どこかの牧場にいる山羊の檻の様子が映し出されました。画面の中央にいた山羊がいっせいに向こうに逃げると、画面の端から人間のような影がサッと画面を横切りました。これがチュパカブラでしょうか? だとしたらかなり人間に近い生き物だと思います。次に南米の、チュパカブラの被害にあって困っている村に、アメリカの大学の人たちがやって来ます。彼らの代表者の女子学生は牧場の主に「自分達は神秘生物学専攻の学生だ。チュパカブラの取材に来ました」と言いました。僕は「神秘生物学」という学問があるアメリカはすごいなあ、と思った。学生達はワゴン車の中から撮影用のカメラや、ライフル銃を取り出しています。この様子を撮影しているのも学生のようです。映像がホームビデオみたいだからそう思いました。牧場の主は、昨日もチュパカブラの被害にあったと言って、女の人を山羊の牧場に連れて行きました。昨日なんてすごい偶然ですね。柵の内側に血を流した山羊が倒れていました。かわいそうです。女の人が柵の間から手を伸ばすと、牧童が怒って触るなと怒鳴りました。チュパカブラの呪いにかかるらしいです。するとそのとき、まるで今までそこで待機していたようなタイミングで、画面の右の方から貧乏なシスターのような人が現れました。手には骨のぶら下がった杖を持っています。シスターは山羊のそばにひざまずくと、お祈りを始めました。お祈りが終わってから女の人が話しかけると、シスターは「酒場へ行け」と言いました。シスターは、お祓いだけでなく、予言もできるようです。そこに警官が二人やって来ました。現地の保安官と部下です。保安官と部下と女の人と牧場主は、まるでカメラ位置を測っているように半円形に立って、半身をこちらに向けて話し合いを始めました。どうやら保安官は学生達が取材に来たことで地元の住民を刺激することを恐れているようです。僕は、そんなことを気にするよりも、チュパカブラを倒すことに全力をつくすべきだと思いました。そのうち、ようやく保安官がカメラに気付いて、「映すな!」とカメラマンに詰め寄りました。画面が暗転します。でも、牧場主になだめられてひとまず引き下がった保安官。もちろん立ち位置はカメラを意識しているみたいに二人とも体の正面をこちらに向けています。僕は、嫌がっているように見えても、保安官は内心取材に協力したいに違いない、と思いました。そのときです! 納屋に入ってウロウロしていたシスターの悲鳴が聞こえてきました。チュパカブラが現れたんでしょうか? こんな真昼間に!? 保安官と部下、その後ろにライフルを持った黒人の学生が続きます。僕は、納屋のような狭い場所で突然現れる標的に対して、ライフルで照準をつける暇なんてあるのかなあ、と思いました。でもこの黒人の人はきっと射撃の名手に違い有りません。頼もしいです。保安官の部下の人がそろそろと納屋の奥に進んで行って、物陰に何かを見つけたようです。それはシスターでした。シスターは、自分がこういう目に遭う事を予知できなかったんでしょうか。そのときです、どこか奥の方から突然チュパカブラが現れました! ピストルを撃ちましたが、全然効かないみたいです。チュパカブラは保安官の助手と保安官と黒人をなぎ倒すと、どこかへ消えました。カメラがぶれて暗転したので、チュパカブラの姿はハッキリとは映らなかったんですが、まるで仮面ライダーに出てくるトカゲ人間みたいに恐ろしかったです。みんなは大騒ぎです。保安官の部下の人は無事だったんですが、保安官ははらわたをはみ出させて死んでいました。チュパカブラは異常に鋭い爪の持ち主のようです。他に黒人の人が倒れていましたが、この人はすぐに息を吹き返しました。女の学生の人がすぐに語りかけます。「チュパカブラを倒す方法は考えた?」。死にかけた思いをして今まで気絶していた人に向かって言う言葉でしょうか。僕は、アメリカの神秘生物学部というところは、随分厳しいところだなあ、と思いました。でも黒人の人はすぐに答えました。気絶したふりをして考えていたんでしょう。「ベトナムで使った矢を使う」。すぐに牧童に「お前はベトナム戦争のときは生まれてないべ」と言われていました。それもそうです。黒人って不思議な人なんですね。夜になって、みんなは羊の柵が見渡せる物置のようなところに潜んでチュパカブラを待ち構えています。入り口で物音がしました。チュパカブラかな!? みんなが銃を構えると、違いました。保安官の部下です。保安官の部下はいきなり銃をつきつけられたことに怒っています。こんな状況なのに応援を呼ばないのか、と思っていると、保安官の部下を押しのけて何かが納屋に飛び込んできました。チュパカブラです! 慌てて牧場主の撃った弾丸がそれて牧童の側頭部に命中しました。待ち伏せはなんだったんでしょうか。みんなは大騒ぎで、今チュパカブラが入ってきた狭い入り口から、チュパカブラを押しのけて次々に逃げ出します。黒人の人なんか、チュパカブラの背中から突き出たトゲをつかんで押し倒してから逃げました。ベトナムの矢はどうなったんでしょうか。チュパカブラはよろけて地面に這いつくばりました。僕は、今ならチュパカブラをしとめる絶好のチャンスなのになあ、と思いました。みんなは外に出ると、車の中に駆け込みます。そこで黒人の人が車のカギを落としたことに気付いたり、カメラマンがもう帰りたいと言い出したりで、仲間割れが始まります。みんなチュパカブラのことなんか忘れているみたいです。すると、それに腹を立てたのか、チュパカブラが目を光らせて車をゆさぶったり、天井に乗ったりし始めました。チュパカブラの目は、ネコのように光を反射して光っているというよりも、自分からライトのように輝いている感じです。視力は大丈夫なのかなあ、と思いました。しばらく外で車にちょっかいを出していたチュパカブラが大人しくなりました。どうやら、人間の内臓を一瞬で引きずり出す力はあっても、車のガラスを割ったりする知能は無いようです。カギがないので歩いて家に戻ろう、と黒人の人がもっともな提案をすると、次の瞬間に場面が部屋の中になっていました。外に出た途端にチュパカブラに襲われなくてよかったですね。牧場主が間違えて牧童を殺してしまったことについて悔やんでいます。みんなは仕方がない、となぐさめています。仕方がないですね。混乱の中で、学生の女の人と、死んだ人とは別の牧童がチュパカブラにひっかかれていたことがわかります。そこにシスターが現れました。どうやらチュパカブラの呪いについて何か言いたそうですが、山羊へのお祓いと同じで、何を言ってるのかよくわかりませんでした。そもそもこのシスターのお祓いが何かの役に立っていたんでしょうか? それよりも、牧場主がチュパカブラの住処を知る二人の女の人を知っているそうです。僕は、初めから教えていれば二人も人が死なずにすんだのになあ、と思いました。次の日、みんなで酒場にいる二人の女の人を訪ねました。どんな人たちが出てくるのかと思ったら、二人ともジーンズにTシャツでした。人は見かけによらないものです。女の人たちは、チュパカブラに噛まれてうめいている牧童を酒場のテーブルの上に乗せると、呪文を唱えながら牧童の腹から毒に犯された内臓を取り出しました。なんだかタイの神秘治療のお医者さんみたいです。そして女の学生に向かって、チュパカブラの毒はチュパカブラを殺さないと直らない、と言いました。前にチュパカブラを殺したことがあるような口ぶりです。そして案内してやるから二百ドルを出せ、と言いました。女の学生の人は百ドルにまけろ、と言いました。死にかけでうめいている牧童の体ごしに値切り交渉が始まります。僕は、自分の命が危ないというときに、なんて勇気のある人なんだ、と思いました。結局二百ドルで話がまとまり、翌日みんなで出かけます。割となだらかな、どこにでもあるような山の斜面を上って行くと、白骨死体がありました。チュパカブラにやられたようです。どんどん進んでいくと、また白骨死体がありました。チュパカブラにやられたようです。さらに進むと、またまた白骨死体がありました。僕には、全部同じ白骨死体に見えました。さらにまた死体がありました。今度はまだ死んでから時間がたっていないようです。地元の警察は、これだけ行方不明の人がいるのに、何をやっていたんでしょうか。取材が来て当然です。その生々しい死体の横にひざまずいて、酒場にいた案内役の女の人が何やら呪文を唱えはじめました。すると、女の人の目つきが変わり、突然ナイフを振りかざして暴れ始めました。どうやらチュパカブラに殺される直前の犠牲者の霊魂が憑依したようです。みんなが逃げると、女の人はナイフを持ったまま森の中へ消えました。そのまま進んでいくと、カカシが二本立っている丘に到着しました。今や一人になってしまった案内役の女の人が「ここから先に行くと戻れない」と言いました。チュパカブラの巣が近くにあるようです。そして、案内の女の人は帰ってしまいました。ナイフを持ったまま森に行った女の人を探しに行くのかもしれません。みんなが進んで行くと岩の割れ目がありました。チュパカブラの巣です。でも今は留守のようです。巣の近くには檻が置いてありました。「お前らのような連中が前に持ってきたものだ」。どうやら以前にも何度かチュパカブラの巣を取材に来た人たちがいたようです。その人たちはどうなったんでしょうか。気になります。すると黒人の人がチュパカブラの巣に爆弾をしかけて爆破しました。作戦を考えたようです。黒人の人の作戦は、「銃を持った俺とカメラマンが檻の中でチュパカブラを待つ。帰ってきて自分の巣が爆破されているのを知ったチュパカブラは檻に向かって来るから、檻の中におびき寄せてから俺とカメラマンは入れ違いに外に出て閉じ込める」というものです。成功したらすごい作戦です。夜になりました。檻から離れて待機しているところに、さっきナイフを持って消えた案内の女の人がフラフラと近づいて来ました。どうやらもうひとりの女の人とは会えなかったみたいです。しかも、よく見ると顔色が真っ青です。みんなが駆け寄ると、女の人のTシャツの後ろ半分だけが破れていて、大きな刺し傷から血がドクドク流れていました。きっとチュパカブラにやられたんでしょう。悲鳴を上げる女の学生の人。「ほっておけ。どうせ死ぬ」。牧場主が言うと、血まみれの女の人はフラフラともと来た暗闇に消えました。さて、黒人の人とカメラマンが檻の中で待っていると、突然チュパカブラが現れました。あわてて発砲しました。チュパカブラはあっけなく倒れました。檻におびき寄せて生け捕りにする作戦は中止のようです。檻を出て近寄る黒人の人。突然チュパカブラが黒人の人の足をつかみました。カメラマンは慌てて逃げます。みんながカメラマンに呼ばれて駆けつけると、黒人の人はチュパカブラに食われていました。怒った牧場主と保安官の部下の人が立て続けに発砲したら、チュパカブラは倒れたので、みんなで檻の中に運んで蓋をしました。牧場主の人が火炎瓶を中に投げ込む準備をします。「危ないから離れていろ」。みんなが遠くから火炎瓶の火を見つめていると、牧場主の悲鳴が聞こえました。走ってきた牧場主によると、息を吹き返したチュパカブラにやられて顔の半分を火傷したそうです。顔の半分が焼けただれています。みんなで逃げると、小屋がありました。こんな危険なところに人が住んでいるんですね。ドアにはカギがかかっていました。保安官の部下が叫びます。「開けろ! 五つ数える! 543!」。数え方がものすごく速い上に、3までしか数えないでドアを蹴破りました。中には、暗がりにメキシコ人が3人いました。入り口のドアを補強しようと、保安官の部下が部屋の奥の壁の板をはがして、入り口に持っていくと、ドアの穴からチュパカブラの腕が出てきて、保安官の部下の人は腕を切断されてしまいます。バタリと倒れる保安官の部下。痛そうです。大混乱のみんな。そのときメキシコ人のうちのひとりが勇敢にも銃を持って暗闇から外に出て行きました。でもすぐに銃声と悲鳴が聞こえてきました。殺されたようです。女の学生の人が壁際で震えていると、壁をやぶってチュパカブラが現れました。返り血まみれになりながら、大きく開いたチュパカブラの口の中へ夢中でナイフを突き立てる女の人。するとすぐにチュパカブラはグッタリしてしまいました。死んだのです。口の中が急所だったようです。僕は、チュパカブラも生き物だったんだなあ、と思いました。 以上。この後にチュパカブラを解剖するシーンがあるんだけど、真面目に見てないので何を言っていたか覚えてない。 『チョコレート・ファイター』(→公式サイト) 『マッハ!』の監督が、テコンドー出身の無名の少女を主役に据えて撮ったアクション。
『ツインズ』 遂に観た。これでシュワちゃんのコメディ4部作※制覇した。だから何だ。政府の研究所でミス・ユニバースだかの腹の中にスポーツや学業で優秀な男どもの精液をシェイクしてブチこんだら双子が生まれる。それがダニー・デヴィートとシュワちゃんだった、という話。養分が全部シュワちゃんに行ったらしい。っちゅーかこの組み合わせだと2人とも奇形に見えるんだけど。もっとこう、デヴィート&ヒュー・グラント(正統派コメディの予感)とか、デヴィート&デンゼル・ワシントン(医療ミス)、あるいはデヴィート&フィリップ・シーモア・ホフマン(明らかに実験失敗)ぐらい突拍子も無い組み合わせだと笑えたかも。ストーリーは普通のつまらないコメディだった。中途半端なアクションも他の4部作と同様。「双子」って設定で可笑しさを醸し出すのにも限界があるというか、あらすじ聞いた時点でオチてるやんか。レンタル店でパッケージの裏見て「クスッ」…そこまでの映画ですわ。観る側の「思い込み」に頼りすぎだ。AVの近親相姦モノで興奮するぐらいの度量が肝要。 補足説明 ・シュワちゃんのコメディ4部作…『ツインズ』(1988)、 『キンダガートン・コップ』(1990) 、『ジュニア』(1994) 、『ジングル・オール・ザ・ウェイ』(1996)のこと。いずれも甲乙つけがたい程のつまらなさで定評がある。
『冷たい熱帯魚』(→WIKI) 実際にあった連続猟奇殺人を元に園子温監督が映画化。
しかしテイストとしては平田満の弱々しい草食系父ちゃんっぷりとでんでんの異常なまでの押しの強さとの対比によってブラック・コメディ仕立てになっており、鑑賞後もそれほど嫌な気分にならないのが不思議だ。でんでん社長のキャラクターの造形がすさまじい。演じるのがでんでんというのも効いている。世の中の「中年オヤジ」という概念から連想するあらゆる要素※を取り込んで全部ぶち込んだような人物像。なおかつこの男が日常生活の地平線と同じレベルで淡々と殺人・死体処理をこなしていくのが逆に不気味さをかもしだしている。鑑賞後に電車の中ですれちがう普通のオヤジが怖くなること請け合いだ。 少し残念だったのは、以前にレビューした『チェイサー』との相似点が見られたこと。解体が行われる空き家はどうやらでんでんの生家らしいのだが、そこに厳格なクリスチャンだったでんでんの父親と、厳しいしつけ(及びDVも?)の影が見え隠れする。この空き家のビジュアル及び映し方がまんま『チェイサー』だった。いや、別にパクリだとかいうつもりはなくて、父親だのしつけだのの影がちらつくことででんでん社長の得体のしれない怖さが薄まってくるんだよな。「ああ、父親が厳しすぎたからこういう人間が出来上がったんだ」って安心してしまう。 補足説明 ・実際の事件をほぼ忠実に再現…事後従犯として巻き込まれた平田満のモデルとなった人物による『共犯者』(新潮文庫)がほぼ原作として採用されているらしい。 ・「中年オヤジ」という概念から連想するあらゆる要素…くだらないギャグ、卑屈、恥知らず、エロい、口先だけ前向き、ツルセコ、etc,etc。 『デアデビル』 『スパイダーマン』や『X−メン』など、数多のヒーローを生み出し続けてきたマーブル・コミックスから、今また新たなヒーローがスクリーン・デビューを果たした。またですか? という感慨なきにしもあらず。割と覚めた目で見始めたのだが、いやー、なかなか面白かった。小遣いあげたくなった。これかもしれないなー、世界のクロサワが最後に撮りたかったのは。最近のアメコミものでは『スパイダーマン』よりも良かったと思う。ヒロインが高橋愛に似ていた。ストーリーは非常にオーソドックス。目の前で肉親を殺されたヒーローが復讐のためにチンピラを片っ端から血祭りにあげてくうちに、いつのまにやらランデブー、巨悪が出てきてコンニチワ、オットドッコイ死にかけて、正義の怒りがドットコム、浮世の風は冷たいけれど、踏み越えましょう茨の道、愛する女性に追われるはずが、今じゃマッポに追われてる、こんな男で良かったら、ねえ、お父さん? よくあるアメコミ節炸裂だ。では、どこが見所だったのか? 「盲目の人間が得る脳内ビジュアル」の表現が実に斬新だったのである。このヒーロー(ベン・アフレック)は、目が見えないのだ。幼少時にふとしたはずみで失明して以来、視覚以外の四感が異常に発達。物体に反射する音波をソナーのように探知して、目で見る以上に周囲の状況を的確に判断できる。静かなときは、自慢の杖でそこら中をガンガン叩く武者振り。高橋愛似のヒロイン共々、必見。 戦闘シーンでは、デアデビルの鋭敏な聴覚を反映して、兆弾や破損する物体の音が非常にクリアに響いていた。これも他の映画では得られない体験だった。必聴。 ちょっとひっかかったことがある。悪人を地下鉄の線路につき落として、 「あの光は天国の光だと思うか? 違う! 列車の光だ!」 と言うシーンでは、逆の表現の方が良いような気がした。だって「列車の光」って、そんなん見ればわかるのに…。 「あの光は列車の光だと思うか? 違う! 天国(地獄)の光だ!」 の方が良くないか? この悪人はそのまま轢かれて死んだ。必殺。 あと、ヒロイン(ジェニファー・ガーナー)が高橋愛にクリソツだった。 『デイ・アフター・トゥモロー』(→公式サイト) NYを壊滅させたら天下に比肩し得る者無しと水鏡先生に評されたローランド・エメリッヒ監督の最新作は、またまた地球規模のディザスター・ムービーだ。このテの映画は『インデペンデンス・デイ』※や『ディープ・インパクト』※でホトホト懲りているので、出来れば観たくなかった。『レディ・キラーズ』か『キューティーハニー』の方が良かったんだが、ヤックンことヒバク星人ことヅラの司会者こと安井僚介が口の端に白い泡をためながら「地球が滅亡するんでい! ぜってー面白いって! じっちゃんの名にかけて!!」と震える声で叫ぶ。安井翁のご尊名は存じ上げないんだが、あまりにも必死なので仕方なくついて行くことにした。
CGこそすべてであり、その受け取り方で評価が分かれると思う。これから観ようという人は、先に『ディープ・インパクト』を見ておくと相対的にこの映画の方が面白く感じるんじゃないか。 最も印象的だったのは、科学者や政治家※の無力さ加減。地球の危機に対して具体的には「避難する」、後は「天に祈る」しかなす術を持たない。ロケットを打ち上げて隕石を砕こうだとか、義勇軍をつのって特攻しようだとか、そういった勢いがない。まぎれもなく9.11を経た※作品である。 補足説明 ・『インデペンデンス・デイ』…巨大な宇宙船にアップルがつながる。 ・『ディープ・インパクト』…目視してから大津波を避けることができた映画。ちょっとした高台に走って避難する。 ・政治家…科学者に耳を貸さない。まあ、貸していてもどうにかなったとは思えないが。大統領の存在感がものすごく希薄だった。『インデペンデンス・デイ』のビル・プルマン※に演じて欲しかった。 ・ビル・プルマン…『ロスト・ハイウェイ』で一晩明けたら別人になってた人。 ・9.11を経た…便利なフレーズ。何か言った気になれる。
『This Is It/マイケル・ジャクソン 』(→公式サイト) 急逝したマイケル・ジャクソンが行うはずだったロンドン公演のリハーサル風景を編集したドキュメンタリー。
普段あまり、と言うよりも全く見ることが出来ないマイケルのパフォーマンスの裏側、「白鳥の水面下の足掻き」的な映像の奔流にただただ圧倒され、ひきつけられっぱなしだった。個人的にマイケルの曲を擦り切れるほど聴いてきて、死後に発売された紙ジャケ版『Thriller 』に収録されているボーナス・トラックの「Billie Jean [Home Demo from 1981]」(「ビリー・ジーン」のデモ段階の音源)なんかをうわあおもしれーおもしれーって100回ぐらいリピートしてる人間なので、この映画のサウンドはもうお宝のオンパレードでんがな。スリラーのゾンビがゴシックホラー調になってるところなんか、3Dで観たいことこの上ない。マイケルが「ビリー・ジーン」を流して歌うところでは完全に私服なんだけど、そこで着てるのが僕がだいたい冬に着てるロゴも何も入ってないナイロンの黒いフライト・ジャケット(裏地がオレンジ。所謂MA−1)なんで、親近感を覚えた。「I Just Can't Stop Loving You」を女性ボーカルと歌うシーンでは、ロバートのコントに出てくる「外国人男性をモノにしたブスな日本人女性のコスプレ」を思い出しちゃって吹いた。最後(?)にステージでスタッフと円陣を組んでマイケルが代表のスピーチをするんだけど、そんな席でも唐突に「よし。僕らで地球を救おう。4年で。(大意)」みたいな発言をするのはさすがマイケルだなあと思った。いや、こういうエコ的なメッセージを振りかざす芸能人は結構いるけどさ、「4年」というかなり切羽詰った期限付きで宣言する人は初めて観たよ。本当に信じてるんだろうな。一緒にコンサートを作っていくダンサーのオーディションで観客の立場で舞台を眺めるときの当事者を半ば離れたマイケルの見せた楽しそうな笑顔がすごく印象的だった。合掌。 補足説明 ・ロンドン公演…サプライズでポールと「SAY SAY SAY」歌って欲しかった……。
『ディパーテッド』(→公式サイト) 『インファナル・アフェア』のハリウッド版リメイク。レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン主演、マーティン・スコセッシ監督。「ディパーテッド」とは(魂が肉体から離れた)「死者」の意味だとか。
オリジナルよりも劣っていると感じた部分はマット・デイモン。アンディ・ラウの小賢しい感じには到底及ばない。計算づくで動いてるというよりもその場その場でなんとかしてる状況対応型に見える。配役デカプリオと逆の方が絶対良いよ。タクシードカーンのシーンもオリジナルの衝撃には及ばず。これはひょっとすると「デ・パルマが『アンタッチャブル』でやっちゃってるし」って配慮があったのかも。 問題はマーク・ウォールバーグ演じるディグナム(すげえ名前……)だ。以下結末のネタバレありなんで注意! こいつは、どこまでわかっててマット・デイモンを撃ったんだろうか? こいつが警察から出てった時点ではデイモンが内通者だとわかってなかったはずだし。わかってからデカプリオがディグナムと連絡をとって真相を伝えたようにも思えない。もしかして「部長が殺される原因を作りやがって」という私怨だけでデイモン殺したのか? だとしたらクレイジーだなあ。ディグナム(変な名前……)を主役にしてダークヒーローものの続編を作って欲しいな。 あと、ベラ・ファミーガはマット・デイモンという許婚がありながらデカプリオとベッドインするので退廃的だと思った。 補足説明 ・ブロウジョブ…女性が口腔を使って男性性器に行うサービス。フェラチオ。おフェラ。尺八。チュッパチャップス。なめなめバスター。たったひとつの冴えたやり方。NASDAQ。チャングム。 ・youtubeで登場人物が「ファッキン」と言う部分だけで『スカーフェイス』を編集した動画あった…いま見たら消されてた。ファーーーーック!!!
『ディープ・ブルー』 海中研究施設に閉じ込められた人たちと、実験で頭の良くなった鮫との戦いを描くアクション。サミュエル・L・ジャクソンは一行の中で一番頼りになりそうな冒険家の役。しかしなんと、全体の三分の一ほど話が進んで「さあこれから!」ってときに何気なく死にます。従ってサミュエル度はすごく低いんだけど、アクション映画としては面白かった。『アンブレイカブル』と逆のパターンだ。しかし、死ぬシーンはあまりに唐突すぎておかしかったので、サミュエルファンは一見の価値有りだと思う。それから、まったく似合ってない白ぶちの眼鏡も披露しているので、眼鏡クンフェチの方はチェックだ。 『ディアボロス』 やり手弁護士のキアヌが悪魔の化身であるアル・パチーノに弄ばれる話。似たような話に『ジョー・ブラックをよろしく』があるが、悪魔と人間の立場が逆なところがちょっと興味深い、かもしれない。 「人間を堕落させる扇動者」としての悪魔をよく描けていた。アル・パチーノもあんまり力まずに演じている感じ。 『ディボース・ショウ』(→公式サイト) 前作『バーバー』がいまいち面白くなかったので期待してないコーエン兄弟の最新作。お・も・し・ろいんDEATHか〜? モギリのお姉ちゃんに眉に唾つけるジェスチャーをしながらチケット渡したりして。
補足説明 ・ケルベロスみたいなプードル…土佐犬と互角に渡り合えそうなぐらいデカい。チェルノブイリ産の改良種か何かだろうか。調べたらこんな写真が。
『デジャヴ』(→公式サイト) デンゼル・ワシントンが刑事を演じる、という以外予備知識を何も持たずに観に行った。しかし「刑事」、「デジャヴ」というキーワードだけから判断するに、実はデンゼル自身が犯人だった、みたいなオチじゃろ?
当局に辣腕ぶりを認められたデンゼルは、FBIの秘密施設に連れて行かれ、捜査に協力するよう要請される。デンゼルがそこで見た物は、監視衛星とリンクした半径数キロメートルのあらゆる出来事を見ることが出来るシステムだった。え〜? 『エネミー・オブ・アメリカ』※かよー。半ば椅子からズリ落ちそうになりながら成り行きを見守る。そう言えばFBIのクルーの1人が『エネミー〜』のジャック・ブラックっぽい。とりあえず変死した女を監視する一同。何かに気づいたデンゼルがスクリーンにペンライトを当てると、再現映像でしかないはずの女が光に反応した! なんと、この装置は過去の映像をリアルタイムで見ることができる装置だったのだ。なんですと? つまり、キッカリ4日と数時間前の出来事を今起こってることとして見ることが出来る、とか。なので映像の早送りはできないし、見逃したらそれっきり。ペンライトの光のような波動はスクリーンを介して過去に送ることができるが、有機体は未だ成功してないという。というわけで、いろいろありまして、メモ帳を転送して危険を知らせようとしてみたり、過去視ゴーグルをつけて昔の車を追いかけたり、いろいろやるうちに当の女が殺される時間が近づく。殺されるのがわかってるのに何もできない無力感に耐え切れなくなったデンゼルの中でプツンと音を立てて何かが切れた。 「過去に戻って助けんの!」 ハムスターでも猿でも失敗したという過去へのタイムトラベルを敢行。拉致された女の元へかけつける。やっちまた〜。これアレやん。『トゥルー・コーリング』やんか。とまあ、ジャンルが二転三転してとても面白かった。前知識な〜んも無しだったから良かったのかも。 タイムスリップものの常で随所におかしな部分があるんだけど、ちょっと見過ごせない点がひとつ。タイムスリップする前の段階で犯人のボートハウスに救急車が突っ込んでたのが解せない。救急車が突っ込んだということは女は助かったってことだもんな。この映画の流れだと。ここで気づいたんだけど、もしかしたらこの映画のストーリーは、何度目かのバッドエンド(フェリー爆発)の後の話なのかもしれない。そう考えると最初から冷蔵庫に「U can save her」があったのもうなずける。可哀想なデンゼルは時間の輪の中でフェリーが爆発するたびに過去に戻って女を助けようとして…を繰り返していたのだろう。ことによると何十回も何百回も。で、今回初めてフェリー爆発を回避できた成功ルートを辿れた、と。そう考えるとタイムスリップ前の「2度目か?」というセリフや、デンゼルのデジャヴも納得できる。まさに「100万回生きたデンゼル」である。切ない……。 思うに、この使えそうで使えないタイムスリップ装置の一番上手い利用法は、捜査本部にホワイトボードを設置して、そこに未来からモールス信号で情報を送ってもらったら良いんじゃね? 未来予知装置。 補足説明 ・『エネミー・オブ・アメリカ』…それもそのはず、同じ監督(トニー・スコット)だった。
『刑事まつり』 なんでも気鋭の日本人監督たちによる「刑事」をテーマにしたギャグ映画大会とか。以下ラインナップと感想。
青山真治 「NOと言える刑事」2点
市沢真吾 「スローな刑事にしてくれ」1点
奥原浩志 「さよなら地球刑事」2点
黒沢清 「霊刑事」1点
佐々木浩久 「だじゃれ刑事」−50点
篠崎誠 「忘れられぬ刑事たち」4点
高橋洋 「アメリカ刑事」2点
西山洋市 「特殊刑事」3点
廣木隆一 「刑事VS刑事」 2点
堀江慶 「引き刑事」5点
万田邦敏 「夫婦刑事」2点
山口貴義 「モーヲタ刑事」4点
『テキサス・チェーンソー』(→公式サイト) スプラッター映画のさきがけとなった『悪魔のいけにえ』(原題『テキサス・チェーンソー大虐殺』)のリメイク。「テキサス」、「チェーンソー」と来て大虐殺。「らくごのご」で桂ざこばがやけくそ気味にがなりたてる三題話みたいである。このシリーズはPart1〜3に加えて'95年に思い出したように作られた『悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス』があり、実に通算5作目。内容的には3とレジェンド〜がリメイク的な内容(悪く言えば焼き直し)だったので、リメイクとしては3本目となる。よくもまあ、飽きないか。
ヒロインは一緒に逃げる仲間の命を結果的にそのつど利用して生き延びてるわけで、お前は劉備か、と思った。あと、パンフにどこぞの識者が「今回の新機軸はゲイン(レザーフェイスのモデル)の死体工作だろう」としたり顔で書いていたが、それは違うだろう。『悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス』のオープニングでバッチリ死体工作が映ってるだろう。予習不足だろう。そもそも『羊たちの沈黙』でバッファロー・ビルが死体工作してただろう。いい加減なことを書いて金が貰えて羨ましいだろう。 ラストで車の中と外を交互に見せるミス・ディレクションやキリストみたいにぶら下がってる死体のイメージは『羊たちの沈黙』だし、壁の中を子供と逃げ回るシチュエーションはモロに『壁の中に誰かがいる』だし、逃げこんだ場所にいる女性も殺人鬼の仲間であったり、レザーフェイスが皮マスクを裁縫する映像は前述の通り『悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス』からの流用だし、この映画自体つぎはぎだらけのレザーフェイスのよう。オリジナルからの時間の流れを感じる。っちゅーかですなー、Part2から4作目までのシリーズの流れがパンフで見事に無視されているんだけど、これは何か大人の事情か? 識者もどきのテキトーな戯言なんかどうでも良いから、そこらへんキチッと押さえといてくれよマジでー。特にPart2でデニス・ホッパーがチェーンソー2刀流のキレッぷりを披露してて最高だったことなんか紹介するべき! みんなも『悪魔のいけにえ2』見るべし! この際『テキサス・チェーンソー』なんか見なくて良いから。 『デス・プルーフ in グラインドハウス』(→公式サイト) ロバート・ロドリゲスとタランティーノによる競作プロジェクト「グラインドハウス」に寄せたタランティーノ作品。
カート・ラッセルが映る部分は抜群に面白い。女の子とラッセルが映る時間の比率を逆にして欲しかった。 ただ、そういった退屈な部分を耐えて見られるショッキング・シーン(都合2度ほどある)※は必見モノ。スカッとする。そして、見事なほど後に何も残らない、教訓や余韻その他何か崇高なものとは無縁のあっけない幕切れ。清清しい。娯楽映画はかくありたい。 『デス・フロント』(→公式サイト{uk}) 日本の公式サイトが見当たらないことからも明らかな通り、配給元が全く力を入れてない、とても地味なホラー。公民館並のこじんまりした映写室だった。あらすじは、第一次大戦中に本隊からはぐれた連合軍の一中隊が、うち捨てられたドイツ軍の塹壕を発見。そこに陣取るうちに、仲間がみるみる発狂して同士討ちしてしまう。…という、本当にそれだけの話。ひょっとすると隠れた名作かも? と思って期待してたんだが、最初に下手糞なグラフィティみたいな『DEATH WATCH』(原題)のロゴが出たとき直感的に「うわ、こりゃ駄目だ!」と確信。面白くなく、かと言ってハッキリしたつっこみポイントも無いゆるさ加減。昔の怪奇映画って感じだな。そういうシフトで鑑賞すると、それなりに見所はあったのでネタバレを含む列記。 ・主人公(『リトルダンサー』)が隊長を見捨てるエピソードがあんまし活きてこない。最後まで、その場しのぎの寄せ集めな展開に見えた。 ・リトルダンサー、常に口が半開き。雨水を集めてたのかしらん? ・ドイツ軍から奪った女の裸写真をオカズに、ウーウー唸りながらオナニーしだす連合軍兵士。 ・爆撃の幻聴にビビりまくる連合軍。ものすごく地味な絵面。 ・泥で擬態したドイツ軍兵士だが、銃を構えた相手の真正面で目を開けて睨み返し、ゆっくりと素手で掴みかかる。擬態の意味がねえ! そんなヤツ相手に苦戦する連合軍兵士って何? ・味方の過半数が同士討ち。地味。 ・リトルダンサー、半身不随の兵士を即決で見限って「ごめん」と言いながら眉間を撃ち抜く。お前…弱い者には強いのな。 ・動く鉄条網が『ロード・オブ・ザ・リング』三部作でゴラムを演じた(わかんないよ…)アンディ・サーキスを襲う。どこまでもカックカクなハリー・ハウゼン的動きだった。 ・『トレマーズ』みたいなシーンも。 ・元凶であるドイツ兵の亡霊が「お前は親切だった」という理由でリトルダンサーだけ見逃す。 ・結局、亡霊は塹壕を利用して「イイヒト探し」していた…? もっとあったような気がするんだけど、忘れた。たぶん1ヵ月経ったら全く記憶に残ってないと思う。要は「塹壕に入っては塹壕に従え」ってことか。 『デスレース2000』 近未来…と言ってももう過去だが、とにかく舞台は西暦2000年。独裁国家となったアメリカで行われる国民行事。ゴテゴテにデコレートされた5台のスーパーカーが大陸横断レースを繰り広げる。この競技が「死のレース」と呼ばれる理由は「レース中に人を轢くと得点になる」ルールがあるからだ。 『ロッキー』でブレイクする直前のスタローンが、主人公の「フランケンシュタイン」のライバルを演じる。轢かれたくないので、一般市民は家に閉じこもっている。それでも「安楽死デー」の老人や、闘牛士気取りの男や、工事中の人などが道路にいて、次々と犠牲に。しまいには油断していた実行委員やピットの人まで轢かれてしまう。歓声を挙げるテレビの前の視聴者。バックに流れる脳天気な音楽。一事が万事そんな調子。ラストで優勝者が反権力に目覚め、大統領を轢き殺して最高権力者におさまり、にこやかに宣言。「デスレースは廃止です。我が国には無意味な暴力の展示は不必要」と。…お前に言われたくねーよ!! ポール・アンダーソン監督&主演トム・クルーズでリメイクされるという『Death Race 3000』が非常に楽しみだ。 『鉄道員』 テレビでやってたのを録画。ある鉄道員の涙なしには語れない話だけど、最後の一番ええところでバツンと切れてた。ネットであらすじ読んだら、最後に鉄道員死んだんだって。感動が…。 『デッドコースター』 「大風が吹けば桶屋が儲かる」という諺がある。大風が吹けば砂埃が舞い、それが人の目に入って盲人が増え、盲人は糊口をしのぐため三味線ひきになろうとし、三味線の需要が増えると胴に張る猫の皮が入り用になって乱獲を招き、生態系が崩れて天敵を失った鼠が増え、増えた鼠が一日に数ミリメートルの単位で生長する前歯をすり減らすために桶をかじって桶屋が儲かるという、カオス理論の基盤となった現象を指す諺である。この『デッドコースター』は、その諺で喩えると、風が吹いた結果、異常繁殖した鼠が人間を襲ってバリバリ食い散らかすような映画なのである。前作の『ファイナル・デスティネーション』と、内容はそれほど変わらない。むしろ今作の方が演出の切れが増してパワー・アップ。死神に魅入られた人々が不慮の事故で次々に死んでいくんだが、その死に方がこちらの予想を良い意味で裏切ってくれる。ラストまで息をつかせぬ展開。僕の評価では、チャリエンやマトリックスを抜いて今夏単独トップに踊り出た。『ファイナル・デスティネーション』を観たことがあって、面白いと感じた人は必見! 知らない人は…う〜ん、どうなんだろう。とりあえず残酷な表現に眉をひそめる方々にはお勧めできない。そういう人は、んも、も、もう……え…れ…………帰れ! 帰ってグランド・ピアノの練習でもすればいいだろ!? こんな日記読んでないで!!
参考リンク 『デッド・サイレンス』 公式サイトにリンクしようとしたらもう消えていた。あの『ソウ』の監督&脚本の人らがコンビを組んだホラー。
オチまでの腹話術師と人形にまつわる諸々のエピソードは見せ方含めて非常に古典的なホラーという趣き。正直全く怖くなかった。登場人物もジジババやオッサン中心で別に死んでもいいかなって連中ばっかだしな。逆にこいつだけは殺されてほしいってな憎たらしいヤツも出てこないし。オッサン刑事の死に方がぞんざいすぎるし。しつこく出てきた髭剃りも何かの伏線かと思ったらなんの意味もなかったし。あと、人形が怖いのか人形師(の怨霊)が怖いのか、どっちかに絞って欲しかった。文句ばっかり書いたけどオチの部分のスープがボトボト垂れ落ちる映像はグロテスクで良い。ああいうの大好き。 『デッドヒート』 ジャッキー・チェン主演のレース映画、のようなもの。珍作の部類に入る。どっちかと言うとドラマ主体。アクションもあるが、性格設定が真面目なせいか、小道具を使ったいつものコミカルなジャッキーアクションはほとんど見られない。しかもラストバトルの決着がレースでつく。ジャッキーを出した意味があるんだろうか。日本から加山雄三が参加。日本語でジャッキーを叱咤激励していた。音楽が昼のTVドラマみたいにフニャフニャベケベケだった。 『デトロイト・メタル・シティ』(→公式サイト) ガーリー・ポップの心を持つ男がデスメタルバンドのボーカルだったら? 若杉公徳による人気コミックが主人公“クラウザーさん”役に松山ケンイチを迎えて遂に実写映画化。
それでも僕が見た近年の邦画コメディの中ではかなり上位に来るんじゃないかしら。少なくとも『大日本人』の100倍ぐらいは笑える。とくに田舎に帰るところは良かった。その田舎のシーンでの宮崎美子が非常に良かった。調べてみたらミノルタの「♪今の君はピカピカに光って〜」のビキニの人か! おお〜。なんか感動した。どういう感動なのかよくわからんけど。 『デモリションマン』 近未来。コンピューターによる徹底的な管理社会を舞台にスタローンとウェズリー・スナイプスが激突。スタローン映画の中では中の中ぐらいの作品。 ラストの名セリフ。和解した支配階級とレジスタンスのリーダー双方の肩をガッシとつかんで 「お前はもう少し綺麗になれ。お前はもう少し汚くなれ」 …。 ……。 ………。 なるほどわかりました! 『天空の城ラピュタ』 「ウル」はラピュタ語で「人生勝ち組」 金曜ロードショーでやっていた『天空の城ラピュタ』を観た。もう5回目ぐらいか。しかし何度観ても最後の子供たちの決断には涙腺が緩んでしまうね。ルルルールルールールーってコーラスに加わっちゃうね、感極まって。 改めて思ったのは、シータはすごい不憫な女の子だなあ、と。みなしごという境遇は同じでも、パズーには親方さんも、村の人たちもいるし。何より男の子だし。それにひきかえシータである。パズーに比べて故郷の描写が極端に限られているのがひっかかる。村人と上手くいってなかった? 「実は私は特別」って意識が周りを遠ざけていたのかもしれない。なんか泣いて帰って来てたし。いじめられるたびに心の中で「滅びの呪文唱えたろか、おう?」って思ったに違いない。そして2人の内面にも注目したい。パズーにはラピュタという夢があるが、シータには漠然と「何らかの継承者」という没落貴族みたいな選民意識。親から受け継いだのは変な呪文とペンダント。「癒しの呪文」とか言って、人に見せちゃイカンのやったら意味ないやん! ちゃんと事の仔細を話してから死になさいよ、親も。そして、この年にして自給自足の隠遁生活。家族は青い動物のみ。農作業って大変だと思うんだけど。衣服とか生活必需品はどうやって調達したのか。青い動物にまたがって山賊まがいのことをしてたとか? もしかして、夜な夜な街角に立ち、春をひさいで…。同年代のパズーと比べても妙に大人っぽかったしな。達観してるというか。ラストで故郷に帰るけど、またぞろ隠遁が始まるのかと思うと素直に喜べない。きっと青い動物とか死んでるし。もうペンダント無いから村人見返せないし。あのままラピュタで暮らしたら良かったんじゃないかなー。これからどうやって生きていくつもりなんだろう。ラピュタにおける人生最大のハイライトシーンを胸に、ひっそり畑を耕すのか? まさか、パズーが呼びこみをして、街角で春を…。 『天国から来たチャンピオン』 ウォーレン・ベイティ主演。天国の手違いで死んだフットボール選手のベイティが富豪の体を授かり人生のすったもんだを体感フィーバー。トンネルの中からタライを転がすような音が聞こえるだけの事故映像だったり、足元にスモークたいてるだけの天国だったり、人が1コマで消失したり、登場人物の髪の量が異常に多かったり、トホホな演出の数々に時代を感じた。髪の量は演出じゃないか。ベイティと言えばキルビルのビル役を断ったらしいが、観てみたかった。46歳の夏目雅子さんと同じ位観てみたい。 『天才マックスの世界』 「好きなことをやっているときは最高に楽しい」 マックスは課外活動で多数の部長を兼任し、自ら様々なクラブを設立した超人である。しかし勉強はまるでダメ。常に落第の危機にさらされている。最近の悩みは真剣に恋をしたことがないことだった。そんな折、若い女教師に一目惚れした彼は…。 奇人変人マックスの全身全霊をかけた恋のカラ騒ぎカラ回りが徐々にエスカレート。なぜか妻子持ちのビル・マーレーも恋敵として絡んで来る。2人の恋の鞘当てが実に姑息かつ稚拙で可笑しい。また、マックスの腹心のような存在であるダークも良い味を出している 『天使と悪魔』(→公式サイト) 『ダ・ヴィンチ・コード 』の続編。と言っても、原作が発表された時期はこちらの方が先。ヒットした方を先に映画化したということか。
ここからはネタバレモード全開なので注意されたし。 結局「イルミナティ」※なんて秘密結社は出てこず、すべては秘密結社の仕業に見せかけた狂言テロ、というか。それにしては大掛かりすぎるし、これだけのことを実際に行ったのが単独犯ってのは信じがたい。と言うより、あり得ない。嘘にしても嘘くさすぎる。あと、いろいろツッコミポイントがあるので箇条書き。 ・まず始まってから30分ほどの展開が眠すぎる。というより、寝た。序盤でここまで寝入ってしまったのは『華氏911』※以来だろうか。あらすじを書いてるけど、ヴァチカンに到着してイルミナティがどうこういうシーンあたりで寝てしまったのでそこらへんは曖昧。 ・寝てしまったことに関連して。全編に渡って画面が暗すぎる。劇中の時間帯がコンクラーベの行われる夕方から翌朝にかけてで、屋内のシーンも薄暗い寺院内がほとんど。 ・画面が暗すぎる上に、ヴァチカンの歴史的景観や風光明媚、そういったビジュアル面に対する期待は裏切られる。印象に残るようなシーンがほぼゼロ。恐らく監督にそういったものに対する興味が無かったんだろう。もうストーリーを追うだけでアップアップという感じ。 ・誘拐された枢機卿4人が神秘学の四大元素(土・風・火・水)にゆかりのある場所・手法で殺される。一種の見立て殺人なんだが、これがビックリするぐらいワクワクしない。まんまな殺され方。しかもだんだんぞんざいになってきやがる。土→土を口につめて窒息死。風→肺から空気が漏れてる。火→つるされて焼かれる……ってな具合。なかでも一番酷いのが最後の「水」。ストレッチャーにくくりつけて噴水(観光地にしてはあり得ないぐらい深い)にバンの荷台から雑にドボンッて突き落とすだけ。ご丁寧に重しのダンベルの重り部分に「10」とか数字が書いてる。おーい。 ・ユアン・マクレガーが胸に焼き鏝を押し当ててからの一連のシーンが馬鹿馬鹿しすぎる。「武器をもってる!」(バーン)、「こいつがイルミナティだー」(バーン)ってお前……。現場を見た瞬間に焼き鏝で殴りかかる聖職者って、どんだけ武闘派なんだよ。 ・反物質爆弾とか、意外に大したこと無いし。 ・ユアン・マクレガーの変な生い立ち(元空軍)→ヘリコプター操縦って経緯がわかりやすすぎる。 ・胸に「water」って焼き鏝あてられて水死しかけた人間が次の朝に法王としてお披露目って、ちょっとは休ませてやれよ〜。 まあそんな感じで、観終わった後に友達に電話したら偶然同じ日に観てて、笑いながらツッコミまくったので良しとしようか。あと、「カメルレンゴ」※という耳慣れない単語の響きが可笑しかった。
補足説明
・「イルミナティ」…宣伝で散々煽ってたガリレオだの回文だのシンメトリィだのは、ほんのサワリだけ。ガリレオなんか名前だけ貸していくら貰ったんだよ。まったくもー。前作のダヴィンチ以上に関係ねー。
・華氏911…ブッシュが子供らの相手してるときにテロの報告を受けてるあたりで寝て、気づいたらエンドロール。
・「カメルレンゴ」…法王の侍従のようなもん。戦国時代の小姓風。かなりホモっぽい。ローマ法王は知らんけど、実際そういう関係にあった連中もいるんじゃないか。
『天使のくれた時間』 やり手だが自己中なところがあるビジネスマンのニコラス・ケイジが雑貨屋でピストルを振りかざした黒人に出くわし…ここまで書いてて上の『心の旅』に似てることに気づいた。この黒人が実は神の使いか何か※で、不思議な宝くじをくれる。翌朝目覚めると、13年前に出世の為にふった恋人と暮らすパラレル・ワールドにいた。家族とのささやかだが暖かい暮らしで、孤独なビジネスマンだったケイジは「自分の人生にとって本当に大切なもの」に気づいた…ような気になったって話ですわ。アメリカ人は「世間的に成功してる人間が落ちぶれて人間性を取り戻す話」※が本当に好きなのな。それだけやっかみが強いってことなんだろう。ニコラス・ケイジの「サヨナラ、ウォール街」や「シイタケ」にややうけ。 補足説明 ・この黒人が実は神の使いか何か…すごくいい加減なプロットだ。ところで「神の使い」的な人物に黒人を配する映画が多い(僕の知ってるのだけでも『普通じゃない』、『オー・ブラザー!』、『ブルーズ・オールマイティ』など。『ゴースト ニューヨークの幻』のウーピーや『マトリックス』のオラクルなんかも該当するかもしれない)のはなぜなんだ。どういう符合だ。 ・「世間的に成功してる人間が落ちぶれて人間性を取り戻す話」…孤独な飲んだくれの炭坑夫が不思議な導きでヤリ手のビジネスマンになって教養豊かな同僚と接するうちに人間性を取り戻していく話、とかあればオモロいのに。
『ドゥームズデイ』(→公式サイト) 壁で隔離された人類が凶暴化してパンク集団になってる映画だとか。もしかしてマッドマックスや北斗の拳やブラックエンジェルズの世紀末編みたいなバイオレンスものなのか?
『トータル・フィアーズ』 なんか若返ったハリソン・フォードがシロー・アマダみたく「いま、俺たち地球人同士が争ってるときじゃないんだ!」と叫んでまわるけど最後の最後まで誰一人として耳を貸そうとしない映画だった。ラストで『ゴッドファーザー』みたく敵対勢力が「粛清」されていくので面白かった。「写真やメールやタバコに気を取られたよそ見運転はあきまへん」というメッセージを受け取った。 『トーマス・クラウン・アフェアー』 ミシェル・ルグランのテーマ曲が有名な『華麗なる賭け』のリメイク。やはりスティーヴ・マックィーン&フェイ・ダナウェイと比べるとピアース・ブロスナン&レネ・ルッソのカップルは弱いと言わざるを得ない。しかし、後半かなり強引だったオリジナルのストーリーよりは脚本がよく練られている。役者に思い入れが無い人はこっちの方が楽しめると思う。 『トイ・ストーリー2』 前作で、バズが飛べないと気づくシーンでもいい加減ホロッときたもんだが、今回はより本格的に泣かせにかかってくる。自分の流した涙の海でネズミと一緒に溺れかけた。 元気なカウ・ガールのジェシーがよく動き、可愛い。なぜかパロディ・シーンも満載。 『トイ・ストーリー3』(3D)(→公式サイト) 『トイ・ストーリー』(1995)、『トイ・ストーリー2』(1999)に続くシリーズ3作目にして3D映画でもある。……って、ええ〜? 2から10年以上も経ってんの?※
スピーディーな展開に加えて非常に多くの新キャラクター※が出てくるんだけど、そのほとんどに見せ場というか、所謂「おいしいシーン」が割り振られているのも見事というより他ない。しかも旧キャラクターの隠された能力※も明かされたりする。うーん。参った。 補足説明 ・2から10年以上も経ってんの?…1作目から実に15年を経ての最新作。冒頭のアンディのおもちゃごっこを一作目のそれと比べると、如何にピクサーの技術力が進歩したかがわかる。あと、3Dに関しては、これだけ面白いんだから正直2Dでメガネ気にしないで見たいよ。 ・「ひとつの解答」…今作のパターンは最良の部類に入るけど、現実には無数のウッディ人形&アンディ=おもちゃと持ち主が存在するわけで、中には捨てられ燃されたものもいるだろう。博物館に行ったのとか。ヤフオクにかけられるのとか。おもちゃの運命は持ち主次第なんだね〜。 ・新キャラクター…日本からは、懐かしのチンパン人形と、○○○がカメオ出演! うけた。わからなかったけど、きっといろんな国の定番オモチャが登場してるんだと思う。 ・旧キャラクターの隠された能力…真相は知らないけど、CG技術の進歩がまだ追いついてないおかげでボツってた前作までのアイデアを全部ぶち込んできたような。ポテト人形&鳩のネタなんかまさにそれだと思う。
『東京ゴッドファーザーズ』(→公式サイト) 『パーフェクト・ブルー』や『千年女優』の今敏監督作品。アカデミー賞候補の話もあるそう。
『トゥームレイダー』 アンジェリーナ・ジョリーのノーブラ・タンクトップ姿を拝む映画。古代の遺跡や仏像をバンバン破壊する姿には「歴史的遺産に対する敬意」は微塵も感じられず、まさに「墓荒らし」。略奪した文化遺産を売りさばいて豪華な暮らし(執事つき)をしてるらしい。最低だ、この女。 『トゥルー・グリット』(→WIKI) コーエン兄弟による西部劇。それだけでも物珍しいんだが、今作は1969年『勇気ある追跡』のリメイク。
まず出だしのろくに銃を撃ったことないような少女が復讐を決意するくだりからしてわくわくする。そして初老の保安官の駄目っぷり。こんな二人が巻き起こす珍道中が面白くならないわけないじゃない? 「どうでもいいような些末のエピソードのディテールに凝りまくってて、それがどこにもつながっていかない。だけど面白いから妙に記憶に残ってしまう」といういつものコーエン・テイストも健在。縛り首を発見するところとか、少女の値切り交渉とかね。それから意外に良かったのがマット・デイモンことジミーちゃん演ずる南部から来た正義のレンジャー。この人がいたから陰鬱になりがちな復讐譚にも救いが出た。主演じゃなけりゃこんなにも輝くんだなジミーちゃん。 『トゥルーマン・ショー』 「もしも自分を取り巻く世界すべてが造りものだとしたら?」 どこかのSFの短編で読んだことがあるようなプロットを大真面目に描き切った作品。もしそういう世界が存在したとして、そこでどんな出来事が起きたら面白いかについて、様々なシーンを積み重ねて答えてくれている。 『トゥルー・ロマンス』 タランティーノ脚本によるアクション。 突出したものはないけれど、それなりに最後まで飽きないで観ることができる。おなじみの「複数勢力による銃口交錯シーン」も有り。 脇役が豪華。特にデニス・ホッパーとクリストファー・ウォーケンが会話するシーンは必見。 一瞬だけサミュエル・L・ジャクソン出演。 『ドーン・オブ・ザ・デッド』(→公式サイト)
冒頭で主人公のアナが世界の滅亡に気づいていくシークエンスに漂う終末感が良い。まず愛する夫が発症し、破竹の勢いでアナを食べようとする暴走殺戮マシーンへと変貌を遂げる。ちょっと考えてもみてほしい。暴走殺戮マシーンなんて夫として最も忌むべき部類に入るんじゃないだろうか。この嫌な夫は車で逃げるアナに全速力で追いすがるが、道端に立っていた女の方が組しやすしと見て取るやそちらに猪突猛進ダッシュして後はがむしゃらストレート。最早夫にとってはアナも道端の女も等しく餌にしか見えないのだ。続いてアナが運転する車の目前でトラックと乗用車が衝突し、そのまま爆発炎上する。普通ならアナの視点でスリリングに撮るところだが、ここは超俯瞰のショットで淡々と捉えられる。地上では見渡す限り到るところで煙や炎が立ち込めている。アナの身に降りかかった出来事が決して特別ではないことがわかる。ミクロからマクロ※の視点を通して実感として世界の終末を感じることが出来る仕組み。 『ゾンビ』と同じくショッピングモールに篭城してからも、オリジナル以上の難局が待ち受ける。少し離れた銃砲店の屋上でアナたちと交信を続ける男が良いアクセントになっていた。勝手に『ZOMBIE2』(原題)というタイトルで作られた『サンゲリア』※にラストの展開が似てきて可笑しかった。あと駐車場を埋め尽くして人間を取り囲んだゾンビ達がやっさいもっさいを踊り狂うシーンは感動した。「本当に恐いのは人間」みたいな終わり方のオリジナルに対し、今作では恐怖の対象はあくまでゾンビたち。全滅したというパスター基地を舞台にして、続編では『死霊のえじき』※のリメイクを是非。 補足説明 ・『ゾンビ』より恐ろしく…オリジナル『ゾンビ』ではゾンビが鈍いので、タイマンでホントにブッた切るだけの根性があればどうにかなりそうな感じだったが、今回のゾンビは走るわ噛むわドアをこじ開けるわの狼藉三昧。きっとオリジナル『ゾンビ』のベニヤ1枚の可愛らしい偽装なんか簡単に突き破って新春福袋に群がるオバサンのように突進して来るだろう。 ・『バイオハザード』よりバイオハザード…銃砲店で火器などのアイテムを補充したり、ステージクリア感覚で地下駐車場や地下水路などに場面転換するところ。ボンベで一網打尽※はバイオ3っぽかった。 ・ボンベで一網打尽…受け取ってしまったゾンビが「今日って何かの記念日だっけ?」と言いたげにカメラ目線になるのが可笑しかった。 ・『28日後...』よりもゾンビ的…感染症や全力疾走するゾンビなど、本作を先取りしていたエポック・メイキングな作品。『バタリアン』と違い全力疾走ゾンビをあくまでシリアスに恐く描いている。惜しむらくは『ゾンビ』と同じく結局「本当に恐いのは人間」的展開になり失速した。 ・ミクロからマクロ…『インディペンデンス・デイ』の序盤、ウィル・スミスが新聞取るシーン(その辺だけ秀逸)に似てる。 ・『サンゲリア』…船や島にゾンビがいる。 ・『死霊のえじき』…『フェノミナ』のチンパンジーみたくゾンビが博士の復讐を果たす。トム・サヴィーニの特殊メイクがゴソッと削られている「最終版」と称するDVDが悪名高い。借りるならビデオで!
『トキワ荘の青春』 主人公(本木雅弘)は寺さんこと寺田ヒロオ。手塚治虫のいた部屋に藤子不二雄らが住み始める時期から、寺さんがトキワ荘を去るまでを描く。『まんが道』や『トキワ荘の青春』(石森章太郎)などのエピソードを映像で確認できた。「あ、石ノ森章太郎のお姉さんだ!」とか「あ、藤子不二雄が大丈夫とか言って無茶な連載の掛け持ちしてる!」とか「あ、少女漫画時代の赤塚不二夫が『故郷へ帰れ』って言われてる」とか。大勢の登場人物が目まぐるしく入れ代わって瑣末なエピソードを積み重ねる展開は、ある程度予備知識がないとついていくのが辛いかもしれない。 『時をかける少女』(→公式サイト) ♪と〜き〜を〜、か〜け〜る〜しょお〜じょ〜。筒井康隆の原作を現代流にアレンジしたアニメ版「時かけ」である。ネットでは何やら妙にその手のスジ者(オタク)達の間で人気らしく、公開前からフェスティバル状態だったんだが、連れてかれたヤックンことハルヒ大好き人間ことショートカット萌えこと安井僚介の解説で合点がいった。あのエヴァンゲリオンの細田守が監督※しているのだという。ほそだのかみ。どこにある地名か。
真琴がタイトル通り「駆ける」シーンで執拗にハアハア言い過ぎる演出は、なんだったんだろう。時間の不可逆性、起こってしまったことの取り返しのつかなさを身をもって知った、ということだろうか。単にサービスか。 補足説明 ・あのエヴァンゲリオンの細田守が監督…誤り。書いた後に安井から指摘があり、細田守はエヴァンゲリオンの人じゃないという。じゃあ何の人なんだ!? まあ、監督である以上、何かの人だろう。 ・『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な面白さ…ただ、BTTFと違い一方通行のタイムスリップ(戻った世界にその時の自分がいない)なので、そういう面での面白さはなかった。
『閉ざされた森』(→公式サイト) 主演はトラボルタ。元レンジャー隊員という設定のために、3ヶ月かけて11キロの減量で挑んだらしい。けど、劇中でめぼしいアクションやベッド・シーンがないので、無理矢理シャワー浴びてバスタオル一丁で登場したり、ジーンズ&Tシャツというラフなスタイルでボディ・ラインを強調したり、あまつさえ尋問中に意味も無く長テーブルの上に寝そべってみたりと必死だった。そして、重要な役柄でサミュエル・L・ジャクソンも出演。トラボルタとサミュエルと言えばお互いの出世作とも言える『パルプ・フィクション』以来の共演で期待もしていたんだが、ほとんど一緒に映ってなくて残念だった。 『どつかれてアンダルシア(仮)』 ―どつく行為は抑制や妥協からの解放である― スペインを代表する漫才コンビ「ニノとブルーノ」。一見仲の良いコンビに見える彼らは、舞台裏で互いを激しく憎み合っていた。 サクセス・ストーリーでありながら、2人の狂気に近い憎悪のすさまじさに、ほとんど同情の余地がない。安易にお涙頂戴しない一風変わった作風。人の持つ劣等感や虚栄心のすさまじさ、むなしさをユーモラスに暴き出す佳作。ゲラゲラ笑える映画ではないが、何かしら心に残るものが。 ユリ・ゲラーがユリ・ゲラー役で出演。スプーン曲げを披露。ところでアンダルシアって誰だ? 青野武と広川太一郎の吹き替え版がオススメ。 『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(→公式サイト) 往年の人気テレビシリーズの映画化。元になるシリーズを全く見たことがない※のだが、ポスターの映像が格好良かったので観に行った。
補足説明 ・元になるシリーズを全く見たことがない…どうやら関東圏では昼間頻繁に再放送されてたらしい。主に関西〜北海道で小学校時代を過ごしていた僕は、時代劇(『暴れん坊将軍』、『水戸黄門』、『遠山の金さん』、『隠密同心』、『江戸の黒豹』等々)か刑事もの(『特捜最前線』、『西部警察』、『探偵物語』、『俺たちは天使だ!』等々)で育った。
『突入せよ!「あさま山荘」事件』 あさま山荘事件を題材にしているが、全貌を描いたわけではない。あくまで現場指揮に派遣された佐々淳行の物語。今回の映画で初めて明かされる事実も多くあるらしい。現場の大変さをよく描けていたんじゃないだろうか。警視庁に属する主人公の視点を貫くことによって、最後までダレることがない。DVDでは主人公の佐々淳行さん本人が映画に合わせて当時の様子を振り返りながら画面外の事情について解説する音声が収録されており、興味深い。なお、長野県警に親戚や知人のある方の鑑賞はオススメしない。 何回巻き戻しても「ダダバ」にしか聞こえないので、「となりのダダバ」と呼ぼう。迷宮寺院? 『ドニー・ダーコ』 …という話だった。謎がスゴすぎて良くわからないかったです。アメリカ人にとって「オトナ帝国」的な映画かも? デュラン・デュランのノトーリアスが流れたときに「おお!?」と思い、主人公がデートで『死霊のはらわた』を観るところで「やったー」と思った。『死霊のはらわた』は、PART3まで出ているんだけど、パート2は1のリメイクに近い。未見の人はいきなり2から観てもいいんじゃないだろうか。とにかく主役のブルース・キャンベルの「視線で魅せる」1人芝居が秀逸。後に『スパイダーマン』でもウィレム・デフォーが「鏡の前の1人芝居」を継承していて嬉しくなったものである。そういえば『スパイダーマン』の地下プロレスのサングラス司会がブルーズ・キャンベルだとか。3作目の『キャプテン・スーパーマーケット』は、もう完全にコメディになっており、ストップモーションとブルース・キャンベルの可笑しさ爆発の快作。 『トム・ヤム・クン!』(→公式サイト) ギリギリの死にかけアクションが見ものだった『マッハ!』のスタッフ、主演のトニー・ジャーが再びタッグを組んだ痛快アクション。トニー・ジャー死んでなくて本当に良かった。
とは言え、アクションは前作に劣らずハードそのもの。ちょっと関節技の比重が増したけど、すごく痛そう。あと、カポエラの達人が結構な時間暴れるのが素晴らしい。これだけでも入場料分の価値があった。 トニー・ジャー君の映画は、これからは全部「妹or師匠が殺されたから仇を討つ」ってストーリーでいいです。妹と師匠を作品ごとに交互にやる。無駄に一人二役とかしゃべりすぎで足引っ張るだけの相棒とかラブストーリーとかやるなよな。誰のことだ。 補足説明 ・舞台をオーストラリアにした意図…せっかくオーストラリアなのに現地のタイ人警官なんて無理矢理なキャラクター出すなよ〜。敵も華僑かなんか(アジア系)だし。
『ドラゴン危機一発』 ブルース・リー初主演作品。リーが労働争議で人を殴りまくって祭り上げられて朝帰り。深く反省し、ボス宅に飛び込んで人を殴りまくって逮捕され、終劇。リーがナイフや斧で人を殺すのはかなり違和感があった。ラスボスが意外に闘えるやつだった。それから、娼婦の館から出てきたところをノラ・ミャオに目撃されてピューと走り去るときですら、リーは背筋をピンとさせ、ある種の風格を漂わせていた。 『トラフィック』 『トランスフォーマー』(→公式サイト) 予告編の映像がすごかったので、かなり期待していた作品。
惜しいのは最初にバンブルビーが変形して主人公をかばうところ。ここで初めてロボット形態になったバンブルビーは歌舞伎の見得を切るようなポーズを決める。超絶燃えるシーン! ……のはずなんだけど、ポーズとってるバンブルビーを素通りするようにカメラがすぐに移動しちゃうんだよな。そりゃ絶対違うだろ〜。あと、バンブルビー以外のキャラの立ち具合がイマイチだった。色が重複してるやつもいたし。4大元素とか核に電気に重力磁力とか、わかりやすい特徴があればもっと燃えるのに。惜しい。本当に惜しいよ。後半色んなトランスフォーマーが出てくるに従って戦闘シーンで何処に目をやっていいかわからなくなる。すごい映像だとはわかるんだけど、誰がどこで何やってるんだか。カメラが速過ぎるのも手伝ってると思う。 可笑しかったのはキューブの力で突如自我に目覚めさせられたジュースの自販機ロボ。とりあえず人間に向けてシュポシュポ缶を射出する。そりゃまあ、他にどうしようもないんだろうけど。DVDが出たら是非再確認したい。あと傑作なのが善玉のトランスフォーマー達の倫理観。こいつら一応人間の味方らしいんだけど、人間を傷つけないのも「蟻を踏んだら可哀相だから出来るだけ気をつけて道を歩こうよ」程度の意識しか持ってない感じ。そういう感覚が画面の端々からちらほら伺えて面白かった。そもそも真っ二つにされた仲間の死体だって結構平気でブラブラさせてたしな。アレそのまま道端※に捨てるんじゃないか。 補足説明
・人間そっちのけ…CGに力入れすぎたせいかどうか、人間ドラマが見事にスッカスカだ。後半主要登場人物がいつのまにか粘土細工みたく一箇所に集められてぞんざいに扱われる。意味ありげな人物(ヒロインのボーイフレンド、馬鹿な友達、黒人ハッカー)も、出て来っぱなしの投げっぱなしジャーマン。
・道端…弔う概念無さそうだし、外国の路地によくあるでかいゴミ入れボックスの中に突っ込んで帰りそう。
『トランスフォーマー/リベンジ』(→公式サイト) 『トランスフォーマー』の続編。
『トランスポーター』 『スナッチ』のジェイスン・ステイサム主演。 1.契約厳守 2.名前は聞かない 3.依頼品は開けない 金さえもらえばどんなブツでも運ぶトランスポーターが、自らに課した掟を破ってしまい、事件に巻き込まれる。狭いバスの中やコールタールを撒き散らした床の上など、一風変わったアクションが面白かった。スー・チーが憎々しかった。敵のボスのチャイニーズのおっさんの顔が作りものみたいで恐かった。 『ドリームガールズ』(→公式サイト) 久しぶりにミュージカル仕立ての映画を観た。
補足説明
・ビヨンセ…彼女にしたって下手なわけじゃないんだけど、ジェニファーのパワーには負けるのでは。
・醜女の怨念…ソウルミュージックではあまり取り上げられないテーマかもしれない。中島みゆき系か。
『トリプルX』 それと、最近の国際謀略ものでは「職にあぶれた旧ソ連の科学者」がトレンドなのか? ヤツらときたら核兵器だの細菌兵器だの、危なっかしい発明を悪者のためにヒーコラ開発して、最後に必ず口封じされてしまう。もうその手の設定は飽きたぞ。あと、主人公のクリリンはせっかく透視双眼鏡※を持ってるんだから、アーシア・アルジェントを視姦しろよなー、ジッッックリと。それでもワルか!? ハゲ! あと、音楽がアレみたいだった。あの、ルパンもどきの宇宙盗賊モノ。名前ド忘れた。 結局この映画は007を超えたんだろーか? 微妙。とは言え、ここ最近、変な映画ばかり観てたので、割と面白く感じた。 補足説明
・ふるいにかけた…今にして思うと、このテストのドサクサにまぎれてコロンビア・マフィアのコカインを持ち逃げした髭ヅラの男も相当なヤツだったような気がする。
・ただでさえ目立つ…敵のボスの弟に「エクストリーム・スポーツの天才」としてネットを通して顔が割れていた。だからすぐに組織に潜りこめた。安易と言えば安易。
・透視双眼鏡…壁でもなんでも透けて見える。透け透けレベル調節可能。 『トレインスポッティング』 モルヒネ、ジアモルフィン、コデイン、テマリン、ニトラゼパン、フェノバルビタール、アモバルビタール、プロポキシフェン、メタドン、ナルブフィン、ヒチジン、ペンタジシン、ブプレノルフィン、デキストラドラバイト、クロムメチアゾール…ミスター梅介のように名前を空んじることのできるほど麻薬にドップリ浸かったユアン・マクレガーの独白で綴られる青春物語。 イギリス、若者、麻薬がらみ、レンタル屋の棚の位置が近い、などの前情報で『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のような、軽妙なクライムストーリーを想像していたら、意外に真面目な内容なので、座りなおして正座で鑑賞。 ユアン・マクレガーの容姿が内容の悲惨さを緩和している印象を受けた。ケリー・マクドナルドのセリフやブレザー姿が良かった。 『トレマーズ』 「トレマーズ」=「震動」 地中を移動する巨大なミミズのような怪物が砂漠の小さな住民を襲うホラー? ?と書いたのは、ちっとも恐くないから。しかし、だからと言ってつまらないわけじゃない。このテの映画では1,2を争うほど面白かった。 主役のケビン・ベーコン&フレッド・ウォードが醸し出す3枚目っぷりが良い。 なんと4まで作られているらしい。 『トロイ』(→公式サイト) 遂に封切られた壮大な歴史ロマン。劇場の大スクリーンで予告編を初めて見たときから、大して観たくなかった※。『CASSHERN』か『ホーンテッドマンション』の方が良かったんだが、ヤックンことビートルズになれなかった男ことナフ周辺こと安井僚介が「これ観たら絶対モテるって! 超マスト!!」と譲らないので信じたフリしてついて行った。
「アキレス腱」の由来となった逸話が映像化される。ブラピ演じる勇者アキレスは毒矢でアキレス腱を射抜かれて戦没者名簿に入る。ここで素朴な疑問。それまでアキレス腱は「のどチンコ」と一緒で正式名称の無い部位だったのか? 一般的には何と呼ばれてた? 足チンコ? それはともかく、出征することで名前が永遠になることを夢見たアキレスだけど、「アキレス腱」でイモータルになったと知ったら微妙〜な顔するんじゃないかな。 補足説明 ・大して観たくなかった…このテの剣のやつ(『ベン・ハー』、『スパルタカス』、『グラディエーター』などのギリシャ〜ローマ時代の歴史もの)は、あんまり好きじゃない。いい大人が太腿さらして戦ってんのがダッセ。 ・ブラピの剣闘…剣と盾をプチモビクスみたく変なふうに操り、群がる敵を短冊切り。『カリフォルニア』や『レジェンド・オブ・フォール』以上に殺しまくった。出演作中最多だろう。 ・レゴラスは矢を射るし…もうこの人は、どの映画にどんな役で出ても弓矢片手に象によじ登って欲しい。 ・ハルクも意外に格好良かった…エリック・バナ。剥き出しの太腿がこんなに似合う男だったとは。『ハルク』のときは無理に若作りしてるせいで変質者に見えた。 ・ショーン・ビーンは死なない…『リベリオン』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『007/ゴールデンアイ』、『パトリオット・ゲーム』、ショーンったらいつだって志半ばで殺されたっけ。 ・木馬は木製だし…有名な「トロイの木馬」のシークエンスはやけにあっさり風味。今まで見知っている逸話以上のもの※を得ることは無かった。 ・今まで見知っている逸話以上のもの…ギリシャ人はダックスフンドのつもりで作ったとか、大気圏だって突入可能だとか、負の走光性を持つとか、中で衆道の嵐が吹き荒れたとか。
『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(→公式サイト) ベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ ダウニーJrが競演する戦争コメディ。
だが、このメンツの演技を見てるだけでも十分面白かった。三者三様の男達がみなそれぞれに問題を抱えており、ドタバタを通してそれらが浮き彫りになっていく顛末もなかなかに見ごたえがある。ただ、「元ヤク中」って設定はロバート・ダウニーJrにやって欲しかったな。ゲイを馬鹿にしたネタを演じ続けたグレアム・ チャップマンのスケッチみたいな鬼気迫るフィルムになっただろうに。 『トロン:レガシー』(→公式サイト) 1982年のディズニー映画『トロン』の続編。子供の頃に父親と観に行って光電子バイクのガッキンガッキン動くさまに大興奮した※ことを覚えている。
今や技術が進化して、グリッド(電子世界)のゲームの方が現実に存在するゲームよりもアナログっぽく見えるのが少し寂しかった。いや、映像的には確かにすごいんだけども、なんちゅーんだろ、CGの技術やら物理演算やらが進歩しすぎたせいでゲームの世界を表現するために逆にCGっぽさを演出しなければいけないというジレンマを感じた。前作のときに出てきたゲームは当時の最先端のゲームよりも遥かに面白そうだったのに、今回は現実のゲームの方がリアルだし面白そうだという逆転現象が起きている。20年経ったのにまだフリスビー投げてんのかよ、※みたいな。今のゲームより魅力的に思える「新しいもの」を提示して欲しかった。欲張りすぎですか。 補足説明 ・ガッキンガッキン動くさまに大興奮した…手元にパンフレットがあった。「コンピュータが絵を描いた!」、「ジョージ・ルーカスもコンピュータ・グラフィックスに注目!」といった文字が躍っている。「パソコン」って名称すら無かったんだろうなこの時代は。 ・まだフリスビー投げてんのかよ…現実の進歩に呼応してグリッドの世界の方もそれなりに進歩してないと、あの結末にはちょっと納得しづらいのが難。
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